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特殊なハンディキャップが持つ、社会的不利

聴覚障害そのものは、「軽い障害」と見られがちである。
しかし実態は、見えない障害であるがゆえに、
理解されない場合が多い。
つまり、本人が持つ障害そのものよりも、
社会の無理解のほうが重大であり、
そこから起こる障害のほうが多い
のである。


『基礎からの手話学』
(神田和幸,藤野信行/編著,福村出版,
1996年6月20日初版発行)



「a.聞こえない世界
聴覚障害者のパーソナリティの特徴としては、従来よりも精神的な固さ、
融通性のなさ、自己中心的であることなどが指摘されている。
しかし、いずれもコミュニケーションが十分行えないために、人間関係に
おける誤解や無理解から生じた場合がほとんどである。

耳が不自由な場合、音を通じて次に何が起こるかを予測することが困難
である。
問題が生じた場合でも、健聴者なら速やかに適切な助言や指導が得られ
るかもしれないし、常識や社会規範などの目に見えない抽象的事象も
言語を介して身につけられるが、それらが困難な聴覚障害者は絶えず
抑圧と不安のなかに身をおいているといえる。

たとえば、何かの集まりがあったとする。
少し遅れて会場に入ったが、あわてていたのでドアを強く閉めてしまった。
大きな音がしたが、本人は気にせず席に着いた。
そこで、まわりの人はどのように反応するだろうか。

おそらく、ひとこと謝るべきだ、何と非常識な人だと眉をひそめるだろう。
聞こえないことの意味を「非常識」の一言で片づけられてしまう怖さを
改めて考えさせられる。

とくに自分の良き理解者であるはずの家族や周囲の者とのコミュニケ
ーションが不十分な場合は、さらに混乱に拍車をかける。
当然、不安や不満も増大するであろう。

理解されにくいといえば、三木安正が教師を対象に「障害者の中から
最も気の毒な障害者はどれか」という調査をした結果がある。

結論からいえば、視覚障害者、肢体不自由者、精神薄弱者、聴覚障害者
の順であった。

これを三木は、教師がより悲劇的と感じた順に並べた結果であると
述べている。

見方を変えると視覚障害者や肢体不自由者はある程度、外見からも
障害の困難さが理解されるが、聴覚障害者は外見からはほとんど
理解されない
ということである。
誤解を受ける要因の1つもこのへんにあり、聴覚障害者の悩みや不安
は深刻である。」(P20~21)




聴覚障害者は、例え能力があったとしても、
そのハンディが特殊なものであるがゆえに、
健聴者からは低評価されがちだと思う。
その結果、低い労働しか任せられない場合が
多いのではないだろうか。

『聴覚障害者への過小評価、不当評価』
〔2015-03 -25 18:30〕


最悪だと

「筆談などの配慮が難しいので、受け入れが難しい」

と、不採用になる場合も多い。


『障害者雇用 - トヨタループス株式会社』
〔2015-12 -09 20:00〕



他の障害ならば何とかしてくれる場合はあっても、
聴覚障害は面倒がられがちだ。
人事では理解してくれても、
現場では配慮がなかったりした事例も、
多数あった。


『筆記通訳?』
〔2011-10-29 22:36〕



『聴覚障害者差別の原因は、健聴者の人格的欠陥にある』
〔2014-03 -31 19:00〕



『就労後の聴覚障害者問題G』
〔2017-02-21 21:00〕



『合理的配慮(筆談配慮)をしない健聴者』
〔2017-11 -20 10:11〕



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【追記】(2021年8月13日)

「音のマナー」

ろう者と“音のマナー”

2013 11 18

ろう者と“音のマナー” : 蒼穹 -そうきゅう- (exblog.jp)




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by bunbun6610 | 2017-12-19 09:23 | 聴覚障害者労働問題・相談

ある障害者から見た世界


by bunbun6610