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『こころの段差にスロープを』(松兼功/著)(1/13) バリアクラッシュ

『こころの段差にスロープを』
(松兼功/著 日本経済新聞社/発行所
1997年10月7日/初版発行)




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『バリアクラッシュ』
アメリカのバークレーに留学していたころ、現地で生まれ育った友人と
映画館に出かけた。
バークレーでは、公の施設にスロープやエレベーターを設置することが
法律で義務づけられているのに、なぜかその映画館の入り口には5、
6段の階段しかなく、車イス利用者のための配慮が見当たらなかった。

友人は

「ここは法律に違反しているし、ほかの所へ行こう」

と言ったが、私が観たい映画はそこでしか上映されていなかった。
にもかかわらず、友人はむりやり車イスの向きを変えて外へ出て行こう
とした。
私はとっさに車イスから飛び降り、階段を這い上がって

「ボクはここでやっている映画が観たいんだ」

と、奇声を上げた。
観たい映画を観るための“バリアクラッシュ”を怠ろうとした友人に、
怒りを放ったのだ。


バリアフリーは、決して継続的な状態ではない。
ある時点で障壁がとりはらわれたと思っても、一人ひとりの障害程度、
生活環境や時代の変化とともに、否応なく次なるバリアが頭をもたげる
に違いない。
だからそのたびに、出くわした障壁を時に根気よく、時にしたたかに
“バリアクラッシュ”していく情熱と知恵の連帯が必要になる。
それこそ、自分自身が楽しめる本当の意味でのバリアフリーをつくり
出す源でもあるのだから。」
(P9~10)



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by bunbun6610 | 2014-06-01 18:30 | 『こころの段差にスロープを』

ある障害者から見た世界


by bunbun6610