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『正直者にやる気をなくさせる?! 福祉依存のインモラル』(片山さつき/著)(2/4)

副題;『自民党・片山さつき議員の生活保護バッシング』


『正直者にやる気をなくさせる?! 福祉依存のインモラル 個人の勤労意欲、家族の絆を喪失させる生活保護制度を抜本改正する!』オークラNEXT新書(片山さつき(自民党参議院議員)/著 2012年12月27日/発行 株式会社オークラ出版/発行所)


片山さつき参議院議員(自民党)



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『第1章 次長課長・河本の生活保護不正受給問題に
象徴される現代社会のモラルハザード』


「法律論をふりかざし不正受給を認めなかった吉本興業」

「キングコング梶原のケース」

「河本・梶原の不正受給を擁護し、私たちを誹謗する
ワイドショーの偏向報道」


『第2章 高失業社会を迎えて明らかになった現代社会の
生活扶助システムの問題点』


「当時はバブル崩壊からまだ3~4年で、日本経済は長期不況
に陥り、低賃金の新興国との国際競争が日増しに激しくなって
いたころでした。
その競争に勝つためには、人件費が高い日本型経営を変えて
いかなければならない・・・。
そこで日経連が出したひとつの答えが、終身雇用が前提の
正社員を絞り込み、かわりに有期雇用の非正規社員を増やす
ことでした。

具体的には、労働者を次の3つの雇用ポートフォリオに分類
したのです。

(1)長期蓄積能力活用型グループ
(2)高度専門能力活用型グループ
(3)雇用柔軟型グループ

このうち、(1)はこれまでと同じ長期継続雇用を前提とした
正社員ですが、(2)は契約社員などの専門職で、(3)は
パートや派遣労働者です。
つまり、従来は正社員だった(2)と(3)のグループを非正規
雇用に転換するなど、日経連として初めて派遣社員を活用
するということを打ち出したわけです。

その後、こうした経営側の雇用コスト削減要請に応じる形で
労働者派遣法が改正され、派遣社員を活用できる業種が
どんどん増えていき、ワーキングプアは派遣切りといった
問題につながっていきました。

96年12月の改正で適用対象に研究開発など10業種が
追加されたのを皮切りに、労働者派遣法はほぼ毎年のように
一部改正が繰り返されていきました。

もっとも、「新時代の『日本型経営』」は村山政権、自社さ政権
の時代に作られ、労働者側の連合も合意したものでした。
そういう意味では、民主党や社民党にも責任があります。

また、高度経済成長から1980年代にかけて企業収益が
上がっていた時には、企業に雇用を保障してもらい、年金や
退職金などで労働者を保護する「日本型福祉社会」は高福祉
・低負担を実現するようにみえましたが、低成長になれば
そのようなシステムは成り立ちません。
収益の低下した企業に社会保障のコストを負担させるのは
もはや無理だったという見方もあるでしょう。

いずれにしても、この日経連レポートをひとつのきっかけに
派遣労働が拡大していき、日本のセーフティーネットがきちんと
機能していないことが表面化していったのです。」(P48~50)


「本来なら、失業した人は、雇用保険を受給している間に
再就職先を見つけるのが一番望ましいはずです。

しかし、リーマンショック後に表面化したのは、雇用保険の
適用期間内に再就職することができない、あるいは雇用保険
が切れた後も多くの失業者が滞留し続けるという問題です。
そもそも雇用保険を受給できないという人も少なくありません
でした。

日本の社会にとって、こうした状況はそれまで考えもしなかった
「想定外」のことでした。
その初めて直面した危機に対応するためにはどうしたらいいか。

まず、企業に何とか雇用を維持してもらう必要がありました。
そこで「雇用調整助成金」の支給基準を大幅に緩和し、国の
負担割合と財源を増やしたのです。
これらについては、自民党の通常の政策決定プロセスでも
比較的すんなりと決まりました。
それよりも、問題は、雇用保険が切れると失業者が一気に
生活保護に流れてしまうことでした。

ヨーロッパには失業給付と生活保護との間の「つなぎ」的な役割
の生活扶助制度があります。
生活に困窮した人々がすぐに生活保護に流れてしまうと、
再就職するのが難しくなります。
そうした人々を生活保護の手前で食い止め、再びちゃんと
働いて生活費を稼ぐ自立した生活に戻ってもらうための
仕組みが必要でした。
それが「第2のセーフティーネット」と呼ばれるものです。

第2のセーフティーネットとは、雇用保険と生活保護の間に
位置することからきています。
そんな中で、真っ先に声を上げたのが私たちのセーフティー
ネット議連でした。
私たちは、職業訓練を義務付けた生活扶助制度を創設すべき、
と自民党内でも一番早く提言したのです。」(P51~52)


『第3章 受給しやすく抜け出し難い、快適すぎる生活保護の現状』

「私たちは2009年の初め、日比谷公園の「年越し派遣村」の
村長だった湯浅誠氏とも会話を重ね、増え続ける失業者全員
に生活保護を支給するのは財政負担も大きく、何もしていない
人に生活保護を支給するのはよくない、という点で意見が
一致しました。
そのため私たち自民党は、生活保護に流れていく前段の仕組み
として第2のセーフティーネットを立ち上げたのです。

しかし、民主党はその緊急時の救済策を、半ば恒久的なものに
してしまったのです。
長妻大臣の通達は、単に支給基準を緩め、極端に言えば誰でも
容易に生活保護を受けられるようにしたものでした。
事実、歳出に占める生活保護費が全国で一番大きい自治体は
東京都台東区ですが、自民党政権の2009年まで台東区の区税
における保護費の割合は20%程度でした。
それが民主党政権になって受給が容易になった結果、2011年度
の予想では23.4%にまで達する見込みです。

派遣村村長の湯浅氏はその後、2009年10月に民主党政権の
「緊急雇用対策本部貧困・困窮者支援チーム」の事務局長に就任。
もともと彼は、「こうやれば生活保護を取りやすい」ノウハウを紹介
した『生活保護申請マニュアル』という本を書いている方ではあった
のですが、民主党の対策本部チームの事務局長になると、私たち
に言っていたのとは違うことを主張し始めました。

そして同年12月、湯浅氏らは長妻大臣に「できるだけ早くに生活
保護の支給を認めるべき」と支給基準の緩和を要請し、厚生労働省
にあの通達を出させたのです。
生活保護の増加に歯止めがかからなくなったのは、この時からでした。」
(P61~64)


『タバコにビール、パチンコ・・・保護金で豪遊する大阪の受給者たち』
受給者と共に急増したのが「もらい得」や不正受給です。・・・」(P64)


「私は河本さんの問題が起きた時、彼の母親が住む岡山市の福祉事務所
の関係者にも話を聞いています。
彼らは「非常に悔しい・・・」と唇を噛みました。
扶養照会のさい、申請者の家族に「ぜひ扶養をお願いします」と話をしても、
電話をガチャンと切られて断られてしまい、ほとんどのケースではそのまま
になってしまうそうです。

私が厚生労働省に聞いたところ、家族に扶養をお願いして実際にそれが
行われたケースは全体の2.7%にすぎないということでした。
もうひとつ、ケースワーカーが足りないという問題もあります。

福祉事務所で自立支援などに携わるケースワーカーは、生活保護の申請者
の調査権を持ち、社会福祉法によってその配置基準は80世帯に1人と
定められています。

ところが、受給者が急増したことにより、東京都ではケースワーカー1人
が担当する生活保護世帯は基準を大きく上回る約120世帯。
自治体によっては、法定基準の2倍やそれ以上に当たる、160世帯から
180世帯を1人のケースワーカーが受け持つ所もあるくらいです。
そのためケースワーカーは受給者の家庭訪問や自立支援に手が回らず、
生活保護申請者の資産照会や扶養照会の作業に追われ、その調査も
資産隠しなどの意図的なうそをつかれたら手の打ちようがない状態です。
こうした現場の実態も、不正受給の温床になっているのです。」(P81~82)


『貧困ビジネスで暴力団以上に暗躍するNPO法人』
生活保護の急増に伴って増えたのは不正受給だけではありません。
生活保護を意図的に拡大させ、そこで甘い汁を吸おうとする勢力も
多く生まれました。
貧困ビジネスと聞くと、・・・
民主党では、市民やNPO法人が公共サービスの担い手になるという
「新しい公共」を政策理念として掲げています。
実際、長妻昭氏が出させた先の通達にもこのようなことが書いてあります。
・・・(中略)・・・
ところが、そのNPO法人に生活保護を悪用した貧困ビジネスを
行っている団体が少なくないのです。

例えば、私の出身地のさいたま市ではこんな事例があります。
「ほっとポット」というNPO法人が生活保護の受給申請者と一緒に
市の福祉窓口に行き、ケースによっては窓口の職員との調整や
申請書類の記入も手伝うというサービスも行い、そのさいに
4万2000円ものサービス利用料を取っていたのです。・・・
すでにさいたま市議会ではこのNPO法人の件が不当とし、
埼玉県監査委員会にその返還を求める住民監査請求を起こして
います。
それによると、「ほっとポット」は生活保護の申請で4万2000円を
取っていただけではなく、・・・これは貧困ビジネスの疑いが強く、
少なくとも健全なNPO法人とはいえないはずです。
しかも、信じられないことに、この「ほっとポット」の代表者は民主党
政権の下で生活保護に関する政府の審議会のメンバーになって
いるのです。」(P82~85)


『医療費を取りっぱぐれない受給者は病院にとってもいいカモ』
・・・
増え続ける生活保護費の中で、もっとも深刻なものが医療扶助費の
急増です。
受給者は医療にかかる費用が全額控除され、自己負担がありません。
そのため、病院にとっては受給者は医療費を取りはぐれる心配のない
患者となります。
・・・病院側はどんどん薬を出して診療報酬を稼ぎます。
・・・受給者には病院でもらった薬や湿布等を換金するとケースも
少なくありません。
特にうつ病の場合、そう診断されると生活保護が受けやすいので、
「こうすれば、うつ病らしく見えます」といったマニュアルも存在します。
そうやって粗製らん造されたうつ病患者の受給者が坑うつ剤を売って
お金を得るケースがかなり多いのです。
・・・「過剰診療」を行い、不当に国から医療報酬を得ているクリニック
が幾つもあり、受給者に不必要な治療を行う病院もあります。」(P88)


「東京都新宿区の福祉事務所で、支給日に生活保護を受け取る人
たちを午前中観察していたデータがあります。
そこでは、身なりもそこそこいい、十分に働けそうな稼動世代の人たち
が、窓口に向かって一斉にダッシュしていく姿が見られました。

また関係者からこんな話を聞きました。
この新宿区役所から職安通りにあるハローワークまでは数百メートル
しか離れていないのですが、そこに向かう途中に働こうという意欲が
なくなり、家に帰ってしまう受給者が多いというのです。

「働ける世代が働く意欲を失ったら、国は滅びます」――
生活保護の在り方と行政全体を見直す上で、いまが最後のチャンスです。
何としてでも、「正直者がバカを見ない」制度に作り変えていかなければ
なりません。」(P94)



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by bunbun6610 | 2014-03-02 18:30 | 生活保護を考える

ある障害者から見た世界


by bunbun6610