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「かつおのたたき」の話

高知にはどこの居酒屋、定食屋にも
「かつおのたたき」はメニューにあるようです。

逆に、あえておかない(?)お店もありましたけど、
それはごく少数です。

本場のかつおのたたきを初めて口にして虜になり、
それからはあちこちのお店でこれを食べてみました。

やはりというか、お店によって味が違うのです。


かつおの刺身に、添えられてある薬味やタレを
自分の好みに合わせて食べる料理に、
なぜこうも味が違うのだろう?

そう考えながら食べ歩いているうちに、
やはりこんな簡素な料理でも、
調理法や、料理の細やかな気遣いが違うのだという
ことに気づきました。

水っぽいカツオのたたきを出しているお店もありました。
水気を切っていない薬味を添えているお店もありました。
タレもポン酢が基本のようですが、
緑色の柑橘類を添えているお店、
塩にこだわりを見せているお店もあるようです。

料理の学校では、さばいたカツオの身を金串に刺し、
ガスの強火で表面の色が白く変わる程度にあぶって、
それからすぐに氷水に浸けて、熱を断ちます。
それから水気をタオルで拭き取って、刺身と同じように切ります。

この切る厚さが、関東の居酒屋で食べるたたきと、
土佐流とでは全然違うことにも驚きました。

関東は5mmくらいの厚さに切っているところも多く見かけますが、
土佐ではその倍以上の厚さです。
それに載せて食べるニンニクが、関東はおろしたニンニクや
生姜、あるいはワサビを醤油に混ぜたりしますが、
土佐では2mm以上はあろうかという厚さにスライスしたニンニクを
添えています。
食べ終わると口の中がニンニク臭くなるのですが、
それだけ豪快な食べ方です。

玉ネギやワケギなど、薬味に添える野菜は全て、
完全に水気無し、さらに切り立てのものを添えている
お店もありました。

これは余分な水分で料理の味が薄まるのを嫌うのと、
素材の香りを生かすためだろうと思います。

柑橘類を搾らず、半分に切っただけで添えているのも、
単に見た目を良くするためだけでなく、
やはり絞りたての果汁を、
軽く浸けて食べてもらいたいからなのでしょう。
そのほうが、香りも立つからです。
そうすると様々な香りが口の中で微妙に合わさって、
味覚的効果を与えるのだと思います。

藁で焼いた後、かつおを水に浸けないお店もあるようです。
その場合、かつおの表面が乾いているし、
まだ焼いた香りも残っています。
また、口にしたときに若干の温かみを感じるというか、
冷たさを感じないため、
氷水に浸けていないとわかるのです。
当然、食べる温度が、味や香りに影響しています。

氷水に浸すと、実は焼いた香りが落ちるだけでなく、
味も落ちてしまいます。
だから強火で短時間にあぶることが大事なのだと
思いました。

日本料理の心遣いがよくわかる調理法です。
でも、土佐にある全てのお店がそうなのではない、
ということも、食べ歩いていて、わかるのです。
by bunbun6610 | 2012-08-19 18:00 | 観光(四国)

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