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職場での聴覚障害者いじめ (1)

当ブログでは、職場でいじめに遭った聴覚障害者の
ことを述べています。

『料理人志望の聴覚障害者の現実』
〔2012-06-18 20:36〕


そこでいう「いじめ」って、一体どんなことがあったのだろうか。

学校で起きているような、
健聴者のいじめとは違うだろう。
私の経験で思い浮かべるのは、職場で孤立しやすい
聴覚障害者が受けるいじめというのは、
そういう度が過ぎたいたずら的性質、
悪ふざけというよりも、健聴者がその優位性を利用して
騙すことが“いじめ”になっている、と思います。
健聴者の「聴覚障害者いじめ」は「知能犯」だと思う。

その幾つかの実例を、これから挙げてみます。

聴覚障害者には聞こえるわけではありませんが、
どんなことを言っているのか、
見抜ける場合があります。
また、健聴者がウソを言っているということも、
読み取れる場合があります。

昔、銀座の有名フレンチ・レストラン
(食味研家・山本益博の『グルマン』で1つ星を獲得している。
シェフも日本のグランシェフ50人の中の一人で有名)
で働いていたときは、
次のようなことがありました。

料理人見習いだった私は“賄い”を毎日
担当していました。
賄いとは職場で食べる皆の食事で、
それを作るのが担当でした。
それを私だけ休憩時間に、毎日作っていました。

ある時、レストランの営業中に、支配人が

「おい! ポタージュの味がしょっぱいって!
どういうことなんだ!!」

と怒って皆に報告してきました。
するとスー・シェフ(副料理長)がすぐに
仕込んであったポタージュの味見をして、

「おい! しょっぱいぞ!!
ちゃんと見ないとダメじゃないか!!」

と、私に怒鳴ってきました。
私は

「それは私がつくったのではありません」

と言いました。
しかしスー・シェフは納得しません。

スー・シェフ;
「おまえの担当の仕事なのに、
やっていないというのか!」

私;
「今まで一度も、やったことがありません。
やれと言われたこともありませんでした。
ポタージュは、私が賄いを作っている時間に、
先輩が仕込んでいました。」

スー・シェフ;
「先輩のせいにするな。
何でおまえが自分の担当の仕事を知らないんだ!」

私;
「…」(悔し涙を流す)

支配人;
「悔しいか。
悔しかったら仕事をもっと頑張ってみろ!」

犯人がいるはずの、他の先輩は皆、
黙って見ているだけでした。

「私がやりました」

とは誰も言いませんでした。

そしてシェフ(料理長)が帰って来た時、
シェフがこう言っていました。

シェフ;
「何で賄いをあいつにばかりやらせているんだ。
賄いはみんなで交代制なんだぞ!
今までそれを守っていなかったのか!」

それを聞いた私は、皆が休憩時間に
自分の自由時間を過ごしたいがために、
店のルールを破っていたのだ、
ということを初めて知りました。

さらに、店のお客様に出している料理を作る仕事は、
ポタージュも含めて、私にやらせないで先輩の何人かが
交代でつくっていた、ということもわかりました。
先輩の味付けが濃すぎたのに、
本来の担当の私に、責任をなすりつけたのだった。

健聴者がグルになってこういう縄張りをつくって、
聴覚障害者には仕事をやらせてもらえない、
という実態がありました。

こういうことは聴覚障害者に限ったことではない、
と思いますが、知らされなかったのに、
トラブルが起きると私に責任をなすりつけてくるの
は酷いな、と思いました。
色々とナンタラカンタラと言い訳されて、
責任の所在を曖昧にしてしまうことは、
健聴者はお得意のようです。

 「言ったはずなのに…」

 「この前言ったのに、忘れたの?」

 「あなたが聞き間違えたんでしょ!」

 「忘れるあなたが悪い。
 聞こえないせいにするな」

こういうふうに耳のせいにされることは、
その後もいろいろな職場でよくありました。
そう言われたら

「そうだったのかも?」

と考えることにし、
それで納得できなくても収めることにしていました。
それが職場で人間関係をどうにか保つ、
唯一の方法でしたから。

でも、そのレストランは数年後、潰れました。
馬鹿馬鹿しいいじめをやっていて、
皆で真の問題解決をしない職場は、
こうなるのだろう。

学校ならいつまでもやっていても潰れはしないが、
会社なら潰れてしまう。



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【追記】(2023107日)

私の、この苦い体験から、今になって思うことは、

「障害に対する理解」とは、

「頑張れ!」と励ますこととは違うと思いたい。

混同しないで欲しい。

【参考記事】

バリバラ団の「がんばらなくていい!」に賛否両論

2014 02 14

バリバラ団の「がんばらなくていい!」に賛否両論 : 蒼穹 -そうきゅう- (exblog.jp)


どうしても超えられない壁があるというのに、

それでも、健聴者と同じように頑張ることに、

一体、何の意味があるのだろう?

【参考記事】

難聴の疑似体験

2018 09 15

難聴の疑似体験 : 蒼穹 -そうきゅう- (exblog.jp)

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健聴者が聴覚障害を誤解していること(「先天性難聴と後天性難聴の決定的な違い」について)

2023 06 07

健聴者が聴覚障害を誤解していること(「先天性難聴と後天性難聴の決定的な違い」について): 蒼穹 -そうきゅう-(exblog.jp)





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【追記(参考記事)】(2024214日)

解決できる方法はある。

でも、年齢を重ねた健聴者にとっては、高いハードルになるかもしれない。

逆に、若い人が多い職場には、適しているのかもしれない。

『まほうのことば』 - 健聴者にも、手話を学んでほしい(手話が持っている‟可能性”)

2022 12 30

『まほうのことば』 - 健聴者にも、手話を学んでほしい(手話が持っている‟可能性”): 蒼穹 -そうきゅう- (exblog.jp)

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手話が必要なのは、実はろう者だけではない(手話言語法の必要性。社会には、様々な聴覚障害者がいるということを、知ることも必要)

2023 02 14

手話が必要なのは、実はろう者だけではない(手話言語法の必要性。社会には、様々な聴覚障害者がいるということを、知ることも必要): 蒼穹 -そうきゅう-(exblog.jp)

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by bunbun6610 | 2012-07-16 09:23 | 聴覚障害者労働問題・相談

ある障害者から見た世界


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