人気ブログランキング | 話題のタグを見る

精神障害者への就労支援のあり方から

古いですが、障害者の雇用における
問題点を報告した資料があります。

他の障害者のこともわかる、貴重な資料だと思います。

→http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/08/txt/s0807-1.txt

※以下は、原文の意味を変えずに、なるべく読みやすく、
私自身の編集で一部を抜き取り、さらに要約版に
してみたものです。
(一部青字変更も、筆者によるるもの)

※2012年現在では、精神障害者も雇用されれば、
法定雇用率にカウントされています。
ハローワークにも、企業向け精神障害者雇用促進講習の
チラシがあります。
見えない障害を理解してもらうのが困難で、
方法も難しいようです。
それは、聴覚障害者も同じですので、聴覚障害者にも
このような対策をとることが必要なのではないでしょうか。
参考になる点があると思いました。

『精神障害者の雇用管理に関するセミナーの開催』
 →http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/seminor.html

======================================

『第4回労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会議事録』
(平成20年8月7日)
議題;  障害者関係団体からのヒアリング
     特定非営利活動法人全国精神保健福祉会連合会 理事長 川崎洋子氏
     社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 理事長 高岡正氏
     社会福祉法人日本盲人会連合 副会長 時任基清氏
     財団法人全日本ろうあ連盟 理事 松本 正志氏
     社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 常務理事 森祐司氏
     社会福祉法人全国盲ろう者協会 理事 福島智氏


○座長
 議題は、上の6つの団体からご意見を伺う。

○川崎委員
 精神障害者はどちらかというと、医療モデルということで
長らく考えられていて、社会に参加するということが
全く考えられないような状態で過ごしてきた。

障害者基本法ができ、やっと障害者の仲間入りし、
福祉のいろいろなサービスを受けるようになったのが現状。

平成15年度の障害者雇用実態調査によると、
5人以上の規模の企業において雇用されている障害者は49.6万人。
そのうちの精神障害者はどのぐらいかというと、1万3千人と報告されている。
在宅の精神障害者は今、大体268万人といわれている。
この数からだと、0.5%の人しか雇用されていないのが現状。

 長い間医療モデルで対応されてきたので、福祉のサービスが
なかなか受けられないでいる。
従って、雇用制度も精神障害者にとっては制度化されていない状態で、
現状では福祉就労ということで、ほとんどの人が作業所とか授産施設に
通っている。
社会資源もまだ少ない中で、在宅者のほとんどが仕事をしたいけれども、
なかなかできないでいる。
福祉就労におきましても、それからのステップアップがなかなかできず、
企業への就労が困難であるというのが現実。

 私は地域生活支援センターの職員をしていたが、
ほとんどの人が仕事をしたいといっていた。

 この障害者雇用率制度に関してですが、精神障害者は「障害者基本法」
(平成16年改正)で障害者と位置づけられた経緯があり、
法制度が遅れている。
しかし、平成18年度に障害者雇用率制度におきまして
精神障害者も雇用率に算定されることになった。

しかし、これは雇用義務化ではないために、現状では企業において
精神障害者が雇用されているということは進んでいないように
私は思っている。

このことは、今回検討されております障害者権利条約に
おきまして第5条2項で、障害を理由とするあらゆる差別を
禁止するというところの条約に即していないのではないかと
思っている。

是非とも障害者雇用率制度の法定雇用率の中に精神障害者の義
務雇用化をしていただきたいということを望んでいる。

精神障害の特性については皆さんに理解していただくことが難しくて、
苦労する。実際、精神障害者の人はよく「波」があるといわれる。
例えば、脆弱性ストレスモデルといわれますように、どのように理解して
いただけるかということが私どもの大きな課題。

 精神障害者の場合、障害をオープンにするか、
クローズにするかということが、かなりメンバーも支援者も気にかける。
オープンにすることによって、精神障害が分かっていただけるから
いいではないかと思うが、そうすると、賃金が最低賃金になってしまう。
やはり就労するからには収入があった方がいいので、
クローズドでいきたいという。

 私は特例子会社などに行き、精神障害者を雇っていただけないでしょうか、
とお願いした。
しかし、うちは精神障害者を雇用する体制ができていないからねと、
よく言われました。

一体、そういう精神障害者の雇用の体制とは何かなと考える時、
やはり雇用への配慮、これが今回の合理的な配慮ではないかと思う。
精神障害者の場合は、その人の個別の配慮・支援が必要で、
これは精神障害だけではないと思うが、個別化される配慮が必要

 企業におかれましても、精神の人の特性を理解していただくような研修、
啓発とか、それから、やはり人権擁護理解の研修会などを企業などを活発に
行っていただき、職場環境を精神障害者を理解する環境にしていただきたいと
願う。
 実は精神障害者の場合の支援としては、端的にいいまして、人的支
援なんですね。
それもちょっとここに書いたように、質の高い人的支援です。

というのは、精神の特性を本当に理解して、それに対応してくれるような
専門職の方の支援が必要ではないか
と思っております。精神保健福祉士とか、
専門職を雇用し、企業側での相談体制などがあったらいいと思う。
ちょっとしたことでも相談できる人がいることによって、ストレスが和らぎ、
就労の継続ができていくのではないか
と思う。
企業側に対して、このようなことが合理的配慮として考えられるのではないかと
思っている。
 また、障害者の就労支援というのは、実は就労の場だけではなく、例えば、
帰ってからの生活の場においても、見守り支援が必要。
疲れてしまって、次の日は出られないとか、そのような場合の支援がある。
つまり、24時間体制の見守り支援が精神障害者にとっては必要ではないか
と思っている。
 
======================================

以下は、自己解釈的に書いているかもしれませんが、
私の知る範囲で考えてみました。

>実際、精神障害者の人はよく「波」があるといわれる

例えば

「彼(精神障害者)はさっきまで元気に働いていたのに、
今ははどういうわけか調子が落ちている」

とか、そんな話を聞いたことがあります。
どうしてなのかは、私もよく知らないのですが。
そもそも、健常者から情報が入ることが乏しい
聴覚障害者の自分には、他の障害者のことまでは
知ることもできない場合が多いです。


>精神障害者の場合、障害をオープンにするか、
クローズにするかということが、かなりメンバーも
支援者も気にかけるところ。
オープンにすることによって、精神障害が分かって
いただけるからいいではないかと思うが、そうすると、
賃金が最低賃金になってしまう。
やはり就労するからには収入があった方がいいので、
クローズドでいきたいという。


オープンとクローズドを、本人の意思で選択し、
面接に臨む、というやり方は、
難聴者だけではなかったのですね。

意地悪な言い方をすれば、見えない障害という点で
自分の都合のいいように逆利用できますが、
隠せば後で問題発覚となってしまいます。
だから、ハローワークのこのようなアドバイスは、
やはり「おかしいのではないか」と思います。

精神障害者の場合は「おかしい」とは思わないというか、
配慮を受けるか受けないかを、自分で決められる
というのでしょうか?
そこでの悩みという問題だとしたら、
聴覚障害者とは違う問題だということになりますが。
現実は
「そんなに都合よくいくはずがないんじゃないか」
と想像するのですが。

 →当ブログ『難聴者の会社面接対策(3)』(2011-07-07 20:55)参照。

精神障害者は、これを賃金の問題として悩むようですが、
難聴者の場合は、採用後、自分の聴覚障害への配慮か、
それともまず採用、のどちらを優先するかで選択している
ようなので、この点は考え方が違うようです。

なぜなら、配慮を求めようとすると、
下の記事のようなことになってしまうケースもあるからです。

 →当ブログ『難聴者の会社面接対策(2)』(2011-07-06 20:37)参照。


>うちは精神障害者を雇用する体制ができていないからねと、
よく言われました。


聴覚障害者の場合、こう言われて採用されない、
ということはあまりないと思います。
でもその代わり、聴覚障害問題のことは、
ほったらかしにされます。
障害者雇用助成金は全額、会社のものになってしまうのです。


>精神障害だけではないと思うが、個別化される配慮が必要

これが目指すべき門戸開放への道だと思います。
これが実現できれば、すべての障害者が働けるようになり、
社会全体の経済効果も上がるのではないでしょうか。


>実は精神障害者の場合の支援といたしましては、
端的にいいまして、人的支援なんですね。


聴覚障害者も、実はそうなると思います。
通訳はまだ、機械には任せられないようですから。


>精神の特性を本当に理解して、それに対応してくれるような
専門職の方の支援が必要ではないかと思っております。


障害者を高い労働力に変えるためにも、専門員が必要だと思います。
労働分野の支援は、ボランティア、福祉とは違うと思います。


>ちょっとしたことでも相談できる人がいることによって、
ストレスが和らぎ、就労の継続ができていくのではないかと思う。
企業側に対して、このようなことが合理的配慮として考えられる
のではないかと思っている。


聴覚障害者の離職率は他の障害者と比べ、
極端に高いと言われています。
これを改善する方法が、合理的配慮だと思います。
今までなかったために、離職率が40%超もあるのだと思われます。


>24時間体制の見守り支援が精神障害者にとっては
必要ではないかと思っている。


これを聞くと
「ひょっとして、精神障害者にもコミュニケーション障害が
あるのかな?」
と思ったりしましたが…。
by bunbun6610 | 2012-02-13 22:05 | 就職活動(障害者雇用)

ある障害者から見た世界


by bunbun6610