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手話を覚えることが難しい理由 ―難聴者の場合 (2)

当ブログ

『手話を覚えることが難しい理由 ―難聴者の場合 (1)』
〔2011-09-22 22:59〕


の続きです。

前回では、難聴者に見られる、手話を獲得する上での
ハンディを3つ挙げてみました。

このハンディは逆に言うと、ろう者は子どもの頃からとはいえ、
言語獲得能力は大人の難聴者をはるかに凌いでいます。

乗り物に例えるなら、ろう児はF1マシン、それに比べて
難聴者は民間自家用車ほどの性能差があるといえる
のではないでしょうか。

この差はもう、どうしようもない場合もあると思います。

したがって、難聴者の手話獲得には(2)と(3)に
努力を費やすのだと思います。

ただ、手話獲得の方法が、ろう者はろう者のプロセス
(ろう文化から継承)、難聴者は難聴者に合わせた
プロセスへと分かれます。

そうすると、手話通訳が「中間型手話」
(日本手話と日本語対応手話の混合型)
を採用しているように、
難聴者にはろう者や手話通訳者の手話とは
また別の手話になってゆきます。

これは、手話を日常的に使う集団からは
分離することを意味する結果になっています。

なぜこう言うのかというと、

当ブログ『「手話」と「手指日本語」』
(2011-06-26 08:45)

でも述べているように、難聴者の使う
日本語対応手話は「手話ではない」とさえ
言われているからです。

それが手話でなかったら、そう言えると
私は考えます。

ろう者の手話と、難聴者の手話は、
決して相容れません。

だからそれぞれの手話によって、
言語・文化的に分離しているのだと思います。

仮に、ここではお互いに尊重し

「どちらの手話でも通じていれば、まあいいじゃないか」

ということで済むことはよくあることです。
コミュニケーションではそれでも構わない、
ということです。

しかし、きちんとした手話学習となると、
そういうわけにはいきません。

私も、たとえ難聴者対象手話講習会であっても、

「難聴者の使う、日本語のままに表す、
しかし意味のわかりにくい日本語対応手話」

を教えているところなど、見たことがありません。
手話指導では、やはり厳しくなるのです。

それに対し、不満をこぼす難聴者も少なくありません。
それは日本手話を知らないか、知ってても受け入れず、
徹底した日本語対応手話に拘る難聴者です。

そういう難聴者は、ろう者とどこまでも対立するものです。
そして勿論、日本手話を教えても覚えようとしません。
だからこういう難聴者には、日本手話を教えても
無駄なのです。

これだけでも、難聴者が手話講習会に通っても、
手話を覚えられない人がいる理由を、
理解できると思います。

他にも理由として考えられることがありますが、
長くなりましたのでまた後に述べます。

手話を覚えることが難しい理由 ―難聴者の場合 (2)_a0196876_23135026.jpg

by bunbun6610 | 2011-09-22 23:14 | 日本語対応手話

ある障害者から見た世界


by bunbun6610