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ろう者のコミュニケーション、文化的財産

9月19日(月・祝)は敬老の日でした。
区市町村で、そういう祝い事があったと思います。
でも、聴覚障害者団体に所属する高齢聴覚障害者は、
団体の行事へ参加します。

体が弱ってきた高齢者も増えており、
お会いできる機会も少なくなってきています。
それだけに、こういう行事に参加し、
長寿を祝いながら話すのは、貴重な経験になります。

私は盛岡ろう学校出身の方と話すことができました。
その方は秋田県出身なのですが。

ろう者の多くに共通する、話し始めのセリフが3つ
あります。

 ・ 「ろう学校はどこ(を出たの)?」

 ・ 「あなたはろう者? 健聴者?」

 ・ 「あなた、結婚した?」

生まれ育った所よりも、どこのろう学校を卒業したのか?
 の方が、ろう者にとっては話が進みやすいようなのです。
この時も、真っ先に「ろう学校はどこ(を卒業した)?」と
聞かれました。

そしてその方もとにかく、自分の卒業学校の思い出話
から始めました。
実家は秋田県なのですが、宿舎のある盛岡ろう学校
に入り、学校の勉強も学校が休みの生活も、
ろう学校の先輩後輩と手話で話し、
全く寂しくなかった、と話していました。

こういう話から、その方にとっては、
ろう学校の仲間が、家族同然だったのだということが
わかります。

だから、相手に何か聞くときはまず

「ろう学校どこ?」

と聞くし、それがわかれば、誰の家族同然なのかも
わかり、生い立ちもわかったのだろうと思われました。

このように、相手の話を想像しやすくする為の
手がかりを、話し初めに求めるのは、聴覚障害者
特有の話し方だと私も思います。

当時のろう学校教育で手話を使うことは禁止でしたが、
それでも皆、学校でも宿舎でも手話を使っていた、
という。
宿舎のあるろう学校なので、県外からもろう児が
集まってきて、そこで同じ言語的共通人種「ろう者
(Deaf)」と出会い、仲間でろう文化を吸収し、
卒業後は全国各地へ散ってゆきます。

でも、彼らのろう文化は、そこで途絶えることは
ありません。

原点である、自分のろう学校で学んだ手話を
はじめとするろう文化を、今度は日本中のろう者
に紹介しあっているのです。
つまり、ろう文化とは、
もともとはそれぞれの地域性を持つろう学校が
母体となり、それごとのろう文化が存在する。
その原点から学校規模のろう文化、
国内規模のろう文化、
さらに世界規模のろう文化(国際手話とか、
世界共通のろう文化として)が形成されている
のだと思いました。

ろう者には、このような素晴らしい文化の流れが
息づいています。
彼らにはこうした生きる知恵、財産があるのです。

しかし、難聴者や中途失聴者等には一体、
このようなものがあるのだろうか?

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by bunbun6610 | 2011-09-22 22:47 | 手話学習(手話を学ぶ前に)

ある障害者から見た世界


by bunbun6610