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日本語文化と、デジタルテレビ放送の全文表示字幕にウンザリ

「一歩前へ」
「いつもきれいに使っていただき、ありがとうございます」

これは、会社の男性トイレの中の張り紙文句です。

昔は、このような丁寧な言い方ではありませんでした。

「トイレを汚さないでください!!」
    (命令口調でハッキリと)

それがだんだんと、

「トイレをきれいに使いましょう」
    (「!!」の使用も止めている)

に変わり、現在は冒頭のような、丁寧語になってきています。

最も言いたいことというのは

「トイレの使い方が悪くて汚くなり、次の人が気持ちよく使えなくなるので、
皆できれいに使ってください」

ということには変わりないのですが、言い方が物柔らかになったというか、
オブラードで包んで、読み手に差し出してあげているような表現になっています。
「察する文化」だとも言われたりしています。

日本語文化って、こういう方向にも絶えず、進んでいるのかもしれません。
言葉の使い方がマナー、モラル意識の向上とも関係しているのだと思いますが。
でも、それって、ホントにマナー、モラルがいいということなのでしょうか?
私は、そこが疑問に思っています。

もちろん、それとは逆方向の日本語も増えていますが。

当ブログ『「コミュニケーション力」とは』(2011-04-12 21:04)のテレビで
観たのですが、そのときの日本人の言い方に対する、外国人の見方がナルホド、
と思いました。

その外国人は、医者が「○○です」と、傷病名をハッキリと言わないので、
イライラしたという経験を話していました。
日本人のハッキリしない言葉の使い方を「湾曲表現」と批判的な見方をしていました。

そういう見方は、アメリカ人でもヨーロッパ人でも、インド人でも中国人でも、
ほとんど同じらしい。

なぜ、日本人だけが違うんだろう?(笑)

日本語の言語文化は、同じ日本人である聴覚障害者からも、すこぶる評判が
悪いのですが、健聴者の皆さんは、知っていましたでしょうか?

聴覚障害者がそう感じるのは、当たり前です。
ただでさえ、聞こえないのに、日本の健聴者は語彙数が多い日本語を話され、
しかも長ったらしくて何を言いたいのか、なかなかハッキリと言おうとしません。

自己主張がないほうが無難、そのほうがやさしいと思っているからでしょうか。
あるいは、誰にも非難されたくないような自己防衛的な言い方しか、
しようとしないのが日本人の性(さが)なのかも。

原発事故後に、テレビに毎日出てきた、原子力保安院のメガネ男の説明にも、
字幕付き放送で見たときは、本当にウンザリしました。

あれは全文表示の字幕になっていましたが、「もう見たくないな」と思いました。
大事な情報なので、見ないわけにはいかないのですが。
あれは健聴者もウンザリしたのではないかと思いますが、中途難聴者から

「健聴者の場合は、聞き流すことができる。大事な情報だけ聞き取ることができる」

と聞きました。
もしそうなら「健聴者は、何ていい耳をしているんだろうなぁ」と思います。

反対に聴覚障害者は、あのデジタル放送の字幕は、種類にもよりますが、
なかには非常に見づらいものもあるのです。

ただ字幕がつけばいいのではなく、話し手の話し方の工夫も必要だと、正直に思います。

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by bunbun6610 | 2011-08-09 22:12 | 情報保障(テレビ字幕)

ある障害者から見た世界


by bunbun6610