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障害者団体のILOへの提訴文書について、思うこと

(※A)(※B)(※C) →私の思ったことです。

日本は先進各国と比較して、障害認定基準が非常に厳しく(※A)、
難聴者の多くの人は障害者としての認定がされていません。

〔※A〕当ブログ
『自民党政権がつくった『デタラメ障害者福祉』の犠牲者』
〔2011-06-13 22:46〕
参照。

厚生労働省は2009年7月、病院や企業などに対し
「筆談などによる対応を」求める通達を出しました。
つまり、厚生労働省の見方は、難聴者の場合には
周囲の配慮があれば、どうにかなる障害だという
ことであろう。
周囲の理解促進とサポートがあれば、
何も国が支援までしなくとも解決できる問題ではないか、
と考えているのではないでしょうか。

聴覚障害者に認定を受けている難聴者でも、
ハローワークの会社面接会会場に要約筆記通訳が
準備されないのは、このようなことが理由だと考えられます。

併せて要約筆記通訳事業が遅れたのも、
社会全体がそういう状況だったからではないでしょうか。

とにかく、難聴者への障害克服は、自力で可能とか、
周囲の人々のちょっとした理解促進とボランティア支援で
可能、と今まで長く考えられてきました。
それが当たり前とされてきました。


『障害者の就労支援と国際基準
 -ILO 159号条約違反の提訴への回答と今後の対応-』
(発行・全国福祉保育労働組合,2009年6月25日発行)には、
次のような記述があります。

〔ILO(国際労働機関)とは〕
 →http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/about/ilo.htm

「重度身体障害者は、障害者雇用促進法第2条第3号において、
身体障害者のうち、身体障害の程度が重い者であって
労働省令で定めるものをいう…」(P104)

「重度身体障害者については、その雇用を促進する観点から、

(ⅰ)障害者雇用促進法に基づく実雇用率の算定上及び
納付金制度における対象人数の算定上重度身体障害者
1人は身体障害者2人に相当するものとみなすこと、

(ⅱ)重度障害者を雇い入れ、そのために一定の措置を
講じた事業主に対する各種の助成金
(前述した重度障害者職場適応助成金)の支給、

(ⅲ)雇用保険の適用事業主であって障害者、高年齢者
等就職が困難な者を雇い入れる者に対して支給する
特定求職者雇用開発助成金の助成率の引上げ及び
支給期間の延長に関する特例等特別の配慮が行われて
いる。」(P104)

「重度身体障害者の範囲の見直しは、現行の定義に
おいて重度身体障害者とされている者にとって、
職業能力上の重度の身体障害者とならない場合が生じ、
不利益となる側面も考えられるが、
障害等級が3級以下の「中・軽度」ではあっても職業能力上
は「重度」と認められる障害者をも重度障害者の中に含め、
重度障害者の雇用促進対策の中に取り込んでいくことを
趣旨としており、このことにより、職業能力上は「重度」と
認められる障害者に対するより手厚い支援が可能となり、
その雇用機会を拡大する効果が期待できるものである。」
(P105)

「身体障害者福祉法における身体障害者は職業能力の
観点からとらえられておらず、障害の判定が機能・形態障害
を中心としたものとなっており、障害等級表上の障害の程度
と職業能力の低下の度合いとの間には必ずしも対応関係が
ない場合もあるとされている。」(P105)

「「聴覚又は平衡、音声、言語若しくはそしゃくの機能の障害」
(以下「聴覚障害等」という。)は重度の障害者であっても
就業率が81.1%と相対的に高く、…」(P106)

「また、就業率を障害の程度に着目してみると、「聴覚障害等」
及び「視覚障害」の身体障害者にあっては、中・軽度の者の
方が重度の者より就業率は低くなっている(※B)。」(P106)


(※B)中・軽度の聴覚障害者を雇用しても、ポイントが低く、
助成金もなく、企業には雇用してもメリットがないから
なのではないか?
国は未調査であるが。
企業が障害者を雇用するのは、助成金の受給条件を
満たすため、法令遵守を第一目的として雇用しているに
過ぎない、という可能性が濃厚だろう。
障害者団体は、重度身体障害者のダブルカウント制を
止めるように求めています。

しかし、やめたら今度は、重度身体障害者の雇用が
減るのではないか、という懸念もあります。
障害者に対する見方が、日本と欧米各国とでは違うため、
日本企業は、鎖国政策のような態度なのだと思います。



「「聴覚障害等」又は「視覚障害」の身体障害者については、
重度の者であっても61.8パーセントないし108.9パーセント
(離転職を繰り返している場合があり、就職延べ人数が
有効求職者数を上回っている。)
又は37.5パーセントないし63.9パーセントと比較的高い
ものとなっている(※C)。

…その就業率や就職率には障害の種類や程度によって
相当の差や逆転現象が見られ、障害等級表上の障害の
程度と就職困難度や職業能力からみた障害の程度とは
必ずしも対応していない。」(P106)


(※C)重度聴覚障害者の場合、法定雇用率にカウント
されるポイントが高い。
しかし、聴覚障害の重度障害者の場合は、
特別に会社施設を改善したりする必要がないため、
特に雇用する上で費用はかからない。
にもかかわらず、企業にとっては助成金までもらえるメリット
がある。
法定雇用率遵守のために、同じ障害者を雇用するなら、
聴覚障害者のほうが断然得ではないか、と考えるのは
自然だろう。
しかし、雇用された聴覚障害者は職場に具体的配慮
がないために辞める人も多く、結果的に転職率が高く
なってしまっている。

ところが、これが企業にとっては実は好都合で、
聴覚障害者が辞めた後も、新規にまた聴覚障害者を
再雇用するだけで、特定求職者雇用開発助成金が
また入る。
これを繰り返すことにより、結果的に長期的に低賃金で
雇用できる聴覚障害者を、もっぱら単純労働に専従させる
者として雇用する(事実、嘱託,契約社員という雇用形態
が多い)
という戦略が生まれたのではないか、と考えられる。

つまり、現行の国の障害者雇用に関する各種制度は、
企業側のそうした温床になっている、と考えられるのです。


障害者団体のILOへの提訴文書について、思うこと_a0196876_0431745.jpg

by bunbun6610 | 2011-07-04 00:50 | 就職活動(障害者雇用)

ある障害者から見た世界


by bunbun6610