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情報を知らされないということと、聴覚障害者における情報障害の問題

今回の原発事故で「情報を知らされないということは、決して聴覚障害者だけではない」ということを、
あらためて実感しました。

中国当局の情報統制もそうなのですけれども、原発問題もそもそも、
国民がそれまでの経緯、事実を何も知らないままだったわけで、
それが事故になったらなったで「想定外だった」とか、何とでも言いくるめてしまうことができるのでしょう。
要するに、知らせない方が自己中心に知恵を働かせるには都合がいんだな、と感じてしまいます。
でも、国民に知らせなければ、国民もわからないし、不信感が強くなっていっても当たり前だと思います。
国民が「言いくるめられている」と感じれば、政治不信になります。
そして、選挙に行くのも、次第に馬鹿らしくなっていきます。
有権者の投票率は下がり、国会も金の力で選挙に当選する政治家ばかりになってしまいます。


故三木武夫元首相の言葉で、

「国民が政治に無関心になるほど、恐ろしいものはない」

というのがありました。
政治家を引退した後のテレビ出演で語っていた言葉でしたので、自民党政権を振り返った、
反省の意味も込められていたのかもしれません。


ところで、健聴者は耳があっても聞いていないこともあるし、それが自分の自由意志でも、できます。
しかし、聴覚障害者は、聞きたいことでも聞くことができません。
殊に、ろう者では「テレビに字幕があっても、よくわからない」という方がたくさんいます。
あるいは、立候補者の演説会があっても、「手話通訳がなければ、内容がわからない」、
「選挙は重要だが、誰に投票したらよいかわからないから、行かない」という方がたくさんいます。
しかしそれだからといって、「自分でわかる範囲で判断し、投票すればいい」で、いいわけがありません。
投票所に行っても、そこでのコミュニケーションにまた苦労するのはろう者の方なのです。

結局、こういうところでも、ろう者にとっては政治的関心は、非常に持ちづらいものだったと思います。
いや、そう言ういうよりも、憲法が守られていなかった、と言うほうが適当と思います。
そしてこれは障害者差別であり、障害者の人権無視の政治でもあったのです。


今のテレビ放送では、原発の枝野官房長官の記者会見(LIVE)でも、左後方に女性が立っていて、
長官の話が始まると手話通訳をしている姿をご覧になった方も多いと思います。
民主党政権になり、しかも最近やっと、こういうときに手話通訳がつくようになりました。
聴覚障害者から見れば大変ありがたいことであり、歴史的な出来事です。

しかし、手話通訳者もまだ、こんな場合の通訳には不慣れ、そしてろう者も「意味がよくわからない」と
こぼしています。
手話通訳がついたからといって、聴覚障害者問題は解決した、とはいかないのです。
あるいは、手話通訳では理解できない中途失聴・難聴者、盲ろう者の問題も、
こういう場合の問題が未解決になったままです。
これを解決しようとする方法として『(仮称)情報コミュニケーション法』が提案中です。
ただ残念ながら、これは中身が全然固まっていませんので、まず一般の人に対する説得力も
ほとんどないと思われます。


手話通訳は東京都知事選挙立候補者のテレビ演説でもついています。
しかし、ある候補者の話の通訳を見ても意味がわかりにくく、別の候補者の話の通訳は
比較的わかりやすい、という場合がありました。

私は原文を聞く(知る)ことができませんので、この原因はわかりません。
ただ、話し手の話し方がわかりやすいと、通訳もしやすくなり、その通訳を見る方も
内容を理解しやすくなるのではないかな、と思います。

このような心掛けが欲しいという意見は、例えば、知的障害者からもあります。

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by bunbun6610 | 2011-04-06 22:25 | 情報保障・通訳

ある障害者から見た世界


by bunbun6610