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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

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2015年2月5日(木)

この日は、Yさんがまた机の上にダンボールを
広げて、今度は封筒に切手を貼る作業を
やっていた。

私も以前、Yさんがこの会社に来る前までは、
S上司にこの仕事を頼まれてやっていたことが
あったので、これはよく知っている。

しかし、なぜこの作業にダンボールを置く
必要があるのかが、私には理解できなかった。

それはまあいいとして、もう一つ、特異な点に
気がついた。

Yさんは切手裏面の中央部だけに糊(のり)を
付けて、封筒に貼っていたのである。
だから切手を貼り終えた後は全て、
切手の四隅まで十分に接着されていなかった。


普通、切手を貼る場合は、水を含ませた
スポンジ台に切手裏面をつけて、軽く濡らす。
そして封筒に貼るものだと思う。

ところが、Yさんのやり方はなぜか、
全く違っていた。
近くに女性事務員2人もいたが、
Yさんは切手の貼り方を聞くこともなかったようだ。
そして他の人も、Yさんのやり方までは
見ていないかった。

Yさんは、自分のやり方で切手を貼ればいい、
と思っていたようである。
結果、ああなったというわけだ。

依頼者のS上司はいなかった。

明日、Yさんが

「出来ました」

と言ってこれをS上司に手渡したら、
S上司は一体何と言うだろうか。

「切手の中央だけでも貼れているから、
まあいいか」

なんて言うだろうか。
実はこれは、お客様に送る封筒なのだが・・・。


こんな仕事をする人が元プロカメラマン
だったなんて、信じられない。
人間は、軽度の精神障害を負っただけでも、
こうも変わるものなのだろうか。

まさか、デタラメ履歴書を書いて、
会社面接に臨んだというわけでもあるまい。


未熟なことに加えて、Yさんは何をやらせても
遅い。
さらに加えて、すぐさぼる。
女性事務員と話をして、こんな簡単な仕事の
手も止めていたり、タバコを何度も吸いに行く。
それで、余計に遅いのだ。


別の仕事では、注文書に会社名・部署名の
ゴム印を押すものがあった。

それも、よく見ると、Yさんは注文書に印字
されている文字の上に、そのゴム印を押していた。
だから文字が二重にだぶってしまっていた。

それで私は、事務補助員のKさんにも聞いてみた。


私;「このゴム印の押し方って、これでいいの?」

Kさん;「これは・・・これでいいです」

私;「えっ?! 僕が以前にMさん(主任)に教わった
時は

『注文書にある文字にゴム印の文字が重ならない
ようにね』

と言われたよ。
今は、これでもいいの?」

Kさん;「・・・いいです」


そんなハズはないだろう。

正社員のスタッフが、文字が重ならないように、
丁寧にゴム印を押しているということは、
私も今までずっと見てきているのだ。

だいたい、注文書はお客様に渡し、
読んでもらうものである。
それを丁寧に印字するのは当然のことだ。

しかし、もうKさんもYさんも、何度教えても
覚えない障害者だとわかっているので

「なら、いいよ」

と言って、諦めた。

この部署の仕事の質が、2人の未熟な障害者
が入ってきたことで、どんどん悪くなっている。

しかも、部署の落ち込んだ業績は一向に良くならず、
人が減らされて、部屋も狭くされつつある。

もはや、この部署には「風前の灯」という言葉が
似合っている。

ちなみに、この部署の責任者はD上司で、
実はこの人も精神障害者なのだ。

やれやれ・・・。

精神障害者の下で働くと、やっぱり幾ら頑張っても
結局、こうなるのか・・・。
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by bunbun6610 | 2015-02-05 21:13 | 就労後の聴覚障害者問題E
2015年2月4日(水)


『自主性、責任感なき障害者たちの仕事ぶり』

『「これ以上ここにいたら、自分もダメになる」と思った職場』



〔参考情報〕

『『わけあって手帳を返した話…』』
〔2013-10-13 18:00〕





今日はKさんが休みで、Fさんが出勤してきた。

Fさんは、Kさんが昨日書いてくれた仕事内容の
メモを一つずつ見てから、その一枚を私に見せて、
お願いしてきた。

私も読んでみると、それは今はKさんが担当
している業務で、Kさんは自分が休みだから、
それをFさんにお願いする、という内容だった。

そがなぜ、私に振られることになったのかと
いうと、Kさんが入社する以前は、
私がその仕事をやっていたからだろう。

ただそれは、Kさんと一緒にYさんが入社してから、
Yさんがその業務の専門担当者になったのだから、
今はYさんがやるべき仕事だった。

だから私は

「その仕事は、今はYさんの担当なのでは?」

と話した。
すると、FさんはYさんにお願いした。

なぜYさんはいつも、自分から積極的に
やろうとしないのだろうか?

私にもサッパリ分からないが、
原因は彼が精神障害者だから、ということは、
皆分かっている。
だから、誰もYさんに厳しくは言わないことに
しているのだろう。

すると、今度は、理由はなぜだか分からないが、
FさんとYさんの2人で、S上司に相談し始めた。

その結果、その仕事はしなくていいことになった
ようである。
それでは一体、なぜ昨日、S上司はKさんに、
その件を依頼したのだろうか?
サッパリ分からないのだ。

なぜこうなったのかは、周囲の音声会話が
聞こえない私にはサッパリ分からないのが当然だ。

ただ見ていると

「何か本当に、無駄なことばっかりやっている
みたいだな。
本当にやる気があるのだろうか?」

としか、思えなかった。


その後、YさんはS上司に頼まれて、
テーブルにダンボールを広げ、
その上で封筒に広げて何かしていた。

すぐにその仕事は終わったけれども、
問題なのはテーブルの上にダンボールも、
そして残りの封筒も置きっぱなしのままで、
どこかへ行ってしまったことだ。

10分後には、Yさんは戻ってきたのだが、
テーブルの上にあるものを片付けないので

「またYさんの『記憶障害』が出始めたんだな」

と分かった。

「これって、自分に任された仕事を、
自己責任できちんとやれる人なのかな?」

と、疑問に思った。

私から見たら

「聴覚障害より、こっちの障害のほうが
困ったものだな」

と思ったものだが。

なぜなら、教えても忘れるようでは、
教えても意味がないと思うからだ。
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by bunbun6610 | 2015-02-04 23:56 | 就労後の聴覚障害者問題E
ネグレクト(英: neglect)
(詳細は『ウィキペディア』を参照)

「積極的ネグレクトと消極的ネグレクト」



母に父のことを話した。
放っておけば、母にも負担が重くなるからだった。

私は

「この前、テレビで見たよ。
お父さんはやっぱりアルツハイマー症だと思うよ。
だから、相談にも行った方がいいよ」

と伝えた。
だが母は

「わかった。
あまり言わないで」

と言う。
どういう意味だろうか。

相談には行くのだろうか。
自分できちんとした対応策を立てるのだろうか。
お父さんの難聴や認知障害には、
どのように対応していくのだろうか。
難聴障害を放置しておくと、
認知症もどんどん進むことが、
最近の医学ではわかってきている。


〔関連情報〕

『『「耳の不調」が脳までダメにする』(中川雅文/著)』
〔2014-07-29 18:30〕



私が子どもの時の難聴も、
母は無責任なことをしていては、
ずいぶんとごまかし続けてきた。
その代償が、今のみじめな姿なのだ。


病気や障害というものは、
いつかは誰にだってなるものだ。
それなのに母は、それを恥ずかしい
こととして考えている。
母は、間違っている。

だから母は誰にも相談せずに、
私の障害をずっと隠し続けてきた。
今だってそうなのだ。

やはり、一番の大罪人は母なのだ。

だが、一人で背負い込む母に、
それが言えなかった。

そして、私の次の犠牲者が父になる。

一般的には

「家族は一番の味方になってくれる」

と思うだろうが、そういう家庭ばかりではない。
近年は家族による、高齢者虐待もある。
「無関心」や「放置」という虐待も、
潜在的に多数あるだろう。
わが国は超高齢化社会に突入する。
家族が考えなくて、どうするのか。



母の罪を見る度、ノーベル平和賞受賞者
マザー・テレサの言葉を思い出す。

『「愛の反対は無関心」』
〔2012-12-13 18:30〕

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by bunbun6610 | 2015-02-04 18:30 | 難聴・中途失聴
2015年2月3日(火)


『見ているだけで、頭がおかしく
なりそうになる障害者雇用』

『差別に耐える障害者と、差別を容認する健常者』


いつものように、Yさんは外勤に出た。

私と同じ時間にスタートしたが、
私は15:00までに仕事を終えて帰社した。

ところが、Yさんは定時の17:30になっても、
まだ帰ってこない。

あまりにも遅いので

「道に迷っているのではないか」

と心配になった。

しかし、D上司は

「Yさんは帰ってくるから、心配ないよ」

という。

しかし、普通ならもう終わって帰っている
はずなのに、帰ってこないのだから、やはり

「普通ではないな」

と思った。


一方、パート事務員の障害者Kさんは
出勤していたが、健聴者のFさんはこの日、
休みだった。

それで、今日はKさんが一人で頑張る番だと
ばかり思っていた。

ところが実際は、Kさんはまだ仕事をあまり
覚えていないようで、何か気がついたことが
あれば、明日来てくれるFさんにやってもらう
ために、それをメモ用紙に書いて、
Fさんの机の上に置いておくだけだった。

仕事がないと、何もしないで座り続けている。

そしてまた、何か気がついたらメモ書きを
残しておくだけ、ということを繰り返していた。

そして、定時になるとFさんの机の上には、
そのメモ書きが10枚位溜まっていた。

それを見た私は

「えっ?! この仕事、明日までやらないの?
何でKさんがやらないんだ?
自分でできないの?

何でKさんは、こんなことばかりしていて、
何も仕事をしないのだろうか?」

と、疑問に思った。

この状況は、昨年10月に辞めさせられた
障害者Bさんと、ほとんど変わっていない。 (※1)


(※1)当ブログ

『職場内障害者授産施設 第二篇 (17)
障害者雇用の失敗事例』
〔2014-12-05 18:30〕

参照。



実を言うと、こういうことをやっているのは、
何もこの会社だけではない。
私が過去にいたQ社もそうだったのだ。(※2)


(※2)詳細は、当ブログ

『新しい仕事をやっているときに思った疑問の答えは差別』
〔2011-09-06 18:00〕


参照。



これは、障害者差別(職域差別)(※3)なのだ。


(※3)当ブログ

『職場内障害者授産施設 第二篇 (25)
障害者差別〔職域差別〕』
〔2015-01-29 21:04〕


参照。



実は、この会社では昨年から、健常者だけを対象に、
パート社員を研修を踏まえてから能力を見定めて、
順次、準社員へ職位変更する改革が始まっている。

しかし、同じパート社員でも障害者は除外されている
のである。
さらに、労働組合にも加入が認められていない。
これはやはり、障害者差別であろう。
これを会社ぐるみでやっているのである。

ここまで露骨な差別をされたら、もう黙ってはいられない。
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by bunbun6610 | 2015-02-03 21:57 | 就労後の聴覚障害者問題E
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http://www.yomiuri.co.jp/national/20150202-OYT1T50094.html


通訳が欠席
 …冨田選手、審理
 「わからなかった」

2015年02月02日 23時05分


【仁川(インチョン/韓国)=吉田敏行】
アジア大会の会場で韓国メディアのカメラを盗んだとして
窃盗罪に問われた競泳の冨田尚弥(なおや)被告(25)
の第2回公判が2日、韓国の仁川地裁であった。

公判では、法廷通訳が日程を間違えて欠席。
冨田被告の弁護人が通訳を兼務することになったが、
弁護人は次回の日程の確認以外、審理内容をほとんど
日本語で説明せず、公判を終えた。

公判後、記者団に感想を問われた冨田被告は、

「よくわからない」

と困惑した様子だった。

 4月9日の次回公判では、現場の防犯カメラ映像の
証拠調べや、捜査に当たった警察官らへの証人尋問
が行われる予定。



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自分自身の人生を左右する、こんな大事な裁判で、
通訳者がいなかった場合の被告人の気持ちって、
どんなふうだろう。

しかも、弁護人までもが、こんな有様だという。

聴覚障害者ならば、被告人の気持ちがよくわかる
気がする。


ろう者裁判では『蛇の目寿司事件』(※1)が有名だ。


(※1)
『手話に対する、健聴者の受け止め方』
〔2011-10-08 10:28〕





もし、ろう者が冨田被告の立場だったら、
もっと大変だっただろう。
一人で十分な通訳者がいるということは、
まずありえないのではないか。

まず、韓国語を日本語に訳す通訳者が通訳し、
それを日本手話に訳す手話通訳者が必要に
なると思う。

ここまで複雑な通訳システムになってくると、
両国の言語文化的な背景まで理解し、
誤解の起きないような通訳をするのは、
かなり高度な通訳作業なってくるのでは
ないだろうか。


実は近年になって、ろう者側から

「手話通訳者の通訳の質が低下している」

という声が、チラホラと囁(ささや)かれている。
日本語を手話通訳するにも、こうなのだ。

これはもう

「通訳者がいれば大丈夫」

と安心していられる状況ではないらしい。


この新聞記事によると

>「公判では、法廷通訳が日程を間違えて欠席」

という原因になっている。

しかし、これが真実かどうかも怪しくなるほど、
信じがたい出来事だ。

なぜなら、こんな大事な人権にかかわることで、
こんな単純ミスをするなんて、
日本の手話通訳でも聞いたことがない。

あちら(韓国)側の人権保障のレベルが、
このニュースで大体想像がついてしまう。

それと、以前に起きた南アフリカのデタラメ手話
通訳問題(※2)
のことも、思い出してしまった。


(※2)
『マンデラ氏追悼式典 手話通訳者“偽者”か』
〔2013-12-13 23:57〕



さらに、最近は日本人人質事件でヨルダンのテレビ
ニュースの画面に、手話通訳が堂々と出ていたので、
あれには本当に驚いた。
日本ではまだないのだから。

当事者が国連・障害者権利条約批准後の未整備点として、
日本政府に指摘しなければならない。



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http://www.excite.co.jp/News/world_g/20150430/Tbs_news_33031.html


競泳の冨田選手が
改めて潔白を主張


TBS News i
2015年4月30日 19時46分
(2015年4月30日 21時10分 更新)


競泳の冨田尚哉選手が裁判で改めて身の潔白を訴えました。
 韓国のアジア大会でカメラを盗んだ罪に問われている冨田
被告の裁判で、被告人質問が行われました。

 事件当時、窃盗を認めた理由を問われると、警察で

「罪を認めれば大事にならず刑が軽くなるが、認めないと日本
に帰れなくなると言われて不安になった」

と弁明。

「カメラは、見知らぬ男からバッグに入れられた」

などと証言しました。

 一方、検察側は罰金刑を求刑。判決は5月28日に言い渡さ
れます。

(30日18:13)



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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150528-00000085-sph-spo


【競泳】
冨田、窃盗罪で
有罪判決
「納得がいきません」


スポーツ報知 5月28日(木)14時55分配信


昨年9月の韓国・仁川アジア大会でカメラを盗んだとして
窃盗罪で略式起訴されて罰金を納付し、帰国後に無実を
訴えた競泳選手の冨田尚弥被告(26)に対して、仁川
地裁は28日、罰金100万ウォン(約11万円)の有罪
判決を言い渡した。

開廷から約20分で報道陣の前に現れた冨田は

「真実はひとつ。
悔しくて、たまらない。
レンズから指紋もないし、自分の言い分を取り上げて
もらえず、納得がいきません」

と落ち込んだ表情を見せた。

今後、1週間を期限として控訴するかを決める。



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by bunbun6610 | 2015-02-03 21:18 | 情報保障・通訳
健聴者には、「聞こえる」か「聞こえない」の
二元論でしか、聴覚障害を識別できないらしい。
難聴の症状はほとんど知らず、無知に等しい。

私はあまりにも長い間、そのことを逆利用して、
やり過ごしすぎてしまっていた。


例えば、今からもう40年ほども昔の、私がまだ
小学生の時だ。

当時の小学校では、生徒数が1クラスで48~
53人ほどもいた。
授業前の出欠確認の時は、先生の声は聞こえ
ないか、聞こえたとしても誰を呼んでいるのか
わからない場合もあった。
だから私は、自分でその場をやり過ごす方法を
考えついた。

簡単に言えば、ごまかしていたのだが、
他人を騙そうという意図はなかったつもりだった。

聴覚障害ということも知らなかった私は、
集団社会の中でどう生きていったらよいのか、
自分なりに知恵を絞ってみたつもりだった。

心理研究でも明らかにされていると思うが、
こういう状況では自分も周囲と“同調”しなければ
ならない、という心理になり、己を曲げてしまう。

耳が不自由なのは私だけであっても、その異なる
人たちばかりの社会に溶け込まざるをえなかった。
いや、それは正確には、自己を埋没させるという
ことだったのだが。


考え出した方法の一つは、自分より5番ぐらい前の
生徒を、よく見ておく事だった。
その状況をジッと観察していて、自分の順番が
近づいてくるタイミングを、私は目で計測していたのだ。
私の目は音声情報を追尾するレーダーになっていた。

5番ぐらい前までの生徒までチェックしておくのは、
理由がある。

例えば、目印となってくれる生徒がいつも自分の近く
の席だとは限らない。
遠すぎたり、後頭部しか見えなくて状況がわかりづらい
場合もある。
私は、子どもが大きな声で返事をする時の、特有の
動きを見逃さないようにしていた。
頭部がわずかに上下するとか、顎や喉が動くとか、
である。
非常に疲れたが、それによく注意していれば、
一人や二人で読み取りに失敗した時でも、
その後にまだチャンスがあった。
レーダーはある程度の余裕があったほうが安心
できたからである。

後は、先生の口や動きに注意して、タイミングを読めば、
簡単にスルーできた。
小学校から高校まで、ずっとこの方法だった。

だから、学校の担任先生すらも、私の難聴をハッキリ
とは見抜けなかったのだろう。

けれども、クラスメイトにはそんなごまかしは完全に
見抜かれていた。
授業はごまかせても、一緒に遊んでいると「おかしい」
と誰もが気づくのだろう。
それにしても今さらながら、子どもの眼力には驚かされる。


私は、決して自慢話をしたくて、この話をしたのではない。
自分の難聴を大人が誰も理解してくれなくて、
仕方なくこうするより他になかった、悲しい事として
告白しているのである。

今さら恨み言なんか言っても仕方がない。
言ってみたところで、健聴者は誰も理解できはしない。

だがそれでも、自分が進んで告白することによって、
社会の問題点をあぶり出し、これからの聴覚障害者対応
に変化をもたらすことができれば、と思う。

この行為は“祈り”に近い。
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by bunbun6610 | 2015-02-03 18:30 | 難聴の記憶

朝礼でのトラブル

朝礼で、また問題が起きた。
M係長の言うことがおかしいのでガマンがならず、
口論した。


ある日の朝礼のとき、発行されたばかりの
コンプライアンス冊子を読み上げ復習する
ことになりました。

そこで、また聴覚障害者社員への対応で、
問題が起こりました。

コンプライアンス学習の担当者はYさんで、
以前から筆談を忘れることが多い人なのですが、
今回もやはり、そうなりました。

定番の、当日の作業スケジュール連絡が終わった後、
コンプライアンス復習に入りましたが、Yさんはまたも、
声だけで進めてしまい、そのまま終わり、
全員持ち場に戻りました。

その時の状況を見ていたM係長が筆談で、
私とやりとりを始めました。

M係長;「コンプライアンスは昨日から始めています。
皆と一緒にコンプライアンス冊子を見て下さい。
他の人と違うことをしていてはいけません」

私;「それは一応わかりますが、
Yさんの話が聞こえないので、
冊子のどこを読んでいるかもわかりません」

M係長;「それじゃダメ。Yさんに聞いて」

私;「でも、Yさんにいつ、聞いたらいいのか、
タイミングがわかりません。
Yさんが筆談するなど、配慮してほしいです」

M係長;「とにかく、このときになったら、冊子を開いて、
読んでください」

私;「どこを読んだらいいかも、わからないのに、ですか?」

M係長;「そうです」

私;「自分の好きなところを読めばいいのですか?」

M係長;「いや、違いますが、読み上げをしている時は、
とにかく皆と一緒に読んでいてください」

私は

「M係長の言っていることが、どうもおかしい」

と思いましたし、ここら辺で腹が立ってきたので、
語気を強めて、さらにこう言いました。

私;「それでは、皆と一緒にやる意味がありません。
(実質的には、皆と違うのですから)
私は皆と一緒に、冊子を読んでいるフリをしていればいい、
ということですか?!」

M係長;「・・・。いや、違います」

私;「Yさんのやり方は一方的過ぎます。
私は聞こえないのに、Yさんの進め方に合わせて、
皆と一緒にできると思いますか?」

M係長;「難しいと思います」

私;「無理なんですよ。
だから、こういうときYさんは、そこのホワイトボートに、
何ページをやっているのかぐらい、
書いて私に伝えなきゃいけないと思います。
そんな簡単なことが、どうしてできないのですか?
他の人には「筆談で伝えるように」と指示しておきながら、
Yさんだけしないのでは、おかしいと思います」

そこへ、いつの間にかYさんも来ていて、
聞いていました。

M係長は、私の言うことを理解したようなので、
Yさんにこのことを即座に指示しました。

そして、Yさんは今後のスケジュールを
ホワイトボートに書いてくれたので、
今後はそれを見ればわかるように
改善されました。

聴覚障害者社員への配慮とは、
このように簡単にできることも多いのですが、
問題は健聴者の既成概念というか、
思考に壁となる原因があるので、
まずそれを取り除くことに、
聴覚障害者は非常にエネルギーを使うものです。
大体が、なかなか気づこうとしないし、
認めてはくれませんよ、こういうことは。

理解してもらうことが、とても大変なのです。
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by bunbun6610 | 2015-02-02 18:30 | 就労後の聴覚障害者問題Z1
障害のことは、妥協できるものだろうか。
合理的配慮でない親切心は、役に立つだろうか。

これを読んだ健聴者に、よく考えていただきたい。



都内某ホテル



MT&ヒルトンホテル株式会社



面接は2回目だった。

1回目の面接は、ホテルの地下1階の
場所だったが、
2回目は28階のホテル客用の応接室
だった。

ホテルのロビーで、受付の前で面接官と
会う予定だった。

自分は通訳者を用意しなかった。

「もし、ご要望でしたら、通訳者はこちらで
手配します」

と先方に伝えていたが、先方からはそうした
希望はなかったからだ。
こうした場合、確実なコミュニケーション方法は
筆談しかなかった。
それで、筆談ボードを持参した。
当然「この場合、相手は筆談する」と思っていた。


ロビーで待っていると、
受付のテーブルに何人かのホテル・コンシェルジュ
がいた。
3人ぐらいは電話応対や調べものなどをしていた。
他にも3人ほどいて、来客対応などで動き回って
いる人もいたし、待機中の人もいた。
アジア系外国人が大勢でやって来て、ゴタゴタした。
そして、その人たちが去ると、土産物の置忘れが
見つかった。

だが、少なくとも6人はいたホテル・コンシェルジュは、
誰もそれに気づいていなかった。

「待機中の人も何人かいたのに、何を見ているのだろう」

と思った。

私は

「ここに、忘れ物らしきものがありますよ。
さっきの来客が忘れていったようですが」

と伝えた。

そんなやりとりをしていた後に、ようやく面接場所を
案内してくれる人が迎えに来てくれた。

客用の応接室に案内されて、一人で待っていたら、
先に井本信一郎氏(調理部 副総料理長/宴会担当)
が来た。
しばらく話していると

「人事部長がこれから来るから」

と言う。
人事部長が誰なのか、私は知らなかった。

副総料理長は

「会ったことある?」

と聞いてきたので、私は

「ありません」

と答えた。

そして、後から来た人は、実は1回目の面接で会って
いた直井ゆかり氏(人事業務部 部長)だった。

副総料理長は

「彼はさっき『部長と会ったことがない』って、
言ってたよ」

と、笑いながら話していたようだ。

直井氏は笑って

「会いましたよねー」

と言っていた。

私も

「(本当は)前に会っています」

と答えた。

こんなおかしな会話になるのは、
私が聴覚障害者だからだ。
音声コミュニケーションが不完全だから、
こうなってしまうのだ。
それが今、この相手には残念ながら、
わかっていない。

今、こうして、この時の音声会話状況を詳しく書ける
のは、私がムーディー・ブルース(※)を使って推測し、
失われている音声会話を再現できているからだろう。


(※)
『ムーディー・ブルースと聴覚障害者の酷似点』
〔2014-12-27 18:30〕




副総料理長は、私に色々なことを聞いていた。

「耳は、全く聞こえないの?」

「今まで、どんな仕事をしてきたの?」

「パンは、どういうものが作れますか?」

「デザートは、どういうものが作れますか?」

などだった。
どれも、専門的なことに触れた質問だったので

「ひょっとすると、そういう仕事をさせてもらえる
可能性もあるのかな?」

と思ったりした。
しかし、色々と聞かれて、答えていた末は

「実際に働いてみなければわからない。
それで、とりあえず、ウチで“体験就労”を
してみないか」

と言われた。

勿論、私もそれには異論はなかった。

ただし聴覚障害者にとっての、重要なことを
確認しなければならなかった。

面接は静かな応接室で、正面を向き合って話し、
筆談も交え、得意の「オウム返しのマジック」を
使っていたから、これだけのコミュニケーション
が出来たのだ。

しかし、調理場では、もっとコミュニケーション力
が落ちてしまうことは明らかだ。
だからそのことはきちんと説明し、伝えていた。
私は補聴器を装用していれば、音は聞こえるが、
それだからといって、後ろからや横から声をかけて
くる健聴者もいるだろう。

今までの自分の経験から、大事なコミュニケーション
の場合は、筆談や手話(または、職場サイン)などの
コミュニケーション方法を使ったほうが確実です、
と提案した。

しかし、そう言うと副総料理長は

「調理場で、そんなことはできない」

と言った。

確かに、それはそうなのかもしれないが、聴覚障害者
への配慮として、大事なことだった。
それがなかったために、過去に料理の世界に
入っても辞めたことも説明した。

それでも、副総料理長は譲らなかった。

その平行線が続く中、人事部長が

「みんな、お客様のために働く人たちです。
だから、やさしくしてくれるから」

と言ってくれた。
これは幾ら親切でも、曖昧な方法でしかない。

「もう、それに騙されてはいけない」

と思っていた。

私は「お客様」ではない。
障害者であるために配慮はしてほしくても、
やさしくしてほしい、とは思っていないのだ。

「何かズレがあるのではないか」

と、この時感じた。

両者の会話は平行線のまま、
時間が過ぎていくだけだった。

結局は、二人の様子を見ていた
人事部長が割って入り

「『辞退』ということで、いいですか?」

と言った。

それは、私の本当の希望ではなかった。
しかし、先方がそうしてくれることを望み出した
ことは、明らかだった。

私も、この点だけは決して、音声コミュニケーション
のみで妥協してはならない、と思っていた。
固執していたのではなく、正しい信念だった。

方法を少し変えればいいだけのことだ。
これは、相手が間違っているのだ。

また過去と同じ苦しみの経験を、もうしたくなかった。
だから、これだけは決して妥協してはならないし、
曖昧にしたままで働いても良くない、と思った。
だから結論は「辞退します」と伝えた。


実は、面接に臨むにあたり、人事業務部の
村山玲子氏は、次のメール文を私に
送っていた。

読者もこの事実を知ったら、驚くだろう。
そして、企業側のチグハグなコミュニケーションに、
はなはだ疑問を持つことだろう。



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●●●●さま

いつもお世話になっております。
コンラッド東京・人事業務部の村山です。

早々にご返信くださりありがとうございます。
面接日のお時間についてご案内が不十分で
大変失礼いたしました。
ご指摘、ありがとうございます。

さて面接日ですが、以下の日程でいかがでしょうか。

2015年1月15日(木)16時
待ち合わせ場所:コンラッド東京1Fベルデスクロビー
        (中央に大きな赤いオブジェのあるフロアです)

いつでも筆談を始めていただけるよう、
紙とペンをご用意しておきます。
ほかにご用意しておくべきものがありましたら、
ご教示ください。

また応募いただけます職種について、ご回答いただけると
幸いです。
よろしくお願いします。

村山



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聴覚障害者への配慮というものは、
結局は個人個人が決めるものだ。
その人その人の、人格がストレートに顕れる
ものだろう。
する人はする。
しかし、しない人はしないものだ。

その自由さ、曖昧さに任せてしまっていたら、
聴覚障害者の心は、ズタズタになってしまう
場合もあるだろう。
ほとんどの聴覚障害者が、健聴者社会に出ると

「作り笑いをしている」

という。
それが

「生きるためのテクニック」

と言う。

別名「聞こえたふり」だ。
それしかないからだ。

それで聴覚障害者雇用が失敗しても、
それは聴覚障害者の自己責任にされてしまう
だけなのだ。

幾ら、障害者雇用を進める人事部が

「聴覚障害者も雇いたい」

と考えていても、現場の人がこうでは、
そこに入ってしまった聴覚障害者は苦しむことだろう。

法定雇用率を守りたいがために、雇おうとしている
人事部と、健常者と同様に働けなければイヤだと
言う現場との、板ばさみに遭い、苦しむのは
聴覚障害者だ。


面接の途中、私はこの会社の障害者雇用の
姿勢に疑問を持ち

「このホテルでは、今までに聴覚障害者を
雇ったことはありますか?」

と、聞いてみた。
すると人事部長は

「当ホテルは創業10年だが、聴覚障害者は
一人だけいる」

という。
その聴覚障害者は、何の仕事をしているのかと
尋ねたら

「裁縫の仕事」

とか答えていた。
(聞き取れなかったので、正確なことはわからないが)

その仕事なら、ありえる。
ろう学校に専攻科があり、和裁や洋裁もあるからだ。
ホテル内のクリーニング室で、そういうパートタイマー
の仕事がある可能性はある。

しかし、調理場には、今までに聴覚障害者が入った
ことは、まだないと言う。
経験がないから、彼らにはわからないのだ。

経験のある私が何度繰り返し説明し、過去の失敗談
を話しても、双方にとって確実なコミュニケーション
手段が必要だということを、わかってもらえなかった。

一人で裁縫の仕事を黙々とするのと、
皆と一緒に調理場の仕事をするのとでは、
全然違うだろう。
その違いが、このホテルの人にはわからなかった
のだろう。
それで調理場に聴覚障害者を入れてみようとして
いるのだ。

「はじめに障害者雇用率達成ありき」

の考え方の犠牲になるだけだ。
もういい加減にしてほしい。

健聴者の遊びにしても、程があるのではないか。




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「疑問に思った体験は、実は聴覚障害者の私にもあった。

パティシェの仕事をしていた時、よく「冷蔵庫」とか
「冷凍庫」という、よく似た言葉が、先輩の口から
飛び出してくる。
この2つの言葉は非常によく似ていて、感音性難聴の
私は、聞き分けることが難しかった。
それに悩んでいた私は、ある日、先輩に相談したのだ。

私;「先輩が「これは冷蔵庫に入れて」とか、
「冷凍庫に入れて」とか指示しますが、
僕はこの2つの言葉を正確に聞き分けることができません。
だから、冷蔵庫なら「あっち」(指差しで)とか、
「冷凍庫」なら「こっち」(指差しで)とか、
ジェスチャーを交えて指示してもらえると、
コミュニケーションが確実になる、と思うのですが・・・」

先輩;「何で、そんなことしなくちゃならないの?
私たちは、あなたのために、聞き取れなかったら
何度も何度も、繰り返し言うから」

これには内心、呆れてしまった。
私の障害について、先輩は正しく理解してくれなかった
からだ。」

『バリバラ団の「がんばらなくていい!」に賛否両論』
〔2014-02-15 18:30〕
 より。)




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by bunbun6610 | 2015-02-01 20:00 | 就職活動・離職