蒼穹 -そうきゅう-


ある聴覚障害者から見た世界
by bunbun6610

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『間違いだらけの生活保護バッシング』(生活保護問題対策全国会議/編者)(3/5)

『間違いだらけの生活保護バッシング』
(生活保護問題対策全国会議/編者
 2012年8月20日/初版第1刷発行
 株式会社明石書店/発行所)




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第2章 生活保護利用者の声
『生活保護を利用しながら、初めて私は自分を肯定することができました』
(千葉県 女性 30代)

・・・私の生活を支えてくれていたのは、少ない年金生活で暮らす母からの
仕送りでした。
母からのお金をもらいながら生きることは、生活保護を受給していたとき
よりも、とても辛かったし、苦しかったです。
それは、母の生活が苦しいことも知っていたし、それよりも自分が、自分
自身で立っていないような・・・本当の意味での自立ができていない・・・
と感じていたからでした。

私は、さまざまな家庭の事情から、家庭の中で自分の居場所を見つける
ことができず、母親との関係もあまりよくありませんでした。
そのような状態の中で、私は毎月ポストの中に入っている母からの仕送り
のお金を受け取りながら、本当は受け取りたくない自分と、でも受け取ら
ざるをえない自分と、いつも葛藤していました。

この頃から私は、生活保護を申請しようと考え始めましたが、なかなか申請
しようというふうに思えませんでした。

それは、一度目に受給していたときに人から言われた心無い言葉や偏見
などで、屈辱的な思いをしていたからでした。・・・」(P52)


『障害をもつ者として、扶養義務強化について思うこと』
(東京都 男性 30代)

・・・扶養義務が強化されると、家族に生活の余裕がなくなり、両親も介助
ができないため、私は外出が制限され、お金のかからない施設に強制的
に入れられてしまうことになります。

私は生活の自由がなく、自分の趣味のものまで職員に勝手に捨てられて
しまうような施設という場所で生活したくはありません。
皆さんは、施設というと生活しやすい場所だろうと思うでしょうが、実は
自由のない、生活意欲を失う場なのです。・・・」(P55)


『高齢者の受給者には求人がない。
でも、こつこつと努力は続けています』
(埼玉県 男性 60代)

私たちはいま「グランさいたま」という団体をつくって、生活保護受給者が
手に職をつけて、いずれは独立したい、というための活動を始めています。
受給者にも、陰でこつこと努力をしている人もいる。
そんな私たちに、力を貸して支援してくれている人もいる。

マスコミの人たちには、お笑いタレントの親の受給問題だけではなく、
そういうことにも光を当ててもらいたい。
私はもう68歳になるんですが、元気なうちは、生活保護をもらいながらでも、
世の中にちょっとでもお返しをできれば、と思っています。」(P57)


生活保護問題対策全国会議に寄せられた当事者の声
「人は何と言っても生きる権利がある。
人として生きる権利である。
生活保護はそれを支える最後の制度であり、権利である。生活保護を叩いて、
誰が何を得るのか?
叩いている人、それを見て喜んでいる人、我が身に置き換えて考えてほしい。
(47歳、男性)」(P58)


「・・・民法の扶養義務を盾に生活保護申請が却下されることより、3親等内
の親族に迷惑がかかると思わせ、暗に申請を辞めさせる新たな水際作戦
が心配です。
まるで3親等内の親族を人質にとったようなやり方は許すことができません。
民法の扶養義務を強制するなら、この条文が、憲法違反であるとして闘う
必要があると思います。

核家族化が進む現代社会において、一般家庭の収入で親族の扶養義務
など負えるはずがないことは、常識であるといっても過言ではありません。

・・・また、今回のような、政治家が一人の芸能人をターゲットにし、自らの
政治的目的を果たそうとする手法は、以前年金未納問題で一個人を
バッシングしたときの手法と同様であり非常に不快です。
政治目的を達成するために比較的発言力の弱い芸能人(大物芸能人でない)
を個人攻撃することは、イジメ問題と同じ匂いがします。
・・・(44歳、男性)」(P58~59)


「子どもがマスコミや街頭インタビューに答える大人達をみて、生活保護
受けてるやつは悪いんだ、だからいじめてもいいんだ、と思う。
生活保護受けてる家庭の子どもが学校でいじめの対象になっていじめられる。
大人社会でいじめてるんだから、子ども社会でもそうなり、日本はいじめを
正当化する、とんでもない恐ろしい国になった。(40代、女性)」(P59~60)


「・・・一芸能人の母親が生活保護を受給していたことを一国会議員が
さらけ出すのは、プライバシーの侵害だと思いますし、権力を行使した
暴力だと思います。
このようなことは断じて看過できません。(37歳、男性)」


「・・・人間社会がより豊かになったかどうかの指標は企業の経済力や自治体
の財政の健全さなどよりも、その社会でどんな状態になってもすべての人に
「生」が保障されているかどうかだと思います。(29歳、男性)」(P61)


「・・・個人攻撃のようなバッシング報道をすることは新たな被害を生み出します。
生活保護制度への正しい理解を深めるような報道姿勢を期待します。
(55歳、男性)」


「この一連の報道で、生保を受けている人々が皆、不正受給していると一般の方
たちに誤解を生むような報道の仕方に非常に怒りを覚えます。
まして、待ってましたとばかりに受給の切り下げにまで話が進み、驚くばかりです。
きちんと調べて対処してほしいと思います。

底辺からの脱出がどれほど苦しいか、考えてもらいたい。
これでは、生活保護の一斉粛清ではないだろうか。(44歳、男性)」(P61)


「あたかも不正受給が横行しているようなイメージ報道で、困惑しています。
先進国で最低の捕捉率をこそ、なんとかしないといけないと思います。
(57歳、男性)」(P62)


「今回の一議員による、あってはならないプライバシー侵害や生活保護法の
誤った周知は、私たち保護利用者の日々の生活意欲すら削ぐ内容であり、
また保護利用そのものに対して偏見のある風潮を助長しました。
この議員には今からでも生活保護法を学んでいただき、今一度、メディアの
前で、国民に、保護利用者に、今回の調査の手段・手法に誤りがなかったのか、
納得のいくご説明をお願いしたいです。・・・

「病気や障がいはみんな好きでなったわけではない」

母の名言です。
遺言だと思います。

不可抗力に陥った状況にあって世の無情を知る時、人は死と直面します。
保護利用を締め付け、誤った保護法の周知や見世物的な晒し行為は、
保護の利用を妨げ、犯罪や自殺を助長します。

既存の役所による不当な扱いは報道すらせず、不景気で鬱憤の溜まった
国民の意識を、国政への要望やクレームから反らすかのように、社会的
弱者を攻撃するような国のかたちを異様にすら思います。

報道のあり方も、改めていただきたい。
メディアや議員に、私たちの暮らしや生きる権利を剥奪する権限は、
ないと信じたい。(37歳、女性)」(P62~63)


「マスコミは本当にこの制度を利用している人間の気持ちを調べたことはない。
情けない世の中です。(55歳、男性)」(P63)


「「不正受給」などのニュースを観て、辛い私たちの気持ちを考えて
もらえないのはすごく残念で悲しいです。
・・・今の日本は、その気持ちの「絆」がないように見えます。
(38歳、女性)」(P64~65)


「家族に生活保護制度利用者がいるかどうかは極めてデリケートな
個人情報であり、業務上知り得た人(ケースワーカーなど)には
守秘義務があるにも関わらず、メディアや一部国会議員に情報が
漏洩していることが、まず驚き。・・・(47歳、男性)」





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by bunbun6610 | 2014-03-08 18:30 | 生活保護を考える

「矛盾」「食い違い」多数… 佐村河内氏と新垣氏の発言比較



「矛盾」「食い違い」多数
 … 佐村河内氏と新垣氏の発言比較


オリコン 3月7日(金)19時43分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140307-00000333-oric-ent


ゴーストライター騒動の渦中にある佐村河内守氏が7日、都内ホテルで
謝罪会見を行った。

佐村河内氏は、先月6日に自ら同氏の“影武者”であったことを公表した
新垣隆氏の一部証言を真っ向から否定し、

「新垣氏らを名誉毀損で訴えます」

と強気な姿勢をみせた。
食い違う二人の会見での発言をいくつか比べてみた。


■楽曲制作の過程について

――新垣氏
「私が音のモチーフを、断片のようなものを提示し、ピアノで録音して、
彼がそれを聴く。
その中から彼がいくつか選んだものを断片に私が全体を構成していました。
(譜面上ではなく、ピアノを聴かせていた?)はい」


――佐村河内氏
「私が設計図を書き、新垣さんが音を完成させていた。
(映画『秋桜』では)重要なポイントでもあるオルゴールのメロディーは、
自分のシンセサイザーで打ち込んで、何パターンか作り、それの当時の
MDを持って彼と会った。
自分では書けないので、雑学的な知識で新垣さんにアレンジ、編曲を
お願いした」


■耳はいつから聞こえていたのか

――新垣氏
「私の認識では、会ってから今まで耳が聞こえないと感じたことは一度も
ない」

「彼と普通のやりとりをしていた。
最初は私に対しても耳が悪いということを示していたが、やり取りして
いるうちにだんだん戻ってきた」

「彼が耳が聞こえないというスタンスをとった時期は、35歳頃だったと思う」


――佐村河内氏
「新垣さんに最初は筆談をお願いしていた。
口話でゆっくりしゃべってもらって、わからないところはもう一回お願いします
と何百回も言ってきた」

「音はかすかに聞こえる。
私の障害は、音がゆがんで聞こえるという障害。
耳元で60デシベル以上(の声)で言われても、言葉が混ざったり、
ねじれて聞こえる状態で言葉としては聞き取れません。
(会見で)手話通訳がついているのは、天地神明に誓って、
今も大切で必要な存在です」


■佐村河内氏のピアノ技術

――新垣氏
「彼は非常に初歩的なピアノの技術のみ」


――佐村河内氏
「以前からプロとして音楽をきちんとやっていた。
何年前か覚えてませんが、NHKのハイビジョンができた当初。
『山河憧憬』という番組で音楽を担当してました」


■ゴーストライターの報酬

――新垣氏
「18年間で20曲以上を提供しました。
金額はちゃんと調べていないですが、700万円前後」

「金銭トラブルもなかった」


――佐村河内氏
「ケース・バイ・ケースですが、例えば通常、楽曲の長さとか編成の
大きさにかかわらず、料金は30万から100万円。
一度、新垣さんに『やめよう』と言われたときは、80万とか100万
とかで次の交響曲をお願いしたのですが、彼が値段を釣り上げ、
納得した金額は300万円でした。
6年間で2曲、3年間で1曲、1曲300万円で彼がオーケーした」


新垣氏が明かした報酬額と矛盾が生じると記者から追求されると

「詳しく覚えていない。
新垣氏からの領収書は全部保存してあるので、後で調べることができる。
700万円が正しいのかはわかりません」


■障害者であることを利用していないか

――新垣氏
(佐村河内氏から障害者のほうが「CDが売れる」という発言などはあったか
を聞かれ)「これからはそういう形でいくという話を聞いたことはあった」


――佐村河内氏
「自分のブランド作りのために利用したというように報じられているが、
真実ではない」


■著作権について

――新垣氏
「著作権は放棄したい。
話し合いは一切していない。
JASRACとの話し合いも、私は一切関わっていない」


――佐村河内氏
(権利を主張するか聞かれ)
「とても難しい」
「新垣さんが何を思われているかわからない状態」
「今後はどの曲がどう著作権としてわかれていくのかわからない」


■新垣氏が「何度もやめようと提案してきた」ことについて

佐村河内氏は、新垣氏が「何度もやめようと提案してきた」という週刊誌の
コメントに対し、

「(実際は)ただの一度だけで、何度もは嘘」

として訴える理由の一つに挙げていたが、新垣氏の会見では

「やめたいと直接言ったのは去年のこと。
それまで彼にはっきりと自分の意志を伝えたことはなかった。
彼から依頼を受ければ、それを受けるということをごく当然に続けていた」

といい、何度もという発言はしていない。




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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140318-00000016-sph-ent

佐村河内氏、著作権主張へ
 代理人がJASRACに接触



スポーツ報知 3月18日(火)7時2分配信


 別人に作曲させていたことや、全ろうを偽っていたことが
発覚した佐村河内守さん(50)が、代理人を通じて日本音楽
著作権協会(JASRAC)に接触していることが17日、分かった。

代理人は印税に関する話し合いをする意向を明かしており、
佐村河内さんの著作権を主張するとみられる。

問題発覚後、印税の支払いは凍結されているが、その解除や
これまでに受け取ったとみられる数千万円の行方が注目される。

 “疑惑のベートーベン”が生み出した収入はどこへ行くのか。
佐村河内さんサイドが、JASRACに接触していることが判明した。

 2月に最初の代理人が辞任してから、今月12日に弁護士の
山縣敦彦氏、秋山亘氏が新たに代理人に就任したことが判明。

この日までに

「(印税に関する問題を含めて)話し合いをしていく」

と明かした。
JASRACもこの日、佐村河内さんサイドからの接触を認めた。

 JASRACによると、佐村河内さんが作曲者として登録されて
いる楽曲は103曲。
CDの売り上げやコンサートでの使用など、印税の支払いは
年4回で、次の振り込み予定日は今月末という。
だが、関係者は

「問題の発覚により佐村河内さんの印税は凍結された状態」

と明かした。

 また、佐村河内さんの“最大のヒット作”は、約18万枚を売り
上げたアルバム「交響曲第1番 HIROSHIMA」。
大手レコード会社関係者によると、

「一般的に作曲者の印税は6%入る」

ため、税込み2940円の同CDの印税収入、約3000万円が
既に支払われたとみられる。

 だが、ゴーストライターの新垣隆さん(43)が代作を告白した
ため、事態は急変。
JASRACでは

「現在、凍結されている印税や、これまで支払われた印税が
どうなるのか全く分からない」

という。
作曲者が違うということになれば印税の返還の可能性もあり

「103曲のうち、どれを作って、どれを作っていないのか代理人
と話し合います」

とした。

 新垣さんは既に著作権を放棄する意思を示しているが、佐村
河内さんは今月7日の会見で、曲について

「新垣さんは自分の物のように言っているが、私の設計図に
基づいている」

と自身の功績について言及。
著作権を主張するとみられる。

今後もゴーストライター問題は、まだまだ尾を引きそうだ。



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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140503-00000305-sph-ent


佐村河内氏「共作という形にしてほしい」!
新垣さんに著作権アピール


スポーツ報知 5月4日(日)7時2分配信


別人に作曲させていたことや全ろうを偽っていたことが
発覚した佐村河内守さん(50)が、ゴーストライター
だった作曲家の新垣隆さん(43)に対し「共作」という
形で著作権があると新垣さんにアピールしていることが
3日、分かった。

 この日、埼玉・川越市の映画館で無声映画の演奏を
行った新垣さんは、本紙の取材に

「佐村河内さんサイドが『曲は2人で共作した』と
いう形にしてほしいと言ってきている」

と明かした。

 新垣さんは今年2月の会見などで

「自分の著作権は放棄する」

と話しているが、

「かといって、佐村河内さんに著作権があるという
のもおかしい」

と葛藤していることも告白。
態度については代理人と相談しており、著作権に
ついては佐村河内さん側とも協議しているという。

 佐村河内さんが作ったとして「JASRAC」
(日本音楽著作権協会)に登録されている曲は、
約18万枚を売り上げた

「交響曲第1番 HIROSHIMA」

を筆頭に103曲。
既に印税として数千万円が佐村河内さんに渡って
いるとみられる。

 佐村河内さんは3月の会見で曲について

「新垣さんは自分のように言っているが、私の
設計図に基づいている」

と話しており、JASRAC側とも接触を持っている。



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by bunbun6610 | 2014-03-08 00:06 | 難聴・中途失聴

<佐村河内氏>聴覚診断 最も軽い6級に該当せず手帳返納


http://www.excite.co.jp/News/society_g/20140307/Mainichi_20140307k0000e040178000c.html


<佐村河内氏>聴覚診断
 最も軽い6級に該当せず手帳返納


毎日新聞社 2014年3月7日 12時01分 (2014年3月7日 13時12分 更新)


 ◇医師の診断結果は「感音性難聴」

 別人による作曲が問題となっている佐村河内守
(さむらごうち・まもる)さん(50)が7日、東京都内
で記者会見を開き、聴力について、「聴覚障害に
該当しない」とする医療機関の診断結果を示し、
交付した横浜市に身体障害者手帳を返納したこと
を明らかにした。

 「右耳が約49デシベル、左耳が約51デシベル
以上でないと聞こえない」。

佐村河内さんは、記者会見で医師の診断結果を
明らかにした。

 難聴に詳しい昭和大医学部の比野平(ひのひら)
恭之・准教授によると、通常30デシベル以上で
ないと聞こえないのが軽度の難聴。

佐村河内さんの場合は中度の難聴とは言えるが

「向かい合って大声で話せば聞こえる。
補聴器をつければ日常生活に支障はない。
全ろうとは大きく違う」

と指摘。
そのうえで、約3年前までに聴力が改善してきたと
主張している点について

「全ろうからそこまで回復するというのは医学的に
非常に考えにくい」

と疑問を呈した。

 佐村河内さんに聴覚障害2級の手帳を交付して
いた横浜市によると、障害の程度を2〜6級と
認定した場合に手帳を交付する。

最も重い2級は、両耳がいずれも100デシベル
でも音を聞き取れない。

6級は、

両耳とも70デシベル以上でないと聞こえ
ない(40センチ以上離れた場所の会話が理解でき
ない)か、

片耳が90デシベル以上、かつもう一方が50デシ
ベル以上でないと聞こえない

−−と規定しており、佐村河内さんは6級にも該当
しない。

 診断結果によると、佐村河内さんは鼓膜の奥に
ある内耳や聴神経などの障害による「感音性難聴」。
薬や騒音、頭部外傷や糖尿病などの病気が原因と
されるが、原因不明の場合も多い。

【牧野宏美】




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〔参考情報〕

『耳が聞こえるのに「聴覚障害者手帳」を持っていたら・・・
なにかの「犯罪」になるの?』
〔2014年02月20日 13時15分 弁護士ドットコムニュース〕





みみ屋の診察室から。
『◆ 佐村河内氏の聴覚に就いての推論と問題点。』
〔2014-03-10 16:53〕

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by bunbun6610 | 2014-03-07 23:52 | 難聴・中途失聴

『間違いだらけの生活保護バッシング』(生活保護問題対策全国会議/編者)(2/5)

『間違いだらけの生活保護バッシング』
(生活保護問題対策全国会議/編者
 2012年8月20日/初版第1刷発行
 株式会社明石書店/発行所)




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第1章 Q&A:生活保護の誤解と利用者の実像

『Q1;そもそも生活保護って、どんな制度なの?

A1;自力で生活できない人々を、国家として助ける制度
(公的扶助制度)が世界各国にあります。
日本では生活保護法がその代表で、憲法第25条の
「生存権保障」に基づくものです。』


・・・生活保護はぜいたくだ、生活保護世帯の方が恵まれ
ている、もっと厳しくすべきだという意見や批判があります。
しかし、生活保護制度や生活保護費(最低生活費)は、
日本という国の根幹や形態を定めており、

「生活保護受給を余儀なくされる貧困層を救う制度」

という以上の意味があるということは、あまり知られて
いません。

生活保護という制度や生活保護費に何らかの変更を
加えることは、さまざまな部分に影響を及ぼします。
なぜなら、生活保護基準は、暮らしに役立つ制度が
利用できるかどうかの基準(適用基準)の物差しとして
使われているからです。

例えば、就学援助の通用基準や公営住宅家賃が安く
なる減免基準を、生活保護基準の何倍の収入や所得
というようにしている自治体が少なくありません。

また、就学援助の学用品費などの支給金額は、生活
保護の教育扶助額と連動しています。

また、課税基準にも影響し、最低生活費が減額されれば、
地方税非課税の上限が引き下がります。
すると、これまで地方税を課税されていなかった世帯にも
課税が行われ、生活が圧迫されることになります。

さらに、最低賃金とも密接な関係があり、最低生活費が
引き下げられれば、最低賃金も連動して引き下げられます。
最低賃金もまた、憲法第25条が定める

「健康で文化的な最低限の生活」

を保障するという目的に応じて定められているからです。
最低賃金が引き下げられることにより、労働のコストは
全般的に現在より低く見積もられ、あらゆる層で収入が
低減することにもなります。

このように、生活保護基準が引き下げられると、
各種制度を利用できる対象者の枠を狭くし、課税世帯を
増やし、賃金を引き下げることになり、国民生活全体の
水準を引き下げることにもつながります。

その結果として、消費は抑制され、新たな不況の糸口
ともなりかねません。
つまり、生活保護基準を下げろという意見は、自分で
自分の首を絞めているに等しいのです。

逆に、生活保護基準を引き上げると、生活保護を受けて
いない人も各種制度を利用できるようになったり、
非課税になったり、最低賃金が上昇したりと、生活の
向上になります。

暮らし全体を良くしていくためには、生活保護基準の
引き上げと制度改善が必要です。」(P10~12)


〔関連する記述〕

「・・・生活保護費は、低所得の方の生活費ですから、
預貯金されることなく、消費に回る割合の高い経費と
言えます。
この意味では、大阪市の経済を下支えしていると
いってもいい費用なのです。

大きな目でみれば、大阪市内の不動産業者や病院や
薬局や食料品店などは、国から2187億円余りの
補助金をもらっているとも言えそうです。

生活保護をバッシングするということは、大阪市民から
すると、150億円の負担金を忌避して、国庫負担金
2187億円と地方交付税580億円の「補助金」
を棒に振ることだという見方もできます。」(P37)


生活保護を不必要に引き締めるなら、生活保護利用者
の近所にある、個人経営の小さなお店や、個人事業者
も店を閉めざるをえなくなる可能性もある。

『デフレなんだから、生活保護費を下げても問題ないん
じゃない?』
(P44~45)



「『Q2;親・きょうだい(扶養義務者)がいれば生活保護
は受けられないの?

A2;そんなことはありません。扶養は生活保護の前提条件
ではありません。』


扶養は保護の前提条件ではない
扶養義務と生活保護の適用関係について、生活保護法
4条2項は、

「民法に定める扶養義務者の扶養は保護に優先して行われる
ものとする」

と定め、あえて「要件として」ということばを使っていません。〔注1〕

「扶養が保護に優先する」というのは、保護受給者に対して
実際に仕送り等の扶養が行われた場合は「収入認定」をして、
その援助の金額の分だけ保護費を減額するという意味です。

扶養義務者による扶養は保護の前提条件とはされていない
のです。
親・きょうだいがいても、現実に十分な仕送り等がされておらず、
最低生活費以下の収入しかないのであれば、生活保護を
受けることはできます。

この点は、厚生労働省も、自公政権時代の2008年に

「扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い、その結果、
保護の申請を諦めさせるようなことがあれば、これも申請権
の侵害にあたるおそれがあるので留意されたい」

との通知を出しています。〔注2〕」(P12)

〔注1〕生活保護の要件について定めた生活保護法4条1項
の規定は、

「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力
その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために
活用することを要件として行われる」

と定めている。

〔注2〕昭和38年4月1日社保第34号厚生省社会局保護
課長通知
「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」
第9の2(『生活保護手帳2011年版288頁』)。


『Q3;人気お笑い芸人の母親が生活保護を受けていた
ことが話題になったけど、高額所得の息子がいるのに親が
生活保護を受けるのはおかしくない?

A3;両親が別居しているのであれば、おかしいとは言い切れ
ません。』」(
P15)


『Q4;諸外国では扶養義務と生活保護の関係は
どうなっているの?

A4;ほとんど問題にさえなりません。
日本の扶養義務の範囲は先進国の中でも広すぎます。』
」(P17)


『Q5;扶養義務者に扶養できないことの証明義務を
課す法改正をするっていう話が出ているけど、改正したら
どうなるの?

A5;結果として、当事者には不可能を強い、実質的には
扶養を要件化し、水際作戦を助長することになるでしょう。』


扶養義務を果たさない人は許せない、そういう「不正」は
許せない、ということでしょうね。
でも、残念ながら、実態を理解していない暴論ではないで
しょうか。

もともと、扶養というのは家族間において微妙な問題です。
福祉事務所を訪れた生活相談者の中には、親族への扶養
照会を実施する旨の説明を受けたとたん、親族に合わせる
顔がない、あるいは、これ以上迷惑をかけたくないと保護申請
を諦める方も少なくありません。

また、扶養照会が親族に届いたことで親族間がぎくしゃくした、
というのは日常茶飯事です。
・・・(中略)・・・
そもそも、「扶養できないことの証明」は簡単ではありません。
・・・(中略)・・・この証明は誰にもできないでしょう。
・・・(中略)・・・そんな証明など不可能でしょう。
・・・(中略)・・・これでは親族関係をこじれさせるだけです。

また、それを受理する福祉事務所側では、その額が妥当かどうか、
扶養義務を果たしているかどうか、行政の立場で責任をもって
判断することを求められます。
この判断はきわめて困難です。

結果として、当事者には不可能を強い、実質的には扶養を要件化し、
水際作戦を助長することになるでしょう。
親族に面倒をみてもらえないことの一筆をもらってこい、
と追い返されて餓死をした、25年前の札幌・白石区餓死事件を
はじめとしたさまざまな事件の教訓を忘れてはなりません。」
(P20~22)


関連する記述
第2章 生活保護利用者の声

『生活保護を利用しながら、初めて私は自分を肯定することが
できました』(千葉県 女性 30代)

(P51~54)

『障害をもつ者として、扶養義務強化について思うこと』
(東京都 男性 30代)』
(P54~56)


『Q6;生活保護の人はけっこう贅沢して楽しんでいる
んじゃないの?

A6;マスコミの報道では、「こんなにもらっている」
「あれもこれもダメ」という表現がよく使われていますが、
生活保護利用者は現実にはギリギリの生活を強いられて
います。』
」(P22)


『Q7;保護費をギャンブルや酒に使っている人って
一体何なの?

A7;支給された生活保護費を何に、どれだけ使うかは、
原則として受給者の自由です。
当然、健康で文化的な最低限度の範囲内で娯楽を享受
することは可能です。』
」(P24)


『Q8;生活保護受給者がどんどん増えて過去最高に
なったってホント?

A8;旧生活保護法下に比べると受給者数は減っており、
また、現行生活保護法下でも利用率で比較した場合、
1951年度の3分の2に過ぎません。』
」(P27)


『Q9;生活保護の基準が甘くなって、保護を受ける
人が増えているの?

A9;そんなことはありません。基準が変わったのではなく、
生活保護の窓口がまともに基準を守るようになったのです。』
」(P29)


『Q10;働けるのに働かないで保護費を受け取って
いる人が増えているんでしょ?

A10;そんなことはありません。
働いている受給者、「働きたくても働けない」受給者が多い
のが実情です。


生活保護には、5つの世帯区分があります(表1)。
そして、「高齢者世帯」「母子世帯」「障害者世帯」「傷病者世帯」
以外の、いわゆる「その他の世帯」の利用者が増えていることを
指して、最近そのような指摘がよくなされます。

しかし、「その他の世帯」=「働けるのに働かない人」では
ありません。
そもそも、「その他の世帯」の約3分の1の世帯は働いています。
つまり「働いているが最低生活費以下の給料しか出ない」ために
生活保護を利用しているのです。

また、「その他の世帯」の世帯員の約半数は、60代以上と10代以下。
そもそも「働ける人」とはいえません。

さらに、「障害者世帯」「傷病者世帯」は「世帯主が働けないほどの
障害や傷病を持っている世帯」等なので、「その他の世帯」には、
中軽度の障害・傷病等を抱えている人も多く含まれています。
低学歴・無資格の人、人間関係が苦手な人なども含め、就職に
関してさまざまな不利を抱えて「就職弱者」としての立場に立たされて
いる人たちは、雇用情勢の悪化のあおりを受けて、「働きたくても
働けない」状態に追い込まれていることを忘れてはなりません。

本来であれば、寄り添い支援や中間就労の場が公的に十分に
保障され、支援がなされるべきですが、その様な施策が手薄で
あり、十分なケアができていません。

結局他に頼れる制度がなく、最後のセーフティネットである
生活保護を利用しているのが実情なのです。」(P31~33)


『Q11;生活保護を受けるのが「恥」だという意識が
薄れてきて、平然と保護を受ける人が増えるのは困りもの
では?

A11;日本の生活保護は、むしろ「恥の烙印(スティグマ)」
が強すぎて、「できる限り使いたくない制度」になってしまって
いることが問題です。』


・・・不正受給を強調したり、生活保護を使うこと自体を問題視
するような最近の一部マスコミの報道は、生活保護に対する
スティグマを強め、より一層使いにくい制度にする点で問題が
大きいと言わざるを得ません。
生活保護の利用のハードルが上がれば、ますます餓死、
孤立死、自殺などの悲劇が増えてしまうことにつながります。

なお、日本の「生活保護」という制度の名前には恩恵的な響きが
ありますが、諸外国の生活保護に相当する制度には「失業手当Ⅱ(ドイツ)」、
「積極的連帯所得手当(フランス)」、「生計扶助(スウェーデン)」、
「国民基礎生活保障法(韓国)」など、より積極的な名称が付され
ています。
日弁連は「生活保障法」に名称を変更することを提言していますが、
名称変更も含めて、より使いやすい制度に改めていくことこそが
求められています。」(P33~35)


『Q12;日本の生活保護費は国や地方の財政を圧迫して
いるんでしょ?

A12;日本の生活保護費(社会扶助費)のGDPにおける割合は
0.5%で、OECD加盟国平均の1/7。
諸外国と比べて、極端に低いのです。』
」(P35)


『Q13;悪質な不正受給が増えているんでしょ?

A13;不正受給の割合をみると、件数ベースで全体の2%程度、
金額ベースで全体の0.4%程度で推移。
不正受給はごく僅かの例外であり、生活保護全体に占める割合
にも大きな変化はありません。』
」(P38)


『Q14;不正受給を取り締まるため、福祉事務所にどんどん
警察官OBを配置したらいいんじゃない?

A14;社会福祉主事の資格を有しない元警察官職員を生活保護の
現場業務に従事させることは生活保護法第21条、社会福祉法
第15条に違反し、違法です。』


・・・現に、大阪の豊中市福祉事務所では、平成21年10月、警察官
OBの職員が、生活保護の支給が遅れていることについて抗議を
した被保護者に対し、「虫けら」「ヤカラ(理不尽な要求をするチンピラ
などタチの悪い人物を意味する関西弁)」等の暴言を吐くという事件
が起き、大阪弁護士会は、二度と同様の人格権侵害が生じないよう
にすることと、社会福祉主事でない警察官OBが現業を行わないこと
を求める人権救済の勧告を行いました。
・・・」(P39~41)


『Q15;年金や最低賃金の額よりも生活保護費の方が高い
っておかしくない?

A15;最低賃金額を上げて、生活保護費との逆転現象を解消
すべきことが国会でも確認され、最低賃金額は少しずつ上げられて
きています。
生活保護費が下がれば、賃金が一層下がり、年金引き下げが
いっそう容易になるだけです。』
」(P42)


『Q16;デフレなんだから生活保護費を下げても問題
ないんじゃない?

A16;生活保護基準額はナショナルミニマム(国民的最低限)
であり、基準額の引き下げは、国民全体の貧困化をもたらす
可能性があります。』
」(P44)


『Q17;無駄な診療をなくすため、生活保護受給者にも
医療費を窓口で一部自己負担させるべきでは?

A17;生活保護受給世帯の約8割は入院・通院治療が必要な
世帯であり、一部自己負担が実施されれば受診抑制で病状が
悪化し、医療費がさらに増大しかねません。』
」(P45)


『Q18;無駄をなくすため生活保護の住宅や食料などは
現物で支給するようにしたら?

A18;生活保護費によってどのような生活を営むかは利用世帯
に任されるべきであり、趣旨目的が明確でない現物支給は避ける
べきです。』


・・・仮に、特定の事業者の店舗で使える食料や被服費の
クーポン券を検討しているのだとすれば、生活保護利用者
の自己決定権(憲法13条)を侵害する一方、企業の新たな
利権を生む可能性があります。

のみならず、このような制度を導入すれば、生活保護利用者のうち、
多くを占める乳幼児や高齢者、さらには難病やアレルギー・化学物質
過敏症などの疾患や障がいのため、食糧に特別のニーズを持つ
人たちが必要な食糧を入手できず、生きていけなくなることが
予想されます。

生活扶助を全額クーポン券にすべきだという暴論まであります。
しかし、たとえば親しい友人の不幸に対する香典や、親族の
結婚祝い、このようにどうしても現金が必要な場合には、
どうしたらよいのでしょうか。
・・・「官製貧困ビジネス」であり、憲法違反にもなるでしょう。」(P48~50)



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by bunbun6610 | 2014-03-07 18:30 | 生活保護を考える

『間違いだらけの生活保護バッシング』(生活保護問題対策全国会議/編者)(1/5)

『間違いだらけの生活保護バッシング』
(生活保護問題対策全国会議/編者
 2012年8月20日/初版第1刷発行
 株式会社明石書店/発行所)




この本には『バッシングを利用する「政治」』という題の記述がある。
間違いなく、自民党の「生活保護に関するプロジェクトチーム」
の政策に対する反論である。

この本では政治家ではなく、専門家が集まって述べている。
データや、実際の受給者の状況、声、そして問題点など、
さまざまな検証データ等を出して、客観的に論じている、と思う。

マスコミの異常な偏向報道の姿勢にも目が向けられていて、
読む者に再考を促すものとなる。



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『「正直者はバカを見る」のか?』
人気お笑いタレントの母親が生活保護を受給していることを
女性週刊誌が報じたことを契機に、生活保護に対する異常
ともいえるバッシングが沸き起こりました。

週刊誌には

「不正受給が横行している」

「働くより生活保護をもらった方が楽で得」

「不良外国人が日本の制度を壊す」

といった見出しが躍り、テレビでも不正受給ばかりが取り上げられ、
自分の知っている生活保護利用者の行状についての「通報」を
視聴者から募る番組まで現れました。

一連の報道の第一の特徴は、そもそも民法上の扶養義務とは
どのようなものなのか、また、なぜ扶養義務が生活保護制度上
保護の要件とされていないのかという点についての正確な理解を
欠いたまま、息子としての道義的問題を不正受給の問題に
すりかえて、「不正受給」が行われているかのような感情的な
追及がなされた点にあります。

また第二の特徴は、極めてレアケースではあるものの世間の
注目を集めた人気お笑い芸人の件を契機として、あたかも生活
保護利用者全般や生活保護制度そのものに問題があるかのよう
なバッシングがなされた点にあります。

「今の生活保護制度は『正直者がバカを見る』仕組みになって
しまっている」

という論調です。

「正直者がバカを見る」という言葉にはいくつかの意味あいが
含まれているようです。
そのひとつは、

「本来生活保護を受けるべきでない悪賢い人がずるく立ち回って
生活保護を受けている」

というものです。
この中には、

「いわゆる不正受給者が増えている」

というニュアンスから、

「日本人の美徳である恥の意識が薄れて気軽に生活保護を受ける
人が増えている」

というニュアンスまで含まれています。

しかし、実は「不正受給」は、金額ベースで受給者全体の0.4%弱
という数字で推移しているのに対して、生活保護の捕捉率
(利用資格のある人のうち現に利用している人の割合)は2~3割
にとどまっています。

客観的なデータを見ると、むしろ、日本では必要な人に保護が行き
わたっていないこと(漏給)の方が大きな問題なのですが、そのことは
ほとんど知られていません。

生活保護利用者が増えたといっても日本での利用率は人口の
1.6%に過ぎず、先進国(ドイツ9.7%、イギリス9.3%、フランス
5.7%)に比べると異常と言ってもよい低さです。

これは、日本では生活保護を使うことが「恥」であるという意識が強く、
「できる限り使いたくない制度」になってしまっていることによります。
2012年に入ってから全国で餓死や孤立死が相次いでいますが、
餓死するほど困窮しても生活保護を使おうと思えないことのほうが
大きな問題ではないでしょうか。

また、「正直者がバカを見る」という言葉の中には、

「まじめに働いているほうが生活保護を受けているよりも苦しい生活
を強いられている」

とか、

「まじめに年金保険料を支払ってきたのに年金よりも生活保護の
ほうが高い」

といった意味合いも含まれていると思われます。

しかし、おかしいのは、まじめに働いたり、保険料を納めても
生活保護費以下の賃金や年金しか得られない労働法制や年金の
あり方のほうではないでしょうか。
雇用の崩壊と高齢化の進展が深刻であるのに雇用保険や年金等の
社会保障制度が極めて脆弱であるという社会の構造からして、
生活保護利用者が増えるのは当然です。

なのに、こうした社会の構造には目を向けずに、生活保護制度や
それを利用している人にだけ焦点を当ててバッシングするのでは、
問題の解決につながりません。」(P3~5)


『バッシングを利用する「政治」』
ところで、今回のタレントバッシングの中心となった世耕弘成議員と
片山さつき議員は、自民党の「生活保護に関するプロジェクトチーム」
の座長とメンバーです。

自民党が2012年4月に発表した生活保護制度に関する政策には、

①生活保護給付水準の10%引き下げ、
②自治体による医療機関の指定、ジェネリック薬の使用義務の
法制化などによる医療費の抑制、
③食費や被服費などの生活扶助、住宅扶助、教育扶助等の
現物支給化、
④稼動層を対象とした生活保護期間「有期制」の導入

などが並び、財政抑制のみが先行した施策となっています。
世耕議員らは、自民党の政策を実現するためにタレントバッシングを
意識的に煽り、利用したことが明らかです。

しかし、より問題なのは、自民党の生活保護に関する政策について、
現政権の野田首相も、「4か3・5くらいは同じ」と述べたり、小宮山
厚生労働大臣も

「自民党の提起も踏まえて、(生活保護基準を)どう引き下げていく
のか議論したい」

と述べたりし始めたことです。
小宮山大臣は、

「親族側に扶養が困難な理由を証明する義務」

を課すと、事実上扶養を生活保護利用の要件とする法改正を検討
する考えまで示す始末です。

しかし、今回のタレントの例外的な事例を契機に、制度の根幹に
関わる法改正を行うということ自体が乱暴極まりない話です。

さらに大変なことに、民主・自民・公明の3党は、2012年6月15日
には、社会保障・税改革関連法案とともに「社会保障制度改革推進法案」
なるものを今国会で成立させることに合意しました。

同法案は、「自助」(自己責任)を強調し、「給付の重点化、制度運営の
効率化」によって「負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現する」
としていて、「社会保障費抑制推進法案」と言うべき内容です。

政治は、明らかに社会保障費全体を抑制する方向へ動いています。
「生活保護」は、当事者団体がほとんどなく、もっとも批判の声が出にくい
ことから、いわばそのスケープゴート(いけにえ)として矢面に立たされて
いるのです。

かつて、小泉政権下においては、毎年2200億円社会保障費を削減する
などの徹底した給付抑制策が推進され、その行きつく先が、「保護行政の
優等生」「厚生労働省の直轄地」と言われた北九州市における3年連続の
餓死事件の発生でした。
こうした施策が日本の貧困を拡大させたとして強い批判を招き、政権交代
に結びついたのに、今、同じ過ちが繰り返されようとしています。」(P5~6)


『まな板に載せられているのは私たち皆の生活』
今回の一連の報道やバッシングは、厳しい雇用情勢の中での就労努力や
病気の治療など、個々が抱えた課題に真摯に向き合っている人、あるいは、
苦しい中で、さまざまな事情から家族の援助を受けられず、「孤立」を余儀
なくされている高齢の利用者など、多くの生活保護利用者の心と名誉を
深く傷つけました。

私たちが、緊急に実施した「生活保護緊急相談ダイヤル」には全国から
悲鳴のような生活保護利用当事者の相談が殺到しました(第4章参照)。

2012年に入ってから全国で「餓死」「凍死」「孤立死」が相次いでいます。

今、本当に必要なことは、雇用や社会保険、子育て支援など生活保護
制度の手前にあるセーフティネットを充実させ、生活保護への過度の
負担を取り除くことです。なのに、雇用や他の社会保障制度の現状を
放置したままで生活保護のみを切り縮めれば、餓死者・自殺者が続発し、
犯罪も増え社会不安を招くことが目に見えています。

今回のバッシングで直接たたかれているのは生活保護制度であり、
その利用者です。
しかし、実は、まな板に載せられているのは、雇用や社会保障のあり方
そのものなのです。
目下の状況をすべて生活保護制度のせいに解決しようとすることは、
雇用や社会保障制度の不備には目をつぶるという選択をするということ
です。
生活保護バッシングに奔走するマスコミや人々は、実は自分たちやその
家族の未来の生活保障をバッシングする片棒を担がされてしまっている
のです。

私たちは、今回の一連のバッシングに心を痛め暗澹たる思いを持ちながらも、
何かできることをしなければとの思いから、繰り返し声明や意見書を出し、
記者会見をするなどしました(詳細は生活保護問題対策全国会議のブログ
をご覧ください)。

その後、心ある記者の方々からの取材が殺到し、マスコミの報道の仕方も
かなり変わり、冷静な報道が増えたと思います。
この経験から、より多くの市民の方々に、客観的なデータや正確な知識を
知っていただくことが何よりも大切なことであると考え、本書を緊急出版する
ことにした次第です。

本書が、一人でも多くの方に読まれ、生活保護制度や社会保障制度全体
のあり方が冷静に議論される一助となれば幸いです。

2012年7月 生活保護問題対策全国会議」(P6~7)




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by bunbun6610 | 2014-03-06 18:30 | 生活保護を考える

『正直者にやる気をなくさせる?! 福祉依存のインモラル』(片山さつき/著)(4/4)

副題;『自民党・片山さつき議員の生活保護バッシング』


『正直者にやる気をなくさせる?! 福祉依存のインモラル 個人の勤労意欲、家族の絆を喪失させる生活保護制度を抜本改正する!』オークラNEXT新書(片山さつき(自民党参議院議員)/著 2012年12月27日/発行 株式会社オークラ出版/発行所)


片山さつき参議院議員(自民党)



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『第7章 憲法を改正し日本人の国民精神を取り戻す』
「内閣府が行った「若者無業者に関する調査」によると、2002年の
時点でニートは全国に85万人いたというデータも出ています。
内閣府の「青少年の社会的自立に関する意識調査」(2004年度)
では、「無職」と回答した4.0%のうち、求職活動をせず「特に何も
していない」と答えたニートに該当する若者が18.5%を占めました。

また現在無職で、あるいは働いた経験はあるものの仕事をしていない
若者たちが、離職の理由として一番多く挙げたのが「仕事が合わない」
「つまらない」というものでした。
その数は全体の26.0%。

同じ仕事を継続した期間の平均は2年3カ月程度しかなく、4人にひとり
は就職してから2年未満で仕事を辞めたことになるのです。

一方で、2000年に起きた新潟の少女監禁事件などをきっかけに
「ひきこもり」という現象も顕在化しました。
いい歳をした若者が長期間にわたって自室に引き込もり、社会との
接触を避けているのです。彼らも働こうとせず、学校にも行きません。
その数は全国で数十万人ともいわれています。

こうした若者たちは、大人として、社会の一員として、その義務や
責任を果たしているといえるでしょうか。」(P174~175)


「富山県は全国で生活保護の保護率がもっとも低いことで知られて
います。
大阪府大阪市は受給者が一番多い自治体で、その保護率は54.9%
に達しますが、それに対して富山県富山市の保護率はわずか3.8%
にすぎません。

富山県の保護率が低い理由は、、まず就業機会が多く、たくさんの人が
働いていることにより地域が豊かであるためといわれます。
富山県では女性が働いている率が高く、大学進学率も全国で1位です。
なぜ多くの女性が働き、子どもの進学率が高いのでしょうか。

それは富山県は各世帯の規模が大きく、家族がしっかりと支え合って
いるからです。
全国の一般世帯の平均規模は2.4人ですが、富山県では2.93人。
これは山形県、福井県に次いで全国で3番目に大きい数字です。
また、全国と比較しても、5人~7人の三世代家族世帯が多く、
1人~2人の単身・核家族世帯の割合が非常に少ないのです。
富山県に行けば分かりますが、家の一軒一軒が大きくて広く、
三世代同居が当たり前になっています。
祖父母から孫までの三世帯以上で暮らし、次世代を担う子どもを
育て、家族の中で支え合う。

こうして家族の絆を大切にすれば、祖父母も少ない年金でやって
いけるため、生活保護に頼る必要はありません。
家族の中に体力のある若者がいるので、年老いた家族をお風呂に
入れたりベッドに運ぶこともできます。
介護費用もいらなくなり、社会保障費の抑制にもつながります。

しかし、生活保護の保護率が高い大阪ではまったく違います。

例えば、大阪府の世帯規模は全国平均と同程度の2.33人ですが、
富山県の離婚率が全国でもっとも低いのに対し、大阪の離婚率は
沖縄に次いで全国で2番目に高いのです。
これは周りの関西圏の県の中でも突出しています。

その背景には、全国で断トツに高い保護率があるのではないでしょうか。
いまの生活保護制度と運用の下では、離婚や別居をしないと保護を
受けづらく、単身世帯の多くの方が多くの保護費をもらえるという
現実があるのです。

私が知っている例で言うと、こんなことがありました。

失業したある男性が雇用保険の適用期限を過ぎても再就職できなかった
ために、生活保護の申請に行ったのです。
しかし、男性は親の持ち家に同居し、親は月10万円程度の年金をもらって
いたので、「とりあえず親のお金で生計を立てながら就職活動を続けるように」
と保護を断られました。
すると、それを聞いていた第三者が男性に「別居すれば生活扶助がもらえる」
と教え、その勧めに応じて親と形だけの別居をした男性は、生活扶助を含めて
月10数万円の保護費を支給されるようになったのです。

夫婦間における偽装離婚、擬似離婚も、これとまったく同じパターンです。
いまの生活保護制度には離婚や別居が助長されてしまうという弊害もある
のです。

しかも、民主党政権の社会保障政策の根本にあるのは「世帯単位から個人単位へ」
という考え方です。
このままでは、日本の家族がバラバラにされてしまいます。
そして、家族の絆が無くなるというのは社会保障の問題だけにとどまりません。

家族とは本来、国家や社会の基礎であり、基本単位です。
家族という共同体を元にした世代間の継承がなければ国家の存続も
あり得ません。
家族の崩壊は、国家の崩壊にもつながっていくのです。
私はそうした危機感から、自民党の日本国憲法改正草案に「家族の尊重」
を位置付けることに強く賛同し、それは草案に盛り込まれています。
では現行憲法にはどのような問題があるのでしょうか。」(P176~181)


『日本人の美徳をないがしろにする現行憲法』
生活保護問題で明らかなように、かつての日本にあった道徳や勤勉の
精神、家族の絆といったものが、まるで古くさい価値観であるかのように
軽視されつつあります。
その原因のひとつには、国の形の根幹である日本国憲法がある、
と私は考えています。

中でも、現行憲法の第3章「国民の権利及び義務」は、日本人が従来
持っていた美徳とは異なり、義務や責任を軽視する一方、権利と自由を
強調するものです。

同章を読むと、頻繁に目に付くのが「自由」と「権利」という言葉です。
数えてみると、「自由」と「権利」はそれぞれ9回、16回も登場しました。
それに対して、「責任」と「義務」はわずかに3回、4回出てきたにすぎません。
現行憲法はまるで、責任や義務を果たすよりも権利と自由を要求する
ことの方が重要だと言わんばかりなのです。
また、現行憲法の第13条と第24条にはこう書かれています。

第13条「個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重」
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する
国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政
の上で、最大の尊重を必要とする。

第24条「家族生活における個人の尊厳と両性の本質的平等」
 1 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を
有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
 2 配偶者の洗濯、財産権、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に
関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊重と両性の本質的
平等に立脚して、制定されなければならない。


ここでも「個人の尊重」「個人の尊厳」が強調され、一方で、その個人を
育ててくれた家族や地域といった共同体はほとんど出てきません。
第24条の婚姻の規定に「夫婦」という言葉が一度出てくるだけです。
家族の絆を大切にしてきた日本の伝統は、現行憲法にはほとんど
書かれていません。
現行憲法を読むと、日本には個人はいても家族は存在しないかのようです。

だから自民党の憲法改正案では、第一項に「家族は社会の自然かつ
基礎的な単位として尊重される。
家族は互いに助け合わなければならない」と付け加えました。
家族の絆をないがしろにし、義務や責任を果たさず、自由と権利ばかりを
主張してきた結果、いまの日本がどのようになっているか、もはやそれは
はっきりしています。

よく知られているように、現行憲法は日本を占領したGHQ、それもリベラル
に偏向した若い将校たちがマッカーサーの命令によって6日間ほどで作った
ものでした。
日本の文化や伝統を理解しているとは言い難い人たちが起草を手掛け、
彼らが日本を占領統治しやすいように作ったともとられかねない背景を
持っていけるのが、現行憲法なのです。

権利偏重、義務軽視、家族の解体だけではありません。
前文に始まり、9条の安全保障など、現行憲法は多くの問題を含んでいます。
憲法改正は自民党の結党以来の党是でもあり、いまこそ私たちは日本国
憲法をその根本から問い直さなければなりません。」(P181~184)


「・・・第12条では、「自立」という私たちの考えを反映させ、「国民の責務」を
付け加えました。
この部分は一部の論者で論争となりましたが、自民党の改正草案では
次のようになっています。

現行憲法
 第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の
努力によって、これを保持しなければならない。
又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のため
にこれをする責任を負ふ。

自民党憲法改正草案
 (国民の責務)
 第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の
努力により、保持されなければならない。
国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任が伴うことを
自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。


現行憲法では「国民は権利を濫用してはならない。
公共の福祉のためにこれをする責任を負う」とだけ書かれていました。

しかし、憲法の判例から言うと、権利の濫用が認められるのは非常に
限定されたケースだけです。

東日本大震災を受け、今後の事前防災でも問題になってくるのは、
例えば、たった一軒の家が立ち退かないことによって作るべき避難路が
できないというケースです。
現行憲法では首長が選挙を考えて土地収用を行えず、地域の人たち
みんながこうしてほしいと思っている安全確保ができない、ということが
考えられるのです。

自由及び権利には、責任が伴う。公益、公の秩序には従うべき――。
生活保護問題で明らかなように、この原則が確立できるかどうかは
日本の将来にとって大きな分岐点です。

残念なことに、日本では「自由」という言葉が自分勝手と解釈されがち
ですが、自由市場にも規律があり、これに反したものは厳罰・追放に
なります。
自由というのは規律や秩序を前提として成り立っているものなのです。

不明確なルールは不正や不公平を生み、発展を阻害し、社会を弱く
します。

イギリス史上初の女性首相、マーガレット・サッチャーは、メリル・ストリープ
が彼女を演じた伝記映画の中でこう叫びました。

「人間は皆、自分の足で立って歩き、働き、祖国を守るために
戦わなければ」

イギリスは日本と同じ島国で、決して常に豊かな国だったわけでは
ありません。
しかし、イギリスはフランスのナポレオンにもドイツのヒトラーにも
負けませんでした。

私たちも、日本人として、中国や韓国に負けたくないと思うのなら、
サッチャーのような強さを子どもたちに教えなければなりません。
そのための第一歩が、日本国憲法を改正し、戦後を終わらせること
なのです。」(P189~191)



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by bunbun6610 | 2014-03-04 18:30 | 生活保護を考える

『正直者にやる気をなくさせる?! 福祉依存のインモラル』(片山さつき/著)(3/4)

副題;『自民党・片山さつき議員の生活保護バッシング』


『正直者にやる気をなくさせる?! 福祉依存のインモラル 個人の勤労意欲、家族の絆を喪失させる生活保護制度を抜本改正する!』オークラNEXT新書(片山さつき(自民党参議院議員)/著 2012年12月27日/発行 株式会社オークラ出版/発行所)


片山さつき参議院議員(自民党)



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『第4章 今こそ改正の時! 不正受給問題に対する
国民の怒りが生活保護制度を変える』


「では生活保護制度はどうあるべきなのでしょうか。
私たち自民党の改正案は、「自助・自立」「手当てより仕事」
を基本としており、次の5つの柱を掲げています。

(1)生活保護給付基準の10%引き下げ
(2)現金給付から現物給付へ
(3)過剰診療防止による医療費扶助の大幅な抑制
(4)稼動層の自立支援・就労促進
(5)自治体の調査権限の強化と財政圧迫への対応

私はさらにこれに加えて、もらえるケースともらえない
ケースをはっきりさせる基準の明確化が、制度の信頼を
回復し、本当に困っている人が門前払いされることを
無くすために必要だと痛感しています。」(P98~99)


「その結果、物価のデフレ下にあっても給付水準は
高止まりしたままで、東京都区部なのであれば標準
3人世帯で月額17万2170円、地方郡部などでは
13万5680円が支給されます。

さらに住宅扶助や医療扶助、母子加算などの各種加算
が付くために、東京都区部では標準3人世帯で月額
24万1970円、母子世帯26万2700円にも跳ね上がり、
これは税、保険料、公共料金、医療費を払う場合、
月収約39万円に相当します。

一方で、東京都の最低賃金840円で仮に20日間働いた
場合、13万4000円にしかなりません。
国民年金は満額で6万5541円です。

まず、こういう不公平でおかしな状況を変えなければ
なりません。
そこで、2012年が5年ぶりの基準見直し年にあたる
機会をとらえて、まじめに働く人たちの所得水準の低下
や物価の下落、一般の低所得者の消費実態、年金との
バランス、何より勤労意欲とのかねあいなどに配慮し、
給付水準をたとえば10%程度引き下げましょうという
わけです。」(P102~103)


「具体的には、まず生活保護に流れる前に、第2のセーフ
ティーネットとして就労支援を行います。

確かに、何か理由があってどうしても働くことのできない人
たちにとって生活保護は必要です。
しかし、少し我慢をすれば働けたり、職業訓練を受ければ
仕事に就ける人たちには「生活保護をもらったほうが楽」など
と思わずに、ちゃんと働いてもらわなければなりません。
そのために働ける世代に対して自立を支援するプログラム
を整備し、受けてもらいます。

また、生活保護の受給者がいきなり正社員として働くのは
難しく、多くは最低賃金のアルバイトやパートで働き始めます。
ところが、そうやって働いた分だけ保護費が減ってしまうのなら、
働かなくても収入は変わりません。
むしろ働かない方が得だと考える人が出てきます。
そこで「凍結貯蓄」を制度化するのです。

凍結貯蓄とは、その名の通り、受給者が働いて得た収入を
口座に入れて引き出せないようにすることです。
この制度では、受給者がアルバイトなどで働いて収入を得ても
これまでのように保護費を減額しません。
すると収入は実質的に増えることになり、働こうとするインセン
ティブが生まれます。

そして、受給者が生活保護から抜け出す時に口座の凍結を
解除し、自立するための資金にしてもらおうというわけです。

自立を支えるケースワーカーの増員も必要でしょう。
ケースワーカー業務の民間委託を進め、成功報酬型契約を
導入、そうやって自立を支援する体制を強化するのです。

さらに、受給者を雇用した企業には最低賃金の一定期間の
適用除外や一時金の支給を行い、国や自治体も彼らに単純
事務作業や清掃などのボランティア活動などの社会活動への
参加を推進する必要があるでしょう。

ドイツやアメリカでも職業訓練やコミュニティーサービスといった
義務付けがあり、しかも、生活保護は有期限です。
権利ばかりが偏重され、何の義務も伴わないのは日本だけ。
税金で養ってもらう以上、何らかの義務が生じるというのが
世界の常識です。」(P108~110)


『第5章 被保護者が「権利」ばかり主張し、「義務」を果たさない
ワケ 日本の生活保護の歴史を振り返る』



『憲法25条の根本的な問題』
生活保護はなぜ現在のような権利偏重な制度になったのでしょうか。
もう一度、憲法25条の全文を見てみます。

25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む
権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障
及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


実は、この25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の
生活を営む権利を有する」という部分は、日本国憲法の草案を
起草したGHQ(連合国最高司令部)民政局の草案(マッカーサー
草案)にはなかったものでした。
マッカーサー草案では当初、次のようなものになっていました。

第24条 有ラユル生活範囲ニ於テ法律ハ社会的福祉、自由、
正義及民主主義ノ向上発展ノ為ニ立案セラルヘシ
(法律は、生活のすべての面につき、社会の福祉並びに自由、
正義及び民衆主義の増進と伸張を目指すべきである)


マッカーサー草案はその後、日本政府に提示され、第90回帝国
議会で審議されます。
その際、衆議院での審議で当時の日本社会党の提案によりいくつか
の文言が追加されました。
その追加された文言というのが、憲法25条の「すべて国民は、
健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という
部分だったのです。」(P136~137)


「自由や権利には、責任や義務が必ず伴うものです。
私は自民党憲法改正案の23人の起草委員のひとりとして、
本来勤勉である日本人の伝統を壊してしまったこのような憲法の
改正に向けても活動しています。
自由及び権利には、責任が伴う。公益、公の秩序には従うべき。
この原則が確立できるかどうかは、日本の将来にとって非常に
大きな分岐点になると思います。」(P139)


『第6章 戦後の歪みを断ち切るため在日韓国人・朝鮮人への
恩恵支給を是正すべき』


「戦後、1949年から始まった「ドッジ・ライン」、日本経済の
自立と安定のために実施された財政金融引き締め政策に
よって、デフレが進行して企業の倒産が相次ぎ、失業者が
急増しました。
在日韓国・朝鮮人の失業者も増え、こうした中で彼らは
「朝鮮人生活擁護闘争」を展開し、生活保護の適用などを
求めて各地の役所に集団で押し掛けるようになりました。

例えば、よく知られているのが、50年11月20日から27日
にかけて兵庫県神戸市長田区で起きた「長田区役所襲撃事件」
です。
事件の端緒は、11月20日午後1時、約200人の在日韓国
・朝鮮人が長田区役所に押し掛け、市民税免除と生活保護
支給の徹底を要求したことでした。
区長がこれを認めなかったために、軟禁状態にし、出勤した
警察当局によって30人の朝鮮人らが逮捕されたのです。

11月24日にも、再び300人の在日韓国・朝鮮人が長田区役所
に押し掛け、区長との面談を要求。
区長が拒否すると、彼らは建物の中に入って窓ガラスなどを破壊し、
警察官に対しても暴力を振るい、不退去罪の現行犯で26人が
逮捕されました。
そして11月27日朝には、長田区の西神戸朝鮮人学校に
1000人以上の在日韓国・朝鮮人が集結し、さらに大きな騒動に
発展します。・・・」(P148~151)


「1954年の厚生省の通達によって外国人の保護率は一気に
上昇しました。
現在の生活保護法が制定されたばかりの54年、日本人の保護率
は2.4%、外国人は9.6%でしたが、通達後の55年の数字をみると、
日本人の保護率が2.0%と減少したのに対し、外国人は21.4%と、
まさに爆発的に急増しているのです。
これは日本人の保護率の10.7倍にもなり、しかも外国人受給者の
うち、その90%以上を在日韓国・朝鮮人が占めていたと考えられて
います。」(P154)



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by bunbun6610 | 2014-03-03 18:30 | 生活保護を考える

『正直者にやる気をなくさせる?! 福祉依存のインモラル』(片山さつき/著)(2/4)

副題;『自民党・片山さつき議員の生活保護バッシング』


『正直者にやる気をなくさせる?! 福祉依存のインモラル 個人の勤労意欲、家族の絆を喪失させる生活保護制度を抜本改正する!』オークラNEXT新書(片山さつき(自民党参議院議員)/著 2012年12月27日/発行 株式会社オークラ出版/発行所)


片山さつき参議院議員(自民党)



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『第1章 次長課長・河本の生活保護不正受給問題に
象徴される現代社会のモラルハザード』


「法律論をふりかざし不正受給を認めなかった吉本興業」

「キングコング梶原のケース」

「河本・梶原の不正受給を擁護し、私たちを誹謗する
ワイドショーの偏向報道」


『第2章 高失業社会を迎えて明らかになった現代社会の
生活扶助システムの問題点』


「当時はバブル崩壊からまだ3~4年で、日本経済は長期不況
に陥り、低賃金の新興国との国際競争が日増しに激しくなって
いたころでした。
その競争に勝つためには、人件費が高い日本型経営を変えて
いかなければならない・・・。
そこで日経連が出したひとつの答えが、終身雇用が前提の
正社員を絞り込み、かわりに有期雇用の非正規社員を増やす
ことでした。

具体的には、労働者を次の3つの雇用ポートフォリオに分類
したのです。

(1)長期蓄積能力活用型グループ
(2)高度専門能力活用型グループ
(3)雇用柔軟型グループ

このうち、(1)はこれまでと同じ長期継続雇用を前提とした
正社員ですが、(2)は契約社員などの専門職で、(3)は
パートや派遣労働者です。
つまり、従来は正社員だった(2)と(3)のグループを非正規
雇用に転換するなど、日経連として初めて派遣社員を活用
するということを打ち出したわけです。

その後、こうした経営側の雇用コスト削減要請に応じる形で
労働者派遣法が改正され、派遣社員を活用できる業種が
どんどん増えていき、ワーキングプアは派遣切りといった
問題につながっていきました。

96年12月の改正で適用対象に研究開発など10業種が
追加されたのを皮切りに、労働者派遣法はほぼ毎年のように
一部改正が繰り返されていきました。

もっとも、「新時代の『日本型経営』」は村山政権、自社さ政権
の時代に作られ、労働者側の連合も合意したものでした。
そういう意味では、民主党や社民党にも責任があります。

また、高度経済成長から1980年代にかけて企業収益が
上がっていた時には、企業に雇用を保障してもらい、年金や
退職金などで労働者を保護する「日本型福祉社会」は高福祉
・低負担を実現するようにみえましたが、低成長になれば
そのようなシステムは成り立ちません。
収益の低下した企業に社会保障のコストを負担させるのは
もはや無理だったという見方もあるでしょう。

いずれにしても、この日経連レポートをひとつのきっかけに
派遣労働が拡大していき、日本のセーフティーネットがきちんと
機能していないことが表面化していったのです。」(P48~50)


「本来なら、失業した人は、雇用保険を受給している間に
再就職先を見つけるのが一番望ましいはずです。

しかし、リーマンショック後に表面化したのは、雇用保険の
適用期間内に再就職することができない、あるいは雇用保険
が切れた後も多くの失業者が滞留し続けるという問題です。
そもそも雇用保険を受給できないという人も少なくありません
でした。

日本の社会にとって、こうした状況はそれまで考えもしなかった
「想定外」のことでした。
その初めて直面した危機に対応するためにはどうしたらいいか。

まず、企業に何とか雇用を維持してもらう必要がありました。
そこで「雇用調整助成金」の支給基準を大幅に緩和し、国の
負担割合と財源を増やしたのです。
これらについては、自民党の通常の政策決定プロセスでも
比較的すんなりと決まりました。
それよりも、問題は、雇用保険が切れると失業者が一気に
生活保護に流れてしまうことでした。

ヨーロッパには失業給付と生活保護との間の「つなぎ」的な役割
の生活扶助制度があります。
生活に困窮した人々がすぐに生活保護に流れてしまうと、
再就職するのが難しくなります。
そうした人々を生活保護の手前で食い止め、再びちゃんと
働いて生活費を稼ぐ自立した生活に戻ってもらうための
仕組みが必要でした。
それが「第2のセーフティーネット」と呼ばれるものです。

第2のセーフティーネットとは、雇用保険と生活保護の間に
位置することからきています。
そんな中で、真っ先に声を上げたのが私たちのセーフティー
ネット議連でした。
私たちは、職業訓練を義務付けた生活扶助制度を創設すべき、
と自民党内でも一番早く提言したのです。」(P51~52)


『第3章 受給しやすく抜け出し難い、快適すぎる生活保護の現状』

「私たちは2009年の初め、日比谷公園の「年越し派遣村」の
村長だった湯浅誠氏とも会話を重ね、増え続ける失業者全員
に生活保護を支給するのは財政負担も大きく、何もしていない
人に生活保護を支給するのはよくない、という点で意見が
一致しました。
そのため私たち自民党は、生活保護に流れていく前段の仕組み
として第2のセーフティーネットを立ち上げたのです。

しかし、民主党はその緊急時の救済策を、半ば恒久的なものに
してしまったのです。
長妻大臣の通達は、単に支給基準を緩め、極端に言えば誰でも
容易に生活保護を受けられるようにしたものでした。
事実、歳出に占める生活保護費が全国で一番大きい自治体は
東京都台東区ですが、自民党政権の2009年まで台東区の区税
における保護費の割合は20%程度でした。
それが民主党政権になって受給が容易になった結果、2011年度
の予想では23.4%にまで達する見込みです。

派遣村村長の湯浅氏はその後、2009年10月に民主党政権の
「緊急雇用対策本部貧困・困窮者支援チーム」の事務局長に就任。
もともと彼は、「こうやれば生活保護を取りやすい」ノウハウを紹介
した『生活保護申請マニュアル』という本を書いている方ではあった
のですが、民主党の対策本部チームの事務局長になると、私たち
に言っていたのとは違うことを主張し始めました。

そして同年12月、湯浅氏らは長妻大臣に「できるだけ早くに生活
保護の支給を認めるべき」と支給基準の緩和を要請し、厚生労働省
にあの通達を出させたのです。
生活保護の増加に歯止めがかからなくなったのは、この時からでした。」
(P61~64)


『タバコにビール、パチンコ・・・保護金で豪遊する大阪の受給者たち』
受給者と共に急増したのが「もらい得」や不正受給です。・・・」(P64)


「私は河本さんの問題が起きた時、彼の母親が住む岡山市の福祉事務所
の関係者にも話を聞いています。
彼らは「非常に悔しい・・・」と唇を噛みました。
扶養照会のさい、申請者の家族に「ぜひ扶養をお願いします」と話をしても、
電話をガチャンと切られて断られてしまい、ほとんどのケースではそのまま
になってしまうそうです。

私が厚生労働省に聞いたところ、家族に扶養をお願いして実際にそれが
行われたケースは全体の2.7%にすぎないということでした。
もうひとつ、ケースワーカーが足りないという問題もあります。

福祉事務所で自立支援などに携わるケースワーカーは、生活保護の申請者
の調査権を持ち、社会福祉法によってその配置基準は80世帯に1人と
定められています。

ところが、受給者が急増したことにより、東京都ではケースワーカー1人
が担当する生活保護世帯は基準を大きく上回る約120世帯。
自治体によっては、法定基準の2倍やそれ以上に当たる、160世帯から
180世帯を1人のケースワーカーが受け持つ所もあるくらいです。
そのためケースワーカーは受給者の家庭訪問や自立支援に手が回らず、
生活保護申請者の資産照会や扶養照会の作業に追われ、その調査も
資産隠しなどの意図的なうそをつかれたら手の打ちようがない状態です。
こうした現場の実態も、不正受給の温床になっているのです。」(P81~82)


『貧困ビジネスで暴力団以上に暗躍するNPO法人』
生活保護の急増に伴って増えたのは不正受給だけではありません。
生活保護を意図的に拡大させ、そこで甘い汁を吸おうとする勢力も
多く生まれました。
貧困ビジネスと聞くと、・・・
民主党では、市民やNPO法人が公共サービスの担い手になるという
「新しい公共」を政策理念として掲げています。
実際、長妻昭氏が出させた先の通達にもこのようなことが書いてあります。
・・・(中略)・・・
ところが、そのNPO法人に生活保護を悪用した貧困ビジネスを
行っている団体が少なくないのです。

例えば、私の出身地のさいたま市ではこんな事例があります。
「ほっとポット」というNPO法人が生活保護の受給申請者と一緒に
市の福祉窓口に行き、ケースによっては窓口の職員との調整や
申請書類の記入も手伝うというサービスも行い、そのさいに
4万2000円ものサービス利用料を取っていたのです。・・・
すでにさいたま市議会ではこのNPO法人の件が不当とし、
埼玉県監査委員会にその返還を求める住民監査請求を起こして
います。
それによると、「ほっとポット」は生活保護の申請で4万2000円を
取っていただけではなく、・・・これは貧困ビジネスの疑いが強く、
少なくとも健全なNPO法人とはいえないはずです。
しかも、信じられないことに、この「ほっとポット」の代表者は民主党
政権の下で生活保護に関する政府の審議会のメンバーになって
いるのです。」(P82~85)


『医療費を取りっぱぐれない受給者は病院にとってもいいカモ』
・・・
増え続ける生活保護費の中で、もっとも深刻なものが医療扶助費の
急増です。
受給者は医療にかかる費用が全額控除され、自己負担がありません。
そのため、病院にとっては受給者は医療費を取りはぐれる心配のない
患者となります。
・・・病院側はどんどん薬を出して診療報酬を稼ぎます。
・・・受給者には病院でもらった薬や湿布等を換金するとケースも
少なくありません。
特にうつ病の場合、そう診断されると生活保護が受けやすいので、
「こうすれば、うつ病らしく見えます」といったマニュアルも存在します。
そうやって粗製らん造されたうつ病患者の受給者が坑うつ剤を売って
お金を得るケースがかなり多いのです。
・・・「過剰診療」を行い、不当に国から医療報酬を得ているクリニック
が幾つもあり、受給者に不必要な治療を行う病院もあります。」(P88)


「東京都新宿区の福祉事務所で、支給日に生活保護を受け取る人
たちを午前中観察していたデータがあります。
そこでは、身なりもそこそこいい、十分に働けそうな稼動世代の人たち
が、窓口に向かって一斉にダッシュしていく姿が見られました。

また関係者からこんな話を聞きました。
この新宿区役所から職安通りにあるハローワークまでは数百メートル
しか離れていないのですが、そこに向かう途中に働こうという意欲が
なくなり、家に帰ってしまう受給者が多いというのです。

「働ける世代が働く意欲を失ったら、国は滅びます」――
生活保護の在り方と行政全体を見直す上で、いまが最後のチャンスです。
何としてでも、「正直者がバカを見ない」制度に作り変えていかなければ
なりません。」(P94)



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by bunbun6610 | 2014-03-02 18:30 | 生活保護を考える

『正直者にやる気をなくさせる?! 福祉依存のインモラル』(片山さつき/著)(1/4)

副題;『自民党・片山さつき議員の生活保護バッシング』


『正直者にやる気をなくさせる?! 福祉依存のインモラル 個人の勤労意欲、家族の絆を喪失させる生活保護制度を抜本改正する!』オークラNEXT新書(片山さつき(自民党参議院議員)/著 2012年12月27日/発行 株式会社オークラ出版/発行所)


片山さつき参議院議員(自民党)



副題には、この投稿文の論点をハッキリさせることにした。

私がこの本を手にしてみたきっかけは、生活保護制度の
問題点についてよく世間で騒がれていた頃、自分もこの
制度について疑問を持っていたからだ。
そして、この本の著者の声に、耳を傾けてみることにしたのだ。
これだけ騒がれている中、現議員の人はどう考えているのか。

ところが、実際にこの本を読んでみると、確かに「なるほど」と
うなづける点も少なくはなかったのだが、

「この部分はおかしいな。
とても共感はできない」

と思う点も多かった。

この人は、自民党は、自分たちの価値観を日本の全国民に
押しつけようとしている感がある、と思う。
国民に、その独自的な家族の理想像を植えつけ、そのために
憲法まで変えようとしている感がある、と思う。

だが、その家族がまともである家庭は、今のこの国に、
いったいどれぐらい残っているだろうか。
失業者、働きたくても働けない者などの人権を、最も侵害して
いる人間とは、誰か。

実は、それが家族であったりすることも、現代では少なくない
のである。

障害者は就職弱者であるために、経済的困難にある。
軽・中度難聴者は身体障害者手帳が所得できず、
就職困難で困っている人がたくさんいるようだ。
実際、そういう生活保護受給者が私の周囲にも、
何人かいるのだ。

下の記事は、当ブログで最もアクセスが多い。

『身体障害者手帳のない聴覚障害者(難聴者)は、
どうやって就職するのか?』
〔2013-01-16 18:00〕



さらに、無年金障害者も、最後の拠りどころは
生活保護しかなくなるだろう。

しかし、そこで

「生活を家族に見てもらえ」

という行政側の論理がある。
それが、小山内美智子氏の著書にも、証言としてあるほどだ。(※)


(※)
『『車椅子からウィンク 脳性マヒのママがつづる愛と性』(2/2)』
〔2013-09-16 19:00〕





こういう場合の家族ほど、冷たいものもあるまい。

「仕方がない」

とは言っても、家族による人権侵害に、あまりにも耐え続けて
いけば、心までも障害を負う事態になりかねない。
うつ病になる人が増えているが、それが悪化する可能性はある。
無理を強いれば、家族崩壊にもつながるだろう。

片山議員には、そういう現実を知らず、政治に都合の良い、
机上理論で制度や法の改正を言っているだけなのでは
ないだろうか。

現行制度の不備で苦しむ人々を救済せず、
さらに生活保護バッシングで社会からはじいてしまっている。
そして、憲法改正という暴挙までしようとしている。

この本の論調は、中国の日本バッシングとも、非常によく
似た論法となっている気がする。
中国政府は、国民の不満をそらすため、日本批判を行っている、
といわれている。
つまり、これもマインド・コントロールの手法と見ることができる。

それと同様に、この本でも生活保護バッシングの論調を強める
ことで、過去の民主党政権批判を展開し「政争の具」にしたり、
安倍政権の念願である憲法の改正にまで話を持っていこうと
しているように思えてくる。

そして、それに煽(あお)られていく国民は、最終的には自分たち
がそれに洗脳されて、騙される、と私には思えるのだ。
マスコミの偏った報道姿勢も原因で

「生活保護バッシングは正しい」

という誤解は、まだ根強く残っている、と思う。

ちなみに、私は障害者でありながらも、未だに生活保護を
受けたことがない。

不正受給などのニュースを見ると、確かに不快ではある。
けれども、それでもこの制度は、非常に大切だということが
わかったのは、もう一つの生活保護に関する本


『間違いだらけの生活保護バッシング』
(生活保護問題対策全国会議/編者
 2012年8月20日/初版第1刷発行
 株式会社明石書店/発行所)



を読んでからだった。

この制度の批判をする前に、もしかしたら将来、
自分も失業したり、無年金障害者にも
なったりするかもしれない、ということも
考えてみてほしい。
生活保護もなくなったら、累犯障害者のように、
軽犯罪を繰り返すより他に生きる道がないかもしれない。
そんな道を広くするようなことになってはならない。

この本は、マスコミの報道の加害性にも触れている。
宗教団体が多くの人に、無差別にマインド・コントロールをするか
のように、実は我々も、単純なマスコミに煽られているのだ。
それは、マスコミだけの責任ではない。
情報を受け取る我々が、情報リテラシーを持っていないから、
そうなるのだろう。

私がこの本も読んでみたのは、やはり片山議員の本に疑問を
持ったからだ。
だから、二つの本を読み比べてみるとよい、と思う。
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by bunbun6610 | 2014-03-01 18:30 | 生活保護を考える
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