カテゴリ:障害者の経済学( 21 )

『女性は理科が苦手なのか』




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啓発誌『働く広場』
(独立行政法人 高齢・障害・求職者
雇用支援機構/発行)




『働く広場』(2015年2月号)

エッセイ第2回
『女性は理科が苦手なのか』


中島隆信/なかじま たかのぶ
慶應義塾大学商学部教授。専門は応用経済学。
1960年生まれ。
1983年慶應義塾大学経済学部卒業、
2001年より同大学商学部教授。
同年、慶應義塾大学博士(商学)取得。
2007年より内閣府大臣官房統計委員会担当室長
を約2年間務める。
経済学とは一見縁遠いと思われる対象を経済学の視点
から一般向けに論じた著書多数。
また、大相撲にも造詣(ぞうけい)が深く、日本相撲協会
「ガバナンスの整備に関する独立委員会」では、副座長
として相撲協会改革案について意見書を取りまとめた。





私が勤務する慶応義塾大学商学部がホームページで公表して
いるスタッフリストによると、2014(平成26)年4月現在、三田
キャンパス(専門課程)所属教員のうち男性は54人、女性は
8人である。
一方、日吉キャンパス(教養課程)では、男性36人に対して
女性は19人となっている。
商学部の専門課程は、経営、会計、商業、経済といった社会
科学系分野から構成され、教養課程は語学、文学、芸術、
心理学といった人文科学系である。
この数字を見る限り、男性は社会科学系が得意で、女性は
人文科学系に優位性を持っているように見える。
これを裏付ける統計もある。
文科省『学校基本調査』から学科別学生数を調べてみると、
社会科学系、理科系は男子が多く、人文科学、教育、家政
などでは女子が多いのだ(図参照)。(※)


これらの基本的な数値から、男女の能力には根本的な違いが
あると判定していいのだろうか。

いまから10年ほど前にハーバード大学長がある会合の席で、

「生物学的に女性に数学の天才は少ない」

という主旨の発言をしたことがあった。
おそらくその学長は、特に悪気もなく単に「統計的事実」に基づ
いて話したと思われるが、のちにこれが「女性差別発言」だと
物議を醸し、結局、辞任に追い込まれた。

このように、統計に基づいて特定の属性を持つ人々の能力を
一括りに判断することを「統計的差別」という。
これが「差別」となる理由は2つある。

1つは、「女性は数学が苦手」という「事実」が人間の能力を判定
するうえでの「シグナル」となって、能力ある女性の就学や就職に
不利に働く可能性があるからである。

もう1つは、こうした「統計」が家庭や教育現場の「すり込み」に
よってもたらされたもので、真実を表していない可能性である。

例えば、親が子どもの誕生日のプレゼントとして、息子には
「理科図鑑」、娘には「プリキュア」を与えるなど、発達の段階
から性差をもたらす行為をしている場合もある。

また、高校でも、

「数学が苦手な女子は私大文系を目指せばいい」

といった考えを多くの教員が持っているかもしれない。
こうした「通念」があると、数学を学ぶ過程でちょっとした困難に
ぶつかったとき、女子学生は数学を簡単に諦めてしまうだろう。

この「統計的差別」は障害者にもあてはまる。

たとえば、精神障害者が傷害事件を起こし、マスコミがそれを
ことさら大きく取り上げると、国民には

「精神障害者は他人に危害を加える」

という「事実」がすり込まれる。
傷害事件を起こすのは精神障害者に限ったことではないのに、
報道という「統計」が誤ったシグナルを形成し、そのことによって、
精神障害者施設の建設反対運動などが起こったりするのである。

こうした差別を防ぐには、シグナルの誤りを正さなければならない。
これは当事者が誤りであることを証明していくしかないのだ。
時間のかかる地道な努力が必要となるのである。(つづく)





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(※)
図の代わりに、統計表にして掲載する。
数値は正確には出せないので、グラフを目分量で測り、
掲載してみたので、ご容赦いただきたい。


【大学/大学院学科別男女別学生数(2013年度)】

人文科学  (男)約130000人  (女)約250000人
経・商・法 (男)約450000人  (女)約180000人
社会学   (男)約70000人   (女)約80000人
理学    (男)約70000人   (女)約25000人 
工学    (男)約350000人  (女)約50000人
農学    (男)約40000人   (女)約40000人
保健    (男)約120000人  (女)約180000人
家政    (男)約5000人    (女)約70000人
教育    (男)約80000人   (女)約110000人
芸術    (男)約15000人   (女)約50000人

文部科学省『学校基本調査』より



〔関連情報〕

『『障害者の経済学』(中島隆信/著)』
〔2011-05-14 21:46〕





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>「また、高校でも、

『数学が苦手な女子は私大文系を目指せばいい』

といった考えを多くの教員が持っているかもしれない。
こうした『通念』があると、数学を学ぶ過程でちょっとした
困難にぶつかったとき、女子学生は数学を簡単に
諦めてしまうだろう。」



障害者雇用についても、同じことが言える。
障害者だからといって、簡単に『職場内障害者授産施設』
にぶち込む、というやり方が、障害者をダメにしてしまって
いるケースが多いように思える。
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by bunbun6610 | 2015-05-09 18:00 | 障害者の経済学

『配慮不足は企業のせいなのか?』

『配慮不足は企業のせいなのか?』(中島隆信)


この雑誌、実は障害者を雇用している企業の人事室や、
障害者福祉会館などに置いてある。
企業の人事室に置かれてある場合、ほとんどが“お飾り”
として置かれているに等しい状態である。
残念ながら、障害者配属部署の人にすら、
読まれることはほとんどない。

これに税金を投入しているのだから、国の障害者雇用
施策というものが、ほとんど理解できない。
正直、強い怒りを覚えるほどだ。


なお、日本でも近いうちに

「障害者権利条約のモニタリング(監視)」

が行われるそうだ。

松森果林UD劇場~聞こえない世界に移住して~
『第20回障害者政策委員会』
〔2015-04-20〕





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啓発誌『働く広場』
(独立行政法人 高齢・障害・求職者
雇用支援機構/発行)




『働く広場』(2015年4月号)

エッセイ第4回
『配慮不足は企業のせいなのか?』

http://www.jeed.or.jp/disability/data/works/book/hiroba_201504/index.html#page=17


中島隆信/なかじま たかのぶ
慶應義塾大学商学部教授。専門は応用経済学。
1960年生まれ。
1983年慶應義塾大学経済学部卒業、
2001年より同大学商学部教授。
同年、慶應義塾大学博士(商学)取得。
2007年より内閣府大臣官房統計委員会担当室長
を約2年間務める。
経済学とは一見縁遠いと思われる対象を経済学の視点
から一般向けに論じた著書多数。
また、大相撲にも造詣(ぞうけい)が深く、日本相撲協会
「ガバナンスの整備に関する独立委員会」では、副座長
として相撲協会改革案について意見書を取りまとめた。





まずは2つの例をとりあげよう。
2006(平成18)年1月、「東横イン」というビジネスホテル
が障害者向けバリアフリールームを不正に改造し、それが
「ハートビル法」(当時)違反だとしてマスコミを騒がせたこと
があった。

当時の社長は、不正を働いた理由として、

「障害者用客室を作っても、年に1人か2人しか来なくて、
結局、倉庫みたいになっているとか、ロッカー室になって
いるのが現実」

だと発言し、それがまた利益優先の考え方だとして物議を
醸すこととなった。

2013(平成25)年6月、『五体不満足』で有名な乙武洋匡
(おとたけ ひろただ)氏が、銀座にあるレストランで食事を
しようとした際、予告なしに車椅子で来店したことを理由に
入店を断られたというできごとがあった。
そのあと同氏がこれを「銀座の屈辱」だとしてツイッターで
店名を出して非難したことからフォロワーを中心に話が
広がり、ちょっとした騒動に発展した。

前回まで述べてきた差別の定義に照らし合わせると、
これら2つの事例は「間接差別」に相当することがわかる
だろう。
なぜなら、狭い入口や階段などのせいで車椅子が通れない
ことは、宿泊や食事という行為自体と直接関係がないから
である。
したがって、ホテルやレストランには障害者に配慮する義務
があり、それを怠ったということは「障害者差別解消法」違反
ということになる。

しかし、話はそんなに単純なものではない。
配慮をしなかった原因をもっと深く探る必要がある。
考えるヒントは社長のコメントになる。

それは、改造の理由がバリアフリールームの低い稼働率
という点だ。
つまり、同ルームは採算がとれない、配慮のコストが高く
付くということだ。

稼働率が低くなる理由は、身体障害者があまり町を出歩か
ないからであり、出歩かない理由はバリアフリー化が進んで
いないからだ。

この「事件」の舞台となったホテルはJR関内駅近くにある。
周囲には神奈川県庁をはじめ、横浜市役所、横浜スタジアム
などの公共施設もある。
しかし、同駅は神奈川県の玄関口というのもはばかれるほど
バリアフリー化が遅れている。
ビルの3階ほどの高さにあるホームの幅は狭く、エレベータ
すら設置されていない。
このような状態を放置しておきながら、どうして同駅近くの
ホテルの不正を非難することができようか。
配慮のコストを高くしているのはJRに加え神奈川県民の
バリアフリーに対する意識の低さなのである。

「銀座の屈辱」についても同じ論理で考えることができる。
レストランが入店を拒否した理由は、乙武氏が車椅子利用者
であることを告げずに予約していたため、その場で同氏を
車椅子ごと抱えて階段を上がるために店の人員を割けなか
ったこととされている。
すなわち、ここでの配慮のコストとは、車椅子を上げるために
人員を割くとフロアでの接客サービスがストップしてしまうこと
だったのである。

それでは配慮のコストを高めている要因は何だろうか。
それは、店にいる客の車椅子利用者に対する配慮の程度で
ある。
身体障害者へのサービスを優先させ、その間、フロアのサービス
が止まったとしても構わない、それで料理の出るのが遅くなっても
いいと思う客が多ければ、店主は車椅子を上げることに
何のためらいもなかったはずだ。

私にも脳性麻痺(まひ)の子どもがいるので同じような経験を
何度もしている。
車椅子の子どもを連れて休日のデパートを訪れたとき、
ほぼ満員のエレベータから降りて私たちを乗せてくれた人に
残念ながらこれまで一度もお目にかかったことがない。
つまり、現在の日本における配慮のレベルはこの程度なので
ある。
このような状況下でホテルの社長やレストランの店主だけを
非難してもあまり意味はない。
国民全体が障害者に対してどこまで配慮をすることが

「理にかなっている」

のか判断することによって、事業者の「配慮のコスト」の大きさ
も変わってくるのである。(つづく)






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〔関連情報〕

『『障害者の経済学』(中島隆信/著)』
〔2011-05-14 21:46〕





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>「銀座にあるレストランで食事をしようとした際、予告なしに
車椅子で来店したことを理由に入店を断られたというできごと
があった。
そのあと同氏がこれを「銀座の屈辱」だとしてツイッターで店名
を出して非難したことからフォロワーを中心に話が広がり、
ちょっとした騒動に発展した。」



実際は、乙武氏は、店主の言葉に対して

「屈辱を受けた。許せない」

と感じたことが、乙武氏をこれほどの怒りに導いた事件だった。

「言った、言わなかった」

の騒ぎにもなっていた。
当然、店主のほうが悪い。

しかし、この事件をきっかけにして

「本当のバリアフリーとは何か?」

ということについて、考えさせられる社会問題にまで、
発展していった。

「心のバリアフリー」とは、また別にして考えるべき事例だろう。

原因は店主の言葉遣いにあったのだから、
この事件をきっかけに、素直に反省すべきなのである。


乙武氏騒動に関して、私が出した一応の結論は下の記事だ。




『車椅子障害者の入店をお断りしたレストラン
 -私はこう思う(1/2)』

〔2013-06-10 18:00〕



『車椅子障害者の入店をお断りしたレストラン
 -私はこう思う(2/2)』

〔2013-06-10 18:15〕




〔参考情報〕

Eテレ『バリバラ』
テーマ;外国人スペシャル
外国人が見たニッポンのバリアフリー
〔4月19日(日)夜7:00~ O.A.
再放送 4月23日(金)0:00~(木曜深夜)〕





ところで、障害者への配慮とは何だろうか。

「『同等』『同質』の配慮をする(努力)義務がある」

ということだ。
障害者の場合は必ずしも、健常者と全く同じ配慮を求めて
いるのではない。

「いや、それでは困る」

という場合だって、実際に数多く存在しているのだ。

配慮とは「形式的平等」ではなく「実質的平等」であることが
問われている。

例えば聴覚障害者の場合、会社でも朝礼に参加させて
いるところもあれば、参加させていないところもある。
この場合に差別があるとすれば、誰もが「参加させなかった」
ほうだと思うだろう。

しかし、実質的平等を問うとき、聴覚障害者をただ参加させた
だけでは、平等とは言えないのである。
通訳や情報保障などを用意しなかったら、平等になったとは
言えない。
つまりここでも、合理的配慮を欠くことによる「間接差別」が
問題となるのである。

しかし残念ながら、その意味を勘違いしている企業、健常者が、
まだまだ非常に多い。
日本政府は2014年1月に、国として国連・障害者権利条約
を批准した。
だが「その努力はまだまだ足らない」というほかにないであろう。



>「稼働率が低くなる理由は、身体障害者があまり町を出歩か
ないからであり、出歩かない理由はバリアフリー化が進んで
いないからだ。」



稼働率が低くなってしまう理由は勿論、これだけではない。
例えば、障害者の今の経済力もある。
障害者の雇用率の低さに現れているように、働く機会が
著しく損なわれていたり、働けても収入格差がある状態だと、
利用者は減るであろう。
つまり、中島氏が『障害者の経済学』を著したように、
社会全体に広がっている、無数の差別と格差が、最終的に
障害者を排除した社会にも、ツケとしてきているのだ。

当ブログのカテゴリ『就労前の聴覚障害者問題A』には、
障害者雇用枠の求人票を多数載せてある。
ここでは聴覚障害者が就労可能でありそうな企業から
チョイスしたが、車椅子障害者等、他の障害者も応募したい
と思っても、【障害者設備状況】を見て、結局諦めてしまう人
は多いだろう。
ここでも、バリアフリーが進んでいないことが最大要因として、
就労機会と経済力の制限に関係していることがわかる。



>「配慮のコストを高くしているのはJRに加え神奈川県民の
バリアフリーに対する意識の低さなのである。」


言っちゃったねぇ、これ。
マイノリティの障害者は、神奈川県民を敵に回してまで、
これを言えない。
言ったら、袋叩きに遭うだろうから。
結果、障害者は我慢していて、
出歩くこともできなくなっているわけだ。


>「レストランが入店を拒否した理由は、乙武氏が車椅子
利用者であることを告げずに予約していたため、その場で
同氏を車椅子ごと抱えて階段を上がるために店の人員を
割けなかったこととされている。」



実際は「車椅子ごと」を要望したのではなく

「乙武氏だけを階上まで運んでほしい」

という要望だった。

「彼女はホールスタッフの男性にこちらの事情を伝え、
階下で待つ僕の体だけを店内まで抱えてもらうことが
できないかと頼んでくれた。」

『乙武氏がレストランで入店拒否されたことで…。』
〔2013-05-21 23:08〕

より引用。)



>「身体障害者へのサービスを優先させ、その間、
フロアのサービスが止まったとしても構わない、
それで料理の出るのが遅くなってもいいと思う客が
多ければ、店主は車椅子を上げることに何のためらい
もなかったはずだ。」


実際には、そういう議論をして決めるわけには
いかないはずだ。
この店は食べログなどで一定の評価を得ていて、
それを見て来店している客が多いはずだ。
一定水準以上のサービス、料理を提供しなければ、
店の評判は一気に落ちてしまい、死活問題となる
だろう。

ただ、外国の例で、似たようなことで実験した結果
がある。
ダウン症の障害者をスーパーで働かせてみた実験だ。


『『あなたならどうする? ~スーパーの障害者差別~』』
〔2014-12-13 18:30〕




障害者雇用に協力的な人もいるが、中にはそうでない
人もいる。
そういう人が、世の中にはいるものだ。
実際は、ほとんどの健常者は、傍観者だろう。

そこで論点になるのは

「『障害者の経済学」の観点で、障害者を働かせたことが
問題だったのか?」

それとも

「それにそこまで文句を言う健常者のほうが、
問題なのか?」

ということだろう。

文句を言う健常者の気持ちも、全く理解できないわけではない。
もし、障害者がやると仕事が本当に遅いのならば。
いや、店員が障害者であると、ないとに関わらず、
少なくとも“こういう人”ならば、店員の仕事ぶりが遅ければ、
誰だって文句を言いたくなるだろう。

ではこの問題は、障害が原因ではないというのだろうか。

『ジャッキー・ロビンソン・デー』では、肌の色が違うという理由
だけで差別が行われていた。


『『ジャッキー・ロビンソン・デー』』
〔2015-04-23 19:00〕



この場合は、平等に能力を競わせることによって解決できる。

ところが、障害者問題の場合は、そう簡単にはいかない。
健常者が「ハンディキャップ」と呼ぶものが存在するからだ。
このハンディがある限り、同じ条件で競わせても、
公平・平等な競争にはなりっこない。

では、だからといって、障害者にハンディを埋める福祉的支援
を公費派遣でして、そして競争させれば、今度はそれに不満を
持つ健常者もいるだろう。
企業で働く聴覚障害者に情報保障がないのも、
この理由がありそうだ。
しかしだからといって、このまま放置していては、聴覚障害者は
向上することが難しい。

結局、どちらを取ったほうが社会全体の利益につながるのかが、
焦点になると思われるのだが。

残念ながら、そこもまだ、日本は冷静になって考えるまでに
いたっていない。
その結果が、障害者使い捨て雇用を延々と続けることによる、
助成金繰り返し受給なのだろう。

企業は

「仕事を任せられる障害者がいないから」

と言っているが、実態を暴露するなら、それは全面的に正しい
わけではない。
企業は、助成金受給がやめられない、いわゆる“助成金中毒者”
になっているのだ。
こっちの金食い虫のほうが、もっと問題ではないだろうか。



『助成金が社会を腐らせる』
〔2015-03-01 18:30〕




『障害者雇用ビジネスは存在するか?』
〔2015-04-11 18:30〕

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by bunbun6610 | 2015-05-01 18:30 | 障害者の経済学

『ジャッキー・ロビンソン・デー』

啓発誌『働く広場』
(独立行政法人 高齢・障害・求職者
雇用支援機構/発行)




『働く広場』(2015年1月号)

エッセイ第1回
『ジャッキー・ロビンソン・デー』

中島隆信/なかじま たかのぶ
慶應義塾大学商学部教授。専門は応用経済学。
1960年生まれ。
1983年慶應義塾大学経済学部卒業、
2001年より同大学商学部教授。
同年、慶應義塾大学博士(商学)取得。
2007年より内閣府大臣官房統計委員会担当室長
を約2年間務める。
経済学とは一見縁遠いと思われる対象を経済学の視点
から一般向けに論じた著書多数。
また、大相撲にも造詣(ぞうけい)が深く、日本相撲協会
「ガバナンスの整備に関する独立委員会」では、副座長
として相撲協会改革案について意見書を取りまとめた。




2013(平成25)年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進
に関する法律(いわゆる障害者差別解消法)」が制定された。
施行は2016年4月の予定である。

すでに国連では、2006年に「障害者の権利に関する条約
(いわゆる障害者権利条約)」が採択されていて、その翌年に
日本も署名は済ませていた。
約7年のタイムラグがあったとはいえ、差別解消法が制定された
ことで、日本も昨年の初めに同条約を批准することができた。

この一連の政府の活動の成果に関しては、評価に値すると
いえるだろう。

ただ、法律さえ作れば万事うまくいくというほど差別の問題は
単純ではない。むしろ、法律ができたことにより、その解釈を
めぐって争いが起きることも予想されるし、なによりこの法律
にいかに魂を入れるかという点にこそ私たちの叡智(えいち)
が求められている。

そこでこの連載では、こうした一連の動きをふまえ、差別に
ついて考察してみることにしたい。

* * *

米国のメジャーリーグでは、毎年4月15日にすべての選手たち
が背番号42のユニホームを身につけて試合を行うことが慣例
となっている。

1947年のこの日、ジャッキー・ロビンソンという黒人選手が
メジャー開幕戦のグラウンドに立った。
このことを記念し、同日は「ジャッキー・ロビンソン・デー」と呼ばれ
ているのである。

当時の米国は悪名高い人種隔離政策が各所に色濃く残っており、
プロスポーツの世界も例外ではなかった。
実際、野球でも、メジャーリーグとは別にアフリカ系アメリカ人選手
だけで構成される「ニグロリーグ」なるものが存在していて、
両者は別個に活動していた。
ニグロリーグで頭角を現したロビンソンは、メジャー球団の
ブルックリン・ドジャーズのリッキー会長から入団の誘いを受け、
傘下のAAA球団に入ることとなった。
そこでもすばらしい成績を残したロビンソンはついに1947年
メジャー昇格を果たすのである。

そこで彼を待っていたのは、激しい人種差別であった。
ロビンソンが出場する試合をボイコットしようとする球団はもちろん
のこと、一緒に練習したりプレーしたりするのを嫌がるチームメート
まで現れた。

こうした吹き荒れる差別の嵐を沈静化させたのは、試合における
彼の活躍だった。
だれも文句のつけようのない成績は監督をして

「選手の肌が黄色であろうと黒であろうと構わない。
優秀な選手であれば使う。
(この方針に)反対する者はチームを出て行ってほしい」

といわしめたのだ。

* * *

1992年のノーベル経済学賞受賞者で、昨年5月に逝去した
ゲーリー・ベッカーという経済学者は、こうした人種差別のことを

「偏見に基づき利益を犠牲にする行為」

と定義した。
つまり、ロビンソンのような優秀な選手を「黒人は嫌い」という
偏見からメジャーに昇格させないのは

「もし彼らを起用していたら得られたはずの勝利」

を犠牲にしているという解釈である。

この手の差別をなくすにはどうすればいいのだろうか。
その疑問に対してベッカーは

「競争させればいい」

といった。
偏見が幅を利かす原因はそれだけ余裕があるからで、
本気で競争していれば能力重視になるのは当たり前だ
という。

たしかに、試合に勝ち、好成績を挙げ、観客動員数を
増やすことを目指してメジャー球団が競争しているなら、
「肌の色」などにこだわっていられないはずだ。

「優秀な選手であれば使う」

のは当然の結果ともいえるだろう。

「女性が管理職になるのは気に食わない」

などという理由から女性を登用しない企業は、厳しい競争
に生き残れないはずだからだ。

世の中に存在する差別がすべてこの「ベッカー型」ならば、
社会をもっと競争的にすればいいだけなので差別解消法は
いらないだろう。
つまり、このような法律ができた背景には、これとは異なる
差別も存在していることになる。
それについては次回に考えてみることにしよう。(つづく)



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〔関連情報〕

『『障害者の経済学』(中島隆信/著)』
〔2011-05-14 21:46〕





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『壮絶な人種差別を乗り越えたジャッキー・ロビンソン
を知っているか?』
〔ScoopieNews
2014年4月16日 11時35分
(2014年4月21日 14時08分 更新)〕




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http://www.excite.co.jp/News/travel/20150412/Japan_arukikata_8997.html



『ジャッキー・ロビンソン・デーを
記念し、42円でホットドッグを提供』


〔日本の歩き方
2015年4月12日 09時00分
(2015年4月22日 04時10分 更新)〕


オーダーメイドの旅を提供するトラベル・コンシェルジュ・カンパニー、
株式会社 旅工房は、ニューヨークのブルックリンをモチーフとした旅
の相談ができるカフェ・バー
BROOKLYN MILLS by TABIKOBO
にて、ジャッキー.・ロビンソン・デーである4月15日(水)にホットドッグ
「ブルックリンドッグ」をジャッキー・ロビンソンの背番号42にちなみ
42円で提供する。

ジャッキー・ロビンソンは、ブルックリン・ドジャースで活躍した黒人初
のメジャーリーガー。
彼のメジャーデビュー50年目にあたる1997年4月15日、彼の背番
号42番はメジャーリーグ(以下「MLB」)すべての球団で永久欠番と
なった。
またMLBは2004年4月15日、この日をジャッキー・ロビンソン・デー
と制定した。
毎年4月15日は、人種差別の撤廃に大きな影響を与えたジャッキー
・ロビンソンを称えMLBの選手全員が背番号42のユニフォームを
着て試合に参加する。

世界平和への貢献を企業理念に掲げる旅工房では、ジャッキー
・ロビンソンに敬意を表し、 BROOKLYN MILLS by TABIKOBO
にて4月15日(水)に特別イベントを開催する。
ジャッキー・ロビンソンの背番号42にちなみ、この日限定販売の
42円でホットドッグ「ブルックリンドッグ」を提供する。時間は12時
から17時まで、テイクアウトのみの300食限定。

また、店内にてジャッキー・ロビンソン基金への募金活動も実施
する。
ホットドックの売上げおよび集まった募金は、優秀なマイノリティー
の若者に奨学金を交付する「ジャッキー・ロビンソン基金」に全額
寄付する。

◇日時
2015 年4月15日(水) 12時から17時
◇場所
BROOKLYN MILLS by TABIKOBO
(東京都豊島区南池袋2-22-1 第3高村ビル 1F)
◇内容
ホットドッグ「ブルックリンドッグ」を42円で提供
(300食限定/テイクアウトのみ)
店内にてジャッキー・ロビンソン基金への募金箱設置

(日本の歩き方/WEB編集局)
BROOKLYN MILLS by TABIKOBO
■住所:東京都豊島区南池袋2-22-1
 第3高村ビル 1F (池袋駅東口から徒歩5分)
■営業時間:11:00~23:00(L.O. 22:30)
■HP:BROOKLYN MILLS by TABIKOBO



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by bunbun6610 | 2015-04-23 19:00 | 障害者の経済学

障害者の法定雇用率 - 日本は最低の2%。それでも未だに未達成。

『障害者の法定雇用率
 - 日本は最低の2%。それでも未だに未達成。』


『日本の超恩恵型障害者福祉施策と、
障害者の雇用率』
〔2011-07-03 09:22〕



1.8%時代も含めて30年以上、一度も達成したとこがない。
それでも日本政府は放置したままだ。


企業は障害者使い捨てで、助成金繰り返し受給を
続けている。
助成金の取り放題なのである。
雇用率は上がらないのに、国の支出ばかり増えて
しまっているのだろうか?

それを、ハローワークも黙認している。


『会社面接で『雇止め』の理由説明をどうするか?
(ハローワークで)』
〔2015-04-09 18:30〕





なぜ、下の記事のようなことがあるのか、
これでわかっただろう。


『身体障害者手帳のない聴覚障害者(難聴者)は、
どうやって就職するのか?』
〔2013-01-16 18:00〕




企業が障害者手帳に関心を持っているのは、
要するに障害者雇用助成金が欲しいから
なのである。
今の障害者雇用助成金制度が、就職弱者
への差別も招いているのだ。

だから、障害者手帳のない障害者は、
障害者枠には応募できない。



それに、国が企業に助成金や、障害者に失業給付
や福祉金ばかり払っているだけだったら、
この国の財政は一体、どうなってしまうんだ?

それでも、障害者は働かせないほうがいいのだろうか?


小山内美智子氏の言葉(※1)を思い出せ。


(※1)
『『車椅子からウィンク 脳性マヒのママがつづる愛と性』(1/2)』
〔2013-09-16 18:00〕





『花燃ゆ』の高杉晋作の言葉(※2)を思い出せ。


(※2)
『花燃ゆ - 第9話 『高杉晋作、参上』』
〔2015-03-08 13:30〕



このままでは、日本は腐るぞ。
沈没するぞ。


『障害者雇用助成金は、雇用する企業へのご褒美?』
〔2011-08-20 23:54〕




『助成金が社会を腐らせる』
〔2015-03-01 18:30〕





今度こそ、『障害者の経済学』を真剣に考えよう
ではないか。
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by bunbun6610 | 2015-04-10 18:30 | 障害者の経済学

助成金が社会を腐らせる

『助成金が社会を腐らせる』

『就職祝い金を獲る“小技”』

『失業給付の受給期間中に就職祝い金
をもらう“小技”になるか』



就職祝い金とは、正式には「再就職手当」(※1)
呼ばれる給付のようだ。


(※1)
『就職促進給付』
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_stepup.html




失業手当をもらっている期間に、再就職が決まると、
残りの失業給付はどうなるのか?

「再就職が早く決まった人の方が損して
しまうのでは?」

と思う人もいるかもしれない。
しかし、そんなことはないようにと、再就職手当という
ものがある。
私も、過去にもらったことがある。
額はその人によりまちまちだが、前職で長く勤めていた
人ほど、大きな金額になる。

「企業が助成金の対象になる障害者を食い物にしている」

というのなら、障害者もこの制度を逆手に取って
みたらどうだろうか。


例えば、会社から一方的に雇止めをされてしまった
場合は、「会社都合での退職」があると思う。
この場合は、退職した日から、だいたい翌月から
失業給付がもらえる。

受給期間は在籍期間にもよるが、雇用保険の加入期間
(※2)
が12か月以上あれば、
障害者の場合は360日まで
(ただし「最長で」である)
失業給付がもらえるのだ。


(※2)
『基本手当の受給要件』
http://www13.plala.or.jp/S-Kawamura/jimu/kihonteate.html


雇用保険の加入期間である。
雇用期間ではないことに注意。

原則として、雇用保険の適用範囲になる労働者を
雇用した場合は、事業所が雇用した日から労働者
を雇用保険に加入させなければならない。
しかし、これに違反している企業は少なくない。
特に、飲食業界では、試用期間は一切の保険に
加入させないのが当たり前になっている。




1箇所の会社での雇用保険加入期間が12か月未満
でも、他の会社で、過去に失業給付をもらっていない
加入期間があれば、その分も加入期間を合算できる。

だから、どんな場合でも、会社を退職する場合は必ず、
それぞれの会社から『離職票』をもらうことを忘れない
ようにしたい。

万一、会社とトラブルになっても、円満退社とまでは
いかなくても、揉め事にはならないようにしたほうが
いい。

それでももし、紛争になるようだったら、まず事業所の
管轄地にある労働基準監督署へ行って仲介に入って
もらい、解決を図る。
それでもダメだったら、労働局に行って相談する
(労働裁判の検討)ことになったりと、
えらく面倒なことになってしまう。

法律上は労働者の権利は守られるが、
やはり面倒なことを避けたほうがいいので、
「許せない」と思ってもカッとならず、
さっさと諦めたほうが利口なのかもしれない。
本意でなく、残念なことだが。


本題の“小技”について話すが、その肝心な点は、
まず失業給付の受給期間(離職の日の翌日から1年間
に突入することである。
失業したら、とにかく早く申請し、失業認定を
受けることだ。
受給期間に入っただけでは、失業給付は
もらえないのだ。

失業給付をもらうには、先に述べたように、
離職票が要る。
だから、会社と揉め事にならないほうが
早く申請できて、給付金も早くもらえるのだ。

障害者の受給期間は、最長で360日もあるが、
離職票のトラブルで申請が遅れればそれだけ、
減ってしまうのである。
申請が遅れて給付期間が減れば、
給付日数が残っていても、
その分はパーになってしまうのである。
つまり、それだけ受給総額も減ってしまうことになる。

申請すると、国は失業者の生活を守り、再就職までの
支援として、失業給付を与える。
しかし国は、本当はこうしたくはないのである。

中には、失業給付が切れるまで再就職しない、
という人もいるだろう。
そして、カネがなくなったら生活保護へ突入する方法
もある。

だから国は、そうしたことを防ぐために、再就職手当などを
用意しているのである。
こういうニンジンを、受給者の前にぶら下げて、
失業者に早期再就職を促している。
下手すると再就職はできても“失敗続き”の地獄にはまるが。

障害者に限ったことではないが、要するに、特定求職者
雇用開発助成金の対象者は、助成金が切れたら『雇止め』
(勿論、本当は「会社都合」理由であるが)にされるケースが、
かなりある。
その場合、企業はその予告通知をして

「今のうちに次の仕事を探しなさい」

「残りの在職期間は、もう会社に来なくて良いから、
早く転職先を見つけなさい」

などと言う。

これは無責任なことではあるが、もはや、どこの企業でも
やっている“小技”であるから、仕方がない。

障害者も、そんな会社に愛想を尽かして

「会社でもめているより、早く新しい会社を見つけた
ほうが・・・」

と思うものだ。

だが、ちょっと待て。
そんな虚しい努力をするより、ここで、先に述べたハロー
ワークの就職祝い金を狙ったほうが利口ではないか。

(ただし、もらう条件がある。
例えば、
「過去3年間に再就職祝い金をもらっていなければ」
といった条件がある。)

この額は大きい。
逆に、デメリットとしては、このお金をもらってしまったら、
次の就職先で2ヵ月とかで辞めたとしても、
失業給付は出ない可能性が高い。(※3)

例えば、やむなく就職したが、そこもブラック企業で
仕事がしんどく、自分にも障害がある障害者だと、
相当の我慢を強いられるだろう。


(※3)『基本手当の受給要件
http://www13.plala.or.jp/S-Kawamura/jimu/kihonteate.html


障害者雇用の場合は、ほとんどの会社の求人票には
「試用期間あり」と書いてある。
その期間も、多くは「2,3カ月」だが、中には「1カ月」とか
「6カ月」というのもある。
注意すべきなのが、ここだろう。

特に飲食業界の場合は前述したように、
試用期間の間は雇用保険に加入させていない
事業所が多い。
(勿論、これは企業側の違反である)

だが、失業給付の受給期間に再就職が決まっても、
この条件は変わらない。
とにかく、どうせならば、額の大きい就職祝い金を
もらえるように、自分で再就職計画をつくり、
その通りにやれば、このカネは手に入る。

そこで、転職活動中に企業に

「いつから働けますか?」

と聞かれた場合にも

「今の会社を辞めた後に」

なんて正直に言わず

「●月×日からならば、働けます」

と、ごまかすのである。
その空けた期間に、失業認定を受ければ
いいのだ。
その後の再就職ということにすれば、
就職祝い金はもらえる。


会社面接では、転職理由を

「実は、今の会社からは

『ウチとしては、これ以上の契約更新は
できませんので、今のうちに転職先を探しなさい』

と言われたのです」

と言えばいい。
障害者の雇止めなんて、どこの会社もやって
いるのだから、これはどこでも信用する。
雇止めなら、すぐに失業認定は受けられる。
だから企業側も、助成金のことはすぐ頭に浮かぶ
ことだろう。
向こうは喜んでシッポを振るに違いない。
自分もカモにされるが、再就職を少し延ばせば、
就職祝い金がつくのだ。
会社のほうも、助成金がもらえる。

だからこうしたほうが、お互いにとってプラス
になるのだ。
その代わり、国の財政はどんどん悪くなる
だろうが・・・。


失業給付の受給期間に突入した後ならば、
企業も雇用助成金をアテにできるのだから、
本気で「獲りたい」と思うので就職が楽になる。
さらに、就職祝い金まで獲れる。

これは一石二鳥のアイデアだし、やっている
人もかなりいるのではないだろうか。

企業が助成金繰り返し受給をやっていれば、
労働者・求職者もこれを繰り返すだけで、
あとはクビにならない程度に働くだけなのが、
今の労働社会での生き方なのかもしれない。



『障害者の就労と障害者雇用助成金
 - 入社日をずらすテクニック』
〔2015-02-25 21:46〕

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by bunbun6610 | 2015-03-01 18:30 | 障害者の経済学

『障害者雇用の配慮とは何か・・・』

http://blogs.yahoo.co.jp/uchayamamingkun2000/archive/2012/06/07



炎のジョブコーチ
『障害者雇用の配慮とは何か・・・』
〔2012/6/7(木) 午前 0:30〕


権利条約批准に向けて雇用面における「合理的配慮」という
新たな考え方が入ってきます。
でも、いろいろな企業を訪問し、配慮ってなんだろうと思う
ことがあります。
「配慮」には企業の中でも支援者の中にも温度差がある
ように思います。

例えば、その人がすぐに出来る仕事を用意することは
はたして「配慮」でしょうか。

どうもこのレベルが「配慮」であると考えられている傾向が
あります。
仕事の本質からするとちょっと違うように思います。

実はこのような配慮はあまり継続雇用はうまくいっていない
気がします。
むしろ配慮なしで時には注意されながら、時にはほめられ
ながら成長し、出来ないことが出来るようになる。
そんなごく普通の職場で成長していく姿があることが
継続雇用はうまくいっているように思います。

仕事の内容よりは「教え上手」なほうが本来の「配慮」かと
思います。

さらにいうと、能力の評価、育成、能力開発、その他の処遇
について「配慮」されているかが本質のように思います。
2.0時代を前にして「配慮」をもう一度考えてみることが
必要かもしれません。
「合理的配慮」は、それぞれの国ごとに解釈され批准されて
いるようです。
我が国に相応しい「合理的配慮」をつくりだしたいですね。



===============================





日本の障害者雇用には「特別扱い」というものは
あっても、「合理的配慮」というものには、
滅多にお目にかかれないようだ。

なぜだかはわからないが。

「障害者雇用で与えられる仕事というのは、
どうしてこんなにレベルの低い仕事ばかり
なのだろうか」

と思うことが常である。

そして、これには常に


「これは本当に配慮か? それとも差別か?」

という疑問を、働く障害者の中に生み出す。
仕事中に悩んでしまい、かえってやる気を
失くすこともしばしばである。
ノイローゼ状態になってしまい、全然仕事に
手がつかなくなってしまったこともある。

配慮だとしたら残念ながら、逆効果になっている。
差別だとしたら、当然の結果である。

誰も本気で、そんな下らない仕事をやりはしない。



障害者雇用とは、言い換えてみれば
「特別枠」なのだ。
だから「障害者雇用枠」と言う。
そこに甘えざるをえなくなる障害者が、
たくさんできてしまう。

こんなことをする国の将来は当然、真っ暗だ。
だから『障害者の経済学』も重要戦略なのだ。


「合理的配慮」いや「特別扱い」として、よくあるのが、
下の記事にある「スモールステップ」だろう。

『障害者雇用に合わせた“仕事を切り出す”ということ』
〔2014-09-30 18:30〕



そして、その結果が、下の通りなのである。


『障害者雇用 - 就労後の障害者の、それぞれの思い』
〔2014-09-22 18:30〕




では、どうすればいいのか。


本当の「合理的配慮」というのは、例えば

聴覚障害者に情報保障や通訳者を用意したり(※1)

車椅子障害者等のタクシー通勤を認める(※2)

などを行うことではないだろうか。


(※1)
『トランスコスモス株式会社の障害者雇用
 - 手話などによる、聴覚障害への配慮例』
〔2014-08-12 18:30〕




(※2)
『『合理的配慮、視覚障害のある人のタクシー通勤!』』
〔2014-10-26 18:30〕





助成金を企業の懐に入れてしまうだけなんて、
時代錯誤も甚だしい。


『障害者雇用助成金は、雇用する企業へのご褒美?』
〔2011-08-20 23:54〕




炎のジョブコーチ
『補助金が障害者雇用をダメにする』
〔2010/4/16(金) 午前 0:57〕



>「50万円が出なくなると、その時点で終わりになります。」




障害者に有期雇用契約の利点を使い
「雇止め」させ、また新たな障害者を雇えば、
また新たな助成金が企業に入る。
麻薬のように、それがやめられなくなって
いるのだ。


『職場内障害者授産施設 (12)タライ回しされる障害者』
〔2013-10-25 18:00〕



『『障害者雇用助成金の不正受給になりませんか?』 』
〔2013-11-16 08:24〕






【追記】(2015年1月18日)


松森果林UD劇場~聞こえない世界に移住して~
『年頭の社長説示に手話通訳』
〔2015-01-06〕

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by bunbun6610 | 2014-12-17 18:30 | 障害者の経済学

『合理的配慮、視覚障害のある人のタクシー通勤!』

国務大臣 地方創生・国家戦略特別区域担当

 石破 茂 様



=============================

http://blogs.yahoo.co.jp/uchayamamingkun2000/archive/2014/02/27

炎のジョブコーチ
『合理的配慮、視覚障害のある人のタクシー通勤!』
〔2014/2/27(木) 午前 0:17〕


改正障害者雇用促進法における合理的配慮の提供に
関する研究会でのヒアリングの議事録を見て、視覚障害
のある団体から通勤にタクシーが使えたなら働ける人も
多い…という意見がありました。
もちろん、交通機関の乏しい地方の話ですが、確かに、
バスの路線がない、あっても本数が極めて少ない、
バス停から会社まで遠いなど、通勤の問題さえクリア
できれば働くことができるとすると、これは合理的配慮
だと思われます。
もちろん、会社が負担するのなく公的な支援だと思います
が、みなさんはどうお考えですか。
通勤にタクシー、贅沢? とビックリするかもしれませんが。

社会会計みたいな発想で見てみると、
例えば、働けば、本人の生産、消費、納税。
さらに、在宅でいるよりも健康でしょう、間接的に医療費も
関係するかもしれません。
65歳まで働き続けたら介護費用にも関係するかもしれません。
さらに一人の人の生き生きとした人生を生み出しています。
もっと言えば、タクシーは地域の経済に良い影響です。
シニアの方が送迎員をすれば、高齢者の雇用の場の創出
になるかもしれません。
障害者施設も送迎がありますから、タクシー通勤も「贅沢」
ではないですよね。

納付金の対象が平成27年より従業員100人を超える企業
に拡大されます。
納付金が増えると効果の薄いナゾの助成金制度が出来たり
しますが、本当に効果のあるツボな助成制度を作ってほしい
と思います。
この視覚障害のある人のタクシー通勤の助成はおもしろいと
思います。
通常の交通機関を使った額が会社自己負担分で残りは
納付金から助成というのはありだと思います。

いかがですか。



=============================




視覚障害者や、車椅子障害者には、通勤の問題もある。
遠距離だったり、途中に危険なところがあったりすると、
他はよい条件の求人票を見つけても、応募を諦めたり
してしまうだろう。

ただでさえ求人票を探すのが困難だというのに、
たったそれだけで仕事に就くチャンスがさらに減る。
それどころか、就職できなくなってしまうケースは、
聴覚障害者の不利と同様に多いと思う。

しかし、物理的なバリア解決は、そんなに難しくは
ないはずだ。

そういう地域だったら、制度を少し工夫することに
よって、タクシー業界から始まり、街の商店街など
の経済効果やら、地域活性化も少しずつ期待できる
ようになるのではないだろうか。
障害者が経済力を持つことによって、いろいろな
ことが変わる。
(詳細は当ブログ・カテゴリー『障害者の経済学』参照。)


地方では、マイクロバスで社員を送迎している
事業所も多いと思う。
最近、地方創生が言われているが、
地方経済の活性化と障害者雇用施策をコラボレート
すれば、相乗効果になると思う。

人口は今すぐには増えないが、この方法だったら、
いろいろな相乗効果がすぐに生まれると思う。

ただし、企業は喜ばないと思う。
助成金が障害者のために遣われてしまうのなら、
その対象の障害者は雇わなくなってしまうだろう。

ADA法のあるアメリカでも、合理的配慮は
障害者雇用率の向上に貢献しなかったそうだ。

なぜ聴覚障害者の雇用率が高いのか。
それも知れば、企業の本音がわかる。
企業は

「聴覚障害者ならば、何も配慮をしなくていい」

と考えていたからである。
障害者雇用助成金を丸々、懐に入れることが
出来たからだ。
だから当然、設備改良をしなければならない
障害者は雇わなくなっていた。
それで、聴覚障害者を優先的に雇用していたのだ。
もし、聴覚障害者も合理的配慮として手話通訳を
要望すれば、会社は聴覚障害者を雇わなくなって
しまう。
これが、合理的配慮と障害者雇用率の、
偽らざる関係である。

残念ながら、企業にとっての“短期的経済学”と、
障害者及び社会全体にとっての“長期的経済学”は
反目し合っているものだ。


『障害者雇用助成金は、雇用する企業へのご褒美?』
〔2011-08-20 23:54〕



『障害者雇用助成金と合理的配慮の関係は?』
〔2014-04-15 18:30〕


『障害者雇用助成金の不正受給になりませんか?』
〔2013-11-16 08:24〕



人事労務コンサルタントmayamaの視点
『解雇・会社都合退職と助成金の不支給』
〔2012-03-23〕



視覚障害者や車椅子障害者の雇用率ダウンを
防ぐには、タクシーは別の助成金にするしかない。


>「通常の交通機関を使った額が会社自己負担分で、
残りは納付金から助成というのはありだと思います。」


これはこれで運用して、それに充てるお金として、
新たに「タクシー助成金」という助成制度をつくれば
いいのではないだろうか。

議会の予算案で反対派が出るかもしれないが、
国連・障害者権利条約の実質的批准に向けて、
政府としては必要なのではないか、と思う。

同時にご褒美的にあげている企業への「助成金」は、
変えていくことも必要だろう。
合理的配慮はやはり、企業と公金の両方で実現され
なければ、立ち行かないのだと思う。
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by bunbun6610 | 2014-10-26 18:30 | 障害者の経済学

『障害の経済学 ― 共生の社会をめざす新しい理念の構築に向けて―』

『障害の経済学 
 ― 共生の社会をめざす新しい理念の構築に向けて―』





「私は以前デンマークに住んでいたのですが、
毎年1回、大規模な福祉機器展が開かれていました。

私も何回が足を運びましたが、そのたびに他の国の
人から日本ではこのような機器展をやっていないのか
と聞かれました。

十数年前、日本ではこのようなイベントはありません
でした。
そのときは漠然と需要がないから、と考えていました
が、その後、日本の社会は需要がないのではなくて、
需要をつくりださないのだということに気がつきました。

障害者を外に出さない、押し込める発想が強かったから
でしょう。

ヨーロッパなどでは、障害者も能力があればその力を
発揮して社会に進出していく、そのためには人的介護
も必要だが福祉機器用具が必要であるから、北欧など
では福祉機器業が産業として成り立つのです。

これは日本でも可能なはずです。

そういった意味で障害の経済学は成り立ちうるし、
成り立たせなければならないものです。

そうなれば社会保障費用の問題もありますが、まず
能力のある者は外に出て自立し働く、それでこそ本当
の福祉国家となれるのではないでしょうか。」(渡辺)



======================================

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by bunbun6610 | 2014-03-24 18:30 | 障害者の経済学

障害年金制度と障害者支援制度を見直しする必要性

当ブログ・カテゴリー『障害者の経済学』に述べている
問題点をなくし、障害者の社会参加、そして労働力
としても生かすには、障害年金制度と障害者支援制度
を見直しする必要があると思います。

障害者といえども、国民は労働をし、税金を納め、
社会の経済を支える義務があると思います。



私はBさん(脳性マヒ障害2級)と少し話しました。

私;「君は、いつから障害者になったの?
障害者手帳は何級なの?
障害年金はもらっている?」

Bさん;「えーと、いつからだっけ?
3歳頃のときに手帳を取得した。
等級は覚えていない。
障害年金はもらっていないです」

私;「えっ?! 自分の障害の等級もわからないの?」


Bさんは、自分のカバンの中を探して、障害者手帳を出した。
そこに書いてあるのは「2級」だという。
障害名は「脳性マヒ障害」だけだった。


だが、障害名がこれだけではおかしい。
等級もおかしいかもしれない。
手帳の記述は、3歳のときの診断結果で決めたわけだから、
今の他の重複障害も調べたら、Bさんの場合、
もしかすると合わせて1級になるかもしれない。

そこで、私は言った。

私;「私も2級。君と同じだよ。
障害者手帳の等級と、障害年金の等級は違うが、2級は
重度の障害者に与えられる等級。
私が障害年金をもらっているのに、君がもらっていないのは
おかしいだろう。
知っている人にも、脳梗塞が原因で半身マヒになった人がいます。
その人は君よりも障害が軽いのに、障害年金1級です。(※)
その人がもらっていて、君がもらえないのはおかしいよ。

これを見てごらん。
こういうので調べて、自分の障害では本当に障害年金が
もらえないのか、調べてみたら?
君の場合は生まれつきのようだから、障害基礎年金だよ。
これは、初診日から遠くなればなるほど、申請が難しくなって
いくようだから、早く調べたほうがいいよ」



(※)この人は、ある会社で一緒に働いていた元健常者です。
「右手の握力が5キロしかない」という障害情況でしたが、
仕事はできる人でした。
筆記ができ、軽いものならば持ち運ぶこともできます。
左手はもちろん使えます。
足も少し不自由になっていましたが、見た目には普通の人と
ほぼ同じように歩いている人です。

この人は、働いている間に障害年金の申請作業をこなして
いましたが、受給が決まった直後、退職しました。

「もう大丈夫だから、働かない」

と言っていたし、

「今後は、障害年金と株のトレードで生活する」

と言っていました。
健常者だったその人は、株をやれるほどの資産家でも
あったのです。
このような障害者(元健常者)は、頭の良い人も多い。
この人が障害年金のことも自分で調べて申請するのは、
楽にできたと思われる。

ところが、Bさんの場合は、自身に知的障害もあるようで、
難しいことはわからないらしい。
しかも本人は、それにさえ気づいていないようだ。
このような重複障害者は、親に利用されている可能性もありうる、
と思えなくもない。





Bさん;「・・・」(無言の表情で、興味なさそうだった)

私がそのときに、Bさんに見せたインターネット情報は、下の情報です。

「脳性麻痺」成功のルール



そこには

>「手帳2級→障害年金2級の可能性が!」


という記述があります。

ということは、Bさんも受給資格を有している可能性がある、
ということです。

Bさんの親は、Bさんがまだ3歳頃のときに、障害者手帳を取得
させたのだから、障害が重いということはわかっていたと思う。
それならば障害年金のことも知らないはずはなかったのではない
だろうか。
この点、不思議に思う。
本人でさえ、なぜ知らないのだろうか。

Bさんは親の家で、一緒に暮らしています。
それでとは言いませんが、自立できていません。
私から見れば「精神的な自立ができていない」と見えるのです。


次の二つの記事はいずれも、親兄弟が障害を持つ者の障害年金を
搾取していたという実例です。



(1)2011年5月にあった、福岡県のろう者裁判

   →西日本新聞の記事を引用して、後述。


(2)『『車椅子で夜明けのコーヒー 障害者の性』 2/2 ピア・カウンセリング』
   〔2013-08-26 18:00〕




これと同様である可能性が、Bさんにもあると思います。
小山内美智子さんの著書にも述べてあったように、親が死んだ後、
Bさんはどうやって生きていくのか、それを考えておくことが大事
だと思う。
もしかすると、Bさんも、Tさんと同じように

「兄弟か、兄弟もいなければ施設に入って、面倒を見てもらう」

つもりなのだろうか。
今の会社勤めはどうするのだろうか。

その問題を解決するには、障害年金のあり方についても、
再考すべきだと思う。
今までのように、障害年金を親に支給するだけでは、障害者は
自立できるとは限らない。
障害者に直接支給できたとしても、同じだ。
生活保護受給者と、大して変わらない情況だからだ。
障害者に必要なのは、お金ではない。

お金は働けば得られる。
しかし、お金を得られるようになるこには、支援がなくてはできない。
それは障害者に限ったことではない。
健常者だって、育てられて一人前になり、給料がもらえるように
なっていったはずだ。
社会には健常者用の、そういう仕組みが整っているのに、
障害者に対応した仕組みはつくっていない。
障害年金や障害者福祉を与えるだけで終わらせているのだ。

親が障害者を教育できる人ならば、親に任せでも安心だろうし、
それが理想だ。
しかし、そんな家庭ばかりではないのだ。
子供の障害年金をパチンコに遣ってしまうような親だったら、
誰だってダメだと思うだろう。
したがって、今後は、障害年金のあり方を見直しし、障害者支援の
方法を有効な手段に変えなければならないだろう。
それが政治と行政の責任だ。
それは、政治家や役所任せにするのではなく、障害者も一般の人も、
声を上げていかなければならないのだ。



===================================



障害理由に「刑猶予を」
 窃盗事件公判で弁護側
 福岡地裁


 =2011/05/24付 西日本新聞朝刊=


他人のアパートに侵入し現金を盗んだとして窃盗などの罪に
問われた福岡県内の男の被告(63)の初公判が23日、
福岡地裁(高原正良裁判官)であった。

被告は先天的に全く耳が聞こえず言葉も話せない障害があり、
過去にも同様の罪を繰り返して19回の有罪判決を受け、
20年以上も刑務所に入っている。
今回の事件の捜査で新たに軽度の知的障害があることも判明
した。深刻な障害がありながら、周囲の支援が不十分で服役を
繰り返す被告をどのように処遇するべきなのか。
判決は6月13日に言い渡される。

 起訴内容には争いがなく、検察側は

「障害を考慮しても前科が多い」

として懲役2年を求刑。
弁護側は

「被告は刑事司法と福祉のはざまでこぼれ落ちた。
社会内で生活するため最善の方法を検討すべきだ」

と執行猶予付きの判決を求め、結審した。

 被告は昨年9月に福岡市博多区のアパートに侵入、
現金3万円を盗んだとして、今年3月に起訴された。

 弁護側によると、被告は1人暮らし。別に暮らす家族にも障害
がある。
障害者の年金8万円を受給しているが、福祉サービスは受けて
いない。
金銭管理ができず、別居の弟に任せており、起訴された事件は
現金が手元になくなったため起こしたという。


 初公判は手話通訳人が被告にすべてのやりとりを訳す形で進行。
被告は起訴内容を認め、質問には

「被害者にお金を返さないといけないことは分かる」

「仕事がしたい」

と手話で述べた。
しかし時折、手話通訳人の手話をただ繰り返すだけで質問に
答えられず、審理が進まない場面もあった。

 検察側は、傘を使い鍵を外す手口などに触れ

「大胆で慣れた犯行。
相当期間刑務所に入所すべきだ」

と主張。

 弁護側は

「責任能力は欠如していないが、健常者と同じではない。
刑事施設での矯正は期待できず、福祉施設への入所が必要。
なぜ罪を繰り返すのか、社会全体で考える必要がある」

と訴えた。





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取材ノート:知的障害者の更生は
 /福岡


 「この法廷、見ませんか」。
先日、地裁の廊下で弁護士から声をかけられた。
窃盗などを重ね、服役19回、22年以上を刑務所で
過ごした初老の男が、空き巣の罪に問われている。
男は耳が聞こえず、話すこともできない。
知的障害も抱えていた。

 初公判は手話通訳を通じて進められた。
しかし男は通訳と同じ手話を繰り返すばかり。
起訴内容の確認や被告人質問など、裁判官や検察官
の言葉が手話で通訳されたが、その意味を理解している
のか疑問を感じた。

 今回の罪で検察は懲役2年を求刑した。
弁護士は

「収監してもまた罪を犯す。
(外の)授産施設で就労の場を見つけたい」

と執行猶予付き判決を求めた。
判決は来月13日。
知的障害者の更生という難題を自分も考えながら法廷に
足を運ぶつもりだ。
〔福岡都市圏版〕

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by bunbun6610 | 2013-10-21 18:30 | 障害者の経済学

無駄な雇用助成金の事業仕分けは当然

 →http://www.cao.go.jp/sasshin/shiwake3/details/pdf/1027/gijigaiyo/a-3.pdf


行政刷新会議ワーキンググループ
「事業仕分け」 WG-A
日 時:平成22 年10 月27 日(水)
項目番号:A-3
特別会計名:労働保険特別会計
項目名:雇用保険二事業②
(1)ジョブ・カード制度普及促進事業
(2)キャリア形成促進助成金(ジョブ・カード制度関連)
(3)介護雇用管理改善等対策費
(4)特定求職者雇用開発助成金
(5)若年者等正規雇用化特別奨励金
(6)職業能力開発校施設整備費等補助金
(7)離職者等の再就職に資する総合的な職業能力開発
プログラムの展開
内閣府 行政刷新会議事務局





>「正社員を希望しながらも正社員となることが困難な
年長フリーター等に対しまして、正規雇用に結び付けるための
支援は大変重要でございます。
フリーターは職業能力向上の機会が少なく、職務上必要な
スキルアップができない、低賃金のまま、有配偶率が低い
などの傾向がございまして、長期間フリーター状態である
ことは社会全体としての人的資本の蓄積の弱化、あるいは
若い人の所得低下を通じた少子化の加速、こういうものが
懸念されております。
しかし、このフリーター経験をマイナス評価する企業も多数
ございまして、また、フリーター期間が長いと正社員を希望
しても正社員となることが難しい状況でございます。」 (P5)



上のことは考えさせられます。
フリーター、ニート、ホームレス等増加問題を放置しておくと、
日本社会全体が弱化していくのは必至だと思う。
また障害者就労問題も、放置しておくのは経済的にも損失です。


ところで、ジョブカード制度とは何でしょう?
ハローワークの障害者枠求人票にはこの文字を見かけますが、
消し線が引かれている場合がほとんどなので、
ほとんど活用されていないのでしょう。

「実際、ジョブ・カードセンターの視察に行ってまいりましたら、
こういうジョブ・カード制度を活用してみませんかという企業向けの
パンフレットがあるんですが、このジョブ・カード制度の説明パンフレット
の中にジョブ・カードは1回も出てきません。
つまり、先ほども少しありましたけれども、これぐらいの助成金が
受けられて、儲かりますよとは書いていませんけれども、採用コストとか
訓練コストを抑えることができますと、企業向けの制度として、
もう正面から言うのであれば、それはそれで1つ意味があると思うんですが、
あくまで求職者の制度だと言いながら、事実上は雇用主、企業のための
支援制度になっているのではないかというところが、今、いろいろな疑問点
が先生方から示されましたけれども、本質的な問題なのではないかと思いますが、
いかがでしょうか。」(P13)


当ブログでも

『障害者雇用助成金は、雇用する企業へのご褒美?』
〔2011-08-20 23:54〕

という記事を載せていますが、やはりそんな制度のように思えてしまう点で、
疑問視されているのでしょうね。


さらに、次のような会社もあります。

当ブログ
『障害者雇用助成金を飲み代に遣ってしまう会社』
〔2012-02-21 20:05〕参照。



「リーマンショック後に障害者の雇用も非常に失われました。
正にこういう特定求職者を企業が雇うインセンティブをできるだけ
高めようということで、かなり条件もよくしたんですね。
条件をよくするということは予算額を増やすということになりました。

ただ、実際に動かしてみると景気が悪く、こういった助成金を設定しても
なかなか雇用が進まなかったと。
そうすると、予算額は増えたのにもかかわらず実績は落ちてしまったということで、
執行率が非常に落ちてしまった。」(P27)


何という無残な結果だろう。
これでは、事業仕分けに入るのは当然だと思う。
一番の問題は、企業が人的コスト削減策としてしか
この制度を利用しようとせず、
助成金を社会全般的に有効に活用しようとしないこと
ではないか、と思います。
本来、雇用を増やすための制度ですよね?

「企業は障害者を食い物にしている」も、このことです。
法定雇用率達成も、お金ではダメだと思います。
日本政府のやり方は甘い、と思う。


「例えば47 ページの若年者なんですが、本奨励金の支給申請を行った
事業者へのアンケートを調査し、「役だった」旨の評価が86%いると。
これを高らかにうたわれていますけれども、普通、お金をもらったら
役に立ったと思うわけで、逆に86%のうち100 になってない方々が役に
立ってないと思っている方々なわけですね。
そこが何を考えているのかが、先ほど石渡さんが言われた、助成金を渡した
ところで何も意味もないというところなんだと思うんです。」(P29)



「特定求職者雇用開発助成金」についても、次の記述が見られます。

「特定求職者雇用開発助成金についてですが、不況になると、
障害者であるとか、シングルマザーであるとか、職を見つけることが
難しいので、私はこういった助成金が必要ではないかと思っているんです。
ただ、今回、仕分けの対象になった理由が、やはり執行率が低かったという
ことでして、26 ページを見ますと38.1%ですね。
ですから、なぜこんなに低かったのか。」(P26)



助成金に関する疑問は、やはり企業の不正受給疑惑にも向けられています。
不正受給は、実際にあります。
会社は“本人から辞めるように仕向けている”のです。
しかし、これが隠されているので、ハローワークには当然、見えてきません。
企業の不正事実を暴くには、この二重、三重不正を見抜くしかありません。
やり方がどうであれ、結果は本人が自主退職したことになっています。

読者の皆さんも、当ブログの実話に基づく特殊記事を見ることができ、
それを信じるならば、わかります。
その企業がどこなのかもわかるように、記載してあります。

政府の雇用助成金はこのような不正を矯正出来ない限り、
廃止せざるをえないと思います。


「○亀井参議院議員 この事業の予算執行率は26 ページに出ております
けれども、32.8%です。
用意された予算の3割と少ししか使われていない。
一方、37 ページを見ると、前年度と比較して1年未満のものの
離職者が増えているということは、いわゆる定着していないと。
介護労働者がこの助成金を使うことによって、
一応マッチングまではしているけれども、定着せずに辞めている
ということでしょうから、そうであるならば、やはり先ほど大西先生が
おっしゃったように、現場の介護労働者の賃金を上げるなり、
別のことに使った方が、労働条件をよくした方がこの分野に人が
集まるのではないでしょうか。

○網屋衆議院議員 関連でいいですか。

○小村進行役 網屋さん。

○網屋衆議院議員 今のものを整理すると、一人の介護労働従事者
の方を1年置きに回転してしまったら、これは永久にもらえるという
ことですか。

○説明者(厚生労働省) お一人の方。

○網屋衆議院議員 また次の人を採って。

○説明者(厚生労働省) 解雇をしたらだめなんです。
23

○説明者(厚生労働省) 解雇をさせた事業主は対象にならないんです。

○網屋衆議院議員 1回やめてしまうと。

○説明者(厚生労働省) やめさせた事業所。

○網屋衆議院議員 離職は必ずしもやめさせただけではなくて、
向こうがやめてしまうかもしれないですね。

○説明者(厚生労働省) いろいろな御事情がありますので、
一概に離職の中身が判断できにくいということもあります。
そして、亀井先生からの御指摘のあった点についてなんですが、
37 ページに書いてあるデータが21 年の介護労働実態調査という
ことで、この調査が、平成20 年の10 月以降ではないかと思います。

この助成金ができたのが平成20 年の補正で12 月からということに
なりますので、必ずしもこの助成金が全体状況に結び付くということ
ではないんですが、事実関係を御紹介させていただきました。
さらに、今、離職率自体は下がっているという状況です。

○小村進行役 市川さん。

○市川評価者 すみません、今、すごく大事なことなので確認させて
いただきたいんですけれども、ある方が介護職員として1年半お勤め
になられれば満額を支給していただけるわけですね。
例えばその方が自己都合で退職されて、その1か月後にまた介護職員
として雇用された場合に、この支給を受けることはできますか。

○説明者(厚生労働省) できません。
この助成金の支給対象にはなりません。

○網屋衆議院議員 別の会社に行ったら。

○説明者(厚生労働省) 別の会社でも経験があるということになります
ので、これはあくまで経験がない方が、なかなか採用されないということ
があるので助成金にしているということです。
したがって、要件としてはチェックをするという形になっています。

○市川評価者 ちなみに、経験がないというのは、あるとないの違いは
何なんですか。

○説明者(厚生労働省) 今、細かい資料が手元にないんですが、
実際にどういう施設で、どういうふうにして働いているかということで、
介護の現場で働いていたかどうかというところを見るということです。
お答えになっていますでしょうか。

○小村進行役 それは何かデータで一元的に管理をされていて、
必ずどこかで介護士の方が働いていればわかってしまうということ
なんですかね。
そこがあいまいだと、結局、わからないのではないかということに
なります。

○説明者(厚生労働省) そこまではシステム化をされていません。

○市川評価者 もう一回だけ確認します。北海道で働いておられた方が、
自己退職で1か月後に九州に行かれていった場合に捕捉できない
ケースもあり得るということですね。

○説明者(厚生労働省) 不正受給になった場合には、もちろん、
返還をしていただきますけれども。
それがそうではないことがわかればですね。

○説明者(厚生労働省) 今の関係で、一応、支給申請書の中には
職務経歴などについて書いていただいて、チェックをするということが
ありますし、前の職場で雇用保険の対象になっていれば、そういった
ものをチェックするという方法もあります。
24

○小村進行役 一応、申請ベースでやって、何かおかしなことがあれば
確認もするし、そこについて本当に虚偽の状況にあれば、それは逆に
通知もするし、やめるということですね。
すみません、この議論はこの辺りにして次の議論に入りたいと思います。__」
(P22~24)



やはり、ここでも

「助成金を永久に、あるいは出来る限り貰おうとして、
労働者を取り替えてばかりいる傾向が企業に
見られるのではないか」

という疑問が持たれている、と思います。


当ブログでも、以前に次のような記事を載せています。

『障害者を使い捨て雇用する企業の特徴』
〔2012-02-21 20:25〕


しかし、ここもやはりチェックはしていると言っても、
抜け穴だらけで充分には行き届いていないのです。

その抜け穴とは、やはり辞めてもらうように仕向ける、
企業の策略だと思うのです。
本人が拒否しても、辞めさせられざるをえません。
企業が圧倒的有利な立場を利用して、
どんな手口でも使ってくるからです。

ただ不思議なことに、
金がらみで解決しようとする企業があったりします。
企業が障害者に、わざわざ甘い条件を出してくるのは、
辞めさせる障害者に口止めさせるのが目的のようです。

信じられないかもしれませんが、例えばもし、

「もし、この合意解約書にハンコを押せば、
特別退職金100万円をあげます」

と言われたら、読者の皆さんはどう思うでしょうか?
この合意解約書には、本人の意思として

「雇用契約更新を希望しません」

ということと、

「この約束を外部に漏らしてはならない」

という秘密保持事項がたくさん書いてあります。
要するに「口封じ契約」と同じでしょう。
つまり、特別退職金は「口止め料」だということも
暗示しています。

これは、実は誰もが知る有名大企業がやっている
手法の実例です。


あるいは、別の方法もあります。

会社が解雇を避ける方法として、
有期雇用契約の残り期間だけ在籍させることにして、
その後は契約を更新しない、
ということを労働者に伝えます。

ただそれだけでは障害者は絶対に辞めないので、
業務命令として出社させないことにします。

そうすると、本人の勤務実績がなくなるはずですが、

「給料は払うから、残りの雇用期間で
次の仕事を探しなさい」


と言ってきます。

なぜならこの場合、会社は幾らかでも払わなければ
労働基準法第26条の「休業手当」(※)に引っかかるからです。

(※)http://web.thn.jp/roukann/roukihou0026jou.html 参照。

ただこうなると、脅し以上のものに等しく、
本人は諦めるし、別の仕事を探すことに
なります。
そして本人も仕事が決まると、
本人にとっても会社にとってもめでたく、
障害者の転職が決まるのです。
だから、これに不満を言う人は誰も
いないでしょう。

こうして、会社はまた新たな障害者を雇用し、
新しく助成金をもらうことができるのです。

こんな抜け道があるのだから、表面的に
解雇が減ったのは当たり前なのです。

その後にまた新たな人を雇用すれば、
企業はまた満額で助成金をもらえる、
というワケです。

確かに、少し手のこんだやり方ですが、
正社員の下で働かせる単純労働者ならば、
繰り返して雇って、何回でも助成金を
貰うメリットはあります。
今の企業は労働者をそんなふうにフルイ分けし、
特化していると思います。

結果、企業にとっては助成金を活用する
ことが人的コスト削減に有効な方法、
というワケなのだと思います。

ある企業では、高額な助成金のつく労働者
ばかり雇用している部署もありました。


近年、池上彰氏などがテレビでわかりやすく
解説していたりしますが、
自分たちが払っている税金の遣い方を皆で
考えることって、大事なんだと思います。
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by bunbun6610 | 2012-09-26 18:30 | 障害者の経済学