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蒼穹 -そうきゅう-

手話にまつわる誤解

斉藤りえ オフィシャルサイト
『聴覚障害者だからといって、手話だけでは不十分です』
〔2015年5月15日〕
http://saitorie.com/blog/314/




これって、ビックリすることだ。
でも、手話学習中の人には、よくあることだ。



>「実は、聴覚障がいを持っている方の中にも、
手話が苦手な方は大勢いるんです。
聴覚障がい者はみんな手話ができる…
というイメージを持っている方が多いと思いますが、
実際は、手話ができる聴覚障がい者は、
全体の14%程度。」




『手話言語法』にとっては、
プラスになる情報とは思えないかもしれないが、
これは一面で言うと統計的事実だ。

当ブログにも

『なぜ手話ができない聴覚障害者が多いのか?』
〔2014-07-19 18:30〕


という記事があるが、
身体障害者手帳保持者だけでなく、
それを持っていない難聴者等も含めたら、
統計的に非常に少なくなってくる、
という意味だ。


「ろう者は障害者ではない。
手話という、少数言語を話す民族である
(言語的少数者である)」

といった話を、聞いたことがあるだろう。
私も、そう思う。

また、中途失聴者のなかにも、
音声言語と決別した(せざるをえなかった)人がいて、
書記日本語(筆談や音声認識ソフトなど)を主に使い、
後は出来る限りの努力をして、
日本手話習得にも挑戦する人がいるが、
それも言語的マイノリティだと、私は思っている。

そういった人たちへの言語も、
この広い社会では保障されなければならない。

斉藤りえ氏も、そういう意味のことを、
本当は言いたかったのではないかなぁ?




私の疑問 「手話の欠点?!」

>「手話は1つ1つの言葉を文字で表すため
時間がかかり、健常者の会話に手話がついて
いけないことがあります。」

いやいやいや・・・・。
全然違うと思う。
それは健聴者や難聴者に合わせた日本語対応手話
について言えることなのだろうが、
ろう者が使っている日本手話だと、

「彼らの手話って、音声会話の3倍ぐらい速いんじゃないの?」

と思うぐらいだ。
実際、日本語に翻訳しようと思っても、
ついてゆけなくなるのだ。
それだけではない。
日本語もしゃべれるろう者が、こう言っていた。

「健聴者はろう者の手話を見ても、
それを頭の中で日本語に翻訳しないと、
理解できなくなる。
それで、読み取りスピードがろう者よりも劣るんだなぁ」

翻訳するためのタイムラグが頭の中で生じている、
と想像しているらしい。
しかし、タイムラグでなくとも、スピードが違うと、
私は感じるのだが、この点はどうだろうか?


それと、もう一つ、日本手話の特徴を言うと、
一つの単語を表すだけで、
(それを日本語に翻訳した場合)
それには幾つもの情報が含蓄されている場合もある。
そのように伝えられるという点において、
音声言語よりも優れているのだ。
スピードが速いのは当然なのだ。



>「そのため、会話の速度を上げるために、
「助詞」や「助動詞」を抜いて表すことが多いんです。
「私はコーヒーが好きです」という会話が、
「私 コーヒー 好き」となり、
実は一部のニュアンスが抜け落ちてしまっている
こともあります。」


「会話の速度を上げるために」???
全然違うと思う。
もともと文法が違っていて、
手話のほうが優れている点と言えなくはないか?


>「私はコーヒーが好きです」という会話が、
「私 コーヒー 好き」となり、
実は一部のニュアンスが抜け落ちてしまって
いることもあります。」

これは日本手話ではなく、
日本語対応手話の説明だということが、
まだわからない人がいたら、
その人はこの先も手話を勉強しても、
相当進歩しないだろうなぁ。
ろう者はなぜ、日本手話のほうが理解し易いか、
理由がここにもある。

だけども、「私はコーヒーが好きです」を、
おしゃべりと同様の使い方で
「私 コーヒー 好き」と言っても、
何も問題はないと思うんだが。
書き言葉だったら、場合によっては感心しない
だろうが。




>「「助詞」や「助動詞」を抜いて表すことが多いんです。」

いや、これも文法の違いを理解できていない
ために起きた誤解だと思う。
「空間利用」という手話の理論を知っている
だろうか。
場所、位置で、手話の意味が変わるというか、
助詞を表すことにもなっているというか、
そんなところだ。
抜かしているのではない。


例えば、初級レベルでも

「斉藤さんが田中さんへ言う」

なんていう短文練習が出てくると思う。
日本語対応手話は、同じ場所
(大体が自分の胸部の前)
で単語を表しているに過ぎないが、
それでは「誰が誰に言ったのか」が、
分からなくなってしまう。
でも、日本手話は、空間を広く利用していて、
それにはちゃんと意味がある。
それが文法だからだ。
初心者は「非手指動作」の全てを見ていないから、
まだ理解できないだけだ。



>「また、新しい単語には対応する手話が
ないことがよくあります。
今日の手話サークルで分かったことなのですが、
「一輪車」を表す手話はないそうです。
一般的な名詞でも無い表現が多いようですので、
きっと「政策に関する単語」はほとんどない
のでしょうね。。。」



新しい単語はどんどん作られていっているの
だけれども、ろう者が言うには、
「新しい単語なんていらない」という人も、
結構いる。
なぜかというと、彼らはわざわざ単語を覚えなくても、
自分たちでつくってしまうようだ。
CL(※)という技法で、よく表していたりする。
勿論、こんな単語は、手話辞典にも載っていなくても、
ろう者は誰も困ってはいない。
地域によっても、個人によっても違うのが当たり前、
というぐらい、表現は無限にあると言えるぐらいだ。
日本語で言う「方言」も、たくさんあるぐらいだ。


※ 日本手話の「CL」とは?
『手話の語源説について』
〔2015-05-06 18:30〕





あるいは、日本語を代用したりもする。
こっちのほうが、断然話が面白くなるので、
要らないのかも。

「政策」という単語は便利かもしれないが、
そんな言葉を聞かされても、面白くないだろう。
どんな政策なのかを、最初から具体的に話せば、
不要になってしまう。
そういう話し方を、ろう者はよくしている。
だから、話し方の文化も違うのだと思う。





斉藤りえ オフィシャルブログ
『手話についての補足説明』
〔2015年5月16日〕
http://saitorie.com/blog/320/








〔参考記事〕


『『聴覚障害者とは? ~.聴覚障害・ハンディキャップ・コミュニケーション・手話.~』』
〔2016-03-18 22:04〕



『日本語の助詞と音韻と、日本手話』
〔2014-11-08 19:00〕



『聴覚障害者についての誤解と、手話言語法』
〔2014-06-22 18:30〕


『誤解されている手話』
〔2011-06-18 21:25〕





『手話のダイグロシア』
〔2011-06-21 00:16〕





『手話についての、(財)全日本ろうあ連盟の見解は?』
〔2011-04-12 21:29〕

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by bunbun6610 | 2017-02-25 08:30 | 手話