「生活保護舐めんな」ジャンパーは小田原市だけの問題なのか?


http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170123-00126570-hbolz-soci


「生活保護舐めんな」ジャンパーは
小田原市だけの問題なのか?

HARBOR BUSINESS Online 1/23(月) 9:10配信


神奈川県小田原市の生活保護担当職員が、「保護舐めんな」との文言をプリントしたジャンパーを着ていたことが発覚した。(参照:「生活保護『なめんな』、上着にプリント 小田原市職員ら」2017年1月17日 『朝日新聞』)

 上記朝日新聞の記事によると、このジャンパーには、「我々は正義。不正を見つけたら追及する。私たちをだまして不正によって利益を得ようとするなら、彼らはクズだ」と不正受給を批判する内容の英文が記載されていたという。

 問題発覚を受け、小田原市は1月16日付でこのジャンパーの着用の禁止を決定。翌17日には同市の加藤憲一市長が「配慮を欠いた不適切な表現であり、市民の皆様に申し訳なく、おわびします」とのコメントを発表した。

 生活保護担当者は、生活実態把握や自立支援のため、最低でも半年に一度は生活保護受給者を訪問するように法によって定められている。つまり小田原市の生活保護担当者たちは、家庭訪問の度に、揃いのジャンパーに染め抜かれた「生活保護なめんな」「クズ」などの文言を、受給者に見せつけていたことになる。

 これでは自立支援どころの話ではない。もはや単なる威圧でありイヤガラセの類だ。支給決定の権限と自立サポートの仕事を兼ねそなえる生活保護担当者は、受給者から見れば、圧倒的に強い立場にいる。その立場にあるものがこのような行為に及ぶことは、もはや差別としか言いようがない。

 だが、こうした問題は果たして小田原市だけの問題なのであろうか?

◆捕捉率すら把握していなかった小野市の担当者

 2013年3月、兵庫県・小野市議会は「小野市福祉給付制度適正化条例」を可決した。

 この条例の第1条には「偽りその他不正な手段による給付を未然に防止するとともに、これらの福祉制度に基づき給付された金銭の受給者が、これら の金銭を、遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、生活の維持、安定 向上に努める義務に違反する行為を防止する」とある。つまり、「不正受給の防止」と「遊戯や賭博への消費の防止」がこの条例の目的だというのだ。

 また、この条例では第5条3項にて、不正受給者や遊戯や賭博で金銭を消費している受給者を発見した場合「速やかに市にその情報を提供するものとする」と、市民による「通報」を呼びかけてさえいる。

 筆者は条例可決に先立つ2013年2月、小野市役所の社会福祉担当に電話による取材を実施した。

 「市民に通報を呼びかける必要があるほどに、小野市の生活保護の不正受給率は高いのか?」という疑問があったためだ。だが当時の小野市の回答によると、同市の生活保護不正受給件数は、2009年に発覚した1件のみであったという。

 同市の生活保護受給世帯数は129世帯(当時)だから、不正受給は率にしてわずか0.7%でしかない。1%にも満たぬのだ。

 試みに、「では、生活保護の捕捉率はどれぐらいか?」とも質問したが、小野市の回答は「計算したことはない」との回答だった。捕捉率とは生活保護基準以下の世帯で、実際に生活保護を受給している世帯数の割合のことをいう。つまり小野市は、「生活保護を支給しなければいけない世帯の割合」を計算さえしたことがないのに、「わずか0.7%でしかない不正受給」を防止するために、わざわざ条例を制定し、市民への通報義務まで課しているということになる。

「捕捉率を計算したこともないのに、わずか1%にも満たない不正受給を防止するために市民への通報義務を課すのはあまりにも歪であり、行き過ぎではないのか?」と指摘すると、小野市の担当者は「確かにそうですが、(生活保護を)本当に必要な人に行き渡らせる為にも、不正受給はダメですので」と答えた。

 ここが問題なのだ。

◆「本当に必要な人に行き渡らせるために」は本当か?

 生活保護の議論では必ず、「不正受給」が話題に上る。その際には決まって「本当に必要な人に行き渡らせるために」という一言が添えられる。

 だが、筆者がこれまで取材した「本当に必要な人に行き渡らせる論者」の中で、「では、現在の捕捉率はどれぐらいなのか?」との質問に即座に答えられた事例は、皆無だ。大半は小野市のように「計算をしたことがない」と答える。

 これは不思議なことではないか?

「本当に必要な人に行き渡らせ」たいというのならば、不正受給の件数よりも、まずは、捕捉率を調査するべきではないのか。捕捉率の計算さえせず「本当に必要な人」を把握することなどできようはずもない。

 こうした指摘を行うと、必ず感情的な反論が返ってくる。行政職員でさえ感情的になって必死に反論する。「理屈はそうだが、しかし不正受給はダメじゃないか!」「不正受給はダメなんだから、取り締まるのは正義じゃないか!」とさえいうのだ。

◆生活保護の現場で横行する「正義」

 正義――。

 小田原市の職員ジャンパーにもプリントされていた言葉だ。

 確かに「不正受給」は悪い。詐欺罪に該当する場合もある。悪い行為を未然防止することは、「正義」ではあろう。しかし、現場の生活保護担当者は、あくまでも「法によって定められた手続きの執行官」であって、「正義の代弁者」でもなんでもない。あくまでも、生活保護法やその他の関連法令に則って、生活保護の審査・支給に関する手続きを進めるのが仕事だ。そこに、「正義」などの価値判断が入り込む余地などない。いや、むしろ、執行官がそうした価値判断を挟むことは危険ですらある。

 だが、生活保護の現場ではこの「正義」が横行している。どの市町村でも、資格審査の席で担当者が持ち出すのは、申請者の収入状況や資産の有無など、法が定める客観的な指標ではなく、まずは、「働けるのなら働け」「甘えてはいけない」などの「正義」だ。

 資格審査担当者が「正義」で申請者を「水際」ではねのけているのだ。全国的に横行している「生活保護の水際作戦」とはこのことに他ならない。支給開始後の家庭訪問や接見の場でも同じような「正義」が繰り返し受給者に押し付けられる。そしてそのたびに受給者は負い目を感じていき、スティグマを実感することになる。

 そう考えると、「我々は正義。不正を見つけたら追及する。私たちをだまして不正によって利益を得ようとするなら、彼らはクズだ」とうそぶいていたのは、小田原市の職員だけではないことがわかる。目には見えないジャンパーを着て実務に当たる職員は、全国の市区町村に、いる。

<文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie)写真/時事通信社>
ハーバー・ビジネス・オンライン



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by bunbun6610 | 2017-01-23 22:00 | 生活保護を考える


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