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電話が鳴ると怖くなる、異常な精神的症状

子どもの頃から、電話が鳴ると、怖かった。
なぜかというと、その電話に出なければ
ならないという責任感と、難聴ゆえに聞き
取れず、何度も聞き返してしまうという困難
が、精神的苦痛になったからだ。

それで、電話に出れば出るで
「(聴覚障害について)何も知らない相手」
に怒られるし、
相手に不快な思いや、怒りを誘ってしまうことも、
よくあった。
相手に迷惑をかけてしまうことも怖かったが、
何よりも誤解されるのが怖かった。
学生アルバイトの時、
事務所に電話が掛かってきて、
その時は私一人だった。
何度も鳴るので、仕方がなく自分が出ると

「君ィ~、電話が鳴ったら、
すぐに出なきゃいけないよ!」

とか何とか言われて、強く叱られてしまった。
その時だけは声が大きくなる(要するに「怒鳴り声」だから)ので、
分かったのである。
そのことが、健聴者には分からない。

電話の話がわからないので、
すぐに待たせて誰かを呼んだ。
とても恥ずかしい体験でもあった。
自分の難聴がバレるのも、嫌だったのかも
しれない。
難聴だと分かられると今度は「もう相手にされない」という、
「別の差別」が待っているからだ。
昔は、世間では障害者に対する視線が、まだまだ
冷たい時代だった。
だから障害者だとバレると、自分もそうなる
と思い、怖かったのだろう。
差別的に見られるだけでも、かなり嫌だった。
恐怖だった。

きっと、幾ら電話しても、誰も出てこない
家って、今でもあるのではないだろうか。
そんな家があるとすれば、その家には
一人暮らしの難聴者や、ろう者が住んで
いる可能性もある。
ろう者にも、FAX優先モードの固定電話
を置いている人がいる。
私もFAX優先モードにしているので、
まず電話が鳴るようになっている。
電話には、決してでない。
鳴っても音はわからないが、今の電話機
は、かかってくると電話のディスプレイが
明るくなるので、誰かが電話をかけてきた
ことぐらいはわかる。

電話機には、かなりの受信記録が溜まっている。
それでも、一体誰から掛かってくるのかも、
一切知らない。
私はもう、電話に出ないからだ。
だから、電話での「オレオレ詐欺」にもかからないと思う。
新型コロナ大流行の今、「耳が聞こえるお年寄り」は何で特殊詐欺に引っかかるのか、
分からない。

(2021年1月29日追記)


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【追記(関連記事)】(2024215日)

聴覚障害者が「わかったふり」で払う代償

2012 11 30

聴覚障害者が「わかったふり」で払う代償 : 蒼穹 -そうきゅう- (exblog.jp)

頷く(とにかく上の者には従う)ことにするのは、怒られるから。

言い争いには、絶対に関わらない。

耳の不自由な自分の方が圧倒的に不利だから。


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by bunbun6610 | 2016-05-14 20:00 | 難聴の記憶

ある障害者から見た世界


by bunbun6610