映画『レナードの朝』

映画『レナードの朝』



『泣ける!!
”あたりまえ”のありがたみを
教えてくれる映画
「レナードの朝」』




久しぶりに映画『レナードの朝』を観てみた。

初めて観たのは、もうだいぶ昔なので、
この映画は古い作品だ。

その頃は、まだ自分が「障害者」だということを
自覚していなかった。
それで、普通の人と同じように、観終わっても

「感動のヒューマンドラマだった」

といった感想しかなかったように思う。

しかし、今は自分が障害者であることを強く
認識しているし、障害者問題も毎日考える
ようになっている。
私の今の状態は、ある意味ではだが、
レナードと似ていなくもない。
身体障害者として、社会から“役立たず”の
扱いを受けていて、単純労働マシンとして
働いて給料をもらって、単純な生活を毎日
送っている。
だが、パスカルの

「人間は考える葦である」

とはよく言ったもので、私の脳内は活発なの
かもしれない。

今、『レナードの朝』を観たら、改めて色々な
ことに気づかされた。
私は今、この原稿の一部分を、マクドナルドの
中で執筆している。
そこで周囲を見渡すと、様々な人たちがいるが、
ほとんどの人はスマホを見ている。
それ以外には雑誌や新聞や本を読んでいたり、
数字パズルみたいなものを解く作業をしている
人ぐらいである。
つまり皆、受動的に脳を使っているに過ぎない
ような気がする。
この中に今は、誰も自分自身について考えたり、
人生について考えることも、
主体的に考えたりする人はいないようである。

レナードは30年間眠り続けていた、ということ
らしいが(これは正確ではないだろうが)、
それでも意識はあったそうである。
彼の生涯は、まず幼少期までは健常者だった。
それが発病して、病気のため療養生活に入る。
それが重度化し、障害者になる。
そして入院し、セイヤー医師の薬物治療を受けて、
奇跡的にまた健常者に戻る。
しかし、それは短い期間のことで、彼の病気は
再発し、そして重度障害者へ戻されてしまうの
だった。

中途障害者にも“喪失の過程”を経験するが、
重度障害者から健常者に戻るという話は、
聞いたことがない。
こういう経験をした人も、稀だ。
だから奇跡なのだ。
レナードが素晴らしく、観る人に感動を与えたのは、
彼がその奇跡を生かしたからのように思えて
ならない。



レナード;
「先生、かけて」

セイヤー;
「どうした、何事だ」

レナード;
「皆に知らせるんだよ。
いかに、すばらしいか」

セイヤー;
「何が?」

レナード;
「新聞の記事を読めよ。
悪い事ばかり載ってる。
皆、生きることのすばらしさを忘れてる。
持ってるものの尊さを教えてやらなきゃ。
人生は喜びだ。
尊い贈り物だ。
人生は自由で、すばらしい!」

セイヤー;
「“我々は感謝の心を忘れてる”と。
仕事 楽しみ 友情 家族への感謝。
朝の5時までしゃべり続けた。
開放感からか、躁状態なのか。」

病院職員;
「愛では?」

セイヤー;
「そうだな。
確かに僕らは、生き方を間違ってる」



医師;
「何か話があるとか・・・・」

レナード;
「簡単な事です」

医師;
「何だね?」

レナード;
「普通の人間のように、自由に散歩を」

医師;
「散歩は自由だよ」

レナード;
「本当に? 一人で?」

医師;
「なぜ、一人で?」

レナード;
「犯罪者ではない。
誰かに危害を加えるわけじゃない。
なのに、一人での外出を禁じられてる。
あんた達が目覚めさせたのは人間で
物じゃない」

医師B;
「ロウ(レナード)さん、無意識的に
私達に敵意を持っているようね」

レナード;
「無意識を意識できるので?」

医師A;
「ノラ、よせ。
参考までに、一人で外出して何を?」

レナード;
「散歩して、いろいろ見て、人と話す。
どっちの方向へ歩くか、自分で決めたい。
あんた達と同じようにね」

医師A;
「それだけ?」

レナード;
「ええ」

医師;
「分かった。
君の望みを考慮して、我々の結論を
出そう」

セイヤー;
「大丈夫か?」

レナード;
「緊張したので、けいれんが・・・・。
結論は?」

セイヤー;
「治って、まだ日が浅い。
“もう少し観察して、診断を下すべきだ”と。
外の世界は病院の中とは違う。
何かあれば病院が責任を問われる。
結論は“ノー”だ」

レナード;
「あんたは何と?」

セイヤー;
「僕の意見は弱い」

レナード;
「賛成を?」

セイヤー;
「ああ・・・・。
安心するのは、まだ早い。
この引きつりも心配だ。
あの薬は実験段階だ。
もっと観察を・・・・」

レナード;
「さよなら」

セイヤー;
「どこへ?」

レナード;
「散歩さ」



一人で散歩に出ようとしたレナードは、
警備員や病院職員たちに、
強引に連れ戻される。

それから再び病魔に冒されるように
なった時、彼はこう言っている。



「病人は奴らだ!
奴らこそ治療すべきだ!
我々は最悪の経験を生きのびた。
連中は違う!
それを恐れてる!
おれ達から、ある事を学んだからだ。
答えの見つからない病気がある事を、
我々から学んだ。
それを分かりもせず、病気を治せると思うか?
なのに、それを認めたがらない。
問題は奴らだ。
おれ達じゃない!
奴らが悪いんだ!」

「病気と闘って、やっと戻ってきた。
30年だぞ。30年間闘い続けた。
今も闘ってる。 あんたは?
あんたに何がある。
孤独で、何もない生活。
眠ってるのは、あんただ!」



皆は、薬の副作用でおかしくなったとか、
性格が変わってしまったとか言っていた。
しかし、彼は全然、間違ってはいないし、
おかしくもない。
おかしいのは、むしろ健常者のほうだと、
観ていて思った。

これを観ると、障害者問題や、障害者運動
はどうして起こるのかが、よくわかる。


以前に、

『<働かない働きアリ>
集団存続に必要 働きアリだけは滅びる』
〔2016-02-16 23:02〕




を紹介した。

社会から見れば、レナードも、そして私も、
障害者の多くは、同様なのかもしれない。
しかし、そういう人が実は、他の人には
気づかないことに気づいていて、
何かとても重要なメッセージを社会に
向けて発信しているのかもしれない。
ただ、社会はその声を聞かないだけだ。
優先順位うんぬんで結局、いつもその声は
埋もれていってしまうのだろう。
きっと、たくさんのそんな声があるはずだ。
しかしそれでも、その声はそれで死んだの
ではない。
きっと、何かの役に立つ日が、いつか来る
のだろう。
その声を拾って活かす誰かとは、実は
「働かないアリ」のような人間だったりするの
かもしれないのだ。
だから、信じたい。
イエス=キリストの話にも、似たような話が
あったのを覚えている。



レナードとは違う病気だが、佐々木正さんという、
手術を繰り返して生き続けた障害者がいた。


『難聴者の先輩 (3)ガネーシャ氏(ハンドルネーム)』
〔2013-03-04 18:30〕

[PR]
by bunbun6610 | 2016-05-09 21:30 | 障害者問題・差別


ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

カテゴリ

全体
はじめての方へ
街風景
自然風景
祭典
動物
食べ物
食べ物(ラーメン編)
食べ物(カレー)
sweet
製菓の話
お酒
観光(北海道)
観光(関東)
観光(四国)
観光(中国)
観光(九州)


薔薇
紫陽花
聴覚障害
聴覚障害者心理
ろう者世界
難聴・中途失聴
難聴の記憶
手話
コミュニケーション能力
手話言語法
補聴器、福祉機器等
情報保障・通訳
情報保障・通訳(就労)
情報保障(テレビ字幕)
国連・障害者権利条約
社会
人権、差別
障害者問題・差別
原発問題
六本木ヒルズ回転ドア事故
バリア&バリアフリー
医療バリア&バリアフリー
障害者の経済学
運転免許制度への疑問
哀れみはいらない
だいじょうぶ3組
NHK大河ドラマ『花燃ゆ』
就職活動・離職
就労前の聴覚障害者問題A
就労後の聴覚障害者問題B
就労後の聴覚障害者問題C
就労後の聴覚障害者問題D
就労後の聴覚障害者問題E
就労後の聴覚障害者問題F
就労後の聴覚障害者問題G
就労後の聴覚障害者問題H
就労後の聴覚障害者問題M
就労後の聴覚障害者問題R
就労後の聴覚障害者問題Z1
職場の回想録
ブラック企業と障害者雇用
聴覚障害者版サムハル
Eテレ『バリバラ』
生活保護を考える
年金・無年金障害者の問題
人気記事(再掲)
雑談
未分類

以前の記事

2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 10月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月

フォロー中のブログ

おばば奇譚
ボーダーコリー モリーが行く!
但馬・写真日和
九州ロマンチック街道
東京雑派  TOKYO ...
大目に見てよ
Photo Galler...
おっちゃんの気まぐれ絵日記
松浦貴広のねんきんブログ
qoo's life
poiyoの野鳥を探しに

検索

タグ

(175)
(93)
(51)
(45)
(40)
(31)
(21)
(13)
(7)
(5)
(4)
(1)
(1)

Skypeボタン

ブログパーツ