曖昧になってしまう標準純音聴力検査

T・I・E ~自閉症児を育てる母の前向きブログ~
『知的障害児の難関・聴力検査』
〔2012-05-05 07:51:28〕




これは、標準純音聴力検査と呼ばれている、
聴覚検査の最初に行う検査だ。

知的障害児でなくとも、難聴児も耳からの
情報しか得られない幼児期にもかかわらず、
耳が不完全なためにその情報がさらに
少なくなる、という不利がある。
それで、この検査を受ける意味が子どもには
わからず、精度の低い検査結果になって
しまうことはありえると思う。


子どもの頃、こんな経験がある。
ヘッドフォンをして、幾ら時間が経っても、
何もわからなかった。
(聴こえなかった)
そのうちに皆が、保健の先生も私の顔を
覗き込んで

「どう? まだなの? 聴こえたの?」

と言いたげに見つめてきた。
それが堪らなくなって恥ずかしくて、

「このボタンを早く押さないといけないのかな?
何か聴こえないと悪いのかな?」

と思い、物凄く不安になってきてしまったので、
もう聴こえなくても押してしまった。
それがいけなかった。
でも、それが自分にとって重要な検査だとは、
全く知らなかった。
皆が聴こえて当たり前の環境で、
自分だけ「聴こえない」と証明されるのも、
物凄く恥ずかしかったからだろう。
そんな経験を、難聴児の頃はしていた。
人生で初めて、意識的に難聴障害を隠した
経験だったかもしれない。


もう一つ、大人になってから、難聴者の体験を、
講演会で聞いたことがある。
聞き取れなくて、何度も聞き返すと、
相手は次第に怒った表情に変わってくるという。
それが怖くて、聞き取れなくても「はい」と言って
しまう。
「うなづき障害」と呼ばれている、難聴者特有の
癖だ。

子どもの頃はこれと同じことを、
聴力検査でも出してしまっていたのだろう。


大人になっても、この検査を疑問に思ったこと
があった。
それは、普段は嫌いになった補聴器も外していて、
音というものをあまり聞かない生活をしていると、
久しぶりに補聴器とは違う機器で音を聞いたとしても、
慣れていないせいなのか、
あるいは耳鳴りなのか、
それともさっき聴いた音の残聴なのか、
よくわからなかったりする。
すると、回答(つまり、押すタイミング)もどうして
いいかわからず、曖昧になってしまったりする。
これでは検査の精度が落ちてしまうだろう。

また、検査師がミスばかりしていても、
同じように聴こえているのかいないのか、
わからなくなったりするのではないか。
聴覚の錯覚が起こると、脳が混乱するためだろう。
そんなことは本当にありえるかどうか、
わからないが、人間だからあり得そうな気もする。
検査師の腕にも、微妙な差はあるだろう。


「少しでも聴こえたら押して」

と言われると、聴こえたような気がしただけで、
積極的にどんどん押していたこともあったような
気がする。
その時は当然、

「ハッキリと聴こえたら押して」

と言われた場合より、押すのが早かったのだろう。
当たり前なのだが、検査師の説明の仕方で
被験者の押すタイミングが変わるのは当たり前
なので、その結果、採取するデータが変わって
しまったのではないかと、今になってみると思える。

こんな曖昧になってしまうことがよくある検査って、
聴覚障害を調べる検査として、
本当に重要なデータなのだろうか?

そんな疑問がある。
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by bunbun6610 | 2016-05-09 20:30 | 聴覚障害
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