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蒼穹 -そうきゅう-

日本では政治家に放送の政治的公平性を判断させるのか




http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160215-00010000-videonewsv-pol

日本では政治家に
放送の政治的公平性
を判断させるのか

/鈴木秀美氏
(慶應義塾大学メディア
・コミュニケーション
研究所教授)


ビデオニュース・ドットコム
2月15日(月)13時53分配信


日本は他の民主主義の国々と同様に、
憲法で表現の自由を保障している。
だから、代表的な言論機関の一つで
ある放送にも、政府や政治権力が介入
することは憲法違反であり、あっては
ならない。

しかし、かといって、世論に絶大な影響
力を持つ放送事業者に、好き勝手に
やらせておくわけにもいかない。
そこには真実性や公平性、公共性に
対する一定の縛りがあって然るべき
だろう。

そこで他の先進国では、まずは放送
事業者に自律的に自らの放送内容の
真実性や公平性に責任を持たせた上で、
それに対して市民が不断の監視を
行える仕組みを工夫して作っている。

 しかし、日本はそのような制度を
作ることができていない。
結果として、放送は政府の監督下に
置かれている。
そして、安倍政権になって、いよいよ
放送への介入が強まっている。

 今週は高市早苗総務相が、条件付き
ながら「停波」にまで踏み込んだ発言を
行い、それを受けて政府は単一の番組
の中で一定の中立性が保たれなければ
ならないとする統一見解を打ち出した。
安倍政権の放送への介入姿勢が、
また一段ステップアップしたと見ていい
だろう。

 2月10日の衆議院予算委員会では
安倍首相自身が、2014年11月に
TBSのニュース23クロスに出演した
際に、番組の編集方針に注文を付けた
ことについて堂々と、一出演者として
注文を付けてはいけないと言うほうが
おかしいと主張している。

 「私の考えを述べるのはまさに言論
の自由だ」

首相は昨年3月の予算委員会でもこう
語り、首相が放送の編集に注文を付ける
行為が、憲法や放送法が禁じる違法
行為に当たるとの認識は一切持ち
合わせていないことを明らかにしている。

 今、直ちに放送局が政治的公平性を
理由に停波の処分を受けるようなことは
考えにくいが、こうした一連の発言が
放送局に有形無形の圧力となり、
大きな萎縮効果を与えることは避けら
れない。
首相自身は過去にも

「本当に萎縮しているのであれば報道
機関にとって恥ずかしいこと」

などと語っており、そこには放送局に
とっても反省すべき点があるのも事実
だが、それは絶大な政治権力を持つ
内閣総理大臣自身が言うべき言葉で
はない。

 そもそも安倍政権による一連の放送
への介入の背景には、放送法の解釈
に対する根本的な誤解があるようだ。

 言うまでもなく、日本は憲法第21条
で表現の自由を保障している。
それは何を言ってもいいという意味で
はなく、政府が個人の表現の自由を
犯すような法律を作ったり、そのような
権力の行使をしてはならないことが
定められているということだ。

 そして、その憲法の下に放送法が
存在する。
それが、放送法第1条の

「放送の不偏不党」

が放送局に党派色のある報道を
禁じているのではなく、放送への
特定の政治勢力の介入を許しては
ならないと解される所以だ。
同じく放送法の1条は放送の自律を
保障し、同3条は

「何人からも干渉され、又は規律
されることがない」

ことを定めている。
憲法21条は言うに及ばず、放送法
の1条と3条は、放送局に対する
法律というよりも、政府の行動を
律する法律と解されている。

 全ての法律が憲法に則っている
以上当然のことではあるが、放送法
の1条と3条を読む限り、政治権力は
放送には介入できず、放送局が自ら
を律することによって真実性や政治
的中立性が担保されるというのが、
放送法の精神であり、少なくとも
それが伝統的な解釈だった。
論理的には、安倍政権の放送法の
解釈が間違っているか、それが
正しければ放送法が憲法違反かの、
いずれかの可能性しかありえない
のだ。

 ところが、放送法には第4条に

「政治的に公平であること」

「意見が対立している問題については、
できるだけ多くの角度から論点を
明らかにすること」

などの記述がある。
これを憲法第21条や放送法の1条、
3条を前提に読めば、それが放送局
が自律的に担保しなければならない
「倫理規定」であることは明白だが、
憲法やそれ以前の条文の存在を無視
して、4条だけを単独で読めば、放送局
には政治的な公平性が求められており、
政府はそれを前提に放送局に対して
一定の強制力を持つと解することが
できると、政府は主張する。
そして、そのような理由から、政府は
放送局に対して行政指導を行う権限
があり、違反行為が繰り返される場合
は停波、つまり放送を止める権限もある
というのが、今回の高市発言の根拠と
なっている。

 慶應義塾大学教授で、放送法など
メディア法に詳しいゲストの鈴木秀美氏
によると、放送法4条は法律の制定当初
からつい最近までは倫理規定と解され
ていた。
実際、放送法が制定された1950年の
国会で、当時の網島毅電波監理長官
が法案の提案理由説明の中で、
放送法は表現の自由を根本原則として
掲げたもので、

「政府は放送番組に対する検閲、
監督等は一切行わない」

と明言している。
そのため、4条に定められた番組基準
も、あくまで放送局自身が自律的に
担保すべき倫理規定と解されてきた。

 しかし、世論に対するテレビの影響力
が強くなるのに呼応して、1990年代に
なってから、特にテレビ朝日の「椿発言」
などを契機に、郵政省(現総務省)は
放送法4条には法規範性、つまり強制力
があるとする解釈を打ち出すようになり、
実際にそのような解釈に基づいて、
放送局に対する行政指導が行われる
ようになった。
そうした解釈は違憲の疑いが強いが、
行政指導を受けた放送局が指導に唯々
諾々と従うばかりで、裁判に訴えたり
しないため、この解釈の合憲性をめぐる
司法判断はまだ示されていない。
現状では総務省が一方的にそのような
解釈を打ち出し、それに基づいて権力
行使が行われている状態だ。
その一方的な解釈に基づいて、今回、
総務大臣がいよいよ究極的な権力の
行使ともいうべき「停波」にまで踏み込
んだことになる。

 しかし、政府が放送内容に介入する
行為は、そもそも放送法第1条で保障
された「不偏不党」や「自律」の原則に
反する。
政府こそが最大の政治権力であり、
その介入はいかような判断であっても、
多分に党派性を帯びたものになるからだ。
政治家に放送の政治的な中立性を判断
する権限を許し、政府による一方的な
法解釈に基づいて行政権力を振るう
愚を、今、われわれは放置しているのだ。

 そもそも日本は放送免許を政府が
直接付与する、先進国の中では異常
な放送行政の制度を採用している。
戦前の大本営発表に対する反省から、
GHQは電波監理委員会という独立
行政組織を設け、そこに政府から
独立した形で放送行政を監理させる
ことで、特定の政治勢力による放送
への介入を阻止する制度を積極的に
構築した。
しかし、1952年にサンフランシスコ
講和条約が発効し、日本が施政権を
回復すると、吉田茂内閣はただちに
電波監理委員会を廃止して、放送
免許は戦前と同様に、政府管理の
下に置かれた。

 放送免許という生殺与奪を握られた
放送局は、最後は政府の意向を無視
することができない。
政府による一方的な放送法の解釈が
まかり通るのも、不当な介入に対して
放送局が裁判に訴えるなどして本気で
戦うことができないのも、免許という
命綱を握られているからだ。
政府が免許権限を握っているからこそ、
「停波」などという話がでてくるのだ。

 まずは、先進国としては異常な現在
の放送免許の制度を正常化し、
国民の知る権利を担保する民主主義
の重要なツールである放送に対して、
政治が有形無形の介入をできないよう
な制度に改革する必要がある。
それがない限り、一旦、政治権力を
握った勢力が、放送という強力な宣伝
ツールを自らの政治目的のために
最大限活用しようとするのは当然の
ことであり、避けられないことだ。
放送をめぐる現在の状況は、起こる
べくして起きていると言わざるを得ない
だろう。

 その一方で、放送局の側にも問題は
多い。
多くの特権を享受し、政府と持ちつ
もたれつの関係に甘んじる中で、
美味しい汁を啜ってきた。
いざ権力が牙をむき出しにしてきた時、
ぬるま湯体質にどっぷりと漬かった
放送局には、権力と真向から喧嘩を
する気概も力量もないというのが現状
だろう。

 しかし、電波はそもそも国民共有の
資産であり政府の所有物ではない。
また、その貴重にして希少な資産を
使って行われる放送事業は、国民の
公共の利益に資する目的で営まれる
べきであり、放送事業者という個々の
私企業の利益のためでもなければ、
ましてや特定の政治権力のために
使われていいはずがない。

 高市発言によってより鮮明になった
政権の放送への介入問題と、公平な
放送をいかに実現していくべきかなど
について、ゲストの鈴木秀美氏とともに
ジャーナリストの神保哲生、社会学者
の宮台真司が議論した。

最終更新:2月15日(月)13時53分



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http://this.kiji.is/76975326253991420?c=49769094296027144

田原さんらが
総務相発言に抗議
「憲法、放送法の精神
反する」

共同通信 47ニュース
2016/2/29 19:46


田原総一朗さんや鳥越俊太郎さん、岸井成格
さんらジャーナリストが29日、東京都内で記者
会見し、高市早苗総務相が政治的に公平でない
放送を繰り返す放送局に電波停止を命ずる
可能性に言及したことについて

「表現の自由を保障した憲法および放送法の
精神に反している」

と強く抗議した。

 鳥越さんは

「そもそも放送局の電波は国民のものであって、
所管官庁のものではない」

などとするアピール文を読み上げ、

「高市発言はある種のどう喝だが、背後には
安倍(晋三)政権のメディアに対するおごった
姿勢がある」

と指摘した。



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by bunbun6610 | 2016-02-16 00:31 | 社会