イヤになってくる 2

『イヤになってくる 2』
 ―労働組合との話し合いで―



労働組合のTさんと話し合いをしました。
Tさんとしても、また組合としても、
私の言う「障害者差別」の意味が
分からないらしい。

しかし今後、働く障害者の職場環境の
改善に向けて、取り組んでいくそうです。

それを「ハンディキャップ雇用」と呼ぶこと
にしたそうです。
それを聞くまで、この言葉の意味が
分かりませんでした。

これは、当ブログ

『イヤになってくる』
〔2016-01-05 18:30〕


の話の続きのようなものです。

この内容を理解している人は、
読んでいくうちにわかると思います。


Tさんが、主に下の議題を取り上げて、
それに質疑応答する形になったと思います。

(1)Tさんは私に

「組合との話し合いの後、会社との話し合い
や、職場のこれまでの様子はどう変わった
のか?」

を聞いてきました。
 
(2)Tさんは、メールの件について、
組合の対応について説明(ユニオンニュース
での集会案内で、情報保障がつくかどうか、
書いていない点の私の抗議に対して)。

(3)Tさんは
「『差別』と思う状況は何なのかを話してほしい。
何が差別なのか?
組合に問題解決を委ねるか、
さもなければ会社を潰そうとしている気なのか、
あなたはどっちかを取るのだろう。
今後、組合としても、その辺に探りを入れる」

というふうに話しました。



(1)について。
私;「以前のような差別的状況からは、改善してきた。
S課長の対応は、やはりダメだと思う。
職域差別は少しずつ改善している。
しかし反面、S課長の対応のまずさが原因で、
私と皆との人間関係は、以前よりも悪くなって
しまった。
(具体的には、Nさんとの件を話した)

そもそも、S課長がウソをついていなければ、
こういうことにはならなかった。
しかし、M係長が職場に就いてからは、
皆もある程度、きちんと働くようになったし、
真面目にもなった。
今後は少し期待できるかも。

Tさん;「S課長は何を言っているのか、
私もよくわからないこともある。
前に言ったことをよく忘れるからじゃないか?
課長だから」

組合は、こんないい加減な答え方だった。
やはり、会社にとって不都合なことは
調べようともしない。
私の話は聞き流されてしまうだけだった。

私;「前に話し合いをしたとき(S書記長も同席)、
組合は

『これは職場環境が悪いからであって、
差別ではない』

と言いましたよね。
でも、職場環境が悪いのと、差別とは違います。
今も同じ考えなのですか? 差別はないと?」

Tさん;「職場環境と差別は違うと思います。
差別って何ですか?
差別論をして、差別の定義からしたいのですか?」

Tさんも、本当はこの前は

「差別ではなく、職場環境が悪いから」

と言っていた。
だから当然、当事者である私が感じる差別でも

「それは職場環境が悪いから」

と説明している。
私はこれを聞いて頭がおかしくなりそうになり、
理解できなかった。

やっぱり、聴覚障害者差別って何なのか、
組合はまだわかっていないようだった。

この話し合いの前に、Tさん、S書記長、
Wさんの3名宛に三菱東京UFJ銀行の
聴覚障害者差別裁判のニュース記事を
メールで送っていたのですが、
それが差別だとも思っていないのだろうか。


『三菱東京UFJ銀行の聴覚障害者差別
裁判の判決(2009年4月)』
〔2012-04-03 21:26〕




私;「差別には、「直接差別」と「間接差別」
があります。
直接差別の他にも、無知、無関心、無視
による差別(間接差別)があります」

Tさん;「無意識の行為も差別になる場合が
あるのですか?」

私;「そうです。
結果的に差別的状況が発生してしまう場合に、
改善もなされず、放置することは間接差別
にあたります」

Tさん;「…」

私;「今回の人事異動(10月1日付で、
Oさんが異動、さらにM係長の席も異動)は、
どうして起きたのですか?」

Tさん;「組合があなたの働くところの状況を
会社に説明した。
組合には人事権がないが、会社は動くことに
したらしい。
実は、もう一人に、職場の状況を聞いている。
そして、ある程度状況を見て判断できるよう
になってから、あなたに再度会うことにして
いたのでその分、時間が過ぎた」

私;「なるほど、そうでしたか。
どう変わったかが大事ですよね」

Tさん;「自分の周りの範囲で、差別がなくなれば、
それでいいじゃないか」

私;「…」

これは、健聴者の本音だと思います。
いろいろな意味があると思います。

確かに、その聴覚障害者と関わりのある、
周りの何人かの人が理解してくれて、
困ったときに助けてくれる人がいれば、
それでいいかもしれません。

「同情的に助けてくれる人がいれば、
合理的配慮なんかいらないんじゃないか?」

とでも考えているようでした。

しかし聴覚障害者だからといって、
本当にそんな狭い世界にいれば、
それでいいのだろうか?

それで聴覚障害者は、そこよりももっと
広い世界を知り、行動してみたいという
チャンスは望まないのだろうか?

その聴覚障害者はずっと、向上心を持ち
続けることができるだろうか?

そんな疑問ばかりが、自分の心の中から
どんどん出てきて、そしてそれを抑えつけ
続ける時間の中に、自分はずっといる
のです。

このガマンに費やす精神的エネルギーは
相当なもので、暴発寸前の自分を抑え込む
ために、何でもいいから知恵を働かせな
ければならない。
しかし、何のためにそうするのか!
それも、自分には分からない!!
ただ運命だからなのだろうか?

人間の欲求って、絶えず大きくなってゆく
ものなのではないかな。
そういうものであるからこそ、私はTさんの
言葉には納得できないのだと思います。

周囲の誰かに依存するのではなく、
障害者も、誰もが力を発揮できる社会に
したい。
その権利が、誰にだってあるはずだ。

それに、そんな理解者が異動したり、
辞めていっていなくなれば、
またそうした理解者をつくらなくてはなりません。
その努力のために一生を費やすことが、
障害者の生き方なのだろうか?

助けてくれる人にいつまでも依存するのでは、
助けてくれる人に申し訳がない、という気持ち
もあります。
そして、助けてくれる人にも、本当は障害者の
世話をするよりも、自分のしたいことを会社
でもする権利があるのではないだろうか?
私には、そんな疑問が次々と出てきます。

上司は

「障害者だから、それでいいんだ」

と思っていますが、私は、このような依存関係は
絶対におかしい、と思います。

これでいいんだったら国連・障害者権利条約なんか、
要らないじゃないか!
だから、Tさんの言うことはおかしいと思っています。

向上心を抑えつけたのでは、誰だって伸びない。
また、それで聴覚障害者への職域差別問題が
解決すると思っているTさんのほうこそ、
人間というものをわかっていないのだろう。
Tさんは「聴覚障害者はそれで充分」と
思っているのではないだろうか。


(2)について。
Tさん;「すみませんでした。
内容を確認しないまま、回覧してしまいました。
しかし、『素人さん』は失礼でしょ?
こっちだって、一生懸命にやっているんだから。
確かに素人ですけれども、
この件に詳しい組合役員が筆記します。
説明は資料の中にあり、どこを説明しているのかを
指差ししてくれます。
また、書いていないところの説明は、
筆記してくれます。」

また、こんなありきたりの言い訳で済むと
思っているのか!

「情報保障と筆談の違いは何かを理解して
いるのか?」

と前から聞いているのに、
この件も無視して、持論で説教をするのは
どういうつもりなのか?!

それに「素人さん」は、入社研修日の通訳者
代わり(手話サークル員が担当した)
もそうだった。
(当ブログ

『健聴者にだまされたこと (1)』
〔2014-08-20 18:30〕


参照。)

前の話し合いで説明したはずなのに、
組合はもうすっかり、それを忘れている。
組合も会社も、自分に都合の悪いことは
すぐ忘れるようです。

私は組合のこの案は拒否し

「次の集会も、自分で通訳を連れてきて
出席したいので、認めて下さい」

と提案し、了承してもらいました。
となったということはやっぱり組合も、
本音は費用を出したくないからなのだ。

それなら、初めからそう言えばいいのだ。
言わないから、こんなややこしい話になり、
話す時間だって無駄になるのだ。

組合が筆記すると対応した理由については、
他に次のこともあります。

Tさん;「組合も聴覚障害者に通訳が必要だとは
考えている。
ただ、組合運営は皆の組合費からなって
いるので、総会での決定が必要。
この案が総会で採決されるには、とても大変で、
時間もかかる。
だから、それまでは組合役員で筆記対応したい、
と思っていた。
今回は、言葉が足りませんでした」

私;(また「言葉が足りませんでした」という、
政治家みたいな言い訳には呆れましたが)
私はこれには理解はします。
それならば、通訳がつけられないことの、
合理的理由になると思います。
S書記長(私のメール文の回答者)は、
初めからその理由を言うべきでした。

できないのなら、早く言わないと、
私も専門の通訳者を依頼できません。

ただし、通訳を準備できない理由があるから
といって、そのような素人レベルの筆記では、
聴覚障害者に情報格差が生じることになります。
専門の通訳でないということは、
我々聴覚障害者にとっては、
そういうことなのだということも理解して下さい。

他の聴覚障害者も

『通訳がつかないのなら、出たくない』

と言っています。

ですからそれまでは、前の時と同じように、
私が自分の信頼する通訳者を連れてくる
ことを認めて下さい」

Tさん;「了承しました。
○○月△△日でよろしいでしょうか。
通訳者派遣が決まりましたら、連絡を下さい」

要は

「組合は費用負担はしません」

ということなのだろう。
その条件でならば、あっけなく決まって
しまいます。

『これでいいのか? 健聴者が一方的に
考えた聴覚障害者情報保障の実例から』
〔2011-09-12 22:17〕


も参照するとよいと思います。

健聴者の善意に負けてしまうような体験を、
自分ももう少しで、することになりそうでした。

そりゃ健聴者なりに考え、一生懸命に
情報保障・通訳ボランティアをやってくれる
人に対して「素人さんですか?」は確かに
失礼です。

しかし、それを言うならば、組合の方こそ
「失礼なのはどっちなのか」
を、もっとよく考えてほしかった。

組合は、そうしたボランティアと通訳者の
情報保障の質的な違いを、真剣に考えて
いなかったし、これからも考えようともして
いないのではないか、と思う。

失礼な考え方をしているのは、そもそも、
そういう一方的な好意、善意を、
聴覚障害者への通訳とか情報保障代わり
になると考えて、押し付けようとしている
ことではないでしょうか?
(通訳者制度すら、ボランティアと混同している)
あんまりだな、幾ら何でもそれは。

障害者支援を、そんなものでいいと思って
いるのが、今までずっとやってきた、
健聴者の考え方ではないか?

私は真面目にそう考えた結果、もう完全に
怒ったし

「素人さんですか?」

とハッキリ言っておきたかったのです。

馬鹿にしてんのはどっちだ!
「素人さん」が通訳者代わりになるとでも?!

この人たちは、通訳者をそんなものだと思って
いるから、そんな浅はかな自分たちの案を、
平気で出せるのだろう。

一生懸命やれば、聴覚障害者への通訳として、
それでいいのか?
冗談じゃない!

私の

「通訳と筆談の違いについて、
理解していますか?」

という質問に対し、Sさん(労働組合の書記長)
が回答を避けているのは、S書記長自身が、
これについて答えられないからではないか?
と思いました。

だから別の答え方をしている、という見方ですが、
その内容を見ても、S書記長はやはり何も
わかっていないのではないかと思いました。

いっそのこと、私が通訳と筆談との違いについて
説明をするよりも、健聴者の皆さんが、
それをやってみて、見比べてみたらどうだろうか、
と思います。

A4用紙2~3枚分のスピーチ原稿文をつくって
おいて、それを普通の話し方で読むのです。
それを「素人さん」(失礼な言い方なのですが、
先日のメールの話とすぐわかるので、
あえてこの言葉をまた使わせていただきます)が、
要約文を書いてみるのです。

そして終わった後、スピーチ原稿文と
「素人さん」が書いた要約文を見比べて
みて下さい。
そうすると、どれだけ違いが出ているのか、
わかるのではないかと思うのですが。

また、今度の職場集会のときには、
私の隣に要約筆記者
(ボランティアでなく、専門の試験に合格した方です)
が来るので、その要約文を読まれてみては、
いかがでしょうか?

情報格差(=これも聴覚障害者差別の一つ)が
あることが、分かると思います。

そして、そこまでのことが「素人さん」にはできる
のかどうか、ご自分たちでも検証すると、
聴覚障害者問題の理解につながるのではないか、
と思われます。


(3)について。
S課長にプリントアウトした投稿文を渡している
ので、組合でも、このことを問題視している
のだろう。

S課長は、人事にも報告して、時期を見て、
私を辞めさせる(解雇ではなく、雇用契約更新
しない)ことを検討させているかもしれない。

この言葉は、それをストレートに表現していない
が、結論を言うと、そういう意味なのです。

これが、健聴者の言い方(会社から法違反に
該当することは言わず、障害者側に推察
させる言い方=会社組織の力を見せつけて
屈服させるやり方)なのです。

そろそろ、気がつかないといけないことがある
と思いました。
以前に、聴覚障害を持つ弁護士にも、
職域差別問題の相談をしたことがあります。

お互いに当事者同士ですから、弁護士も
私の置かれている状況がわかっていると思います。

そのときは

「困ったことがあったら、会社に自分で直接
言うのではなく、まず労働組合に相談して、
解決を求めていったほうがいい」

というアドバイスをいただきました。

しかし、私の場合には、労働組合を全面的に
信頼するわけにはいかないようです。

特に、聴覚障害者への間接差別

(障害者への偏見に基づく
①能力の過小評価〔不当評価〕、
②それに伴う職域差別、
③待遇〔情報保障を行わない、など〕や
④賃金等の格差など、

あらゆるもの)については会社は勿論、
組合も認めようとしていないことが、
今回の話し合いでわかったからです。

ここまで気がつけば、2年ほど前の、
大規模な労働組合の連合デモ集会のことも、
思い出します。

そこでは、多くの労働組合が同盟的になって
日比谷大音楽堂に集結し、集会を開いた後、
国会議事堂周辺をデモ行進していました。

そのときにもらったビラには

「障害者総合福祉法〔※〕反対!」
〔※ 国連・障害者権利条約に合わせた障害者
関係の改正法案〕

と書かれていました。

これ以上、障害者対策に予算が回り、
一般国民への予算が減ることには反対して
いるわけです。
(この人たちは、『障害者は国民ではない』と
思っているかも?)

現行の障害年金制度にも反対という内容の
文言が見られました。

彼らは、自分たちの権益を守るために労働組合
を結成し、活動をしているわけで、組合員構成率
が極端に低い障害者の味方をする気はない、
というわけです。

※実は、当ブログ

『これでいいのか? 健聴者が一方的に考えた
聴覚障害者情報保障の実例から』
〔2011-09-12 22:17〕


で紹介した話が、この労働集会でした。

そもそも、障害者のほとんどは、今後も働かない
(当事者側からすると「働けない」人が多いので
あるが)のだから、税金をムダにかけるな、
という考え方だと思います。

これは、私が所属する労働組合でも同じ考えだろう
と思います。

「組合は組合員のお金で運営しているので、
障害者のためだけに、すぐに通訳をつけることは
難しい」

と言って、もう随分経っているのですから。
そう言って放置されるのは、社会的弱者の運命
でしょうか。

組合も所詮、マジョリティがマイノリティの意見を
潰すという原理しか持っていないのだと思います。
結局は人間のやることすべて、労働組合だろうが、
障害者団体だろうが、何だってそうなってしまうと
思います。

私だって、聴覚障害者団体の中ではマイノリティ
の障害種別ですから、そいうことは敏感に
分かるのです。
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by bunbun6610 | 2016-01-13 18:30 | Z1.クレジットカード会社
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ある聴覚障害者から見た世界


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