ワタミフードシステムズ株式会社の障害者雇用戦略
2015年 10月 30日
東京ジョブコーチ
http://www.shigotozaidan.jp/shkn/yourself_supporter/job_coach/index.html
東京ジョブコーチ広報紙
第7号(2015年9月)
http://www.shigotozaidan.jp/shkn/yourself_supporter/job_coach/documents/tokyo_job_coach_news_7.pdf
『ご本人の障がい特性に応じた働き方
に配慮しています』
ワタミフードシステムズ株式会社
人材開発本部採用部 吉田良二氏(視覚障害者)
― 御社の障がい者雇用状況や、
仕事の内容を教えて下さい。
「今年3月末で、121名の障がい者の方に
働いていただいています。
そのうち、精神の方が6割近いかも知れません。
最近の応募の内訳で言いますと、6割が精神、
3割が知的、1割が身体(四肢、聴覚、視覚の方)
です。
配属先店舗を決める基準は2つありまして、
一つ目は、ご本人が通勤しやすい店舗である
ということ。
電車移動が長いとそれだけで疲れてしまいます。
特に精神障害のある方は体力的にも不安を
抱えている場合が多いので、少しでも通勤で
疲れないよう、ストレスがかからないように
なるべくご自宅から近い店舗を勤務先として
います。
とはいっても、自宅から一番近い店舗が
必ずしも働きやすい店舗かというと、
そうではないと思っています。
もう一つの基準は、受け入れ体制や職場環境
はどうか、本人にとって活躍できる仕事が
用意できるか、という点です。
この2つの基準を元に働いてもらう店舗を決定
していきます。
― 障がい者の方の働き方や、
仕事内容を教えて下さい。
「日中の勤務と夕方から夜にかけての勤務の
2つの時間帯があります。
日中の勤務は週20時間程度で、精神に
障がいのある方にも働きやすい形態に配慮
しています。
日中の仕事の内容は、開店前の清掃と
仕込みです。
夕方から夜に関しては、主に食器洗浄と
調理です。
調理では、揚げ物や焼き物を担当したり、
人によっては刺身を切ったり盛り付けたり
する仕事もお願いしています。
ドリンクを作ってもらっている方もいます。
夜の時間帯には4時間勤務、または23時
までの6時間勤務で働いている方もいます。
ただ、遅くまで働くと生活リズムが狂って
しまったり、親御さんが心配されたりする
場合もありますので、そこは無理のない
範囲でお仕事していただいています」
― 本社と店舗との連携は、
どのように進めていますか?
「障がい特性や配慮点をまとめたハンドブック
を作成し、受け入れ店舗へ渡しています。
これは、2014年2月にワタミグループ全体で
障がいのある方にとって働きやすい職場作りを
推進していこうというプロジェクトが立ち上がり
作られました。
障がいへの理解が不足していることによって
誤解やトラブルが生じ、本人にストレスをかけて
しまうことがあったので、勉強のためのツールを
作ろうと考えました。
それがこのハンドブックとマニュアルです。
プロジェクトの責任者が中心となって作成しました。」
― 当事業(東京ジョブコーチ)への
ご意見等お聞かせ下さい。
「今年三月末までに三五名が東京ジョブコーチ
さんのお世話になっております。
早く職場実習や就労したいという応募者の方が
多いので、いつも依頼から開始までスピーディに
進めてくださるのはとてもありがたいです。
また、職場では、障がいのある方にどんな仕事を
任せられるのか、どのように作業手順を伝えたら
良いのか等、店長が困っている事に対して
東京ジョブコーチさんがアドバイスしてくださり、
とても助かっています。
障がい者メンバーが職場でどういうことで困って
いるか、どうすれば働きやすくなるか、という
ノウハウを持っているのは、店長以上に
東京ジョブコーチの皆さんであると思っています。
将来的には、東京ジョブコーチさんのノウハウを
参考に、全国での障がい者雇用にあたり社全体
の受け入れ環境のレベルアップにつなげたいと
考えております。
全国の店長がジョブコーチの役割になれないか、
パートさんが障がい特性について理解できないか、
配慮できないかといった部分でヒアリングさせて
いただいて、研修会や受け入れマニュアルに
反映させていきたいと考えております。」
=========================
〔実際の障害者枠求人票〕
『障害者雇用 - ワタミフードシステムズ株式会社
(外食事業)』
〔2015-04-25 18:30〕
『【障害者雇用推進月間特集】
ワタミフードサービスの障害者求人票』
〔2014-09-13 19:00〕
『ワタミフードサービスの障害者求人票
(平成25年8月)』
〔2013-08-12 23:57〕
>「特に精神障害のある方は体力的にも不安を
抱えている場合が多いので、少しでも通勤で
疲れないよう、ストレスがかからないように
なるべくご自宅から近い店舗を勤務先として
います。」
精神障害者に対する、通勤時間への配慮は
確かにあるだろう。
だが例えば、私が前にいた会社でも、
千葉から東京へ片道1時間半かけて通勤
している精神障害者もいた。
だから、必ずしも一番の条件にはならない、
と思う。
通勤距離の条件をワタミが主張するのは、
おそらく別の本音があるからである。
最近では障害者雇用といえども、
企業は単に法令遵守の目的だけでなく、
費用対効果を狙っている。
ユニクロなどは、とっくにそれを意識していた。
下の求人票を見てもわかるように、
ユニクロは障害者店舗スタッフには、
初めから交通費を支給しないという、
究極の求人票で採用するというシステムを
採っている。
『日経ビジネスにみる、障害者雇用戦略』
〔2013-01-03 11:26〕
『障害者雇用 - 株式会社ジーユー』
〔2015-11-02 23:38〕
その理由は、コストパフォーマンス以外に
考えられない。
本音は、障害者雇用のコストを抑えたいから、
なのだ。
障害者を雇用するにあたって、一番重視して
いるのは
「安価な労働力であるかどうか」
である。
ワタミも、同じだ。
ユニクロやワタミだけではなく、これはどこの
会社でも同じだ。
もっとも、それが原因で、障害者が一人も
採れなくなってしまったら、それも困るのだが。
「精神障害者へ配慮」と、綺麗事を言っているが、
会社の本音は綺麗事をしたいわけではないのだ。
>「とはいっても、自宅から一番近い店舗が
必ずしも働きやすい店舗かというと、
そうではないと思っています。」
その通りである。
障害者雇用で、最も大切なことは、
通勤時間ではない。
雇用する障害者の障害を理解できる上司
や仲間がいるかどうか、このことなのである。
企業にとっても障害者にとっても、
そうした環境が整っている店舗を選ぶことが
重要だ。
下の、マクドナルドの事例と同じだ。
『障害者雇用 - 日本マクドナルド株式会社』
〔2015-04-17 18:30〕
障害者雇用の極意を、わかっていない企業が
多いよなぁ。
それも、障害者雇用が進まない一因なのだろう
と思う。
〔参考情報〕
労政時報の人事ポータル
『jin-jour(ジンジュール)』
これが上司と部下の生きる道 【中尾ゆうすけ】
[2011.06.24]
障害者雇用に見る、上司の職場マネジメント(後編)
~差別や偏見の多くは、無知や誤解から生まれる~
これが上司と部下の生きる道(20)
中尾ゆうすけ(日本メンタルヘルス協会 公認心理カウンセラー)
http://www.rosei.jp/jinjour/article.php?entry_no=55620
〔障害者雇用 ― 企業側の失敗事例〕
『ユニクロの障害者雇用いじめ・パワハラ問題について』
〔2014-04-27 18:30〕
http://www.shigotozaidan.jp/shkn/yourself_supporter/job_coach/index.html
東京ジョブコーチ広報紙
第7号(2015年9月)
http://www.shigotozaidan.jp/shkn/yourself_supporter/job_coach/documents/tokyo_job_coach_news_7.pdf
『ご本人の障がい特性に応じた働き方
に配慮しています』
ワタミフードシステムズ株式会社
人材開発本部採用部 吉田良二氏(視覚障害者)
― 御社の障がい者雇用状況や、
仕事の内容を教えて下さい。
「今年3月末で、121名の障がい者の方に
働いていただいています。
そのうち、精神の方が6割近いかも知れません。
最近の応募の内訳で言いますと、6割が精神、
3割が知的、1割が身体(四肢、聴覚、視覚の方)
です。
配属先店舗を決める基準は2つありまして、
一つ目は、ご本人が通勤しやすい店舗である
ということ。
電車移動が長いとそれだけで疲れてしまいます。
特に精神障害のある方は体力的にも不安を
抱えている場合が多いので、少しでも通勤で
疲れないよう、ストレスがかからないように
なるべくご自宅から近い店舗を勤務先として
います。
とはいっても、自宅から一番近い店舗が
必ずしも働きやすい店舗かというと、
そうではないと思っています。
もう一つの基準は、受け入れ体制や職場環境
はどうか、本人にとって活躍できる仕事が
用意できるか、という点です。
この2つの基準を元に働いてもらう店舗を決定
していきます。
― 障がい者の方の働き方や、
仕事内容を教えて下さい。
「日中の勤務と夕方から夜にかけての勤務の
2つの時間帯があります。
日中の勤務は週20時間程度で、精神に
障がいのある方にも働きやすい形態に配慮
しています。
日中の仕事の内容は、開店前の清掃と
仕込みです。
夕方から夜に関しては、主に食器洗浄と
調理です。
調理では、揚げ物や焼き物を担当したり、
人によっては刺身を切ったり盛り付けたり
する仕事もお願いしています。
ドリンクを作ってもらっている方もいます。
夜の時間帯には4時間勤務、または23時
までの6時間勤務で働いている方もいます。
ただ、遅くまで働くと生活リズムが狂って
しまったり、親御さんが心配されたりする
場合もありますので、そこは無理のない
範囲でお仕事していただいています」
― 本社と店舗との連携は、
どのように進めていますか?
「障がい特性や配慮点をまとめたハンドブック
を作成し、受け入れ店舗へ渡しています。
これは、2014年2月にワタミグループ全体で
障がいのある方にとって働きやすい職場作りを
推進していこうというプロジェクトが立ち上がり
作られました。
障がいへの理解が不足していることによって
誤解やトラブルが生じ、本人にストレスをかけて
しまうことがあったので、勉強のためのツールを
作ろうと考えました。
それがこのハンドブックとマニュアルです。
プロジェクトの責任者が中心となって作成しました。」
― 当事業(東京ジョブコーチ)への
ご意見等お聞かせ下さい。
「今年三月末までに三五名が東京ジョブコーチ
さんのお世話になっております。
早く職場実習や就労したいという応募者の方が
多いので、いつも依頼から開始までスピーディに
進めてくださるのはとてもありがたいです。
また、職場では、障がいのある方にどんな仕事を
任せられるのか、どのように作業手順を伝えたら
良いのか等、店長が困っている事に対して
東京ジョブコーチさんがアドバイスしてくださり、
とても助かっています。
障がい者メンバーが職場でどういうことで困って
いるか、どうすれば働きやすくなるか、という
ノウハウを持っているのは、店長以上に
東京ジョブコーチの皆さんであると思っています。
将来的には、東京ジョブコーチさんのノウハウを
参考に、全国での障がい者雇用にあたり社全体
の受け入れ環境のレベルアップにつなげたいと
考えております。
全国の店長がジョブコーチの役割になれないか、
パートさんが障がい特性について理解できないか、
配慮できないかといった部分でヒアリングさせて
いただいて、研修会や受け入れマニュアルに
反映させていきたいと考えております。」
=========================
〔実際の障害者枠求人票〕
『障害者雇用 - ワタミフードシステムズ株式会社
(外食事業)』
〔2015-04-25 18:30〕
『【障害者雇用推進月間特集】
ワタミフードサービスの障害者求人票』
〔2014-09-13 19:00〕
『ワタミフードサービスの障害者求人票
(平成25年8月)』
〔2013-08-12 23:57〕
>「特に精神障害のある方は体力的にも不安を
抱えている場合が多いので、少しでも通勤で
疲れないよう、ストレスがかからないように
なるべくご自宅から近い店舗を勤務先として
います。」
精神障害者に対する、通勤時間への配慮は
確かにあるだろう。
だが例えば、私が前にいた会社でも、
千葉から東京へ片道1時間半かけて通勤
している精神障害者もいた。
だから、必ずしも一番の条件にはならない、
と思う。
通勤距離の条件をワタミが主張するのは、
おそらく別の本音があるからである。
最近では障害者雇用といえども、
企業は単に法令遵守の目的だけでなく、
費用対効果を狙っている。
ユニクロなどは、とっくにそれを意識していた。
下の求人票を見てもわかるように、
ユニクロは障害者店舗スタッフには、
初めから交通費を支給しないという、
究極の求人票で採用するというシステムを
採っている。
『日経ビジネスにみる、障害者雇用戦略』
〔2013-01-03 11:26〕
『障害者雇用 - 株式会社ジーユー』
〔2015-11-02 23:38〕
その理由は、コストパフォーマンス以外に
考えられない。
本音は、障害者雇用のコストを抑えたいから、
なのだ。
障害者を雇用するにあたって、一番重視して
いるのは
「安価な労働力であるかどうか」
である。
ワタミも、同じだ。
ユニクロやワタミだけではなく、これはどこの
会社でも同じだ。
もっとも、それが原因で、障害者が一人も
採れなくなってしまったら、それも困るのだが。
「精神障害者へ配慮」と、綺麗事を言っているが、
会社の本音は綺麗事をしたいわけではないのだ。
>「とはいっても、自宅から一番近い店舗が
必ずしも働きやすい店舗かというと、
そうではないと思っています。」
その通りである。
障害者雇用で、最も大切なことは、
通勤時間ではない。
雇用する障害者の障害を理解できる上司
や仲間がいるかどうか、このことなのである。
企業にとっても障害者にとっても、
そうした環境が整っている店舗を選ぶことが
重要だ。
下の、マクドナルドの事例と同じだ。
『障害者雇用 - 日本マクドナルド株式会社』
〔2015-04-17 18:30〕
障害者雇用の極意を、わかっていない企業が
多いよなぁ。
それも、障害者雇用が進まない一因なのだろう
と思う。
〔参考情報〕
労政時報の人事ポータル
『jin-jour(ジンジュール)』
これが上司と部下の生きる道 【中尾ゆうすけ】
[2011.06.24]
障害者雇用に見る、上司の職場マネジメント(後編)
~差別や偏見の多くは、無知や誤解から生まれる~
これが上司と部下の生きる道(20)
中尾ゆうすけ(日本メンタルヘルス協会 公認心理カウンセラー)
http://www.rosei.jp/jinjour/article.php?entry_no=55620
〔障害者雇用 ― 企業側の失敗事例〕
『ユニクロの障害者雇用いじめ・パワハラ問題について』
〔2014-04-27 18:30〕
by bunbun6610
| 2015-10-30 18:30
| 障害者法定雇用率