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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

『誰からも愛されるパンを』(Eテレ『ろうを生きる難聴を生きる』)

http://www.nhk.or.jp/heart-net/rounan/backnumber/2015/09/0919.html#contents


Eテレ『ろうを生きる難聴を生きる』
『誰からも愛されるパンを』

 ·2015年9月19日(土) [Eテレ] 午後8時45分~9時

 ·[再放送]
 2015年9月25日(金) [Eテレ] 午後0時45分~


熊本で人気のパン屋がある。
作っているのは難聴のパン職人・東園子さん(37)だ。
幼い頃から料理が好きで短大を卒業後、一度は銀行
に就職したものの退職。
専門学校に通い、フランス料理店に就職した。
しかし、聞こえないことを理由に料理をさせてもらえず、
皿洗いしか出来なかったという。
やむなく郷里に戻り結婚、2人の子どもを授かるが、
再び料理への挑戦を始める。
姉が経営していたカフェの一角で、パンを売ることに
したのだ。
障害が原因で店のスタッフとコミュニケーションが
うまく取れず、一時は店をやめざるを得なかったが
努力を重ね、シンプルで毎日でも食べられるパンをと、
50種類ものパンを考案、人気店となる。
スタッフとの接し方にも工夫を凝らし、今や3店舗目を
出すまでになった。

番組では、何度も壁にぶつかりながらも、前へ進み
続ける東さんの姿を見つめる。


【東さんのパン屋】
まどパン(本店)

住所:熊本市東区下江津3-15-7
電話:096-285-3987



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〔参考情報〕


『聴覚障害者にできる仕事』
〔2012-01-18 22:25〕



『料理人志望の聴覚障害者の現実』
〔2012-06-18 20:36〕



『必携製菓道具 ―3つの計測機器』
〔2013-03-03 09:00〕



『障害者雇用 - 日本ホテル株式会社』
〔2014-12-20 18:30〕



下のように、聴覚障害者が面接で
合理的配慮を求めたら、
不採用になった事例もある。

『就労前の聴覚障害者問題
 - 音声コミュニケーション妥協は
「歩み寄り」ではない』
〔2015-02-01 20:00〕





【追記】

あれだけ速く動けるのに、

「耳が聞こえない」

という理由だけで排除してしまうのは、
勿体ない。



(ナレーション)
「幼い頃からパンが大好きだった東さん。
いつか料理人になりたいと思い続けていました。
その道を実際に歩み始めたのは、
短大を卒業し銀行に勤めていた24歳の頃。

仕事に不満はありませんでしたが、
長年の夢を叶えたいと一念発起したのです。

貯めたお金をつぎ込んで料理の専門学校に進学。
横浜のフランス料理店に就職しました。
しかし3年半、皿洗いしかさせてもらえません。

『耳が聞こえないと客に料理を出すタイミングが
分からない』

というのが、その理由でした。」

(東さん)
『料理はさせてもらえなかったけど、
どんなことでも引き受けました。
でも、朝早くから夜遅くまで、皿洗いだけ
やって帰る。
こんなことが、私のやりたいことなのかな?
 と思うようになって・・・・。」


現在働いている『まどパン』では、
問題が起きる発端となったのも、
それを解決する発端となったのも、
コミュニケーションだったようだ。

秋に出すための新作パンの試作を見たが、
確かに他のスタッフの言う通り、
東さんが切って乗せた野菜が小さかった。

東さんは、それを他のスタッフの意見も
よく聞くことによって、解決していった。

味の基本は天然酵母と自家製低温殺菌牛乳
にあるらしく、その部分は東さんの専門領域
になると思う。
だが、それだけに自惚れることなく、
東さんは

「お客様とスタッフは気持ちが一番近いので、
(意見を)大事にしたいと思います」

と言う。

飲食業界ではよく、自分だけで考えた料理を
自画自賛するシェフがいて、チームワークを
無視したり、店を潰してしまったりするケース
がある。


お客さんの反応が、スタッフの意見と的確に
マッチしている。

「野菜がいっぱいのってて、見た瞬間、気になる。
秋っぽいし、おいしそう」


「レジに来たら目について、おしそうだったので、
野菜たっぷりで、買ってみようかなと思いました」





>「しかし3年半、皿洗いしかさせてもらえません」


このような話は、以前から聞いたことがあった。
私の料理経験でも、確かに洗い場の経験が
多かった。

予想はしていたけれども、次から次へと
出てくる話に、私も

「まだ、そんな時代が続いているとは・・・」

と、少し驚いている。

健常者でも、未経験者や、それに近い人なら、
まずは洗い場から始める、というのが当たり前
の世界だ。

だが、聴覚障害者となると、例え経験者であっても
「洗い場担当」になってしまことが少なくない。
ずっとそのままだって、珍しくはない。
健常者の場合にもあるけれども、健常者は誰か
後輩が入ってくると、ほぼ必ず交代する。
上へ上がれるので、いつまでも洗い場、
ということはない。

けれども、もしかしたら名門・名店と言われる
ほどの職場なら、健常者にもあることはある。
特に有名な話が、下の例だ。


『三國清三 - オテル・ドゥ・ミクニ
〔東京・四谷〕オーナー・シェフ』
〔2015-04-05 18:30〕




漫画の『包丁人 味平』だって、修行時代には
それなりにイジメや差別を受けている様子が
描かれているし、あれは漫画だから、という
単純な理由だけではない。
現実に、そういう世界なのだ。
原作者は取材で、ある程度のことは知って
いたのだろう。

『『包丁人 味平』(原作:牛次郎、漫画:ビッグ錠)』
〔2015-04-01 18:30〕



だから、この世界に入るならば、
どこの職場に行こうと、差別的取扱いをする
人間が一人ぐらいは必ずいる、と思って
おいたほうがいいだろう。
その上で、そうした差別にも負けないで、
技術を盗むタフな精神力を培うことが必要だ。
それが自立に必要な経験でもあることは、
健常者、障害者を問わないと思う。

そのために私は『あしたのジョー』『アントニオ
猪木』『タイガー・ジェット・シン』からも、強い
影響を受けていた。



『『あしたのジョー』(高森朝雄/原作、
ちばてつや/画)』
〔2015-04-02 18:30〕



『燃える闘魂 - アントニオ猪木』
〔2015-04-03 18:30〕



『インドの狂虎 - タイガー・ジェット・シン』
〔2015-04-04 18:30〕




ただ夢を持っているだけでは、あの厳しい
世界に耐えてゆくことなど、出来なかったと
思う。
夢に対する強い気持ちも大切だが、
実現するには強い自己実現力を持つことが
必要だ。

だまされることもよくある世界なのだから、
技術を盗むためには、

「どんな手を使ってでも」

という、ずる賢さも必要だ。

東さんが、お店とどういう話し合いをして
入店したのか不明なので何とも言えない
ことだが、永久に洗い場担当というのは
当然に、東さんの本意ではなかった。

しかし、それはどうして、そうなったのだろうか。
入店する時の条件として、店が最初から

「洗い場で良ければ、雇ってもいい」

と言っていて、東さんもそれに文句を言わ
なかった可能性もある。
あるいは、

「聴覚障害者でも洗い場の仕事を覚えたら、
料理の仕事もやらせてもらえるようになる」

と、東さんだけが思い込んでいたのかも
しれない。
そういうズレは、現実によくある。

結局、東さんはうまいことを言われて騙された
のかもしれないし、会社としては障害者雇用率
と助成金目当てだったのかもしれない。
残念だが、障害者雇用ではよくあることなのだ。
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by bunbun6610 | 2015-09-24 23:29 | 就労後の聴覚障害者問題B