蒼穹 -そうきゅう- bunbun6610.exblog.jp

ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

聴覚障害者の、職場でのストレス


会社のろう者の先輩に、
今の自分の悩みについて相談してみました。

「自分の今の健聴者に対する見方を変えたいと思う。
あなたの場合は、どうしていますか?」

これに対する先輩の答えは明快でした。

「私は、仕事の内容が何であっても、
給料をいただいているのだから、
文句は言いません。
それが職域差別であっても、そうは考えません。
不満は言いません。
健聴者が聴覚障害者問題について考えて
いないのは、当たり前です。

健聴者とろう者は違う。
ろう者は、自分の眼に見える情報が全てだから、
仕事のストレスを解消する方法も、
眼を通してとなる。
でも職場でそれがないときは、我慢するしかない。

一方、健聴者の方は、耳から情報が入る。
健聴者は仕事をしながら話したりして、
ストレスを和らげ合っている。

だから健聴者にはストレスが我慢の限界へ
溜まりにくくなる。

けれどもろう者は、ストレスを逃がす方法がない。

私は仕事のストレスが原因で、入院した。
高血圧、脳梗塞になり、左眼が見えなくなった。
その診断書を会社に出してからは、
ようやく会社に理解してもらい、
職場では健聴者が私の耳となり、
助け合いながらやっていくようになった。

あなたも、自分の都合ではなく、
周りの人の都合に合わせてやってみたら?」

そこまで聞いた私は、その事実に驚いて、

「そこまでガマンしたら遅すぎるよ!」

と言いました。
先輩はそれにはうなづきながらも、
さらに自分の考えを話し続けました。

「私は納得できないことがあっても、
会社に理由の説明を求めない。
不満も持たない。
もしあったら、すぐに捨ててしまうことにしている。
あなたも不満を持つより、
自分の趣味とか、友達と飲んだり遊んだり
したほうがいいよ」

それでも、私はこう言いました。

「それも必要だと思うが、それをいくらしたって、
一時の逃避でしかない。
問題の根本解決には、やはり行動しなくては
ならない」

先輩もこう言った。

「行動はいいこと。
でも会社に求める前に、自分から変わることが大事」

私;「どう変わればいいのか?」

先輩;「不満を持たないようにしなさい」

私;「それは無理だよ。誰だって不満は持って
しまうもの。
不満をこぼす人もいれば、ガマンする人もいる。
でも不満を全く持たないということ自体は、無理だよ」

先輩;「無理と決めつけず、やったら?」

私;「それは、できる人とできない人がいる。
私も、できる範囲でガマンはしているが、
誰もができる方法ではない。
あなたはそれがずっとできるの?」

先輩;「私は不満なんて、とっくの昔に捨てたよ!
もう老人ということもあるけどね」

私;「私はできない。
不満は希望(に変えること)と同じ。
これから先も、聴覚障害者は生まれてくる。
そして自分と同じように苦しむ。
だから、この問題解決への努力は、
誰かがやらなくてはならないこと。
自分のためだけでなく、皆のため、
平等社会へ変えるため、
是正を求める運動をしていきたい」

聴覚障害者同士でも、理想を一つにすることは
難しいものです。
それでも、人間って、歳をとれば、
差別に対して鈍感になれるものなのだろうか。

もしそうなれるんだったら、自分も早く歳を
とりたい。
でもやっぱり、自分もそうなれるかは
わからないのだから、
早くラクに死にたい、とも思う。



(※)音声情報がなく、視覚情報のみに
依存するろう者にとって、
眼は視覚と聴覚の両方の役割を
果たしている、と言えます。

左眼が見えなくなっても、まだ右眼が
残ってはいますが、
左側から手話で話しかけられても、
気づかないこともあると思います。

何より心配なのは、以前(見えなくなる前)
に増して、交通事故などの危険に晒され
やすくなってしまうことではないだろうか。

[PR]
by bunbun6610 | 2015-09-01 18:30 | 就労後の聴覚障害者問題Z1