映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
http://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuryroad/



この映画は奇妙だ。
こんな極限状態、社会が荒れた世界に、
何人もの障害者が登場する。
しかも、障害者の中には、社会の底辺にいる者から
組織のボスや上官にいたるまで、様々な地位にある
人がいるのだ。
何よりも驚いたのは、彼らも健常者に混じって、
生きるために必至で戦っている姿だ。
自分の権利を得るために、そして守るために。

日本では障害者が出る映画というのはほとんど
ないし、出ても視聴者に同情を誘うような、
極めて地味な役柄が多かったりする。
こんなシチュエーションは普通、あり得ない。

だから、ジョージ・ミラー監督の映画構想には
本当に驚く。
この映画では障害者も健常者と対等に扱って
いるのだ。

この映画のストーリーのようなことは、
実際に起きてほしくはないことは勿論なのだが、
いい面をあえてよく言えば

「障害者も社会参加を果している人間社会」

と言えるかもしれない。
そういう意味で、この映画は障害者、健常者とに
関わりなく、どんな環境の中でも生き抜く、
たくましい人間性を描いている、と思う。


障害者を描いた映画には『フリークス』があるが、
それは上映禁止になった映画だ。

『映画『フリークス』(1932年制作・公開)』
〔2014-11-06 18:30〕


しかしそれに対して、本作はエンターテイメント
作品として成功している。
障害者が活躍し、そして健常者にも称えられる
英雄になるのである。

大悪党のボス、イモータン・ジョーは、呼吸器を
つけていなければ活動できないらしい。
大悪党のボスが何と! 障害者なのだ。

ジョーに反逆し、希望と平和を求める大隊長
フュリオサ(シャーリーズ・セロン)も、義手の女性だ。
本作はフュリオサがジョーの支配を終わらせ、
英雄になるまでの物語だと言ってもいいくらいだ。

他にも、何らかの障害や病気を持つ、
つまりハンディを持つ人々が登場する。
さらに、高齢女性も兵士として、男と戦っている。
そんな誰もが“平等な”人間社会を、
たくましく描いているのだ。
暴力で支配する社会でありながら、
障害者も活躍できていた社会だったから、
私は「奇妙だ」と言ったのである。

彼らは、自分に障害などがあっても決して
卑屈にならず、むしろ堂々と自己主張していく。
それが、この社会では当たり前になっているのだ。
そういう意味では、素晴らしいではないか。

そんな映画をつくったジョージ・ミラー監督の
映画構想には、本当に驚かされた。

個性的でビジュアル的に強烈な印象を持つ障害者
を主役級に多数起用しているためか、
主人公マックスの存在感すら薄れてしまっている
ように思う。
しかし、それも監督の計算のうちなのだろうか。


以前に、ろう者も兵士になれるイスラム圏の国に
ついて話したろう者が、こう言っていた。


「ろう者も兵隊になれる国は、幸せだろうか?
日本では、なれないよね。
あなたなら、この国をどう思うだろうか?」



『ろう者の「幸せ」とは?
(花燃ゆ - 第23話 『夫の告白』)』
〔2015-06-10 19:00〕



障害者だから兵士にはなれないというのも、
実は差別なのである。
それがこの映画に描かれている世界では、
いいかどうかは別として、
そうした差別は全くない、ということになる。

障害者も健常者も関係なく、誰もが皆、
生きるために自分の権利を得るために、
守るために、自己主張をしている。
実際にこんな社会が実現してほしいなどとは
思っていないが、いいところだけを取り上げれば、
まさに障害者や高齢者のみならず、
ハンディを持つ全ての人々も社会参加している、
理想的な人間社会だと言えるのかもしれない。

そんな構想は、映画とはいえ、やはり大した
ものだと思った。
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by bunbun6610 | 2015-07-29 18:30 | 雑談
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