行政の「災害時聴覚障害者救援」対応のずさんさに怒り

先日、役所まで行って、重度障害者に対する、
災害時救援対策のことで質問した。


「数年前、役所の防災課から郵便物が届いた。
内容は

『重度障害者に対しては災害時救援の対策を
したいので、個人情報の提供に協力してほしい。
もし、個人情報の提供に同意できぬ場合は、
その理由を書いて返信してほしい』

という主旨だった。

それで、私は不同意にし、その理由を

『聴覚障害者にはいろいろな人がいて、
必要な支援対策が異なる。
どんな救援策なのかもわからないのに、
同意することなどできない』

とした。

その後、数年が経っても、何も説明がなされ
ないままだが、あれからどうなっているのか?」

と質問した。

窓口の応対者は関口という男性職員だった。

その人と、お互いに筆談で1時間半ほどかかって、
やりとりをした。
だが、のらりくらりとした対応で、結局、
何も進展しなかった。

職員は初め、下の文書を渡してくれた。




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先ほどの問い合わせの件について

先ほどの件についてお答えいたします。

①災害時における名簿
この名簿は、大規模災害発生時に
「一人では避難することが困難な方」
を迅速に安否確認や非難の支援をしていただく
ための名簿です。
名簿に名前が記載されている方は、災害により
その場から退避することが必要な状況となった
場合、一人では避難できない方を記載するのを
目的として、同意確認を実施しているところです。

昨年度に郵送しました資料に関しては、
説明が不足しており、大変申し訳なく思っております。


②使用方法
平時からの活用方法につきましては、避難行動
要支援者名簿運用マニュアルに記載させていただ
きましたとおり、要支援者の状況を確認するための
訪問や避難訓練への参加の呼びかけなどを一例
としてあげさせていただいておりますが、あくまでも
任意であり、必ず実施するということではありません。

なお、平時の名簿活用につきましては、近くに
お住まいの民生・児童委員の皆様に限らず、
住民防災組織(町会・自治会)の皆様が実施される
場合もあります。

改めて、地域の皆様の安全を優先したうえで、
一人で多くの要支援者の生命、身体を危機から
回避するという法の趣旨についてご理解、
ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

■■■(地域名)危機管理室では、今後、避難行動
支援対策の事務局として、区と地域支援者、
関係事業者、社会福祉協議会などの機関による
協議の場の設定や避難支援に係る地域人材の育成、
要支援者への自らの身を守るための研修の実施等、
避難行動支援に係る共助力を向上させるため、
取り組みを進めていく予定です。

今後とも、この取り組みに関しましてご不明など
ございましたら、下記担当者までお問い合わせ
いただきますようよろしくお願いいたします。


担当
■■■(地域名)危機管理室 防災計画推進課
 防災推進グループ  関口
メールアドレス; ●●●●@××××.jp



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どうもこれは、他にも私のような疑問を持つ障害者
がいて、そのために準備しておいた回答文のよう
だった。

こういう文書が予め用意されていたのだから、
不信感、疑問点を抱いた障害者が、
他にもいたに違いない。

ろう協(聴覚障害者協会)でも、このことに関し、
会員から質問があった。

「役所から個人情報の提供を求められる書類が
届いたが、どうしてなのか?
個人情報を提供しても大丈夫なのか?」

といったものだった。

ろう協は「安心して」という主旨の、簡単な説明を
しただけだった。
だが、私はその話を鵜呑みにせず、不同意の
回答にした。

それでとうとう、自分が思っていた疑問を質問して
みたのだった。

担当者は、さらに『避難行動要支援者名簿運用
マニュアル』(■■■(地域名) 危機管理室 平成27年
1月 第1版)という文書を渡してくれた。

それによると「要援護者の区分」には確かに「聴覚
障がい者」も入っている。

だが、その聴覚障害者にどんな支援策が必要なの
かが、全く書かれていなかった。
これが、私の不安点だった。

「これは形だけのマニュアルだ」

と確信した。

そして『避難行動要支援者名簿制度のしくみ』と
いう章があった。

個人情報の提供に同意した者には、災害時に
支援者が安否確認などをするシステムになって
いるらしい。

どんな支援なのかといっても

「住民防災組織(町会・自治会)と該当地区を
担当する民生・児童委員に名簿を提供する」

と書いてあるのみで、具体的な支援策について
は全く書かれていない。

さらに

「民生委員も、災害時被災しているかもしれません」

と平気で言うだけだったものだから、唖然とした。

これでは、私の質問に対する、明確な答えには
ならない。

民生委員は地域内で何人いるのかと尋ねたら

「550人ほどいます」

と答えた。

私はさらに

「その中に手話ができる人はいますか?」

と聞いたら

「ほとんどいません」

だった。

「これでは個人情報を提供したところで、
聴覚障害者にはあまり有効策は期待できない
のではないか」

と危機感を抱いた。

確かに

「無いよりはマシ」

ではあるだろうが・・・。

緊急時だから、ぜいたくは言っていられないが、
このシステムでの支援者は、聴覚障害者について
の知識などゼロの健聴者だから、相当な孤独感
を味わうことになるだろう。

そして、一番の憤りとなるのは

「個人情報を民生委員や町会員に、
丸投げするだけの対策」

にある。

聴覚障害者について無知の健聴者ばかりに
個人情報を提供しても、あまり意味がないように
思う。

やはり、このままでは絶対にダメだ。
何とかして、聴覚障害者にはそれに相応しい
支援者組織ができないものだろうか、と思う。

担当者の話によると

「これは地域救援者の輪づくりのために、
区の防災課が始めたことなので、
その辺を理解してもらえたら」

ということだった。

かなり曖昧であり、期待薄だ。
勿論、このままでは安心できない。

やはり自分たちを守る支援者組織は、
自分たちでつくっていくしかないと思う。

そういう意味でも、聴覚障害者は近くの
聴覚障害者の団体に入っておいたほうが
いいのではないだろうか。

私はこの職員に、自分のメールアドレスを
教えて

「民生委員と、この件について是非話を
したいので、必ずここに連絡を下さい」

とも伝えた。
しかし、それも連絡なしのままにされてしまった。

やはりこの対策は“民生委員などへの丸投げ”
に相違ない。

こんなにアテにならない災害時救援対策のために、
聴覚障害者の個人情報がばら撒かれるとは
思わなかった。

一体、この職員、この役所は、何をやって
いるのだろうか。





〔関連情報〕

実はこれも、同じ役所で起きた事例である。
役所ってホント、いつまで経ってもダメだねぇ。



『聴覚障害者と個人情報漏洩問題』
〔2014-12-22 18:30〕





『聴覚障害者対応に恐ろしく鈍かった、
役所の障害者福祉課』
〔2015-01-17 23:09〕

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by bunbun6610 | 2015-06-14 18:30 | 聴覚障害

ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610