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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

厚生労働省『第1回 聴覚障害の認定方法に関する検討会議事録』(4/4)

○小川構成員
 1つ確認をしておきたいのですけれども、今回の
認定方法のあり方というか、認定方法に関して
検討するということは、いわゆる障害者の聴力の
レベルを見直していくということではなくて、
あくまでも認定の方法をいかに正確を期して今回
のような不正がなくすことができるかということで
理解としてはよろしいでしょうか。

○森岡課長補佐
 認定の対象範囲につきましては、ほかの障害との
バランスということも踏まえないといけません。
ほかの障害もいろいろとまだ検討する時間を要し
ますので、今回につきましては、方法についての
検討ということで集中的に検討させていただきたい
と思っております。

○小川構成員
 恐らく今回のような事例というのは、どちらかと
いうとまれな事例ではないかと思いますので、
こういった特異な事例が起こったということで、
根本的にその認定の方法を変えていく。

例えば他覚的な検査を全例で取り入れるとか、
そういうような、いわゆる認定方法の変更という
のは余り現実的ではないかなという気がします。

 普通は恐らく突然2級に該当する申請が行われ
るということは、比較的まれなのではないかと思う
のです。

例えば6級から始まって聴力がだんだん進行して
それが3級になって2級になるというような、
こういう経緯の中では、こういった不正が行われる
ということは余り考えにくいかなという気がします。
ですので、そういった時間経過の中でも実際には
不正を15条指定医がしっかりと否定をしている
というような現実もありますので、余り大きな変更
というのは実際には必要ないかなと私は思って
おります。

 あとは本当に先ほど石川先生がおっしゃられた、
いわゆる詐病ということですね。
この聴力の中で恐らく詐病ということで一番問題
となるのは、あくまでも聴力の検査は自覚的な
聴力の検査ですので、例えば80デシベルという
聴力を不正で示すということは、何回もやれば
必ず変動するわけですね。
ところが、一番難しいのは2級に該当するような、
全く聞こえない。
つまり、全く応答しないというようなときに、
それが本当に聞こえていないのか、あるいは
全く押す意思がないのか、その辺が一番問題
となるのかなという気がしますので、もし今までの
認定方法に少し何か加えるというようなことに
なると、恐らく2級に該当するような、そういう
ところの認定に際して何か加えるというような
ことが必要になるのかなという感じで、3級以下
に関しては、恐らくこれまでの認定の方法で
そんなに問題はないのではないかと私は思い
ます。

○中村構成員
 この方法が定められて60年ですか。
このABRという方法はいつごろからあって、
テクニカルな改善とかそういうことは起こって
いるのでしょうか。
それとも最初からABRが入っているのですか。

○小川構成員
 70年代ですね。
いわゆる臨床検査として導入されたという。
実際にABRというのは、音の刺激で発生する
脳波を調べて他覚的に聴力のレベルを調べる
ということなのですけれども、通常の臨床的に
行われている脳波ですと、クリックという音を
使うというのが一般的ですけれども、そうすると、
2,000Hzとか4,000Hzの聴力を反映すると
いうことで、例えば実際に身体障害者の診断書
の場合には、500、1,000、2,000Hzを記載
して平均聴力を記載するということになって
いますけれども、そういうことから考えると、
ABRのデータと、いわゆる診断に必要とされて
いる会話域の聴力が全くイコールとなるわけ
ではないです。

 そういうことで、今回の佐村河内さんの診断
書にもありますけれども、ASSRという周波数別
のいわゆる他覚的な聴力のデータをこうやって
示すような、こういう検査法が今はできてきて
おりますけれども、恐らく診療所のレベルまでは
全く浸透していないということだと思います。

ですので、そこまで要求するのは実際の現場
の認定ということを考えるとなかなか難しいのかな
という気はいたします。

○原構成員
 小川先生がおっしゃったとおりで、特にASSR
の確立という意味では、まだ途上と私は考えた
ほうがいいかなと。
周波数別でも、それが本当に語音と普通の純音
聴力検査と一致するかどうかというのはまだ
いろんな意見がありますし、ですから、ABRは
特にクリックですし、高音域の中心周波数の
閾値をはかっていて、たいていはマイナス
10~20デシベルが純音聴力検査の閾値とも
言われていますので、さまざまな高度な知識と
機械と時間が必要になってきますので、小川
先生が少し結論を急いでらっしゃるので追加
させていただくと、やはり経緯というのが1つ
大切だろうと思います。

 突然両側がアウトオブスケールといいますか、
90、100デシベルになるということは、
一般的には私たちは余り見ないです。

ですから、例えば小児期で最初からほとんど
聾と考えられたとしても、これは将来再認定が
必要ということで、最初から2級を与えることは
あり得ません。

ですから、やはり小児期があったとしても
何度かその経過を見ていきますので、
そういう意味では経過を見ていくとか、
これは将来をこの委員会として考えていただけ
ればいいのですが、例えば騒音性難聴などです
と3回やるのです。
その平均をもって、それが動かないということ
を確認した上で騒音性難聴を認定しております
ので、それに対して、これは一度だけの聴力検査、
純音聴力検査でやるということになっております
ので、その辺は多少工夫の仕方はあるかなと
いう感じはいたします。

 ちなみに言いますと、このSさんの最初の診断
書ですが、これが詐病なのか機能性難聴なのか
わかりませんが、この診断書自体は正しい法規
にのっとった、決して間違った診断書ではないと
思いますので、それはそれなりの意味合いを
持っているのだろうとは思います。
ただ、こういうことが少数ながら起こることがある
のでということがこの委員会の意義だとは思います。

○江藤座長
 ありがとうございます。
 再認定の問題もございますけれども、特に人工
内耳ができて進んできたりした過程で、小児、
乳幼児の聴力を早く判定されるということでABR
はかなり普及したかなと思います。
子供の場合はまだ時間的なこともあるので再認定
がつくことがたびたびあるかとは思うのですけれ
ども、身障法の本来の趣旨は、障害は永続という
ことなので従来は再認定が不要ということが
多かったかと思うのですけれども、再認定の問題、
導入につきましてはいかがでしょうか。

従来も経過で変動することが予想される場合は
15条指定医がそこで何年後ぐらいに再認定をと
いうのはあったかとは思うのですけれども、
いかがでしょうか。

○原構成員
 私見でよろしいですか。

○江藤座長
 どうぞ。

○原構成員
 うちは女房もそうなのですけれども、両側特発
性難聴、進行性の感音難聴というのがござい
まして、これは年数を追うごとに聴力が悪くなって
きますので、間違いなく再認定という形で我々は
やっております。

○市川構成員
 先ほど来のABRの話と今の再認定の問題も
絡むのですが、まず、補足させていただきますと、
このABRというのは1970年代に出て、1977年
にハワイで日米のABRに関する基本的な国際
会議があって、そこでABRのいろいろなスタンダ
リゼーションが規定されて、それはヨーロッパにも
波及したといういきさつがあるのです。

 そのころのABRというのは、従来の純音聴力
検査とか語音聴力検査とか、その他の、聞こえ
ます、聞こえません、読み取る、そういうことで
本人に応答させる主観的な検査法に対して、
本人は何も言わなくていいわけです。
あなたは聞こえますかと聞いているわけでは
なくて、脳波の上に変化が出るか出ないかを
見ているわけですから、黙って座ればぴたりと
当たるというような、一時は非常にもてはやさ
れる。

 先ほど来、一気に2級までは行くことはないと、
一般的にはそうなのですが、例えば工場で爆発
音の中で飛ばされた。
気がついてみたら、きのうまで、それまではよく
聞こえていたのだけれども、その後、全く聞こえ
なくなったという事例があります。
これは当然のことながら突然来るわけです。

 私が偶然に経験したのは、それに類したケース
だったのですが、当然ながらそういうことがあり
ますと、本人がある程度聞こえていても聞こえ
ないと言いたくなる心情というのはいろいろある
のではないかと思うのです。
結果的に全く聞こえないという。

ところが、どうも、“これは大変ですよね”という
ことを普通に言うと“そうなんですよ”とふっと
答えてしまうのです。

 それであるとき、まだABRが出たばかりのころ
ですが、今のように計測器は非常に小さなコン
パクトなものではなかった。
昔のSF映画の中に出てくる、畳でいえば畳を
壁に3枚ぐらい張りつけたぐらいの、増幅器とか
いろいろなもの、ボタンもたくさんあるという、
スイッチもたくさんあるという機械だったものです
から、私はその患者さんをその機械の前に
連れていって、どうも聞こえがよく理解できない
点があるので、今日はできないけれども、予約が
たくさん入っているから2週間ぐらい後になる
けれども、あなた、この機械でもって検査しま
しょう。
この機械はあなたが答えなくていいのです。
わかりますから。
ちょっと時間がかかりますけれども、時間を
とってください、その途中で1回来てください、
ビタミン剤を飲んでください、もしかすると
よくなるかもしれませんと。
これは全部筆談です。

 たしかあのとき2~3週間後の予約になった
と思うのですが、1週間か1週間半したときに
開口一番、あの薬はよく効いてかなり聞こえる
ようになりましたと。
そうですかと、では、あの機械でやる前にもう
一回検査してみましょう。
似た事例なのです。

そうしたら、事実上、あのときもほとんど50デシ
ベルフラットの心因性難聴を思わせるような
聴力像でした。
我々はABRというのは、初めは子供、乳幼児
に応用していました。
ボタンを押しなさいといっても子供は押さない
わけです。
だから、乳幼児でどの程度の難聴があるかと
いうのを早くディテクトするのは、その後の教育
に大変重要です。

ABRとか、それに準ずる、脳波を使って判定する、
いろいろな聴性誘発反応のうちの1つとしてABR、
これは再現性があるということで、乳幼児に非常
によく使われる。
答えなくてもいい、本人がボタンを押さなくても
いいというのがとても印象に残っている。
ABRもいいというのが当時の印象だったのです。

今お話がいろいろありましたように、ABRという
のは決して万能ではないし、周波数の帯域の
問題もありますから、それを鵜呑みするのも
逆の面でいえば危険な面もあるわけですね。

 先ほど小川先生でしたか、今回俎上に上がって
いる症例が生じたということで、タイトルが方法を
見直すだから、何となく見直しというのは変えな
ければいけないというようなニュアンスにとれない
わけではないけれども、そうではないのです。
これで本当にいいのかということを問うていると
私は理解しているのです。

今、何か普通の純音聴力検査、語音聴力検査、
あるいは内耳機能検査、そういうような従来から
ある検査法でどうもおかしい、専門家ならおかしい
と問診をしている段階で気づくことが多いです。

こういう場合、ABR検査を行うことが既に今まで
やられてきているわけですから、私自身はこの
方法が悪いとは思っていないのです。

 ただ、よりよくする方法がないかということで、
検討会、こういう事例が起こったためですけれ
ども、正直に申し上げますと、皆さんから言われ
たようにこれは本当にまれなケースではないか。
このまれなケースが起こったらその方法を変え
なければいけないかについては、今の私の
知識では大変難しいのではないかという印象
はあります。

皆様の知恵をおかりして、いい方法があれば
さらにいい方法をとるべきだともちろん理解
します。
その辺の見直しということの内容。
今の方法はよくないのだというニュアンスなの
かというところが大変疑問なのです。
江藤先生などはどう思っていますか。

○江藤座長
 障害認定のあり方というのは、実は結構議論
されてきております。
私も研究のこともありましたので過去のいろいろ
なことを当たってみますと、身体障害、ほかの
障害についても、1つは1981年に国際障害者
年というのがありまして、そのころ国内でも
そういう福祉のことの推進ということで、
これはいろんな議論があって、障害とは何か、
あるいは障害をどのように認定するかという
問題が身障法の趣旨とはまた別にございます。

 身障法はそもそも障害を持った方々の就労
支援といいますか、社会的な自立を支援する
という趣旨のもので、過去にいろいろ検討して
みますと、先ほどの資料にもございましたけれ
ども、自立支援という以外のところにかなり
身障等級がリンクしているという実態が明らか
になってきて、認定のあり方も含めてかなり
大きな課題、障害そのものが大きな課題では
ないかと思っております。

聴覚については長い経緯でABRができて
新しい検査法が出てきたのですけれども、
少しつけ加えられていますけれども、
基本的な認定法に関しては変わっていない
ということもあって、それほど大きな問題は
生じていなかったということではないかと
思います。

今回の事例はかなり特異なケースではないか
なと私も感じております。
補足させていただきました。

 ほかにありますか。


○小川構成員
 今、問題になったものは再認定がどうかと
いうようなことですけれども、この再認定に
関しましても聴覚障害だけが再認定をどう
するかというような議論でいいのかどうか
ということもあるのですが、例えば視覚障害、
そういった肢体不自由とか、こういう分野での
再認定がどうされているのか。

むしろその辺のほかの障害の種類によって
再認定がどういう形でなされているか。

この辺も少し参考資料になるかと思います
ので、もし御提示いただければ、今後の検討
の資料には重要かなと思います。

○江藤座長
 ありがとうございます。
 今回は第1回の検討会ということで、いろいろ
議論するために必要な資料等を御提案いただ
きましたけれども、そのほかに何か御質問、
御意見はございますでしょうか。

 どうぞ。

○原構成員
 1点だけ、資料4の3ページに「身体障害認定
基準(抜粋)」がありますが、これは法規ですか。

○森岡課長補佐
 認定基準ですけれども、部長通知で定めて
います。

○原構成員
 通達ですか。

○森岡課長補佐
 はい。

○原構成員
 そこに

「両検査とも詐病には十分注意すべきである」

というような一文があるものですから。
これは通達であるのですか。
わかりました。

○奥野構成員
 1つ教えていただきたいのですけれども、15条
指定医と診断ということを考える場合に、診断
方法を考える場合に、その15条指定医が病院
に属するか、あるいは診断所であるかというと
診断方法がかなり違うと思うので、分布といい
ますか、割合といいますか、そういうのを教えて
いただくと少し参考になるかと思います。

○森岡課長補佐
 今後検討するに当たって、そういうものも情報
収集しながら検討していきたいと思っています。

○江藤座長
 ありがとうございます。

 そのほかにいかがでしょうか。
今回の認定方法に関しては、先ほど事務局からも
お話がありましたけれども、聴覚障害の当事者の
関係の団体からもヒアリングを行うこととしており
ます。
たまたま私が研究班にかかわっておりますけれども、
障害認定のあり方について国際的な情報も含めて
検討していくという予定になっておりますので、
そういった経過も含めて次回以降御報告、
また担当する者からの報告を加えていけるかと
思います。
そういったことでさらに認定のあり方について、
認定方法に関して検討を進めて御議論いただく
ことになるかと思います。

 本日のところはよろしいでしょうか。

ほかに何か追加御意見はよろしいでしょうか。

 それでは、年度末に急遽、検討会を開催という
ことになりましたけれども、今後、十分に議論を
重ねていくということで、きょうの第1回の検討会
はこれで終了とさせていただきたいと思います。

 次回以降につきましては、事務局からお願い
いたします。

○森岡課長補佐
 本日は、御多忙の中、熱心に御議論いただき
ましてありがとうございました。
次回の日程等につきましては、また事務局から
連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願
いいたします。

 事務局からは以上でございます。

○江藤座長
 それでは、本日はこれにて閉会といたします。
 お忙しいところ、どうもありがとうございました。

(了)
<照会先>
障害保健福祉部企画課人材養成・障害認定係
(代表電話) 03(5253)1111(内線3029)





(終わり)



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〔関連情報〕


『佐村河内さん問題受け、障害者制度検討会設置へ』
〔2014-02-22 19:01〕



『<佐村河内氏>聴覚診断
 最も軽い6級に該当せず手帳返納』
〔2014-03-07 23:52〕

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by bunbun6610 | 2015-06-12 21:00 | 聴覚障害