厚生労働省『第2回 聴覚障害の認定方法に関する検討会議事録』(4/5)

○江藤座長
 事務局から何かございますか。

○田中課長補佐
 手元にある診断書を見ると、実は S 氏の 1 回目
も 2 回目も、耳鼻咽喉科医が認定しているのですが、
例えば学会とか、専門医の中で指定医の要件をどう
するかとか、そういったことについて何か御意見等が
あればお願いいたします。

○小川構成員
 それは学会の責任でもあるので、この辺は聴覚医学
会の理事長の原先生にお答えいただいたほうがいい
かもしれませんが、診療歴、研究歴という項目があり
ましたが、それがどこまで認定のときに審査されている
かというところもあるので、その辺の「何とか歴」という
ところで、最低限こういうことがないといけないとか、
そういうものを加える必要があるのかなと思って
おります。
原先生から追加はございますか。

○原構成員
 現状ですぐに何かしろというのは難しいのですが、
先ほど新谷さんからもお話がありましたように、
聴力検査という技術的なこともありますが、その病気
に対する理解とか、そういうところが通院を可能にして
いるところだろうと思いますので、やはりそういった面
を十分に理解し得る耳鼻科医がやっていかなければ
いけないのだろうと思います。

 それと、たまたまこの 2 つとも耳鼻科医だということ
なので、余り大きなことは言えないのですが、 1 つ
お聞きしたいのは、先ほどの御説明で専門医よりも
多くなっています。
そこのところが、本当に自治体の重複している人たちが
どのぐらいいるのか、あるいは耳鼻咽喉科専門医以外
の方がどの程度入っているのかというのは、改めての
調査というのは難しいでしょうか。

つまり、現状をまず把握しておかないと、それを改善
していくとしてもなかなか一朝一夕にはいかないかと
思うのです。

○田中課長補佐
 指定医の重複に関しては、なかなか調査するのは困難
かと思うのですが、指定医の診療科目については把握
しております。
診療科目として耳鼻咽喉科としている指定医は 8,573
名で、全体の 1 万 3,164 名のうちの 65.1 %に当たり
ます。
それ以外の 4,591 名 (34.9 % ) が、脳神経外科、
神経内科、その他リハビリ科、内科となっております。

○小川構成員
 もう 1 つお聞きしたいのですが、 15 条指定医の基準
を厳しくすれば、それだけ認定に関わる医者が少なくなる
わけです。
窓口が狭くなるという問題があるのですが、
実際に 45 万人の聴覚障害あるいは言語障害者が認定
されていますが、年間に認定の申請書が出ている、
再認定も含めて、全国で申請書が出ている数はどのぐらい
でしょうか。

○田中課長補佐
 年間の障害者手帳交付者数は、平成 24 年のものが
最新なのですが、聴覚と平衡機能障害の総数になります
が、 2 万 3,336 人になります。

○小川構成員
 再認定も含めてですか。

○田中課長補佐
 再認定については把握しておりませんので、
新規に限るものです。

○小川構成員
 数の問題というのは、現実的に考えると皆さんが認定を
受ける場合の通院とか、いろいろな負担を考えると、
その辺の数と 15 条指定医の人数を一緒に考えていく
必要があるのではないかと思っております。

○原構成員
 新規だけでもいいのですが、それを出した医師数、
今回の調べた範囲で分かりますか。
つまり、新規の認定申請書を実際に出した方がどの程度
いるか。

私は茨城県なのですが、そこですと 15 条指定医を持って
いる脳神経内科の方などいらっしゃいますが、実際には
全然出していないのです。
実際に関わっているのは耳鼻科医が多いのです。
聴覚に対して耳鼻科医でなければ深くないとは言いません
が、その道の専門でない方が実際に現状でもどんどん
出しているのか、その辺の把握はできませんでしょうか。

○田中課長補佐
 少なくとも現時点で自治体に行った調査では、把握は
しておりませんが、そういう調査ができるかどうかも含めて、
持ち帰って検討したいと思います。

○江藤座長
 そのほかに御意見はございますか。

○奥野構成員
 原先生が遠慮されておっしゃらないので、私が代わりに
申し上げます。
聴力検査というのは数値で出てきますが、非常に技術的
に高度な検査なのです。
それなので、聴覚医学会で検査技術の講習会を設けて
いるぐらいの高度な技術なので、その辺のことを加味して、
どのように審査に結び付ければいいのか分かりませんが、
講習会を受けていただくとか、そういうものも 1 つの点
なのかもしれません。

○原構成員
 具体的に言いますと、今回と直接に結び付くかは分かり
ませんが、市川先生が理事長時代に言われたことですが、
新生児スクリーニングの話が先ほど出てきましたが、
その後の精密医療機関を日本耳鼻咽喉科学会である
程度指定しているのです。
うちの県ですと 4 施設ぐらいです。

 それの基準としては、聴覚医学会に属していること、
そういった機器に詳しいこと、もう 1 点は療育まで結び
付けられることというのがあります。

 そういう意味では、かなり厳しい条件でないと、奥野先生
がおっしゃったように聴覚検査の理解と、お子さんの場合
ですと療育ということになりますが、先ほど新谷さんが
おっしゃったような、難聴に関する理解がなかなかできない
のではないかということは個人的には思います。

○江藤座長
 ただいまのところ事務局の資料説明と、石川先生からの
経過報告を中心に御質問、御意見をいただいているので
すが、本日の検討会全体を踏まえての御意見、御質問も
含めて、御討議いただきたいと思います。いかがでしょうか。

○市川構成員
 最初の 3 団体の代表の方にいろいろお話いただいた
内容を聞いていて、非常に感銘を受けた面が多くありました。
長年聴覚というものにコミットしてきた者としては、一方で
聴覚医学会の先生がお話になったように大変難しいもので
あるという認識があります。
その難しさを検査法その他に反映しようとすると、皆さんが
おっしゃった煩雑さ、然るべき施設で検査をするために
何時間も待たなければいけない、何回も通うことがとても
難しいという現実と、相反することになるのだなあと。
具体的にどうしたらいいかと言われたら、ここで答える技は
持っていません。

 ただ、 1 つ非常に参考になりましたことは、同じような
ことをおっしゃっていますが、問診を十分にやる、とにかく
よく聴いてほしい。
例えば環境騒音に対してどれほど困っているのだ、
あるいはこれまでの自分の病歴についても十分に理解
してほしいというような、問診を大切にしてほしいけど、
問診を大切にしたら、検査法は簡単にしてもらったほうが
いい。
そういうお話があったような気がしまして、なるほどなと
思いました。

 これも理屈ではよく分かるのですが、現実問題として、
それをどのように実行したらいいかは大変難しく、
別の問題だと思います。

 今回の問題、横浜市で起こった事件です。
前回もそういう話が出ましたが、性善説に立っている
検査法が、ある程度例外的に問題が起こったから、
その認定の仕方を締め付ける、難しくするということに
対しては、私も非常に慎重でなければならない、
あるべきではないという考えを持っています。
どうしたらいいかというところはとても難しいということ
です。

○江藤座長
 全体を通していかがでしょうか。
今日は 3 つの団体の皆様から御発言、御意見をいた
だいて、それを中心にということですが、全体を通して
御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小川構成員
 全体を通してということですので、これは聴覚障害の
認定方法に関する検討会ということで始まっていますが、
先ほどもお話がありましたが、認定方法には認定の基準
も非常に重要な要素になってくることは明らかですので、
例えばほかの内臓疾患だとか、こういう障害の等級、
日常生活活動が極度に制限される、あるいは著しく制限
されるものというような、どちらかというと、どうしても視覚
とか聴覚の場合には数字で規定されてしまいます。
何デシベルということで、数字で規定されてしまうことが
結構ありますので、先ほどお話がありましたが、 70dB
で 6 級に認定されるわけですが、 69dB と 70dB は
どう違うのだというようなことにもなるわけです。

どこかで線を引かなければいけないことは確かですが、
そういった先ほどの問診もそうなのです。
問診をすることによって、いかに数字に出てこないような
QOL の低下も分かってくるだろうということですので、
例えば平衡障害の場合にも、平衡機能の
「極めて著しい障害」と「平衡機能の著しい障害」の
2 つの言葉で認定されるわけです。

 そういうことから考えると、聴覚障害というのは特別に
数字で規定されているというところもありますので、
そういったところも含めて認定の方法あるいは認定の
範囲というものを検討していく必要があるかなと思って
おります。

○原構成員
 私も市川先生がおっしゃったように、基本的には皆さん
一番御心配なのは、これ以上検査が厳しくなる、
あるいは ABR を使わなければ認定できなくなるようなこと
にならないようにということだと思います。

 我々も、身体障害者認定というのは基本的には性善説
ですから、それは是非とも委員会としても、厚生労働省の
人に怒られるかもしれませんが、守っていきたいと考えて
います。

 もう 1 点は、一緒に全ての団体から出てきた、 WHO も
含めたところの障害認定の幅というのは、少し観点が違う
かなと。
だから、その件に関しては、本検討委員会でやれること
とは少し違うということは思いますが、少なくとも検査方法
に関しては御心配のような方向にはいかないようにしたい
と思います。
その点はお誓いして、今後検討していきたいと考えました。

○江藤座長
 ほかにいかがでしょうか。
この検討会は聴覚障害の認定方法に関するもので、
障害をどう捉えるかというのは非常に大きな問題で、
3 つの団体の皆様方がおっしゃられた方向性が
1 つございます。

 それから、いろいろなところで障害認定が行われている
のですが、歴史的に遡りますと、身体障害者福祉法と
いうのが昭和 25 年にできますが、その後、労災に関する
ものとか、年金関係のものなどができてきた段階で、
これは統一しなければいけないのではないかという議論
がございました。
その過程で、なかなか統一するのは難しいということも
あるのですが、それぞれの認定の目的、何を対象として
認定するかということで、必ずしも全部一致しなくてもいい
のではないかという議論がございまして、今日に至って
いるわけです。

 それから、障害者とは何かということで捉えていくと、
昨今の WHO の報告でも、人口の 15 %ぐらいが
障害者ということです。
その中で、障害の程度については、質問書をもって調査
する場合においても、程度の区分をしないと 15 %いる
にしても、いろいろなサービスが必要な対象について
程度を区分すると、もっと少なくなるといった報告も
ございます。

 逆に、生活に特化して、いろいろな面で生活のしづらさ、
社会生活の参加に対する制約という面から見ると、
国によっては 20 %、 30 %といった数字を出すような
データがあります。

 ですから、この検討会では我が国で行われている身障
福祉法の障害者手帳という視点で、認定方法をどのよう
に考えるかという検討会かと考えています。

○田中課長補佐
 事務局から確認です。
もちろん性善説というのはそうだとは思うのですが、実際
にこの検討会が立ち上がった経緯を振り返っていただき
たいと思います。

 このような検討会が立ち上がった経緯について、今後
そういった例が起きないように、どのようにしていくかと
いうのを考えるのが、この検討会ですので、先ほど御意見
のあった、どのように指定医のレベルを上げるのか、
そういうことが聴覚障害者の方の精神的な負担を減らしたり、
正しい認定を行うということにもつながりますし、
詐聴が疑われる場合にどのように他覚的検査を導入して
いくか。

 もちろん、明らかに障害者の方にそのような負担を
強いることはこちらも考えておりませんので、疑わしい
場合にどのように検査を行っていくのかといったことを、
具体的に考えていただけたらというところです。

○江藤座長
 基本的には障害をもった方々に不利益が生じないように
ということで、現行で問題が生じているので、これをどの
ように変えて、よりよいものにしていくかという点で、
その際に障害をもった方々の負担が増して、逆に手帳が
取りにくくなるとか、そういうような方向を目指しているもの
ではないということです。

○原構成員
 先ほど来申し上げているように、この検討会とは少し
離れるので控えていたのですが、 1 つは聴覚障害の
程度が、軽度、中等度、重度とかありますが、これ自体
も今までに統一したものはないのです。
世界的に見ても、必ずしも統一したものはありませんし、
日本にももちろんなかったのですが、これに関しては
近々に聴覚医学会から統一見解として出しますので、
それを参考にしながら我々も勉強していきたいと考えて
います。

 もう 1 点は、中等度難聴の方たち、例えば WHO の
いう 40dB から我々のいう 70dB までの間ですが、
これの特に小児に対する補聴器の援助がない県とある県
があるのです。
ですから、障害者手帳とは別のこととして、そういった
中等度難聴者への助成というのは、我々の学会側も
考えていかなければいけませんし、これは地方行政です
ので、そういう団体の方たちからの地方への要望書という
のを、是非とも今回いらっしゃった方々から御指示いただ
ければ、より進むのではないかと思います。
この会とは懸け離れていますが、その辺もお考えいただ
ければと思います。


(つづく)



=============================





>「○小川構成員
 もう 1 つお聞きしたいのですが、 15 条指定医の基準
を厳しくすれば、それだけ認定に関わる医者が少なくなる
わけです。
窓口が狭くなるという問題があるのですが、・・・・」



もし、こうなれば、聴覚障害では認定が更に
厳しくなると予想される。
今でもそうなのだが、大変な負担になる。
諦めてしまう難聴者もいて、
役所の“水際作戦”もはやるかもしれない。



>「○小川構成員
・・・・どちらかというと、どうしても視覚
とか聴覚の場合には数字で規定されてしまいます。
何デシベルということで、数字で規定されてしまうことが
結構ありますので、先ほどお話がありましたが、 70dB
で 6 級に認定されるわけですが、 69dB と 70dB は
どう違うのだというようなことにもなるわけです。
・・・・」


69か70かで、判定が分かれてしまうことが、
やはり実際に有り得るのだろうか。
これは、このレベルの難聴者にはかなり気になるところ
だろう。
感音性難聴障害の場合、日常生活上の感覚的では、
40過ぎたら、もう会社面接では致命的だという気がする
のだが。
感音性難聴と伝音性難聴を一緒にして、障害認定の
基準設定をしていないだろうか。
それはもう

「時代遅れで馬鹿げている」

と思うのだが。


>「○江藤座長
・・・逆に、生活に特化して、いろいろな面で生活のしづらさ、
社会生活の参加に対する制約という面から見ると、
国によっては 20 %、 30 %といった数字を出すような
データがあります。

 ですから、この検討会では我が国で行われている身障
福祉法の障害者手帳という視点で、認定方法をどのよう
に考えるかという検討会かと考えています。」




>「○江藤座長
 基本的には障害をもった方々に不利益が生じないように
ということで、現行で問題が生じているので、これをどの
ように変えて、よりよいものにしていくかという点で、
その際に障害をもった方々の負担が増して、逆に手帳が
取りにくくなるとか、そういうような方向を目指しているもの
ではないということです。」




>「○原構成員
もう 1 点は、中等度難聴の方たち、例えば WHO の
いう 40dB から我々のいう 70dB までの間ですが、
これの特に小児に対する補聴器の援助がない県とある県
があるのです。
ですから、障害者手帳とは別のこととして、そういった
中等度難聴者への助成というのは、我々の学会側も
考えていかなければいけませんし、これは地方行政です
ので、そういう団体の方たちからの地方への要望書という
のを、是非とも今回いらっしゃった方々から御指示いただ
ければ、より進むのではないかと思います。
この会とは懸け離れていますが、その辺もお考えいただ
ければと思います。」




厚生労働省の検討会では、このような議論も進んで
きている。
しかし、障害者自立支援法改悪と言われた改正があった
時は、財務省の“聖域なき予算縮小指示”があったらしく、
それで障害者支援に応益負担が導入されたと言われて
いる。

外部からもそのような影響を必ず受けるので、
中軽度難聴者福祉までは、簡単にはいかないかもしれない。
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by bunbun6610 | 2015-06-06 19:30 | 聴覚障害


ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

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