厚生労働省『第2回 聴覚障害の認定方法に関する検討会議事録』(3/5)

○江藤座長
 はい。
次に、前回の検討会において構成員の先生方から
御指摘を頂いていました件などについて事務局から
御説明をいたします。

その後に、身体障害者の認定基準の今後のあり方
に関する研究班から、国立障害者リハビリテーション
センターの石川先生に研究班の研究経過報告に
ついてお話を頂きたいと思います。

それでは、事務局から説明をお願いします。

○田中課長補佐
 資料の説明をいたします。
資料 5 を御覧ください。
これは、平成 26 年 3 月 26 日の第 1 回検討会
における主な意見です。

1 つ目の○として、 S 氏の平成 14 年の 2 級の
手帳交付前に通院していた大学病院の診療データ
について、本人の了解を得ることが必要だとは思うが、
入手して示してほしいという御意見がありましたが、
こちらについては横浜市を通じて入手は困難との
連絡を受けています。

2 、 3 、 4 つ目の○についてですが、この 2 、 3 、
4 つ目を受けて 5 つ目の○で、今回の検討は認定
方法の運用の改善に向けた方策について検討する
こととしてはどうか、というところですが、もちろん、
聴覚障害者の方に今以上の負担増があっては
いけないと思っていますが、今回の件を特異な
ケースとして考えるのではなく、今回の件をきっかけ
に正確な聴覚障害の認定を行うためにはどうある
べきかを検討する会にしていただきたいということ
です。

6 つ目の○です。
他の障害における再認定を行う場合の例を教えて
ほしい、ということですが、これは参考資料 3 の
17 ページを御覧ください。

こちらは、

「障害の状態が更生医療の適用等により変化する
と予想される」

疾患の一部というのが示されています。

聴覚又は平衡機能の障害関係については、ここに
あります伝音性難聴ですとか、混合性難聴、
それから脊髄小脳変性症が挙げられています。

7 つ目の○です。
診断時に行われている検査の実態や指定医の分布
状況 ( 病院なのか、診療所なのか ) 等も踏まえて
検討すべきという御意見を頂きました。
これについて資料 6 の御説明をいたします。

こちらは、厚労省が全国の自治体に調査を行った
聴覚障害に係る指定医の状況をまとめたものです。

都道府県において病院にいらっしゃる指定医は
55.2 %、診療所は 44.6 %、指定都市は病院が
59.5 %、診療所が 40.5 %、中核市は病院が
59.5 %、診療所が 40.2 %、合計は病院の
指定医が 7,506 人、診療所にいる指定医が
5,637 人、その他が 21 人で、聴覚障害に係る
指定医の状況は 1 万 3,164 人となっています。

また、全体の構成比としては、病院が 57 %、
診療所が 42.8 %、その他が 0.2 %となっています。

 資料 7 について御説明します。
こちらは一部自治体、 14 自治体に行った調査
でして、回答のあった医療機関の結果を集計した

「聴覚障害認定に係る主な検査機器設置状況」

です。

回答のあった医療機関としては 911 医療機関で、
そのうち病院が 260 機関、診療所が 651 機関
となっています。

それぞれの検査機器においては、オージオメータ
については病院、診療所とも設置状況は 100 %
となっています。

ABR については、病院 260 を分母として 178 の
医療機関が持っているということで 68.4 %、
診療所については 651 の医療機関において 32
ということで 4.9 %となっています。

それぞれ OAE については病院では 29.2 %、
診療所では 17.2 %、 ASSR については病院では
11.9 %、診療所では 0.5 %、 COR は病院では
14.6 %、診療所では 2.0 %、 BOA は病院では
12.7 %、診療所では 1.5 %、語音明瞭度検査
機器は病院では 65.4 %、診療所は 55.6 %という
結果になっています。

 資料 8 です。
こちらは御参考までに、平成 20 ~ 24 年度までの
身体障害者手帳、聴覚にかかわらず身体障害者
手帳全体の返還件数を調べた集計結果となって
います。
こちらは御参考にしてください。

事務局から資料の説明は以上です。

○江藤座長
 次に石川先生からお願いいたします。

○石川参考人
 国立障害者リハビリテーションセンター耳鼻咽喉科
の石川です。
私は

「身体障害者の認定基準の今後のあり方に関する
研究」

の研究班として、主に事務局から御説明のあった調査
結果、委員の先生方に机上配布となっている、問題と
なった患者様の意見書、この件について確認を行って、
考察をしたことについて、御報告させていただきます。

 まず、私のお配りしている資料 4 、先ほど御説明の
あった資料 6 の 2 つを御覧ください。

資料 4 については 1) 「聴覚障害に係る指定医の
状況」という所です。

先ほど事務局から御説明があったとおり、合計数で
見ていくと、病院勤務者が 7,506 の 57 %、診療所
勤務者が 5,637 の 42.8 %という比率になっており
ます。

内訳は先ほど事務局から御説明のあったとおりです
が、都道府県というのは指定都市と中核市を除いた
都道府県の一般市町村ですので、ある意味では
どちらかというと田舎ということになるかと思います。
これですと、病院勤務者が 55 %、診療所 44 %と、
やや診療所勤務者の比率が高いです。

一方、指定都市、中核市の都市部は、 6 割、 4 割
という比率になると見て取れることが、まず挙げられ
ます。

1) の真ん中の辺りから書いてある所ですが、日本
耳鼻咽喉科学会が認定している耳鼻咽喉科の専門医
数ですが、ホームページの情報で、平成 25 年 11 月
現在で 8,772 名となっております。
この数を踏まえていただいて、資料 6 の一番右下の
計を見ていただくと、 1 万 3,164 名ですので、
約 4,400 名多いという計算になります。
この 4,400 という差はどこからくるのかということを
考えたのですが、この調査に関してはあくまでも
各自治体から報告を受けているために重複して
各自治体で指定を受けている者がいるということが
あります。

ですので、延べ人数ですので、いわゆる一人一人
ではありませんので、被っている医者がいることが
推測されます。

2 点目、耳鼻咽喉科医の中にも学会専門医を取得
していない耳鼻科医がおりますので、学会専門医を
取得していない耳鼻科医が含まれていることが
考えられます。

3 番目は他科の医師です。
もともと様々な事情で耳鼻科医の診断を受けられない
ような土地柄であるとか、そのような問題。
いろいろを含めまして、神経内科であるとか、脳神経
外科のような他科のドクターが含まれていることが
推測されます。

以上の 3 点が、考えられる項目として挙げることが
できました。

 続いて 2) に関しては、資料 7 です。
事務局からの説明のとおり、 14 自治体で行われた
調査です。
そして、オージオメータは全施設で持っていることが
挙げられているわけですが、他の検査機器は横並び
に並んでいるのですが、幾つか検査の性質が違う
ものに分けられると思います。

いわゆる他覚的聴力検査といって、普通の聴力検査
というのは御本人が聴こえたか聴こえないかという、
ボタンを押すなり、手を挙げるなりという形で検査を
行うわけですが、そういうことをせずに、ある程度
本人の聴力検査の閾値を調べることができる検査
機器という考え方でいくと、聴性脳幹反応 (ABR) と、
聴性定常反応 (ASSR) という検査が挙げられると
思います。

 この検査 2 つに絞って見ていくと、 ABR に関しては
病院の保有率が約 7 割と、そこそこ持っているわけ
ですが、診療所に関しては 5 %ほどしか保有率がない
ということが、まず挙げられます。

実際、先ほど資料 6 で見ていただいたとおり、病院や
診療所では、それぞれ医者が 5 割 5 分から 6 割が
病院、 4 割 5 分から 4 割が診療所でしたので、
その 4 割の方が勤務されている診療所には 5 %しか
ないということが 1 つ挙げられます。

 もう 1 つの ASSR という検査を見ていただくと、
こちらは複数の周波数帯に対して聴力閾値を推測
できるという意味で、聴覚の判定という意味では
有意義な情報が得られる検査ですが、こちらの
検査機器に関しては、病院は 12 %、診療所では
0.5 %と、まだまだ病院も含めて普及率は低いと
いう結果と見て取りました。

 そのほかの、例えばここに出てくる COR 、 BOA
という検査は、幼児聴力を調べるための検査ですので、
少し性格が異なると考えます。

また、語音明瞭度検査機器は、 4 級の認定の中で
語音弁別能を調べるという検査で、非常に重要になる
検査ですが、こちらも病院 6 割 5 分、診療所 5 割 5 分
という普及率であったということを付加します。

 最後に 3) です。
症例の身体障害者意見書の所見です。
これは、皆様にはお配りしておらず、構成員の先生方
の机上のみに配布のものです。
この中で 1 つ気になった点というのは、平成 26 年
2 月に行われている診断書の一番右下ですが、
最高語音明瞭度が右 71 %、左 29 %という記載が
あります。
通常、語音弁別能の検査というのは、 57-S 語表という
50 音で調べる検査、若しくは 67-S 語表という 20 音
で調べる検査で行いますので、検査結果は 57-S の
場合には偶数に、 67-S の場合には 5 の倍数になる
のが一般的です。
ですので、 71 %、 29 %という結果が、どのような
検査法で行われたのかが推測できないということを、
1 つ挙げさせていただきました。

 その後の考察に関しては、結果とともに述べてしまい
ましたので、最後の「まとめ」に進みます。
今回の結果を踏まえて、まず、 1 万 3,000 人という
聴覚障害指定医の中で、耳鼻科医の専門医は 8,800
人という現状にあるので、幾つかの考えられる候補を
挙げましたが、このような点から考えたときに聴覚障害
に関わる指定医要件というのが現状のままでよいのか、
あるいは何か付記すべきなのかということに関しては、
議論の余地があるのかなということを挙げました。

2 点目として、いわゆる詐聴が疑われる場合、若しくは
機能性難聴など、非常に診断の難しい場合に関して、
1 回の診察、診断だけ、初診の方も含めてですが、
そういった方に 1 回の検査だけで果たして手帳のため
の意見書を書いていいのか、それともそういう方は
複数回の検査は必要なのか、若しくは複数回の検査を
行った上でも再認定の有無を付けるべきなのか、
そういったことに関して議論が必要なのかと考えた点を
挙げました。

 また、詐聴を疑われる場合、機能性難聴の診断が
難しい場合に、他覚的聴力検査、 ABR 、 ASSR が
その代表になりますが、こういった機器の使用について
はどうするのか。

ただし、これに関しては先ほど申し上げた分布状況を
考案しながら考えなければいけないのかなと考えて
います。
以上、私からの報告です。

○江藤座長
 石川先生、どうもありがとうございます。
 今の石川先生の御報告の中に、 S 氏の診断書のこと
がありましたが、これは構成員の方々のみの机上配布と
なっていますので、診断書について、事務局から御説明
いただけますでしょうか。

○田中課長補佐
S 氏の診断書の語音明瞭度検査についての指摘について、
横浜市からの回答を頂いております。
使用した機器は、 3 段階の結果である、「正解」「誤り」
「反応なし」が表示されるもので、それを自動的に計算
するものです。
数値は小数点までの数値が出ますが、四捨五入させると
いうことで、 2 の倍数や 5 の倍数にならないこともあると
いうことです。

 例えば補足として、計算式は

正解数÷ ( 検査語数 - 反応なし ) × 100

となりますが、実際に 50 語のうち正解が 25 語、
反応なしが 1 語の場合には、

25 ÷ (50-1) × 100

ということで、 51 %という数値が出るとの回答を頂いて
おります。

○江藤座長
 ただいまの事務局からの資料説明と、石川先生からの
御報告について、御意見、御質問等がありましたら
お願いいたします。
なお、全体についての質疑は、また改めて行いますので、
ただいまの事務局の資料説明と研究班の経過報告に
係る御説明に限って、御意見、御質問をいただきたいと
思います。
いかがでしょうか。

○市川構成員
 ただいまの話の資料 7 の各検査機器の医療機関が
持っている割合の表が出ています。
なるほどと思いましたが、これは日本耳鼻咽喉科学会の
データとそんなに変わらないような気もしています。

 問題は、 ABR の機械を持っている所は、 ABR の
機械を大いに活用している、あるいは ASSR を持って
いる所は ASSR を大いに利用しているかというと、
必ずしもそうではないという実態がかつてありました。
多分現在も同じような状態だと思います。

ABR の機械は置いてあるのですが、その医療機関の
人的な問題とかその他の問題で、ほとんどケースに
入ったまま、年間何回使うかというようなところも、
具体的に大いにあるやに聞いています。

 ですから、持っているか持っていないかは大切なの
ですが、それの活用状況とは差があることも、我々は
念頭に置いておかなければいけないと思います。

○江藤座長
 そのほかにいかがでしょうか。

○小川構成員
 非常に基本的なことですが、今の 15 条指定医の
認定の仕方、手続上のことですが、それを御説明いた
だけますでしょうか。
私も病院で認定していただいたのですが、

「 15 条指定医になります」

といって手を挙げて、そのまま認定されたような気が
するのですが、実際にはどういう申請書が出されて、
それをどこが評価をして認定しているかという辺りを、
御説明いただきたいと思います。

○田中課長補佐
15 条指定医の指定基準ですが、都道府県知事が
指定することになっていて、都道府県知事が 15 条
指定医を指定する際には身障法第 15 条第 2 項に
より、地方社会福祉審議会の意見を聴取した上、
指定することとなっています。

また、通知により、診断に係る相当の学識経験を
有する医師について行うこととし、以下の事項に
ついて審査を行うとなっています。

 以下の事項は 6 つあります。

1 つ目が診療科名、
2 つ目が医籍登録日、
3 つ目が担当しようとする障害分野、
4 つ目が当該医師の職歴、
5 つ目が当該医師の主たる研究歴と業績、
6 つ目がその他必要と認める事項です。


○小川構成員
 今回の問題の 1 つは、いかにいろいろな検査を
増やしても、先ほど石川先生からお話がありましたが、
詐聴が疑われる場合あるいは機能性難聴の可能性が
ある場合、そこを見抜けるか見抜けないかというのは、
おそらくバックグラウンドにある診療歴、検査に対して
の理解度が関わってくるので、いろいろな検査を複雑
にして、厳密な認定をしようという規定を使ったとしても、
それを使う方がどれだけそれを使えるか、そちらに
大きな問題があるのではないかという気がしています。

 先ほどの語音弁別能の回答も私には全く理解できな
かったのですが、そういうこととか、 2 級の診断を
書いたときのオージオグラムあるいは平均聴力の
出し方も、身体障害者の認定基準だと、いわゆる
スケールアウトの場合には 105dB がマックスなの
ですが、この場合は 115dB ということで出してあります。

こういうことについても、認定の基準が十分に理解され
ていないというところで認定が行われているところが
一番の問題ではないかということで、 15 条指定医の
認定の仕方をお聞きしたということです。



(つづく)


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やはり厚生労働省と医師側は


>「○小川構成員
 今回の問題の 1 つは、いかにいろいろな検査を
増やしても、先ほど石川先生からお話がありましたが、
詐聴が疑われる場合あるいは機能性難聴の可能性が
ある場合、そこを見抜けるか見抜けないかというのは、
おそらくバックグラウンドにある診療歴、検査に対して
の理解度が関わってくるので、いろいろな検査を複雑
にして、厳密な認定をしようという規定を使ったとしても、
それを使う方がどれだけそれを使えるか、そちらに
大きな問題があるのではないかという気がしています。」



こればっかり考えているのだろう。

一番肝心な、障害の認定を広めることは、
考えようともしていないようだ。
障害者団体の3者はいずれも、

「障害の認定範囲をもっと広げてほしい」

という主旨の要望だったと思うのだが。

障害者側の声が届く日は、まだ遠い。
声をもっと大きくするためには、
障害の壁を越えた大運動が起こることが
必要だろう。




>「○小川構成員
・・・先ほどの語音弁別能の回答も私には全く
理解できなかったのですが、・・・」



「語音弁別能」とは、何だろうか。

参考になりそうな情報がある。

『弁別能の低下ワイデックス株式会社 - Widex』


要するに、語音明瞭度のことらしい。
健聴者が理解しにくい難聴が、
語音明瞭度が低下してしまう感音性難聴だ。
これは、老人の

「耳が遠くなった」

と言われる伝音性難聴とは違うので、
混同しないようにしてほしい。


下の医学会は、まさしく馬鹿げている。


一般社団法人 日本聴覚医学会
『語音弁別能』



なぜなら最高(MAX)値のみを採用する判定法だからだ。
しかも、新谷氏も説いたように、“現実の音声世界では
決してあり得ない”検査方法で、どうしてそれだけの結果で、
社会で生活する場合の障害程度を判定できるのか、
全く理解に苦しむ。
これは、聴覚障害者にとっては“最悪の認定方法”だろう。


医者が言っていることよりも、私の体験をもとに書いた、
下の記事があるので、これを参考にしたほうが正しく
理解できると思う。


『朝礼での、聴覚障害者の語音明瞭度は0%』
〔2014-07-26 18:30〕

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by bunbun6610 | 2015-06-06 19:15 | 聴覚障害
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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610
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