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蒼穹 -そうきゅう-

『なぜ、聴覚障害者は、健常者に常に文字で伝えないのか。』


http://oshiete.goo.ne.jp/qa/818178.html


なぜ、聴覚障害者は、健常者に常に文字で
伝えないのか。

〔質問日時:2004/03/29 23:04〕


聴覚に障害のある方と仕事をしています。
その方は殆ど話しも出来ません。

一緒に仕事をしていると、筆談も多いですが、
解かりやすくはっきり口を開けて伝えたい言葉を
口の動きで見せてくれるときがあります。
何を言わんとしているか解からない時の方が
多いです。
正直、(書いてくれないかなぁ)と思い、イラッと
することも私はあります。

聞こえない話せないことの辛さがあるでしょうが、
それを便利に使う時も見受けられます。

私が口の動きを読むことを上手にならなければ
ならないのか?

私が目線を合わせなければならないのか?

例えば、首からぶら下げる小さいホワイトボード
とか、文字盤、(それもカッコよくデザインされたもの)
そういう道具を使って、聴覚障害者の方が目線を
合わせてくれないかなぁとも思えてきます。

なぜ、聴覚障害者は健常者に身振り手振りや口の
動きで伝えようとするのでしょうか?
(特に口の動きなど、難しくて伝わるまで余計、
時間がかかると思う。)

伝えたいことがある側が、伝えたい相手に負担が
かからないような手段を用いるよう工夫すべきだ
と思うのですが。

ご意見ください。



==========================




副題;
『ある企業の、聴覚障害者雇用の失敗事例』




回答が「回答順に表示」で、下の通りだった。

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/818178.html?order=asc&isShow=open



まず、会社も聴覚障害者の入社前に

「筆談が主なコミュニケーションとなる」

と説明していたのだろうから、筆談が主な
コミュニケーション方法になるのは仕方がない、
と思う。


>「伝えたいことがある側が、伝えたい相手に
負担がかからないような手段を用いるよう
工夫すべきだと思うのですが。」



これは、手話ではなく、筆談コミュニケーションに
関して言っているわけだ。
確かに、もっともなことだと思う。

実際に私も、初めは言われてからこうするという
有様だった。
そして、ほとんどの聴覚障害者が、自分で筆談ボード
を用意していなかったので、今では私も

「なぜなのだろう?」

と思っている。
上の質問者と同じような疑問を持つ健聴者もいた。

「会社が買ってきた筆談ボードではなく、
自分の物だったらもっと大切に、
積極的に使うようになるのではないか」

と思うこともあるが。

私の場合は、なるべく自分の筆談ボードを
持参することにしている。


健常者も十人十色であるように、聴覚障害者だって
十人十色だ。
私自身、筆談は得意なほうなのだが、
肝心な健聴者が様々で、
やはり上手な人もいれば下手な人もいた。
だから筆談でも、筆談ボードをやめたくなってしまう
ような状況になる場合もあった。

ということは、この質問者の場合も、もしかすると

「健常者の筆談が下手で、よくわからないから」

という理由で、筆談コミュニケーションにウンザリ
していた可能性もありえる。

あるいは

「健常者の書いた字が汚すぎて読みづらい」

とかも。

「書き方が面倒がり屋さんで感情的で不快感
を覚える」

とかも。
不満があってもそれをなかなか言えず、
我慢してしまいがちになるのが、
筆談コミュニケーションというものなのだ。


『筆談してもらう聴覚障害者の心理』
〔2011-12-15 23:32〕




いずれにしても、質問者が“本当に”理由を
知りたければ、まず筆談でもいいから、
聞けばよかったと思う。
あるいは手話通訳者を呼んで、通訳して
もらったらよかったと思う。
会社はなぜそれをせず、辞めさせたのか。

しかし、信頼関係が築けていなければ、
例え通訳者を用意しても、本音を聞きだすことは
難しかっただろう。
これも、健常者、障害者とに関わりなく、
当然のことだと思う。


多分、その聴覚障害者は“ろう者”(Deaf)だ。
あくまで私の個人的な想像の範囲だが、
理由は幾つか考えられる。

そのろう者の場合は、まず身近な質問者に、
手話に興味を持ってもらいたかったのかもしれない。
それで質問者と手話をやってみたかったのかも
しれない。

質問者に興味を持ってもらって、そして手話を
勉強して、手話を覚えてもらう。
それでコミュニケーションができるようになって
ほしかったのかもしれない。
つまり、あえて筆談をやめたかった背景には、
ろう者なりの、手話への誘導があったのかもしれない。

実際に「会社で手話指導をしたい」というろう者も
いるほどだ。
あるいは、そうしたことをきかけに、健聴者にも
興味を持ち、自分で勉強したり、手話講習会に
通って覚えるようになったケースもある。
そのためにも

「本当は口話で話すことができても、
会社ではあえて声を使わない」

ろう者もいる。

だが、その気持ちが通じない、すれ違いになって
しまったから、質問者にはこういう疑問になったの
かもしれない。
それ以上の進展にはならなかった。
そして、ろう者は退職、という結末。


会社の人間なんて所詮、赤の他人だから、
下の話のようには、なかなかいかぬものだろう。

『【感動の話】 あるろう者の苦悩と、幸福観』
〔2015-04-02 23:06〕



それでも私がもし、質問者の立場だったならば、
そのろう者の勇気を賞賛する。

確かに、職場は手話をするところではなく、
仕事をする場所だ。
手話サークルと同じようにはいくはずがない。
だが、職場コミュニケーションにも手話があったら、
どれだけいいことだろうか。
私には、それが単なる理想に過ぎないとは
思わないのだが。


私が過去にいた会社に、Mさんというろう者(Deaf)
がいた。
Mさんも勿論、筆談はできるし、職場ではそうしていた。

しかし、Mさんには悩みもあった。
私には言ってくれたが、健聴者にもそれを伝えたか
どうかは知らない。

それは

筆談では十分に自分の気持ちや考えを、
伝えることができない


というものだった。
これは「筆談が苦手」という、ろう者の典型的な事例だ。

筆談ができるからといって、伝えることができる
とは限っていない
のだ。
日本語を「読む」ことと、「書く」ことは別だ。

ろう者は健聴者が書いた文章を読んで、簡単な
意味をつかむ

しかし、ろう者が書く場合は、それよりも難しい
作業になる
そうだ。
手話でろう者に日本語を指導している手話通訳士も、
そのように言っていた。


『手話で行う文章力向上講座(UDジャパン)』



障がい者雇用.comブログ
『UDジャパンに“は”、手話で日本語を学べる講座
があります』
〔2009.04.17 Friday〕




テンダー日本語教室




そこを、質問者は理解していただろうか?


私は以前に、あることで聴覚障害者団体に相談に
行ったことがある。
すると逆に

「あなたほどの文章力を持った聴覚障害者は、
あまりいない。
是非、我が団体の役員になってほしい」

と言われた。

「書くことはあまり得意でない、という聴覚障害者も、
わりといる」

という事実を示しているのではないだろうか。

それと、一見文章が書ける私でも、自信がないと
思うならば、そういった言葉や文章の使い方を
意識的に避けようとする。
そうするとやっぱり、第一言語が日本語の
聴覚障害者でも、言いたいことも十分に言えない
場合があるものだ。


Mさんも

自分の不得意な言語(日本語)で書くと、
正しく書けたかどうかも自信がない


と言っていた。
筆談になると、その(自分の苦手な)土俵に上がる、
ということだ。
それが不利になることは、誰にでもわかるだろう。


>「聞こえない話せないことの辛さがあるでしょうが、
それを便利に使う時も見受けられます。」


というのは、そう見えなくもないかもしれないが、
誤解している可能性も否定できない。
実際、私はMさんとメールでやりとりをしている時

「この文章、おかしくないか?」

と思うこともよくあるのだから。
他のろう者とも、よくあることだ。

そんなコミュニケーション方法でいつまでもやられたら、
彼らはイヤになってくるのは当たり前だろう。

健聴者が手話辞典を片手に、ろう者から手話を
読み取って、それをいちいち調べて、
意味を解読するようなものではないだろうか。

そう考えてみれば、お互いのことがもっと理解できた
かもしれない。

Mさんだって、だんだんと疲れてくるそうだ。
それで自然に、手話を出してくるようになる。

それは我慢できるとしても、不本意にも誤解されて
しまったり、後で後悔してしまうこともあるという。
Mさんの退職理由も、それが原因の一つだったと
聞いているのだから、この問題は重大なのだ。

健聴者には不要と思われがちな手話言語法が
制定されていく背景の一つが、ここにあるのでは
ないだろうか。


また、筆談で通じるかどうかは、話の内容にもよる。
難しい仕事とか、法的な話になると、よくわからない
人もいるそうだ。
これは、聴覚障害者弁護士から聞いた話だ。

この辺りが、この質問者のケースでも、
理由の一つとして考えられるかもしれない。




【追記】

ろう者が書いたものを探してみたら、
下のような記事が見つかった。


大阪在住のDeaf Pharmacist(ろう薬剤師)のブログ
『何故口話、筆談でなく手話なのか?(つぶやき)』
〔2014年08月26日 (火)〕





大阪在住のDeaf Pharmacist(ろう薬剤師)のブログ
『better than no language』
〔2013年06月08日 (土)〕





大阪在住のDeaf Pharmacist(ろう薬剤師)のブログ
『【ろう者の事例1】 下剤とは・・・?』
〔2011年06月15日 (水)〕





〔参考情報〕

学校法人 江副学園
新宿日本語学校
『ろう教育への取り組み』



『『聾教育の功罪 ~手話VS口話~』』
〔2015-01-14 18:30〕

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by bunbun6610 | 2015-05-14 18:31 | 聴覚障害者心理