花燃ゆ - 第15話 『塾を守れ!』

花燃ゆ - 第15話 『塾を守れ!』




NHK大河ドラマ
 『花燃ゆ』

http://www.nhk.or.jp/hanamoyu/






(寅次郎が閉じ込められている野山獄にて)

敏三郎;
(手話)「僕がやる」

寅次郎;
「何を・・・。」

(敏三郎は自分で持ってきた、寅次郎が教え子たちに
送った手紙『伏見要駕策』を見せる)

寅次郎;
「伏見要駕策・・・。」

敏三郎;
(手話と筆談)「僕も塾生だ。
兄上の味方だ。」

寅次郎;
「味方・・・。」

敏三郎;
(手話と筆談)「みんなが寅兄に背を向けても、
僕は寅兄を信じる。」

寅次郎;
「信じる・・・」

敏三郎;
(手話)「(僕が)一番悲しいのは、声が届かん事。
(僕が)一番悲しいんは、(みんなに)伝えようと
しても、受け取ってもらえん事。
寅兄の声は、僕が受け取る。
僕が行ってくる。」

寅次郎;
「敏・・・。」

敏三郎;
(手話)「きっとうまくやれる。
せわぁない。」

(敏三郎の表情が固くなり、そして立ち上がって去る)

寅次郎;
「待て・・・。待て。
待て! 敏三郎!」

(後ろから呼びかけても、敏三郎には分からないので、
急いで)

寅次郎;
「福川様! 福川様!」

福川;
「何じゃ?」

寅次郎;
「弟を止めて下され!
敏三郎!」

(敏三郎が戻ってくる)

寅次郎;
「敏・・・。
行ってはならん。

敏三郎、大事な仕事を頼む。
家に戻って、母上に伝えてくれ。
差し入れのつるし柿、ありがとうあんしたと。

さあ、柿を一緒に食べよう。
ほぉべたがほろけるぞ。」

(しかし敏三郎は、尊敬する兄にもそう言われた
ことに残念そうで、涙を流した)






まるで、聴覚障害者がよく使う「オウム返しのマジック」
みたいなコミュニケーションだな。

兄の立場の苦しさを理解していたのが、
同じ経験をしてきた敏三郎だったのだ。
なるほど、それならば

「松陰は弟・敏三郎から精神的影響を受けていた」

という話は、理解できる。





文;
「・・・英雄になんか、ならんでええから・・・。
そのまんまの、ただの兄として・・・。
どうか・・・どうか、どうか、帰ってきてつかぁさい。」

寅次郎;
「ただの・・・兄として・・・」

文;
「みんな、寅兄が大好きなんです。
どうか帰ってきて・・・。
生きてつかぁさい。
私たちと一緒に。」

寅次郎;
「酷な事を言うのう・・・。
それは、僕の人生ではない。

文。
兄は死にたいんじゃ。
こねな僕でも、死んでみせれば、心を動かして、
立ち上がる人間もおるじゃろう。
僕がそうしてみせなければ、どれだけ待った
ところで、志を持った者たちが決起する事は
永遠に来ん。
僕はもう・・・死ぬ事でしか生きられん。」

(伊之助に)
寅次郎;
「いつになろうと、君は僕を止める事しかできん。
死ねん人間だからじゃ。
君も、久坂たちも。

『死ぬ覚悟はある。
じゃが、むだ死にはせん』。

そねな事はうそじゃ。

『時が来る。
今ではない』

そう言い続けて、何をなす事もなく、
人生が終わるんじゃ。
声をあげん者に、声が届かん者の気持ちは
分からん。
事をなさん者に、失敗した者の気持ちは分からん!
伊之助! いつだって、お前は、はたで見物する
だけじゃ。
お前など、友ではない。
藩の犬め。
お前など、友ではない!
口先だけは立派なことを言うて、何の行動もなせず・・・。
そういう人間を、僕は最も憎む・・・。

僕も同じじゃ。
僕は、僕を憎む!
何の役にも立たん!
世のため、人のために・・・何も!」




まるで、旧約聖書の預言者たちみたいな人生だ。
預言者たちは、神の命令に嫌々ながらも従い、
預言者としての働きをなそうとした。
周囲の多くの人から、嫌われたりもした。
そして、死んでいった。

だが、それが世を変える者たちの宿命―。


日本にも「天命」という言葉がある。
寅次郎たちのような苛酷な天命は、
誰にでも与えられているのではない。

暗殺されたリンカーンもそうだと思う。
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by bunbun6610 | 2015-04-12 22:52 | NHK大河ドラマ『花燃ゆ』

ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610