味(技術)を盗む (1)メモ魔になる

『味(技術)を盗む (1)メモ魔になる』


『聞こえないハンディをカバーするために、
自分の情報収集力を徹底的に磨く』



例えば、フード業界で働くのであれば

「味(技術)を盗む」

ということだ。
そのためには、様々な手を使う。
自己訓練も必要である。

コックやパティシエの見習いとしてなら、
最初にやることは、とにかくメモ魔になる
ことだろう。
何でも自分のメモ帳に写し取り、そして家に
帰ったら、忘れないうちにていねいにノートに
記録した。

例えば、原材料の名称、メーカー、特徴や使い方
だけでなく、仕入先や単価まで記録していた。
仕入伝票を見れば、データがわかる。

勿論、勤務時間中にやるのではなく、
朝早く来たり、昼休み時間や、仕事が終わった
後にやる。

伝票にある情報が多過ぎれば、
他人の目を盗んでコピーしていた。

コピー機がない場合は、近くのコンビニまで
走って行って複写したこともあった。
勿論、バレたらダメだ。

(バレてもバレなくても、本当はやっては
いけないことだが)

初めのうちは、ここまでする必要があるのかと、
自分でも疑問はあったが、後になって役に立った。

今の時代ならば、それを正確にやっていれば、
家でインターネットでも詳しく調べることが
出来るので、データ収集はやはり意味がある
と思う。

仕入先が分からないと、独立開業した時に困る。
単価も、原価計算をする際に、知っていなければ
ならない。
メーカーだって、どうしてもこだわる場合がある。

例えば、「ティラミス」というイタリア菓子を作る時は、
マスカルポーネチーズが必要だ。

幾つかの店では、このチーズを仕入れる時は

イタリア・ガルバーニ社以外は仕入れるな。
使うな」

とシェフが厳命していたものだ。

その理由は単純だ。
同じレシピで作っても、他のメーカーのマスカルポーネ
チーズでは美味しくないからだった。

だからこの情報は、実はレシピ以上に重要だった
のである。
どんなにいいレシピでも、素材が不味かったら、
美味しいものはできない場合もある。

逆に、素材の味が本当に良ければ、レシピはあまり
工夫を加える必要がない場合だってある。


もちろん、レシピも盗めるものはどんどん盗んでいた。
こちらのほうは、簡単ではない。
レシピは店の宝だからだ。
先輩だって、後輩には易々と教えない。

「コイツに教えても、どうせ出来ないだろう」

と思われたら、誰も教えてくれないものだ。
あるいは

「自分の仕事を取られたくない」

という理由もある。
親切は、追い抜かれる元にもなるからだ。

コックやパティシエの世界は、そういう世界なのだ。




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by bunbun6610 | 2015-04-06 18:30 | 聴覚障害者版サムハル
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