聴覚障害者の、言葉の推測力

読話についての、ろう者の証言については


『米国社会から見た手話』
〔2014-05-31 18:30〕


を参照。



役所へ会社の健康保険証の資格喪失届と、
国民健康保険の加入手続きをしに行った。

運悪く、私についた担当者はマスクをしていた。
これだと、読話は全く不可能になる。

私は持参していた筆談ボードを差し出して

「私は聴覚障害者ですので、
これに書いて下さい」

とお願いした。
すると、書いてくれた。



「会社を退職したので、国民健康保険に加入
させてください」

担当者
「会社の」(とまで書いたところで)


「会社の健康保険組合は脱退しました。
資格喪失証明も、持ってきています」

担当者はうなづいた。

担当者
「では、この」(とまで書くと)


「この届出用紙に書けばよいのですね」

担当者はうなずいた。
そして、書くところをペンで指し示してくれた。
資格喪失の届出用紙に書き終わると

担当者
「ちょっと」(とまで書くと)


「『待っていて下さい』ですね。」

担当者は、やはり今度もうなずいた。

健聴者が書くスピードよりも、聴覚障害者の
推測力のほうが速い証拠だ。
だから、読話だと「聞こえている」と勘違いする
健聴者が多いのだ。

健聴者が声を出してしゃべっている時に、
読話と推測力で素早く答えると、どうしても

「何だ、聞こえているのか」

と、健聴者は勘違いしてしまうのだろう。


「聴覚障害者は、読話という特殊能力が
耳の代わりになっている」

と思い込んでいる健聴者もいるかもしれない。

だが、そう思い込んでいた健聴者には、
こんな話を果して知っていただろうか。

聴覚障害者には当たり前すぎることなので、
わざわざこういう話をすることはなかったかも
しれない。

手話講習会とかでも、聴覚障害者理解のための、
こういう話をする機会は、ほとんどないと思う。

健聴者の「勘違い」が原因で、聴覚障害者は
いろいろな差別に遭い、我慢してしまう場合がある。


上の事例では、聴覚障害者がお客様の立場
だからいい。
しかし、立場が下になってしまう場合だと、
聴覚障害者のほうに大きな不利益が生じること
もある。
それが、健聴者にも不利益となる結果になる場合
だってある。
つまり、双方の不利益になる場合もあるのである。

4月から、地域の手話講習会に通う健聴者は、
手話の勉強だけでなく、そのことも理解すべき
だろう。
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by bunbun6610 | 2015-03-29 18:30 | コミュニケーション能力
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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610
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