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蒼穹 -そうきゅう-

ウエディングケーキの話

ウエディングケーキ製作はホテル、パティシエともに、
大切な仕事だ。
けれども、パティシエの中には、

「その仕事だけは好きではない」

という人もいる。

理由は、時間と労力を使う仕事であるわりには、
作り手にとって、本当の喜びには結びつかない
からだ。

ウエディングケーキを完成させると、
先輩パティシエは得意気になって、
自分の作品をカメラで撮る。

おおかた、後でそれを見せびらかして、
自慢でもするのだ。
写真に撮っておけば、転職アピールにもなる。
女の子にもモテて、嫁探しもしやすくなる。
自己顕示の道具にし、味を追求する道から
逸れていく。

このケーキを作るためのお金を出した新郎新婦
は、これを全部食べるわけではない。

実際にケーキに入刀した後は、それを一旦キッチン
へ戻して、一口サイズに切り分けて、再び宴会場の
テーブルに運ばれる。
しかし、それはもしかしたら、すり替えられた
ショートケーキかもしれないのだ。
残りは捨ててしまう。

大型のウエディングケーキの場合は、その全部が、
食べられる材料で作られているのではないこともある。

私が見たことがあるものでは、中には組立式の
プラスティック台が埋め込まれていた。

それでも製作者は

「全部食べられるもので作りました」

と説明するのかもしれないが。

スポンジ台と呼ばれるジェノワーズも、
固めに配合・製作されていて、
シロップは打っていない。
つまり、保形性重視で、味のことは考えていない
代物だった。
勿論、その部分はお客様に食べてもらうわけではない。

ここまで書けば

「本当に美味しいものだけを作りたい」

と思っていたパティシエにとっては

「本道から外れてしまう仕事」

と思うのも、理解できるのではないか。

将来独立して、自分のパティスリーを開きたい、
と思っているのならば、そういう見た目重視の
お菓子よりも、味重視のお菓子を勉強したほうがいい、
と思うのは当然だろう。
しかし、大きなホテルで働くには、
ウエディングケーキが作れることも大事だ。




〔関連記事〕

『障害者雇用 - 日本ホテル株式会社』
〔2014-12-20 18:30〕

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by bunbun6610 | 2015-02-28 18:30 | 製菓の話