花燃ゆ - 第5話 『志の果て』

NHK大河ドラマ
『花燃ゆ』



第5話 『志の果て』


文;「もしうちが、獄につながれたとしたら、
それでも母上は会いに来てくれますか?
うちが戻るんを、待っとってくれますか?」

滝;「文。
あなたがどんな姿になっても、
人様からどんなひどいことを言われても、
母は必ず、あなたを待ってますよ。
そして『お帰り』と言うてあげます。」

文;「母上・・・。」

滝;「待っとるだけなら、お金はかからんしね。」








〔野山獄での場面①〕

吉村善作;「あれが富永有隣(ゆうりん)じゃ。
あれでも、かつては、明倫館の秀才と
うたわれた男だそうじゃが。
ハハハハ!」

吉田寅次郎;「富永・・・。」

富永;「俳句だと?
町人の遊芸(ゆげい)ごときに、
気をようしおって!」

吉村;「あぶれ者のたわ言なんぞ、
聞く耳持たんわ。」

富永;「ええ! 何じゃと? 何じゃ!」

吉田;「すばらしい。ん?
獄の中にあって、なお、周りを罵倒して
やまんとは。
近々、ぜひ。」







〔岩倉獄での場面①〕

金子ツル(重輔の母);「帰ろう。
ここから逃げよう。」

金子重輔(しげのすけ);「わしは逃げん。」

ツル;「重輔!」

重輔;「下田の奉行所で先生が、こう言われたんじゃ。
『我らは、逃げも隠れもせん。
罪を恐れ、逃げるような武士は、長州には一人もおらん。
私も金子も、長州の武士にござる。」



〔回想〕
重輔;「お頼み申す!
ペリー提督!
わしをメリケンに連れていけ! ホープ!」

(ペリー提督の服に着いていたボタオ(ボタン)を
引きちぎる)


寅次郎;「金子君。」

重輔;「うっ・・・ああ! ああ~!」

寅次郎;「金子君。」

重輔;「うっ・・・ああ~! ああ~!」

寅次郎;「金子君!」

寅次郎;「ボタオじゃ。」

重輔;「ボタオ?」

寅次郎;「西洋の着物に使う飾りじゃ。
これを使(つこ)うて、バラバラの布と布を
つなぎ止める。
我々のようですね。
もし、君がいなかったら、今の私はここにはおらん。
これは、取って置きなさい。
この先、どんな苦難に襲われようと、
今夜の我々の絆があれば、
志は必ず果たせます。
その証しに。」



〔岩倉獄での場面①に戻る〕

重輔;「これは、わしの宝じゃ・・・。
何度でも、何度でも、また先生と、
また海を渡るんじゃ・・・。」

ツル;「もう、そねな事せんでええ!」

(ツルは、泣き崩れる)

ツル;「家に帰ろう。
母と一緒に、静かに暮らそう。
なっ?」

重輔;「次の船は、いつ来るんかのう・・・。
今度こそ、海の向こうへ渡りたいもんじゃのう・・・。
先生・・・。先生・・・。」

ツル;「お前をこねぇにしたんは、誰?」




〔野山獄での場面②〕

(寅次郎が有隣に、本を差し出す)

有隣;「何じゃ、それは。」

寅次郎;「ご意見を伺いたいんです。
富永様の。ぜひ。」

有隣;「嫌じゃ。」

寅次郎;「富永様は、わざわざ、ご自分を
卑下するように振る舞い、垣根を作って
おられる。
そのような構えは、ご無用でござる。
どうぞ、ご教授を。」

有隣;「ならば、教えて進ぜよう。
わしの学の真髄を。」

寅次郎;「はい。」

有隣;「生きて、腐って、呪え。
ここで語る学問など、何の意味もない。」

寅次郎;「いいえ!
こんな所だからこそ、功利を排した
真の学問ができるはず。」

有隣;「ならば、聞く。
お前には、共に海を渡ろうとした弟子が
いるそうだな。」

寅次郎;「金子は弟子ではない。
友です。」

有隣;「友!
いいか?
その友とやらは、お前がここで、
真の学問とやらを語っている間に、
向かいの獄で、たった一人、
虫けらのように死んでいくんじゃ。

お前がどんなに学ぼうとも、
ここにおる限り、
お前は友一人の命も救えん。
それが、お前にとって、まずは学ぶべき、
まこと。
まごう事なき現(うつつ)!
お前の学問とは、所詮、紙の上の幻じゃ。」

(有燐は、寅次郎が差し出した本を奪い、
引きちぎる。
そして、寅次郎ともみ合いになる。)

有隣;「ええぞ、ええぞ!」

福川;「吉田!」

有隣;「ええぞ!
腹の立つ事を言われりゃ、殺しとうなる。
殴りとうなる。
人とは、そういう生き物なんじゃ。」

寅次郎;「違う!
人とは・・・人の本性は善じゃ!
明日の己を、己で切り開く事ができる
唯一のものじゃ!」

有隣;「人とは、悪じゃ!
その証拠に、たった今、お前はわしを殴ろうと
したではないか。
恥じる事はない!
心のままに生きればよい!
生きて、腐って、呪え。
生きて、腐って、呪え。」





〔野山獄での場面③〕

寅次郎;「文か。」

文;「はい。」

文;「金子様が亡くなりました。
金子様は、最後の最後まで、兄上と共に
海を渡る夢をみておられました。
何度でも挑んでみせると。
教えてつかぁさい。
何で金子様は、死ななくてはならなかったん
ですか?
何で国禁を犯してまで、兄上は海を渡ろう
としたんですか?」

寅次郎;「あの夜、俺たちは光を見たんじゃ。
目指す船の先に、新しい日本があると。」

文;「見えたんは、異国の光だけですか?
うちには、大切な方たちがいます。
兄上が国禁を犯したあと、梅兄様は、
お役を免じられました。
寿姉様も、ご城下での暮らし向きが立ち
ゆかず、私たちを助けてくれるもんは誰も
なく、父上がお腹を召してわびようと
なされました。
私たちを守るために。
兄上の見たもんが新しい国の光だという
んなら、何でそれは、私たちを照らしては
くれんんかったんでしょう。」

寅次郎;「それは・・・。」

文;「金子様は、寅兄様が殺したんです。
己の欲に、己を慕う者を巻き込んだ。」

寅次郎;「違う!
俺は金子と生きたんじゃ。
夜の海を二人、大義のために、
大義に生きようと、ひたすらに・・・。」

文;「ならば、証しを見せてつかぁさい!」

寅次郎;「証し?」

文;「あの夜、兄上の目指した光が、
ただの私事ではない、もっともっと、
ふとい大義の果ての志やったというんなら、
志は死なない!
たとえ一生、牢の中にあろうとも、絶望はない!
金子様は、生きて幸せやったんやと・・・。
暗い獄の中で・・・金子様はずっと、
ボタオを握りしめていました。
兄上との大切な思い出を。」




映画『ブルベイカー』と似ている。

刑務所を追放される所長・ブルベイカーに、
クームスが

「(あんたが)正しかった」

と一言、静かに、しかし力強く宣言した。
クームスは前には、覚悟を決めて告発し
殺害されたエイブラハムを見て

「あんたは危険なヤツだ。
人間、死んじまったら終わりなんだぜ」

と、ブルベイカーに言っていた。
そのクームスが、変わった。


まだ本当の「志の果て」ではない。
[PR]
by bunbun6610 | 2015-02-08 10:25 | NHK大河ドラマ『花燃ゆ』


ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

カテゴリ

全体
はじめての方へ
街風景
自然風景
祭典
動物
食べ物
食べ物(ラーメン)
食べ物(カレー)
sweet
製菓の話
お酒
観光(北海道)
観光(関東)
観光(四国)
観光(中国)
観光(九州)


薔薇
紫陽花
聴覚障害
聴覚障害者心理
ろう者世界
難聴・中途失聴
難聴の記憶
手話
コミュニケーション能力
手話言語法
補聴器、福祉機器等
情報保障・通訳
情報保障・通訳(就労)
情報保障(テレビ字幕)
国連・障害者権利条約
社会
人権、差別
障害者問題・差別
原発問題
六本木ヒルズ回転ドア事故
バリア&バリアフリー
医療バリア&バリアフリー
障害者の経済学
運転免許制度への疑問
哀れみはいらない
だいじょうぶ3組
NHK大河ドラマ『花燃ゆ』
就職活動・離職
就労前の聴覚障害者問題A
就労後の聴覚障害者問題B
C.クレジットカード会社
D.伊レストラン
E.大手カー・ディーラー
F.最大手パチンコ店
G.順天堂
就労後の聴覚障害者問題H
M.大手ディベロッパー
R.五つ星ホテル
Z1.クレジットカード会社
職場の回想録
ブラック企業と障害者雇用
聴覚障害者版サムハル
Eテレ『バリバラ』
生活保護を考える
年金・無年金障害者の問題
人気記事(再掲)
雑談
未分類

以前の記事

2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 10月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月

フォロー中のブログ

おばば奇譚
ボーダーコリー モリーが行く!
但馬・写真日和
九州ロマンチック街道
東京雑派  TOKYO ...
大目に見てよ
Photo Galler...
おっちゃんの気まぐれ絵日記
松浦貴広のねんきんブログ
qoo's life
poiyoの野鳥を探しに

検索

タグ

(411)
(196)
(97)
(56)
(53)
(52)
(40)
(31)
(13)
(7)
(6)
(5)
(4)
(2)
(1)

ブログパーツ