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あだ名の由来 - 難聴とあだ名の関係

『難聴の私につけられた、あだ名の由来』


当時の小学校は、2年ごとにクラス変えが
行なわれていた。
担任教師もそれごとに変っていた。
だから入学後は3年、5年の時にクラス変えが
あったことを、今でもよく憶えている。

5年になった時のクラス変えでは、
担任はI・S子先生だった。

新しいクラスに変わると、まず、生徒の座席
決めが始まる。
座席を決めるまでは、皆自由に座っていた。
こういう場合に出欠確認をとられてしまうと、私は

『「聞こえない」と言えなかった頃の記憶 - 学校で』
〔2015-02-03 18:30〕



で書いた方法が使えなかった。
あの方法は、自分の前の生徒がどこに座って
いるのかがわからなければ、使えなかった。

それで私は、自分の名前を呼ばれても、
全くわからなかった。

おそらく、先生は私の名前だけは何度も呼んで
いたのであろうが、私はまだ別の生徒の名前を
呼んでいるのかと思っていた。

しかしその時、私の近くにいた生徒が「ネボケ!」
と、突然叫んだ。

クラスのリーダー格だったO君だ。
それだけに元気がいいので、その声を聞いて
ビックリし、その瞬間、自分の名前が呼ばれて
いるのだと悟り「ハイッ!」と大きな声で返事を
してしまった。

難聴が原因で、クラス中の笑い話になって
しまった、有名な出来事になってしまった。

後で聞いた皆の話しによると、先生まで

「お前の名前は『ネボケ』なのか」

と、笑いながら言っていたそうだ。
もちろん、その時は(ハッキリとは)聞こえなかった私は、
先生に対しても無口だった。

私がいつも無口でおとなしかったのは、
難聴だったからだ。
初めは誤解されていたのだが、それ以来、
私へのあだ名は「ネボケ」になってしまった。

しばらくは、何でそんなあだ名がついたのか、
自分だけ理解できずにいて、嫌だった。

しかし、今になって思うと、そのあだ名がむしろ、
自分への助けにもなった、と思うようになった。

「ネボケ」は、かなり注目されるあだ名で、
馬鹿にされていじめられる、ということもあったが、
無口でおとなしかった少年が社会参加する
きっかけを与えてくれることにもなった。

皆が「ネボケ」「ネボケ」と呼ぶ度に、
私がその仲間に入っていくことになり、
私の社会勉強にもなった。
勿論、当時は嫌な気分だったが。

そのうちに、彼らは私が難聴だということに、
先生よりずっと早く気づくようになった。
それでも先生は、私を呼んでも反応が鈍いのは

「まだ子どもだから」

と思っていたらしい。

こんなに重大なことなのに、大人がそのまま
放置していたことは、私の将来にまで、
暗い影を落とすことになった。



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【追記】(20231020日)

手話にも、あだ名がある。

「サイン・ネーム」と言うらしい。

例えば、手足が長い身体的特徴を捉えて、そういう手話を考えつくとか、

いつもの服装(例えば、帽子の特徴)を捉えて、

そういうサイン・ネームをつける場合があった。

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by bunbun6610 | 2015-02-06 21:30 | 難聴の記憶

ある障害者から見た世界


by bunbun6610