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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

聴覚障害者差別 -「合理的な拒否理由」と「不合理な拒否理由」について

私の会社は、ある大きなビルに入っている。
そのようなビルだと、複数の会社が入っている。

ビルの管理会社も入っている。
だが、その会社の従業員がビル内の清掃も
やっているわけではない。

清掃業務は外部委託になっていた。
清掃業務の受託会社は多数の障害者も雇用
していた。(※)

彼らはおそらく、社会保険にも加入できない、
短時間アルバイトだろう。
この類の業種ではそんな求人票ばかりが、
障害者雇用枠には山ほどあるのだ。
私は、そこの会社の障害者が働く様子を、
毎日目にしている。

それで気づいたことがある。
様々な障害者がいるが、どの障害者もなぜか、
暗い表情で仕事をしている。
このことをよく考えてみた。

当たり前なのかもしれないが、彼らにしてみれば、
これしかやらせてもらえる仕事がないのである。
彼らもまた、自分のしたい仕事を選べない存在
なのだ。

「やらされている」

という感じなのだろう。

大きなビルの中の、共用部や事務所、休憩室など、
様々な部分を清掃する人が、
そんなふうに働いているのである。

中でも、私が特に気になったことは、
ビル内のゴミ捨て場だった。
そこは狭い通路があるのみで、2,3人の障害者が
一緒になって、ゴミの分別回収の作業をしていた。

そこを、顧客側の立場である私が

「すみません」

と声を掛けて通ろうとするのだが、彼らはいつも、
自分の仕事を黙々とするだけで、
一向に道を開けてくれない。

仕方なく半ば強制的に彼らの道具をどかし、
身体がぶつかってでも通って行く。
いつもこんな感じなのである。

おそらく、彼らは知的障害者なのであろう。
耳は聞こえるけれども、言葉の意味がわからないとか、
聴覚障害者とは違う意味でのコミュニケーション
障害があるとか、いわゆる「気が利く」ことをする
のが苦手だとか、こんな状況の時にはどうしたら
いいのかわからないのだと思う。

彼らには指導員(あるいはジョブコーチなど)は
ついていないようだった。

彼らとしては

「毎日、嫌な仕事をさせられている」

という気持ちも、ひょっとしたら、
あるのかもしれない。
自己感情が、それに支配されてしまっている。

マナーを守る必要性も毎日あるというのに、
何の進歩も見られない彼らを見て、
私もそこを通る時は憂鬱な気分になって
しまっていた。

私にも、外見だけでは分かってもらえない障害
がある。
しかも、私は健聴者とは全くソリが合わない
聴覚障害者なのである。
そう思うと、さらに憂鬱な気分になる。

お互いに、他人同士ではあるけれども、
それでも健常者だったら挨拶ぐらいはするし、
狭い通路なのだからお互いに譲り合うものだ。

しかし、彼らには耳があっても、それもできない。
幾ら経験を積んでも、学習能力もないので無駄だ。
自分で学べなかったら、教育もできないかも
しれない。

それで一体、どうしてこの仕事に就くことが
できるのか。
どうして、共用部のある場所で働くことが
できるのか、不思議に思ったのだった。

その理由は、聴覚障害者特有の就労前の問題を
知る人ならば、分かるのではないだろうか。


『企業とハローワークの「裏情報」は、「差別」か「配慮」か?』
〔2015-01-05 18:30〕



上の記事を読んだ人ならば、聴覚障害者では
なくとも分かるかもしれない。

これを言えば、きっと不快に思われる方もいる
かもしれない。
だが、誤解しないで欲しい。

私が思ったのは

「耳が聞こえても、挨拶や社会マナーもできない
人が、その仕事に就けるというのに、
聴覚障害者だけはなぜダメだったのか?」

という疑問だった。

考えようによっては、聴覚障害者差別に当たる
事例なのかもしれない。
この事実を証拠採用できるとすれば、
おそらく聴覚障害者差別になるのだろう。

「マナーができないよりも、
危険な音が聞こえないと、
もっと困るから」

という反論が、健聴者側からは出されるかも
しれない。

しかし、それならばなぜ、聴覚障害者が公道で、
自動車を運転することが認められているのだろうか。

健聴者の考えには、まだまだ多くの矛盾がある。
まして、お客様が来るビルの中で通常、
そんな危険はないだろう。

行き過ぎた考えも甚だしい。
少なくとも私は、納得できないのである。



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(※)〔関連情報〕
「特例会社」とは別種の「障害者大量雇用企業」


炎のジョブコーチ
『禁断の果実?障害者雇用代行・・・』
〔2012/1/21(土) 午後 9:10〕
http://blogs.yahoo.co.jp/uchayamamingkun2000/archive/2012/01/21

最近、時々聞く障害者雇用の代行。
これは、企業の障害者雇用を代行する会社が
サテライトオフィスを構え、代行する会社の社員
(サポートスタッフ)が採用から処遇いっさいを
行うというものです。

サテライトオフィス内でAさんとBさんは○○社、
CさんとDさんは△△社、ブースごとに別会社と
なります。
まさにコペルニクス的な発想です。

不利・不満・不安を解決するところにビジネスあり、
これは企業が障害者雇用に向き合うことなく
雇用率を手に入れる仕組みでもあります。

しかし何故か違和感を感じます。
障害のある人の人権、ノーマライゼーション、
社会参加、多様性、キャリアそんなことを考えると・・・
どうなんだろう。

以前、企業の方が冗談で

「いっそのこと福祉作業所をまるまる買い取りたい…」

なんて言っていたのを思い出します。
この仕組みは、まさに書類上の雇用関係と
言ってもいいでしょう。

気になっていることとして、この仕組みは実は
障害者雇用の大きな岐路を示しているように
感じます。
実際に一部の自治体などでこの事業を歓迎
しているところもあります
(たぶん行政関係者がその意味まで想像力が
及ばなかったのでしょう)。

行政は一旦是としたものは訂正することは
難しいですから、いくつかの自治体はリンゴ
を食べてしまったことになります。

この仕組みはこれから一気に広がるかも
しれません。

なぜなら、企業よし、代行業者よし、就労した
人よし、その他家族や教育関係者なども
形式的であれ「一般就労」の言葉は魅力
かもしれません。
もしかして違和感を感じているのは私のような
一部の関係者…だけかもしれません。

社会では得てして、多数を占めた方が
スタンダードになります。
そして、社会が大きなつけを払うことに
ならないか心配です。

次の動きとして社会福祉法人がこのビジネスに
乗り出すのではないでしょうか。
障害のある人のサポートのノウハウを生かし、
収益事業部門又は、会社組織を作って事業拡大
を考えるのは想像できます。

そうなるともうぐちゃぐちゃになってしまいますね。

障害者雇用の理念からこの代行業について、
労働局(厚労省)の意見を出しほしいところです。
現場のハローワークの方も戸惑っています。
リンゴを食べてしまう前に…



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by bunbun6610 | 2015-01-27 18:30 | 就労前の聴覚障害者問題A