職場内障害者授産施設 第二篇 (19)精神障害者が広める波紋

職場内障害者授産施設 第二篇 (19)言うことをきかない精神障害者が広める波紋

12月18日(木)


始業15分前に出社すると、
Kさんはいつも通りに来ていた。
ただ、入社したばかりの頃と比べると、
様子が変わっている。

以前は熱心に仕事をしていたのだが、
今では9:00ギリギリまで、
机の上に腕を組んで枕代わりにし、
頭を置いて眠っている。
周りの人は皆、仕事をしているのに、である。

まだ入社3ヵ月過ぎたばかりだというのに、
今ではすっかり、仕事もしなくなった。

しなくなったというよりは、
時間に終われるような仕事は任されない
からだろう。
ダラダラとやっていても構わない仕事ばかりでは、
こうなるのも仕方がないかもしれない。

Kさんと同期入社のYさんは、相変わらず、
9:00ギリギリになってから出社してきた。

そして、始業時間が過ぎても、
彼だけはやることがないからと思っていて、
何もしないで坐っている。

時々、他人の仕事を見て、
何か話しかけたりするだけだ。


「障害者は、職場のお荷物」

まさに、その通りだ。

私は始業15分前に出社した。
Kさんが担当している書類がメール便で届いて
いたので、眠っているKさんの机の上に置いた。

「自分が担当している仕事なのに、
その仕事を自分で取らずに、
朝から寝ているとは・・・・」

私は昨日届いた商品カタログのセット作業を
始めた。
本当は昨日、私は休みだったのだ。

だが、その仕事はほとんど手付かずのままに、
床に大量に置いてあった。
つまり、昨日いたKさんもYさんも、
誰もやらなかった、ということだ。

Kさんはついこの前に、D上司から

「これからは●●さん(つまり、先輩の私)に
教えてもらって、覚えて」

と言われていた。

私もその通り、一度教えて、一緒にやっていた。

ところが、私がいないと誰もやらなかった。

後になってKさんが

「最初はわからないから」

と言い訳をしてきたが、一度教えているのだから、
もう最初ではない。
小学生にだってできる仕事である。
だからこれは、Kさんがやる気がないだけである。

あまりにも子どもレベルだから、
もう無視して私一人でやった。

すると、Yさんも本当はやりたくなさそうに重い腰を
上げて、ダラダラとカタログ作業を少しだけ
やり始めた。

そんな彼に、ピッタリのあだ名がある。
それは「コバンザメ君」である。

実際に障害者を雇用してきた企業側から

「障害者は自主性がない」

という指摘がある。
その典型例がコバンザメ君なのだろう。

いつも、誰か先輩が仕事をすれば、
彼も仕方なくそれを手伝う。
しかし、誰もいないと彼はさぼる。
カタログの仕事など、まるでどうでもいいかの
ように投げ出してしまうのだ。
要するに、彼は自分中心の世界にいたいのだ。
それが精神障害の正体だ。
王様でいたいだけなのだ。

だから彼は、自分にとって居心地のいい
障害者雇用を選び、そこで甘えているのだろう。

障害者というよりは、ただのダメ人間だ。
これも、生活保護にベッタリとくっついている
人間と同じだろう。
働ける人間でも、心が弱いのだ。
忍耐力がないゆえに、逃げる。
だから、健常者とだけでなく、身体障害者とも
一緒にやってゆくのが難しい障害なのである。

Yさんだけでなく、D上司も、また過去にいた
Aさんも同じだった。

私は最初

「『精神障害者は真面目で優秀な人が多い』

と聞いてきた。

『発作的異常を抑える最先端の薬を飲めば
大丈夫です』

と、Yさんからも聞いている。
それならば、ほとんど健常者と変わりなく
働くことができる」

と思っていた。


(それでは

「なぜ障害者認定が受けられるのか?

と疑問に思うのだが。)


ところが、このだらしなさぶりは一体どうだ。
「真面目」「優秀」「大丈夫」とは、
あまりにもかけ離れている。
人によって違うことも確かにあるが、
共通しているのは、他人から見て

「頭がヘンだ」

と思う特性だろう。

D上司の場合は

「月に一回は病院へ行って点滴を受けているし、
最先端の高価な薬を毎日飲んでいる。
それでも、自分は毎日が戦いだよ。
わかるか?」

と言う。

私には全然わからない。
第一、それだけでは説明が抽象的過ぎるのだ。

「自分の都合のいいように言っているだけ」

としか思えない。

私にも、健聴者の目には見えない障害がある。
けれども、精神障害を誰にでもわかるように
説明するのは、それよりも難しいのかもしれない。

それとも、自分の障害を自分で説明できないのは、
彼ら自身の幼稚さ、甘さだろうか。
そういうところは、軽度難聴者と似ている。

要するに、中途半端な障害ほど、自覚しにくい障害
なのかもしれない。

彼らの障害が

「自分でコントロールすることが難しく、大変な」

ことは理解するとしても、そういう障害者と実際に
接していると、不快感を覚えることも多い。

特に、一緒に仕事をするハメになると、
こっちの頭がヘンになってきそうになる。
それは、上述した状況を読んでもわかるだろう。

そしてこれは、私だけではなく、Kさんのモチベーション
低下にも関係しているのかもしれない。
なぜなら、カタログ作業は本来、私とYさんの担当
業務なのである。
ところがYさんと同じ精神障害を持つD上司が、
おそらくはYさんに同情したのであろうが、
Kさんにやらせることにしたのである。
幾ら上司の命令でも、これではさすがに

「おかしい」

と思う。
勿論、こんな上司では信頼できない。

このように、精神障害は他の人にも悪影響を
与えてしまう障害なのではないか、
と思われるのである。

これではどこの会社だって、
精神障害者は雇用したくないだろう。

私は、仕事に関しては、もうYさんは無視している。
彼には、何も教えない。
これは、聴覚障害者が教えられないという「差別」
とは、理由が全然違う。
なぜなら、彼には何を言ってもムダだからだ。
先輩の言うことを聞かないのでは、ムダというより、
言うだけ逆効果だとわかるからである。

「逆効果」というのは、具体例で言うと

「指示や注意を嫌うYさんに何か言うとすねてしまい、
かえって仕事をしなくなる」

からである。
これは、人事・K塚さんにも相談したことがあった
のだが、その答えがまたやりきれない。

「わかるまで何度も何度も教えたり、
お願いしてもらうしかありません」

その話を聞いた私は

「給料を払っている会社が?」

と呆れてしまった。
誰も関わりたくない気持ちはわかるが、
幾らなんでもこれでは、精神障害者の好き放題
になってしまうのが当たり前ではないだろうか。
面倒を見るほうは大変な迷惑なのである。

反対に、Kさんには厳しく接しながら、教えている。
Yさんにはできないとわかっているが、
Kさんはできないのではなく、
ただやる気がないだけだからだ。
それで今度は、Kさんが不公平感を感じているようだ。

だんだんと職場の人間関係がギクシャクしてしまう。
Yさんにも原因はあるのだが、
言ってもムダでは仕方がない。

そもそもは、人事部がこういうダメな障害者を選んできて、
障害者配属部署に押しつけてきたことに最大原因がある。

何も対策を考えずに、ただ精神障害者を我々の中に
放り込んできたことに、一番の問題があるのでは
ないだろうか。




〔参考情報〕


『「私はうつ」と言いたがる人たち』(香山リカ/著、PHP新書)
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by bunbun6610 | 2014-12-18 19:56 | E.大手カー・ディーラー


ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

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