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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

職域差別 - 精神障害者の聴覚障害者差別

『精神障害者と“腐れ縁”になった聴覚障害者の2年間』


私が今いる職場も、ほぼ完全に音声言語社会だ。
だから聴覚障害者に対する健聴者の、
目に見えない“間接差別”は、すごいたくさんある。
まるで“差別”というシャワーを毎日浴び続けて
いるようだ。
毎日だから、嫌になってくる。

私は以前、D上司に商品カタログの一括管理を
自分がやりたい、と申し出たことがあった。
勿論、私にはその能力があった。
人事総務部のKさんも、その力があることは
認めていたようだった。

けれども、私に任されたのは、その業務の中の
ほんの一部分、つまり肉体作業の部分だけだった。

パソコンのスキルもあっても

「その作業は別の人がやるからいいよ」

と言われた。
初めは人事から

「パソコンの仕事もやってもらう」

と、入社前面接で聞いていたのだが、現場に入ると
その仕事は他の障害者に取り上げられてしまった。
理由は簡単だ。

「聴覚障害者には肉体労働をやってほしい」

とD上司が考えていたからだ。

こんなふうだから結局、新しい仕事はいつまで
経っても覚えられなかった。
まさに『スモールステップ、刻みすぎ』(※)だ。


(※)
『障害者雇用に合わせた“仕事を切り出す”ということ』
〔2014-09-30 18:30〕



これは、聴覚障害者に対して、非常によくある
差別事例なのだ。
耳が聞こえないからという、それだけの理由だけで、
多くの仕事が奪われてしまう事実が、いくらでも存在
するのだ。

だからそれは、決して聴覚障害者の能力が低いから
なのではない。
まず健聴者が、聴覚障害者の能力を過小評価して
いるところに原因がある。
それが周りの健聴者にも広がり

「聴覚障害者は何もできない、無能だ」

という見方も広まるのだと思う。

そして、そうした差別をしているのは、健常者だけ
ではない。
障害を持つ健聴者にも、実はたくさんいるのである。

これほどの孤立感を味わう障害者も、盲ろう者と
聴覚障害者を除いては、他にいまい。


私はそれでも、ずっと我慢して働いてきた。
そして、障害者が次々といなくなって、また新しい
障害者(健聴者)が2人(KさんとYさん)入ってきた。

彼らは、私より2年弱の後輩だが、耳が聞こえる
障害者だった。
だからD上司は、私にはやらせなかったカタログの
発注を、何と! Kさんに任せるようにしたのだ!
Kさんは入社してから、まだ3ヵ月しか経っていない!
それなのに! である。

一方、その時に、D上司が私に任せた仕事は
ゴミ捨てだったのだ。
たちまち、私のハラワタは煮えくり返った。

この鈍感な上司のことを言ってやろう。
このD上司も、実は精神障害者なのだ。
こんなに軽い障害なのに、なぜか精神障害者手帳を
持っている、という。
健常者と変わらないくらいだから、
とても信じられない。


だから実に、聴覚障害者の私は、精神障害者と2年
もの腐れ縁になっていた、ということになる。
精神障害のある人は他にも、Aさん、Yさん(※)がいた。 


(※)
AさんとYさんの勤務態度については

『職場内障害者授産施設』(2013年9月~2014年6月)

『職場内障害者授産施設 第二篇』(2014年9月~)

を参照。



D上司は彼らに対しても、非常に甘かった。
きつい仕事を指示するのはいつも、私にだけだった
からだ。
雑用も皆、私には頼むが、AさんやYさんには、
何もしていなくても頼まなかった。
だからこれが毎日、不思議に思えてならなかった。
「差別」だとは、最初からわかっていたが。
精神障害者のせいで、頭がおかしくなりそうなのは、
実はこっちのほうだったのだ。

今になって思えば、D上司は同じ精神障害者同士
には甘くしているのだと気がついた。
だから、T部はやる気のない精神障害者の天国
だったのだ。
この部署が「将来はなくす方向」だと人事総務部も
言っていた。
だから、いつまでも甘えていられるわけではない。
お陰で、私もリストラになってしまった。
腐れ縁もいいところだ。

それでも、考えてみれば、健聴者は悪気があって、
こんな差別的な指示をしたつもりではなかった
のだろう。

要するに、その障害者に残されている身体機能を
生かした選択の結果、耳の聞こえる障害者には
営業社員の世話、耳の聞こえない障害者には
ゴミ捨てがいい、と判断したのだろう。

その人の能力から判断したのでもない、
先輩後輩も関係ない。

ただ障害の種類や軽重があるから、
それによってスモールステップを図ることにした
のだろう。

でも、だからこそ私は

「もう、こんな会社は辞めよう」

と心に決めた。

実はこのような差別は、私に限らず、特にろう者には
昔からあるのだ。


昔、このような話を聞いたことはないだろうか。

昔は、年末になると、どこの地域でも道路工事を
やっていた。
噂を聞くと、予算を残してしまうと、次年度予算が
その分、カットされてしまうために、あのムダな
道路工事を毎年、年末になるとどこの役所でも
やり出すのだと言われていた。

バブル期に向かう高度成長期に、こういうムダな
ことをやっていたから、今になって膨大な借金
(1000兆円以上)になってしまったのだろう。

実は、私が今いるこの職場でも、それと同じよう
なことをやっているのだと、私は思っている。

その道路工事が、今の聴覚障害者雇用なのだと
言いたい。

当然、この聴覚障害者雇用には、意味などない。
健聴者は、自分たちが楽をしたいから聴覚障害者
にいてほしい、と思っているだけなのかもしれないのだ。
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by bunbun6610 | 2014-12-21 18:30 | 就労後の聴覚障害者問題E