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聴覚障害とは - 健聴者が誤解しやすいこと

聴覚障害者って、職場では、一人でトンチンカンな
ことをやっているように見えることが、
健聴者から見ればあると思う。

その日は会社全体で行う大掃除があった。

健聴者の社会は音声言語文化だ。
だから健聴者は、常に耳から音声情報を聞いて
いて、自然に何をすればいいのか、わかっている。

しかし、聴覚障害者のほうは、その人の聴力等
にもよるだろうが、主に視覚情報に依存せざるを
えない状況である。

すると、このままでは自然にチームワークを取る
ことは難しくなってくる。

「聴覚障害者は空気が読めない」

と言われたりするのも、それが原因だろう。


私も大掃除の時、実際にこんなことになった。

大掃除をする時間は午後1時を過ぎてからと
決まっていたので、私も知っていた。

総務から共用の大掃除道具一式を借りると、
例えば、ガラスクリーナーと布巾があった。

すると、私はこれでガラス窓等を拭く
ものと思い込んでしまった。
そして、自分から積極的にやり始めたのだが・・・。

しかし、しばらくすると後輩がやって来て、
私を呼び止めた。

「ガラス窓は拭かなくていいです」

と、くり返し言うのだ。

聞こえるというよりは、
視覚情報に基づいて推測する私は、
初めは何度聞いても理解し損ねていた。
自分の思い込みが強過ぎていた。

しかし、それが総務からの指示だと理解すると、
最終的にはそれに従った。

他の人(つまり、健聴者)は、最初からずっと、
他の掃除をしていたのである。

このようなことは、日常茶飯事的によく起こるので、
仕事をする前に一言

「ガラス窓を拭くのでしょうか?」

などと聞いてから、仕事に取り掛かるのが
聴覚障害者としての心得だろう。

しかし、油断してしまい、聞く前にやってしまう
(あるいは、聞くことも忘れてしまう)こともある。

あるいは、聞いてからにしたかったが、
誰もいなかったり、聞ける相手が忙しくて時間
ばかり過ぎてしまうので、
つい自分でやってしまったりする場合もある。

音声世界で一人だけ取り残されてしまうと、
なかなか思うようにはいかず、悔しい思いや、
寂しい思いなどが、自分の心に重くのしかかって
しまう。

理解があればとは言っても、分からず屋の健聴者
相手に、もう疲れ切ってしまう。

だから

「どうせなら一匹狼でいたほうがラクだ」

と思うこともよくある。
これが、良くないのだが・・・。
by bunbun6610 | 2014-12-16 18:30 | E.ネッツトヨタ東京

ある障害者から見た世界


by bunbun6610