『壁は越えられる ―盲ろう大学生・森敦史さん―』

2014年11月16日(日)
[Eテレ] 午後7時30分~7時45分
『壁は越えられる
―盲ろう大学生・森敦史さん―』



このテレビ番組を観て、驚いた。

盲ろう者で大学へ行った人といえば、
世界ではヘレン=ケラー(※1)
日本では福島智氏(※2)ぐらいしか知らない。


(※1)
『『ヘレン=ケラー自伝』
(ヘレン=ケラー/著 今西祐行/訳)(1/5)三重苦』
〔2014-05-01 20:00〕




(※2)
『福島智さん憤りの発言
/ 障がい者制度改革推進会議』
〔2012-03-02 00:10〕



『「コミュニケーション力」とは』
〔2011-04-12 21:04〕





盲ろう者を受け入れてくれる大学は非常に少ない、
という。
それ以上に驚くのは、森さんは生まれつきの盲ろう者
で大学に通い、将来は社会福祉士になり、同じ障害を
持つ人たちのための社会福祉制度や施設を整えて
ゆきたいそうだ。

映像で観る森さんの素顔は、東京盲ろう者の会理事や、
鉄道マニアという多面性も持つ。
そして、時には一人で旅をすることもある、という。

一人でどうやって旅をするのかというと、考案した
指差しボート(ひらがなの文字に点字が打ってある)
を使って、相互コミュニケーションを可能にしている。
この行動力には大変驚いた。

聴覚障害者の場合でさえ、普通は相手に手話や筆談
を求める。
それでもし、相手が応じなければ、それっきりになる。
だが森さんは、かなりやさしいというのか、ソフトに
感じられる。

「うまく工夫しているな」

と思う。

でも、こうした活動がテレビで紹介されていても、
潜在する盲ろう者へは、あまり知られていないのでは
ないだろうか。
盲ろう者への支援がある、ということを知らなかったり、
あるいは支援もないところに住んでいる盲ろう者は、
このテレビの情報も知ることがないだろう。


ある盲ろう者と、触手話で交流し、Eテレ『バリバラ』の
話をしたことがあった。
でも相手は、そんなテレビ番組があることも知らない
ようだった。
南の西表島にある、障害者就労施設(作業所)の話
をして

「そこが意外にもうかっているんだよ。
障害者も『楽しみは金儲け』だと、大喜びしていた」

と話したが、相手には初耳だという。
そして「自分にはムリ」と繰り返した。

自分の知りたいことがあったら、それは支援者を
通して聞くことができるだろう。
でも、知らないことは聞きようがないのだ。

耳も目も塞がれてしまった人には、自分に触れて
くれるものから初めて情報を得るか、
その手がかりを見つけるしかないのであろう。

あるいは、臭いで近くにあるもの、食べ物などの
情報を知るとか・・・。
となれば、まずはこういったテレビを観た人が、
もっと盲ろう者に積極的に関わっていくことが必要
なのだろう。

六本木ヒルズ回転ドア事故のケースに限らず、
こういう場合でも、ヒューマン・センサー(※3)
大切だと思う。


(※3)

『六本木ヒルズ回転ドア事故<12> 事故は無関心から起きた』
〔2011-04-22 21:13〕



『六本木ヒルズ回転ドア事故<13>
 ヒューマン・センサーの活用には、コミュニケーションも不可欠』
〔2011-04-22 21:28〕



しかし、最近はスマートフォンの流行で“ながら歩き”
をする人が増えている。
そのため、見守る目、ヒューマン・センサーの役割を
する人すら、減ってしまっている。

無関心は、実はとても怖いものだ。
近い将来、恐ろしい社会になる予感がするのは、
私だけだろうか。






〔関連情報〕


『「盲ろう者」について』
〔2011-04-09 09:34〕

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by bunbun6610 | 2014-11-20 18:30 | 聴覚障害
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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610
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