会社のリスク管理 - 個人情報保護法

会社のリスク管理 - 個人情報保護法

(1)事の発端

(2)意見書(提案書)を出す

(3)D上司の口裏合わせ

(4)重役(取締役)との面談

(5)重役との面談後 - D上司の部下への説明の矛盾点

(6)健聴者のおかしな主張
 - 健聴者に感音性難聴障害を理解してもらうことの難しさ






(1)事の発端

『障害者への仕事の切り出し方』(※1)で述べたが、
障害者雇用で切り出される障害者向け仕事というのは、
雑用面での単純労働が多い。

障害者の仕事内容は、その時にある仕事によって、
多少は変わる。
しかし、どこまで変わっても、会社にある“雑用・雑務”
であることには変わりがない。


(※1)原題が

『障害者雇用に合わせた“仕事を切り出す”ということ』
〔2014-09-30 18:30〕


という記事を参照。




正社員への雑務負担を減らして、それだけ正社員
にもっと営業努力をしてもらい、会社全体の業績を
上げる、という狙いがあることは見え見えである。

もし昔のように、健常者に単純労働をいつまでも
させていたら、健常者は辞めていってしまう。
今の人は明らかに離職率も高くなっている。

それを食い止める役目として、障害者雇用が利用
されるようになった、ということもあるだろう。
障害者ならば転職されたほうが、むしろ好都合な
理由がある点も見逃せない。


例えば、データ入力とか、書類の持ち運びといった
仕事も、障害者が行う主な仕事の一つになっている。

こうした仕事には、大抵は個人情報が含まれている。
つまり、単純労働とはいえ、個人情報保護法にも
かかわる仕事をしていることになる。


例えば、

『障害者奴隷雇用促進法』
〔2011-07-30 09:16〕


という事例もある。

この会社は、日本全国から送られてくる、
クレジットカードの申込書等を仕分けし、
金融機関に送付している会社だ。
膨大な量の個人情報を取り扱っている。

しかし、個人情報を取り扱う部署が、このような
職場環境とは、いかがなものだろうか。
この非常な乱れぶりでは、職場のモラル低下が蔓延
するだけでなく、最悪には重大リスクが生じることも
目に見えている。
そのような現場に、障害者もかかわっていることは
少なくないのだ。

そのモラル・ハザードだけでなく、上司のパワハラや
障害者差別も混ざってくると、リスク発生の危険はより
高くなってくる。


すでに退職した人であるが、障害者Aさんの事例があった。


『職場内障害者授産施設
 (3)本当にうつ病障害者? 病前性格のワガママ障害者?』
〔2013-09-04 18:30〕


そして、私も上司からの命令で、個人情報の取扱いとして
はふさわしくない業務命令を受けた(強制された)ケース
が増えていた。

しかし、これを上司に向かって

「個人情報保護法の観点から言えば、個人情報を自宅へ
持ち帰ったりするような業務はやらないようにすべきです」

と言えなかった。

そこで、別の理由も考えて、提案書みたいなものを書いて、
その上司へではなく、さらに上の人である取締役へ渡した。

そうしたら、これは大変なことになったが、十分効果があった
ので、結局安心した。



(2)意見書(提案書)を出す


=================================




20■■年■■月■■日

IT取締役 殿

朝直行の任務について

T部
■■ (自分の氏名)


■■■スタッフに課される、“朝直行の任務”について
相談させていただきます。
この頃は朝からの直行任務が急増しており、
常態化しています。
前日に個人情報を持ち帰る、という性質ですので、
個人情報保護の観点から見れば、極力避けるのが
常識かと思われます。
しかし、やむを得ない事情で、この方法を取る場合
もある、ということも理解できます。

たとえば、件数が多く、翌朝の直行でなければ
すべて終えられない任務とか、●●や▲▲など遠方に
なるケースです。
しかし、最近は近くである、一件のみであるにも
かかわらず、朝直行を指示されることが増えてきました。

しかしながら、■■■スタッフ側にも、当日になって
病気になったとか、家族の不幸とかがあった場合、
任務が遂行できなくなる場合もあります。
実際に、救急車で運ばれて、その日は急遽休ませて
いただいたこともあります。

この場合にはどうしたらよいかと上司に仰ぎましたが
「状況による」などと曖昧です。
ひょっとしたら、病院に行くべきという場合でも、
任務をやらなくてはならない場合も起こりえるのでは
ないかと、心配でした。
事の大きさを考えて病院に行った場合、待ち時間は
相当要するため、両方への対応は難しくなります。
こうしたことを考えると、前日に決定し、書類(■■■■
などの申請、受取書類)を預かるというのは、
やはりリスクが伴うものと考えられます。
個人情報保護だけでなく、リスク管理という観点からも、
おおよそのルールは考えておくべきかと思われます。



=================================




言うまでもないことだが、提案書に書いてある事実は、
個人情報保護法に抵触する恐れがあり、重大である。

現場では業務スピード、能率優先にやりがちで、
法令遵守など二の次になってしまう。
だが、上の人はそうは考えていなかった。



(3)D上司の口裏合わせ

休み明けに出社すると、いきなりD上司に呼ばれて、
私とD上司以外はほとんど誰もいない状況の中で、
二人で筆談した。

D上司は困惑していた。

会話内容を大雑把に書くと、次のようであった。


D上司;「今日これから3人(重役、D上司、私)で、
すぐに重役と面談がある。
あの提案書はまずいよ。
ああいうのは手渡しでないと・・・。

私;「重役はいつもいないし、私も業務があるので、
置いていきました」

D上司;「(オレは)F上司とは違う。
あなたが大変だから、このほうがいいと思って、
直行直帰にしてきた。
でも、今後はもうやめる。
曖昧にするつもりはなかったんだ。
それでいいだろう。
もうすぐ、10時40分から、重役と面談がある。
頼むよ。」

私;「わかりました」

面談直前というタイミングで、最後に言われた『頼むよ』の
意味が怪しげだったが「穏便にしてほしい」という意味
だろうと思った。
よくあることだ。



(4)重役(取締役)との面談

コミュニケーション方法は、私は筆談で、
しかし途中から声にしてしまったが、
I取締役は終始筆談で行ってくれた。


IT取締役;「この度は、ご意見ありがとうございます」

私;「いいえ」

IT取締役;「聞こえますか?」

私;「実は、たまたま今日は補聴器を自宅に置き
忘れてきてしまい、全く聞こえません。
筆談でお願いします」

IT取締役;「補聴器をすれば聞こえるのですか?」

私;「音は聞こえるようになります。
しかし、言葉を聞き取るのは不自由がありますので、
大事な話は筆談にしています」

IT取締役;「わかりました。
直行の時とは、このところに書いてある通りですか?」

(と言われ、記録用紙を見せられた。
日時、行き先、上司が直行を決め理由が書いてあったが、
私は初めてその記録用紙を見たので、直属上司が
後から至急書いたものだとわかった)


私;「ハッキリと覚えていないのですが、この通りだと思います。
今まで、予定表に詳細を記入していたので、
それと照合すればわかります」

IT取締役;「個人情報保護のことは、当然です。
今後は基本的に、一旦会社に来ていただいてから、
障害者の体調なども確認し、業務へ行っていただきます。
終わる時も、会社に戻って来てもらいます。
それでよろしいですね」

私;「わかりました。
その方が万一の時を考えても、安心です」

IT取締役;「他に、何か質問はありますか?」

私;「もし、勤務時間内には帰社できないような事態、
例えば電車・バスが事故で止まったり、遅延したり、
迂回したりするようになった場合は、
どうすることにしますか?」

IT取締役;「その時は、上司に報告して、よく相談してください」

私;「わかりました」


私はそこまで話し終えたところで、失礼した。

その後、取締役とD上司だけで、しばらく何か話し合って
いたようだった。



(5)重役との面談後 - D上司の部下への説明の矛盾点

後から再度説明したD上司も、基本的には取締役が
話した通りだったが

「今後は直行直帰をやめる。
しかし、イレギュラーなものもある。
その場合は、理解して下さい」

と言われた。
「イレギュラー」の話は、取締役の話にはなかったことだ。
取締役はそんなことは言っていないのに、
現場の直属上司になると、話が変わってくる。

これも、働く現場ではよくあることだ。

法令への配慮ばかり気にしていては、仕事にならない場合
だってあるから、多少は仕方がないだろう。

どの会社でもそうだが、法令を遵守するか、それともスレスレ
まで無視するかは、役員や上司にもよるし、仕事にもよる。




(6)健聴者のおかしな主張
 - 健聴者に感音性難聴障害を理解してもらうことの難しさ


たまたま、その日は補聴器を家に置き忘れてしまった。
仕方がないので、補聴器なしで面談に行った。
どうせ補聴器があっても、大事な話のことは必ず、
筆談でしてもらえるように、筆談器も持参し、
相手にお願いしている。
だから結局は、補聴器はあってもなくても同じだった。

ところが、その翌日、重役の下の立場であるD上司
(私の直属上司)から厳しく注意を受けた。

理由は、私が重役との面談で補聴器を忘れてしまった
ことについてだ。
聴覚障害者読者の皆さんも、経験があるかもしれない
体験だ。

断っておくが、私は、面談日に出社してから

「これから面談がある」

と突然に言われた。
面談のことは一切、知らされていなかったのだ。

「補聴器は絶対に忘れるな」

と言われたのも、この時が初めてだった。


このことも、コミュニケーション内容を大雑把に書くと、
次のようになる。


D上司;「昨日(面談した日)は補聴器をつけなかった
のはなぜ?」

私;「たまたま、昨日は補聴器を家に忘れたまま、
会社に来てしまいました」

D上司;「ダメだよ。
重役が筆談をしたら時間がかかるし、大変なんだから。
それだけでなく、業務で外の人と話す時も、困るでしょ。
大事な話でもコミュニケーションができなかったり、
コミュニケーションでのすれ違いが起きたりしたら、
どうするの?」

私;「補聴器をすれば、音は聴こえるようにはなります。
でも、大事な会話をする時はやっぱり、筆談にしています」

D上司;「補聴器でも聴こえれば、補聴器はあった
ほうがいい。
今後、会社にいる場合は必ず補聴器をつけて」

私;「わかりました」



障害者福祉用補聴器(補装具補助金)(※2)
の交付条件が、近年は

「仕事で使う場合なら、補助券交付が認めてもらえる」

となっているらしいが、その理由が、これでよくわかった。


(※2)〔関連情報〕

厚生労働省
『サービスの利用方法』
〔補 装 具 費 の 支 給 の 仕 組 み〕


障害の等級や所得状況により、自己(利用者)
負担額は異なるらしい。





本当は、D上司の説得には全然、納得できなかった。
以前にも同じことで、私は悔しい思いをしている。


『聴覚障害者だって、成長するのです!』
〔2014-10-24 18:30〕



『障害者部下の重要な意見を聞かない健常者社員』
〔2014-10-31 18:30〕




健聴者が「補聴器はつけろ」と言うのがわかっているから、
補聴器はつけている。
しかし、大事なコミュニケーションの時は、私はいつも筆談だ。


やはり健聴者は、聴覚障害のことも、補聴器のことも、
わかっていない。
健聴者の言うことは、要するにこうなのだろう。

「補聴器をすれば聴こえるだろう」

と思い込んでいる。

けれども実際には、曖昧な言い方だが、
聴こえる場合もあるし、聴こえない場合もある。
また、聴こえても聞き取れないといった場合もあったりする。

それを幾ら健聴者に言ったところで、健聴者に感音性
難聴障害のことを完全理解することは無理だと、
私はわかりきっていた。
わかっていないのは、健聴者のほうなのだ。


『週刊文春の佐村河内氏批判について』
〔2014-03-14 21:31〕




確かに、補聴器はあったほうが助かるのも、事実である。
しかし補聴器以前の大きな問題としてあるのは、
健聴者の誤った理解のほうなのである。
非常に厄介なことに、健聴者だけが、それに気づいて
いない。
それが、聴覚障害者の悲劇を一層大きくしてしまって
いるのだ。

おそらく永久に、健聴者は、その間違いをやめることが
できない。
だからD上司も

「聴覚障害者が補聴器をつけていれば、
我々(健聴者)は安心してコミュニケーションができる」

と思っている。
その思い込みが、間違っているとも知らずに。

聴覚障害者に補聴器をつけさせ、勝手に安心して
いるのは、実は健聴者だけなのだ。
年寄りが補聴器を装用して聴こえるのとは違うのだ。

「筆談より、まず聴覚障害者が補聴器をつけることが
大切である」

と思っている。
だから


『バカがいつまでも聴覚障害者差別をしている時代に』
〔2013-04-03 18:00〕




のような、馬鹿げたことが何度も繰り返されるのだ。
私はもう、こんな人生にうんざりしているというのに。

そして、コミュニケーション・トラブル(すれ違い)が
起きる原因を、健聴者はいつも聴覚障害者の持つ
障害にすり替えている。
聴覚障害者は、全く都合のいいようにやられっぱなし
でいる。

健聴者の“自分の側にある過失”ということを認めようと
しない頑固さが、このどうしようもない“障害”をつくり
出しているのだ。
自分勝手な想像で物事を決めるな、このバカモノどもが!


『補聴器と発声訓練が、聴覚障害者にもたらしたものとは――。』
〔2014-06-17 18:30〕

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by bunbun6610 | 2014-11-11 18:30 | 就労後の聴覚障害者問題E


ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

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