会社の弁解と、本音とは?


会社の聴覚障害者に対する職域差別については、
これまでにも会社と何度も話し合いをしてきました。

相談部署、担当者も何度か代えてみましたが、
会社というのは組織ですから、健常者の規定路線
に沿った対応しかなく、新しい発想、転換点は何も
出てこないのです。

会社の中に、働く障害者への合理的配慮をしなけ
ればならない、という考え方も、まだ組み込まれて
いないので、マイノリティー・グループの聴覚障害者
が要望しても困難なのだと思います。

しかし、困難とはいっても、これまで述べてきた会社
の障害者雇用の姿勢は、疑問が多いでしょう。

また、これが今の社会常識だと言っても、この常識
そのものが疑問だからこそ、国連・障害者権利条約
が採択されたわけです。

また

「働かせてくれるだけでも、ありがたい」

と言って我慢するだけの聴覚障害者のほうも、
おかしいのです。
きっと、おかしな常識が、人間をおかしくしている
のでしょう。

職域差別をすることについての会社の弁解も、
会社が本音から言っているのではなく、かわして
逃げているだけなので、相談を続けても問題解決
にはならず、結局はガマンし続けるだけになって
しまいます。

ガマンできない人はクビになるので、このガマンは
美徳であるだけでなく、妥協の産物でもあり、
ある意味では企業悪の温床にもなっている、という
見方もできるのですから、不思議なものです。

会社はもちろん、美徳行為としてなら人事評価も
しますが、「会社の悪い点」として取り上げる社員
に対しては、マイナス評価を与えます。


【会社の弁解①(S課長)】
「あなたは、まだ入ったばかりなので、一番単純な
仕事からやっていただくことにしています。
仕事の幅については、実績を見てから、少しずつ
ほかの仕事もやっていただこうと思っています。」


【(私が思う)会社(S課長)の本音】
「耳も聞こえない人に仕事を教えなくちゃならない
なんて、大変じゃないか。
他の健聴者の仕事が止まってしまい、邪魔だから、
聴覚障害者には説明不要の仕事だけ、
ずっとやらせていればいいんだ。

明らかな差別と見られないように、
うまく言いくるめて障害者を雇用し、
助成金をもらえさえすれば、それでいいんだ」


【私の見方】
会社は身体障害者雇用促進法遵守によるメリット、
すなわち助成金目的で、このような聴覚障害者雇用
を行っていることは明らかです。
S課長の以前からの、数回にわたる弁解が矛盾して
おり、それなりの状況証拠もある以上、
これは疑いようがないほどに固まってきています。

したがって、S課長は一見したところ、
聴覚障害者に配慮したような理由づけで説明して
いても、本音は違う、ということも容易に見抜ける
のです。


【会社の弁解②(S課長)】
(「もう一年も、数を数えるだけの、同じ単純労働
ばかりを、私だけにやらせているのは、どういうこと
ですか?
 他の人は入社したばかりでも、先輩とほとんど
同じ仕事をしていますけど?」
という、私の質問に対して)

弁解①
S課長;「機械を使う仕事は、聴覚障害者には
危ないので、やらせられませんし…。」


【私の見方】
私が「機械を使う仕事がしたい」と言った覚えは
ありません。
S課長は、機械を拒否理由の口実に使っている
だけなんじゃないか?
これには

「聴覚障害者が怪我をしたらいけないから」

とか、

「操作ミスなどで高価な機械をこわすといけない
から」

という意味が含まれていると思います。

したがって、この会社では、聴覚障害者はこうした
仕事に就くことができない、という会社主張だと
受け取れます。

これに対する反論としては、次のように言えると
思います。
聴覚障害者だって、職業訓練所に通って、
慣れない旋盤や、印刷機械、ミシン、パソコンなど、
様々な機械を使う仕事を覚え、従事しています。

それに、自動車教習所に通い、訓練し、自動車
運転免許を取得し、車を運転している人もたくさん
います。

それでどうして

「聴覚障害者には、単純な仕事用機械を使う
仕事もやらせられない」

と会社は決め付けるのでしょうか?

会社は、本人に適性検査も訓練もしたわけでなく、
一方的に「ダメです」と言っているだけです。

これは偏見であり、権利侵害でもあり、差別の
一種です。
その本当の理由は「怪我をするから」でなく、
別にあると推測するのが正解だと思います。
会社の本音は、例えばこうなのです。

「聴覚障害者はコミュニケーションができない
ので、細かな音声指示のある仕事は一切
やらせられない」

これに対する私の反論は、

「聴覚障害者とちゃんとコミュニケーションが
できないのは会社のほうだ」

と言いたい。

したがって、本音は会社側の差別に起因した
問題であり、聴覚障害者が「職域差別だ」と
主張しても、どこも間違いではありません。

私は会社でいつも、例えやることがなくても

「他の人の仕事を手伝うのもダメです。
だから、あなたは今の仕事をゆっくりやって
いて下さい」

と言われていますが、この考え方の方がおかしい。
何が聴覚障害者への配慮だ。
こんなのは、偏見に基づく特別扱いじゃないか。

皆さんはここまで読まれて、どう思いますか?
会社のこんな聴覚障害者雇用って、やっぱり
疑問でしょう。


もう一つ、考えられる健聴者の偏見があります。

それは、健聴者の中には

「重度聴覚障害者=バカ」

だと思っている人もいるのではないか、という
ことです。

「健聴者と重度聴覚障害者に能力差があるのは、
重度聴覚障害者がバカだから」

と健聴者は思っているのではないか。
そして、会社ではさらに能力差があるのだから、
処遇等にも格差がつくのは当たり前だと思って
いるのではないか。
さらに、バカには合理的配慮は不要だと思っている
のではないか。


弁解②
S課長;「あなたは入ったばかりなので、
今の仕事をやってもらいながら、様子を見ています。
実績を積み、皆に認められるようになったら、
少しずつ別の仕事もやっていただくようにします」

【私の見方】
これは、弁解①と矛盾する弁解になっています。
また、直属上司のOさんは

「あなたの仕事内容の指示は、私が考えたのでなく、
上が決めたことです」

と証言していますから、S課長は私を騙している
ことになります。


【問題事例;会社がジョブコーチや通訳者を拒否する】
会社は、聴覚障害に起因すると考えるコミュニケーション
障害を理由に、聴覚障害者には単純労働しかさせない、
という雇用姿勢ですが、
これが間違っている、という理由は他にもあります。

会社で手話・要約筆記通訳を依頼する場合は有料
(かなり高額です)となっていますが、ジョブコーチ
支援制度を使えば、聴覚障害者が仕事を覚えるまで
の一定期間(回数には限りがある)、職場に通訳者を
無料派遣することが可能です。

 →http://ns2.ikuseikai-tky.or.jp/~iku-tokyo-jc/

下は、聴覚障害者専門のジョブコーチ支援員がおり、
相談も受付けているところです。

 →http://www.jiritsu.deaf.to/modules/outline/

また、下のような就労移行支援事業もありますが、
企業が利用しようとしなければ、働く意欲のある
重度身体障害者も生かされません。

 →http://www.yuai.or.jp/tokyochokaku/

実際には、このような制度があることを会社に
伝えても、会社は拒否します。

理由は会社の非常に一方的なもので

「聴覚障害者は困っていないので、要りません」

ということでした。
この話をジョブコーチ支援室に説明したら

「これが聴覚障害者の受けるバリア(障壁)なのかと、
支援室も学ぶことができた」

と話していました。
室長は、他の障害を持つ方ですが、それでも
今まで気づかなかったようです。

また、相談してみた弁護士のなかにも、同じように
言われる方がいました。

今まで、こういった人たちにさえ、聴覚障害者の
就労後の問題を、ほとんど知られていなかった、
ということです。

だから私は、このブログで、もっとこの問題を
たくさんの人に知ってもらうために、このブログを
執筆しているのです。

話しを戻しますが、聴覚障害者は、その障害ゆえに
学べないのではありません。
会社が合理的配慮を拒否している(会社が聴覚
障害者の「障壁」になっている)から、こういうことが
起きているのです。


どこの会社であっても、やることは同じですが、
厚生労働省が2003年頃に障害者雇用促進法の
違反企業リストを公表したように、法令遵守はして
いても助成金を有効利用していない企業には、
障害者雇用版ブラック企業リストでもつくって、
公表した方がいいのかもしれません。
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by bunbun6610 | 2014-12-11 18:30 | 就労後の聴覚障害者問題Z1

ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610