労働組合の回答に対して、考えること

就労後の聴覚障害者問題(■社)

20■■年■月■日

当ブログ

『会社の職域差別は、なぜ
「職場環境が悪いため」だと言うのか?』
〔2014-10-17 18:30〕


で述べましたように、聴覚障害者差別問題に
ついて、以前に労働組合と初めて話し合い
ました。

それが、こんなに見方、考え方が相違して
いるとは思いませんでした。

先方もそう思ったのかもしれませんが、
果たして解決しようと思うようになったのか
どうか、そこが疑問にも思えました。
その気持ちがなければ無理なのですから、
その点は非常に大切だと思います。

解決するには、まず何をしたらよいでしょうか?
それは理解です。
一方的に理解するだけでなく、
相互理解になる必要があると思います。

聴覚障害者の立場からは、
健聴者の立場を理解しなければならず、
健聴者の立場からも、聴覚障害者の立場に
なってみて理解しなければなりません。

こう言うのはすごく簡単です。
しかし現実は、お互いの立場を今まで
一度も経験したことがないし、
してみるということもできないのですから、
それを自分の想像力だけで理解するなんて、
難しいことだと思います。

こういう問題には、福島智氏(盲ろう者・東京
大学教授)も、

 →http://www.bfp.rcast.u-tokyo.ac.jp/fukusima/

「まず、(盲ろう者との)交流から始めてみると
よいのではないか」

と、講演会で話されていました。

しかし、会社というところはそういうことをする
場所ではないので、健聴者は気づかないのが
当たり前で、この状況を聴覚障害者の立場
から見たら、

「健聴者は聴覚障害者を理解する気なんてない」

と思うものです。

「それは自分の思い違いだ」

と思うことにしたくても、
理解が進むチャンスがないというのは、
やはり聴覚障害者にとっては辛く、
厳しい現実に見えるものなのです。

対する健聴者には、そんなことには気づかず、
考えもしないものです。
多分、180度違うのだと思います。

ですから、私にとっても、理解というのは
「宝」だと思っているのです。
それはやっぱり、なかなか簡単に探し当てら
れるものではないものです。

今回は、その理解の求め方をいきなり考える
のではなく

「労働組合と私の考え方の相違は
何だったのか?」


ということから、できるだけ客観的に書いて
みたいと思います。

といっても、私の主張も書きますが、
今回の目的は

「相違は何か?」
「それは、どこからか?」

ということを探ることです。


【1.聴覚障害者への情報保障について】

私の問題提起として、当ブログ

『障害者奴隷雇用促進法』
〔2014-08-08 18:30〕


で述べたことを、組合に伝えました。

組合の答えは、次の簡潔な文だけで
終わりました。

「会社と労働者(聴覚障害者)との、
考え方の相違が原因です」

障害者問題全般に言えることなのですが、
健聴者ってやっぱり、ハッキリと物事を
言わないものですよね。

マジョリティの有利な立場をいいことに、
かわして逃げるのが得意で、
真面目に向き合っているようには思えません。

決めつけられないのはわかりますが、

「これを聞いて、どう思いますか?」

と尋ねても、

「考え方の相違」

と答えるのですから。

「ではどう違うというのか?」

と聞いても

「(自分は当事者でないので)
それはわかりません」

で終わりでは、話しても意味がないでは
ありませんか。

私なら

「それは差別です」

「差別になると思います」

とか、逆の答えなら

「差別ではありません」

と、自分の意見、見方ではありますけど、
とにかくそういうふうに言います。
まぁこれだと、相手はショックを受けるような
反応をされることもあるのですけど。

でないと、その後の話まで曖昧模糊な内容に
なってしまい、話しても時間の無駄になる
だけだからです。

健聴者がこのように話を進める場合、
その本音というのは恐らく、

「あなたの方が妥協して下さい」

というサインを私に出しているのだと
思います。

健聴者のこうした会話術を「察する文化」
と呼ぶ人がいますが、そういうものだろう
と思います。

それを直接に言えば、組合は障害者差別
を黙認したと見られるんじゃないか、
と心配になる。
だから、ああいう言い方しかしないのでは
ないかな、と私は思っています。

ですから、組合がそうかわして言う時点で、
この問題の解決は進まなくなる、
ということになると思います。


【2.「差別ではなく、もともと職場環境が
悪すぎるから」-①】


これは、当ブログ

『会社の職域差別は、なぜ
「職場環境が悪いため」だと言うのか?』
〔2014-10-17 18:30〕


で述べている、組合が出した結論です。
どういうことなのかわかりませんが、
私の受け止め方は次の通りです。

組合は、
①「会社は、聴覚障害者に対する職域差別は
していない」と考えている。

また、

②職場の誰かが、聴覚障害者に職域差別を
しているのでもない、と考えている。

そうすると、

「ではこの問題は、一体誰の責任なのか?」

という疑問が、私のほうには出てきます。

要するにこれも、

「聴覚障害者の側の、心の問題だ」

と組合は考えているのかもしれません。

これがもし、裁判所で争ったなら、
裁判所はどういう判決をするか、
興味深いところです。

もしかしたら、「使用者(会社)責任」と言い渡す
可能性もあると思います。

裁判は、本当なら私もやりたいのですけど、
弁護士は皆、障害者差別問題の仕事は
引き受けたがらないのと、
職場の人で証言者になってもらうことが難しい、
というハードルがあります。

この場合は

「自分の勤務態度も不真面目です」

ということも含めて、裁判所で証言する人なんて
いないでしょう。
従業員の立場で、会社に不利な証言をすれば、
やはり解雇等の制裁を受けるというリスクも
ありえます。

それに、裁判官の方も、

「会社が一方的に悪いとするのは、酷すぎる」

というかもしれません。
よほど目に見えている肉体的苦痛でもないと、
慰謝料を取るのも難しいのではないでしょうか。


【3.「差別ではなく、もともと職場環境が
悪すぎるから」-②】


密室の中でだから、こんな無責任なことが言える
のだと思う。
もしこれを、会社、社員の目の前で言ったら、
どうなるか。
そしてこうやって、聴覚障害者差別問題は隠蔽
されてしまうのだろう。

聴覚障害者側が

「言っても無駄だ」

と言うのも、よくわかる。


組合がこのように言うということは、
「職場環境が悪い」という表現の場合は
「差別」と意味が違う、ということです。
その証拠に、私が「これは差別です」と主張しても、
組合はすぐに否定していました。

「職場環境が悪い」というのは、誰が加害者で
誰が被害者なのかを明確にしようとしているとは、
思えません。
「犯人探しはしない」というような意味合いに
聞こえますが、そこにいる皆の責任だということに
なります。
そうすると「会社の責任ではない」と言っている
ことになるのかもしれません。
それでは当然、こちらには

「職域差別の問題を、これにすり替えている
のではないか?」

という疑問が出てきます。

しかし、「差別」という言葉を使う場合は、
そんな曖昧な問題視では済まされず、
差別される側は被害者です。

会社が「差別」という言葉を使われるのを
嫌うのは当然ですが、会員ためにある
労働組合まで、「差別」という言葉を嫌うのには、
驚きました。

ちなみに、会社の労働組合の場合は原則、
全社員(一部除く)が強制加入になっており、
役員は一応、選挙によって選出されていますが、
ほとんど部長、課長、係長の役職を持つメンバーです。
部長はやはりというか、上のポストに就いています。

ですから、障害者が組合に相談しても、
結論には底辺労働者や障害者の意見よりも、
会社の利益や規範等との整合性が優先される
のかもしれません。
よほど法的に問題にされたら困ることとか、
被害が目に見えて、会社に賠償責任があるような
ケースでないと、応じてくれないのかもしれません。


また、この組合運営の場合でも、

「聴覚障害者への情報保障は、組合としても
皆の納める組合費で
運営しているので、限界がある」

と言われ、結局、聴覚障害者が自主依頼して
派遣センターに頼む、という状況が続いています。

結局、聴覚障害者に対する通訳費用を出したがら
ないのは、会社も組合も同じです。

ちなみに、ここの組合費は、障害者も健常者も
同率負担で、所得税対象額の1.35%も
払っており、かなり高いです。

年額約3万円払っていますが、これまでに通訳者を
派遣してもらったことは一度もありません。

だから結局、私も、自分の依頼で通訳者を何度か、
派遣センターから来てもらっています。

会社の他のろう者は、頼む気もなく何もしないで
通訳もなしで我慢しているか、不参加にしています。

組合まで通訳費用を出したがらないのは、

「聴覚障害者の数は少ないから、
その分の予算もわずかしかありません」

ということです。
組合はやらないのではなく

「対応すると、赤字になってしまうから」

ということです。

ただ、実質的平等というのは、
マジョリティもマイノリティも関係なく、
すべての人に質的にも平等に保障されている、
という状態をいうと思います。

この考え方との不整合については、
組合は考えていないようですし、
答えようとしないのだろうと思います。


【4.会社と組合が恐れる社内外のリスク】

組合は、会社組織として、良からぬことを放置
しておけば、社内外リスクが起きる、と話しています。

例え会社も組合も

「障害者差別は存在しない」

と考えていても、
社員の中に一人でもそう考えている人がいれば、
リスクも起こりえるものです。

具体的には話してもらえませんでしたが、
私が考えるには、社内リスクとは、
例えば職場環境悪化の要因になる、
ということです。

障害者だって

「差別的な取扱いを受けている」

と感じれば、やる気もなくなるし、
逆差別をしてやろうと思うかもしれません。

自分だけ違うのなら、それでいいというふんぞり
返りの姿勢でしか、仕事をしなくなるかも
しれません。

障害者にはどうせ頑張っても昇進がないと
わかったら、頑張るのは馬鹿らしくなります。

また、他の人にも影響します。
私は周囲の人から何回か言われたことが
あるのですが、

「Aさんはどうして、あの仕事しかしないの?
忙しいときでも、どうしてやってもやらなくても
いい仕事しかしないの?」

という疑問を持たれています。
勿論、私が悪いのではなく、課長の指示だという
のですから仕方がありませんが、
自分もそういう意味で、嫌な気がするものです。
明らかに、周囲の人は、私が他の人と違うことを見て

「おかしい」

と思っているのです。

そして、自分たちだけ責任のある仕事をやり続けて
いるのが馬鹿らしくなってきているようで、
私から見ても、周りの人がやる気があるようには
見えません。

「職場環境が悪い」

と言われるのは、障害者だけが特別扱いされている
状況を見て、健常者、健聴者でも不満に思うことも
あるかもしれません。

「電話対応が出来ないので、しなくていい」

のはわかりますが、代わりに単純労働の山を
持ってこられるのかもしれません。

でも私のいる職場は、電話対応をする職場では
ありません。
これでは、おかしいと思うのが自然ではないでしょうか。


他の部署では、障害者だけが隣同士で固まっていて、
健聴者は離れた机に並んで仕事をしていました。
もちろん、仕事内容も別で、一緒にやっているわけでは
ありません。

これは本当に厚生労働省の掲げるノーマライゼーション
社会の実現なのでしょうか?

(これにも実は、国の莫大な借金を減らすため、
ノーマライゼーションの理念が悪利用されている、
という批判があります)

障害者関連の、ある本には、このような民間企業の
障害者雇用を

「職場内授産施設」

と呼んでいました。


会社にとっての、もう一つのリスクは、社外リスクです。
これはとてもダメージが大きく、世間に悪評が広まったら、
社会的信用も失墜してしまいます。

例えば、もしもこういったブログなんかにも社名を
公開しての暴露なんかされたら、会社はもう取り返しが
つかないダメージを負うこともありえます。

ですから、会社も組合も当然に、社外リスクのほうを恐れる、
と思います。


【5.組合が「温度差」を「溝」と表現した意図は?】

私の

「差別的状況と見るかどうかは、立場の相違からも、
異なってくるかもしれません。
少なくとも、障害者と雇用主側との考え方に、
温度差はあると思っています。」

という見方に対して、組合は

「あなたと会社の(組合としても)、
(差別と感じるかどうかの)意識は、溝ができている」

と、話しました。

温度差というのなら、両者ともその意識は共有して
いるのだが、そのレベルには差がある、
という受け止め方で納得できると思います。

しかし「溝」というのはそれ以上のことで、
障害者は意識していても、健聴者には「意識もない」
ということになってしまうのではないだろうか?

労働組合といっても、それは結局、マジョリティで
ある健常者、健聴者(聴覚障害者以外の障害者も
含む人々)の組織なので、今までと同じように聴覚
障害者に対する無知、無関心、無意識による差別は
「差別だと思わない」という反論は、今後も続くと
思います。
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by bunbun6610 | 2014-11-22 18:30 | Z1.クレジットカード会社
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ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610
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