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蒼穹 -そうきゅう-

心の叫び (2)『愛していると言ってくれ』

手話ドラマの中でも

『愛していると言ってくれ』

は、不朽の名作だと言われている。
いや、手話ドラマだけでなく、恋愛ドラマの中でも
最高傑作の部類に入るらしい。


このドラマの脚本家・北川悦吏子氏は、
女性をろう者役にすると予想していたようだ。
テレビドラマで視聴率をかせぐには、そのパターンが
王道なのだそうだ。

ところが、男性役・豊川悦司のアイデアもあって、
豊川がろう者役を演じることになった、という。
その思惑が大当たりし、女性視聴者のファンが一気に
増えたらしい。(※)


(※)詳細は

『愛していると言ってくれ』
(北川江悦吏子/角川文庫)

アマゾン
http://www.amazon.co.jp/%E6%84%9B%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%A8%E8%A8%80%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8C-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%8C%97%E5%B7%9D-%E6%82%A6%E5%90%8F%E5%AD%90/dp/4041966027

角川書店
http://www.kadokawa.co.jp/product/199999196602/


参照。



手話指導は、コーダの手話通訳者・パフォーマーとして有名な、
あの丸山浩路氏が担当した、という。

http://www.kouji-maruyama.com/spage/sprof.htm


手話は、昔から、そして今でも

「学んでみたい」

という人は、女性が圧倒的に多い。
当然、豊川が手話ブームの火付け役にもなったのだろう。

そのブームによって、難聴者や中途失聴者という、
手話には全く興味がなく、むしろ蔑視していた聴覚障害者
でさえ、手話に対する見方が大きく変わっていったらしい。

そんなことはどうでもいいが、このテレビドラマから、
そうした社会現象が生まれたことは事実だ。


このドラマの中で、視聴者が感動した場面というのは、
いろいろあると思う。

その一つに、晃次(豊川悦司)が声を出すシーンがある。
愛しい恋人・紘子(常盤貴子)が、共に過ごした街を
去ろうとする。
その姿を懸命に探す晃次。
晃次がやっと紘子を見つけた時は、紘子が今すぐにでも、
電車に乗ってしまう瞬間だった。
それを晃次が何とか止めようとする。
健聴者なら、声をかければいいのだから、簡単だ。
だが晃次は、もう声を出したことがなかった。
不明瞭な声ながらも、彼女の名を懸命に叫ぶ。
紘子と離れたくないがために出た、晃次の声だった。
それが奇跡に思えて、多くの視聴者は、
このシーンに感動したのだろう。



「駅まで探しに来て、晃次は息をついた。
さすがに、もういない、とあきらめかけていた。
電車に乗るために晃次はホームへの階段を上がって行った。
線路をはさんだ反対側のホームに電車が滑り込んで来る。
それに乗ろうとしている人影をふと見ると、
それは、探し続けていた紘子だった。

自分がここにいることを知らせようと晃次は
ポケットのコインを探ったが、電車が邪魔して
彼女に当たりそうもない。
紘子は今にも、電車の中に消えようとしている。
今、今ここで紘子をつかまえなければ、本当に一生
会えなくなる。
明日には彼女は仙台へ戻ってしまうのだ。
自分の手の届かないところへ、永遠に・・・・。

晃次は迷った。
どうしようかと迷った。
最後の手段は、ひとつだけだ。
もう一秒の猶予もない。
紘子の姿が、電車に消えようとした瞬間、晃次は、
大声で叫んでいた。
「紘子―――!!!」」

『愛していると言ってくれ』
(北川江悦吏子/角川文庫) 319ページより、引用。

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by bunbun6610 | 2014-11-02 18:30 | 聴覚障害