今年の胃部レントゲン検査 - ある聴覚障害者の場合

今年の健康診断は、他の人と一緒に、
集団健診を受けることにした。

理由は、前回の個人(特別扱い)対応の健診(※)が、
何の意味もなかったと思ったからだった。


(※)当ブログ

『胃部レントゲン検査 - 会社の健康診断で、複雑な気持ちになったこと』
〔2013-12-19 18:00〕


参照。



意味がなかっただけでなく、受診者の立場から
正直に言えば、かえって時間と労力を多大に
費やされ、大きな負担になっただけだった。

「これって配慮? それとも差別?」

と思った。
「差別」とは言いたくはなくても、やはり

「これではもう二度と御免だ」

と思った。


さて、集団健診で受けてみたら、健診は筆談ボード
持参で受けて、身長・体重測定、血圧測定、採血、
視力検査(聴覚検査は省いた)、心電図、問診と、
すべて何事もなくスムーズに進んでいった。

そして最後に、不安に思っていた胸部レントゲン検査
と、胃部レントゲン検査を受けた。

胸部は、レントゲン機器の上方に

「息を吸って下さい」

「息を止めてください」

「楽にして下さい」

などの文字ランプが点灯するので、わかりやすかった。


そして、胃部レントゲン検査の前は、
検査技師が筆談ボードに

「今朝は、飲食をしていませんか?」

「ゲップを我慢してください」

「暗くなったら、息を止めてください」

とだけ事前に伝えられた。
そしていよいよ検査室に入り、検査が始まった。

検査が始まると、音声指示(誘導)はなしで、
技師さんが何度も側に来て、姿勢を指示し、
確認した。
これが、実に上手かった。

レントゲン技師さんは男性が多いのだが、
今回は女性技師だった。

この技師さんは、聴覚障害者への対応法が
わかっていて、手話はできないようだったけれども、
聴覚障害者への指示の仕方がわかっているよう
だった。

この場合、手話ができなくても、伝えようとする
真剣な気持ちが表現できる人には、
意思疎通は可能だ。

方法は意外にも簡単で、右手掌を使うだけだ。

読者も、どんな方法でやったのか、想像してみてほしい。
その想像力を磨くことが、こういう場面で必ず役立つ。

掌(てのひら)を寝台の上に載る被験者に例えればよいのだ。
寝台と被験者の身体は水平と決まっている。
だから、掌を真っ直ぐに水平に伸ばして、あとはそれに
角度をつけたり、傾けたり、倒したりするだけで、姿勢の角度や、
寝台が動くことも、聴覚障害者に伝えられるのだ。

「しっかり握っていて下さい」

の指示は、握る仕草を見せて、相手の顔を真剣に見る。
これは「注意して」の意志を表している。
だから、これで私はわかった。

身体を回転してもらう場合は、手を回転すればよいし、
身振りでも伝わる。
方向もわかる。

息を止める瞬間は、事前説明の通り、室内の照明を
消すことで伝わる。

寝台が起き上がる(または倒れる)のも、手の角度で
わかる。

結局、普通の人よりも、若干時間がかかっただけで、
他は問題なく検査を終えることが出来た。

「何だ、やればできるじゃないか。
前回の男性技師は何であんなことをやっていたの?
何で、あんなに下手だったのだろうか?」

そんなふうに思った。

レントゲン技師というのは、男性技師のほうが
まだまだ多い世界なのだから、確率的に言って、
上手い人も下手な人も、男性のほうが多くなるのは
当たり前だろう。
それでも、上手い人が統計的に多いのは、
女性技師のほうではないかと思う。

やはり、女性のほうがやさしいし、様々な社会的弱者
(赤ちゃんから子ども、老人など)と接し、世話をして
きた経験が豊富なのだから、障害者への接し方も
自然と出来てしまう人が多いのではないだろうか。
そんな気がずる。

以前は、男性技師からムキになって怒鳴られたこと
もあった。
その後も、怒鳴る人はいなかったが、苦心している
男性技師を見かけた。
だからそれが、胃部レントゲン検査の苦情を書く
きっかけになったのである。

やはり、女性技師に上手な人が多いのは、それだけ
の理由があるのではないか、と思う。

受付、接客業務では女性のほうが上手いと言われるし、
コミュニケーション力を必要とする業務もそうだ。

そして、手話講習会で手話を学び、手話通訳者になる
人も、やはり女性が圧倒的に多い。
男性もいることはいるが、どちらかと言えば、落ちこぼれて
いってしまう人が多い。
男性は手話のようなコミュニケーションが、苦手なよう
なのである。
そんな背景があるからなのではないだろうか。

「女性だから向いている」

とは断言できないが、レントゲン技師にもっと女性が
増えるといいかもしれない、と思う。
女性技師は、まだ二人目だったが、二人とも上手だった
のを憶えている。

男性技師は指示通りに出来ていないと、
よく被験者の身体を触って動かすけれども、
女性技師の場合には、そうされたことはまだ一度もない。
これは明らかに、コミュニケーション力の差を物語っている。
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by bunbun6610 | 2014-10-11 18:30 | 医療バリア&バリアフリー
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