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蒼穹 -そうきゅう-

職場内障害者授産施設 第二篇 (9)「やる気が出ない障害」

『「精神障害」とは「やる気が出ない障害」なのか?』

『「やる気が出ない障害」と「ただの怠け癖」の区別は、
どうやってつけられるのか?』


ある日、私は事務所で注文書に会社のゴム印を押す
仕事をしていたのだが、Yさんは何もしていなかった。

そこへ、配送所から商品カタログが大量に届いた。

カタログの仕事も、以前にYさんに教えたことがある。
なのにYさんは何もしないままだった。

私はもう

「教えてもムダなんだな」

と後悔し、Yさんのことなど放っておいて、
自分の仕事に専念した。

仕事をしていない人はYさんだけ、という状況がしばらく
続いた。
Yさんもそういう状況では心苦しくなり始めたのか、
私に

「これは全部開けるのですか?」

と聞いてきた。
当たり前のことを聞いてくるバカっぷりに呆れながらも

「そうです」

とだけ言ったら、やっとYさんも仕事をやり始めた。

しかし、Yさんは仕事のスピードのほうも、普通の人より
3倍は遅い。

そのうちに私はゴム印押しの仕事が終わり、Yさんと
一緒にカタログの作業をやり始めた。
カタログは、価格表などがバラバラになって送られてくる
ので、それをセットにして、営業スタッフがすぐ使えるよう
に棚に置く仕事である。
この日は2つの商品カタログがあったので、二人で一つ
ずつやることにした。
当然、私のほうが早く終わった。

Yさんの仕事ぶりを見ると、Yさんは

「●●がありませんので、●●はカタログに入れていません」

と言った。

私は、Yさんがまた何か忘れていないか、よく調べてみた。

すると、本当は●●は無いのではなくて、Yさんがその保管
場所を忘れたために「無い」と思っている、ということが
わかった。
私がそれを注意したら、Yさんは笑ってごまかした。
周囲の人はもうわかっているので、全く無視している人も
いれば、「またか!」と笑い出す人もいた。

笑ってごまかすだけでは済まない問題なので

「前に教えたでしょ。
メモはしているの?」

と言ってみた。
それでもYさんは、その大事な忠告を無視するので

「こんなんじゃ、オレは血圧が上がっちゃうよ。
今度また忘れたら、罰金一万円なんてのはどうかな?
それだったら、うれしくなっちゃうよ」

と、Yさんに言った。
そう言いながら、私が●●を保管場所から出して来て、
Yさんがやったカタログに入れ始めた。
Yさんは結局、それを見ているだけだった。

Yさんはまるで子どもで、手がかかる人なんてものでは
ない。
Yさんはその仕事が終わるのを見届けると、また喫煙室
へまっしぐらに行ってしまった。
反省の色が全然ないと見える。

本当にこれが、精神障害者の特徴なのだとしたら、
これは問題だ。
「障害だから」ということでは済まされないのではないか。


翌日、Yさんは始業10分前に職場に来た。
一番最初に来ていた障害者がKさんだ。
私はその次に来て、朝の仕事だけやった後、9:00予定
の健康診断に行った。
本当はYさんにも教えた仕事なので

「今度やってみて下さい」

と前から言ってあるのだが、Yさんは全然やろうとしない
ので、私か、他の人がやっている仕事である。

Yさんがやらないからなのであるが、Yさんは他の人に
どんどん、仕事を取られていってしまっているのである。

その日も、Yさんは出社すると自分のカバンを置いた後、
真っ先にタバコを吸いに行った。
これで誰にも、何も言われないのである。

しかし、国の法律に基づく障害者雇用といえども、
一応は有期雇用である。
Yさんはこの会社に来る前は、他の会社でクビになった
(形式上は「自主退職」だが)ことは明白だろう。
ここではどうなるだろうか。
クビになっても、おかしくはない。


その日、私が健康診断で午前中は不在であったにも
かかわらず、Yさんには何の業務も与えられず、
後から戻ってきた私には、その日の業務がすぐに
与えられた。
上司は二人いるが、二人ともYさんをあまり信頼して
いないようで

「なるべくYさんに仕事を頼みたくない」

と思っているように見える。
やはり、この前のこと(※1)で、Yさんに慣れていない
仕事を任せるのは、まだ心配だからではないか、と思う。


(※1)当ブログ

『職場内障害者授産施設 第二篇 (8)タバコへ逃避する精神障害者』
〔2014-10-03 18:30〕

参照。




今までYさんの状況について、詳細に書いてきたが、
初めは

「記憶障害があるのだろうな」

と思って疑わなかった。
それは今も、間違いないだろう。

しかし、それを自分で何とかするための努力を、
本人は全くしていないのである。
そこが問題だと思わないだろうか。

例えば、すぐメモを取るとか、それを常に携行して見て、
確認するようにするとか、Eテレ『バリバラ』でも記憶障害
を持つ障害者が紹介したような工夫をする(※2)
とか。
そういったことを何もしないのでは「やる気がないだけ」
と同じではないかと思う。
それが客観論ではないか、と思う。


(※2)当ブログ

『Eテレ『バリバラ』 テーマ;お悩みランキング ~高次脳機能障害編』
〔2013-11-18 18:30〕


参照。



果たして、これが本当に精神障害者特有の「障害」
なのだろうか。
では、そうした「障害」と「怠け癖」の区別を、
周囲の人はどうやってつけるのか?
精神障害も見えない障害なのであるから、
一般の人には見分けがつかないだろう。

もしも障害ではなく、本人の怠け癖ならば当然、
注意すべきだが、これが障害なのかもしれないし、
だからそれができにくくなってしまうのだ。
健常者も、こういう疑問を持ったことはないだろうか。

こうなるともう、精神障害者のほうも、その人格まで
疑われ、人間関係も知らずに悪くなっていくのでは
ないだろうか。

おそらく、Yさんは双極性障害ではないと思う。
Yさんは毎日、朝から夕まで平常心で、精神的な
乱れは全く見られない。
だが仕事となると、やる気は一日中見られない。
彼のやる気のなさは精神状態と、全く関係がない
ようなのである。

これは一体、どう説明できるのだろうか。
そんな精神障害なんて、あるのだろうか。
それで「給料ドロボー」みたいに、毎日会社には
きちんとやって来るのである。
物忘れが非常に多いというのに、なぜか遅刻を
したことだけは一度もない。
仕事となると時間にはルーズなのに、
遅刻だけは一度もないというのは不思議だ。
本当は精神障害ではない、ということも十分考え
られると思う。
だとすれば、これは障害者認定医の誤診だろう。





【追記】(2014年10月24日)

後になって調べて、出てきた当事者情報なのだが、
やる気が出ない時もある障害なのだそうだ。

他の人から見たら、本当に理解しずらい障害だ。


〔参考情報〕

『「やる気がでない」』
〔2014-10-18 09:32〕

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by bunbun6610 | 2014-10-04 18:30 | 就労後の聴覚障害者問題E