蒼穹 -そうきゅう- bunbun6610.exblog.jp

ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610

去来する疑問、会社不信、健聴者不信

入社した時からお世話になっていた女性事務員
のMさんが、人事異動になった。
今の部署には長くいた人で、一時はただ一人の
女性社員として頑張っていたこともあった。

この部署に障害者が配属されるようになって以来、
最も障害者に理解のある先輩だった。

そのことは、当ブログの下記記事にも書いている。

『口話で聴覚障害者に伝える時の注意点』
〔2014-08-05 18:30〕



初めての配属であった、聴覚障害者とのコミュニ
ケーションも、最も早く上手になった人だった。
その人がいなくなり、代わりの女性社員が新たに
来た時は、私も困ってしまった。

というのも、やはりその人は仕事は出来る人でも、
聴覚障害者とのコミュニケーションは全然知らな
かったからである。
そこで苦労したのは、その人も私も同じであった。

こういうことを経験する聴覚障害者は、実は私だけ
ではない。
財団法人全日本ろうあ連盟も、こういう状況は
昔から把握している。
だから手話講習会などでも、聴覚障害者について
の知識を学習する特別講義で、こうした職場問題
の話をすることがあるのである。
手話や、手話通訳者がなぜ必要なのか、社会に
理解してもらうためでもあろう。

ろう者がどんなに苦労して長い時間をかけて、
手話を少しずつ教えたり、理解してくれる健聴者を
周囲にやっと一人育てても、たった一言の人事異動で、
その人が他部署に行ってしまったりすることはよくある。
あるいは、そうした協力的な人が多いのが女性である
こともあり、結婚したり転居したりとかの事情で、
辞めてゆかれることは多い。
そうすると、そのろう者も辞めていってしまうことがある、
という。
そこまででなくとも

「手話を教えてもどうせムダだ」

という気分にさせられることもあった。

また、ろう者が集団で退職したり、連鎖的に辞めて
いってしまったりするケースもあるが、理由は同じだ
ということもありうる。

会社が、ろう者を単独でしか雇わないとか、あるいは
複数雇用しても分散配属させるのも、実はこうした
リスクを防ぐためだ、という見方もある。

Mさんがいなくなった時、私はろう者の職場問題だけ
でなく、以前にS上司と話したこと(※)も思い出した。


(※)当ブログ

『健常者の“変な親切を押し売りする障害者差別”』
〔2014-07-15 18:30〕


参照。



あの時、S上司は障害者がいろいろなところへ出て
行き、いろいろな人に出会い、一緒に働く、ということ
には消極的な理由を話していた。

では、なぜその逆はOKになるのだろうか?
健常者が障害者のいる部署に、どんどん異動して
来ても、結局は同じではないか。
全く同じではないけれども、大して違わない。
新しい人とは、また新たにやり直さなくてはならない
ことは、双方にあるものだ。

健常者だけが、どんどんいろんな部署に異動しては
経験を積むために、障害者のいる部署にも配属
されることはある。
しかし、逆に障害者が異動することは認められない。
これは一体、なぜか?
なぜ逆だとダメなのか?


新しく入ってきた健常者には、まず先に自分の仕事、
役割を覚えることが優先になる以上、仕方のないことだ。
そのために、ここにいる障害者への理解はそっちのけ
になってしまう。
その人は私より後輩でありながら、障害者に気遣う
余裕もなくなってしまう。
その姿を見る先輩社員の障害者としては

「ここは会社なのだから」

と理解し、辛抱するだけである。

しかし、その一方で

「自分は一体、会社でどんな存在なのだろうか?」

と自問せずにもいられない。

こうなってきると、もう「辞めようか」と思ってくる
一歩手前である。


その日、新聞では、こんな記事に強い関心を持った。



==================================


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140916-00000008-jij-eurp


服役囚を安楽死へ ベルギー

強姦殺人犯の安楽死認める
 =30年の収監の末―ベルギー


時事通信 9月16日(火)6時2分配信


【ブリュッセルAFP=時事】強姦(ごうかん)殺人などを繰り返し、
ベルギーの刑務所に30年にわたり収監されている男が

「耐え難い精神的苦痛」

を理由に安楽死を要求、認められたことが15日、明らかになった。
男は数日中に安楽死のため病院へ移送される。
男の弁護士がテレビ番組で語った。

 弁護士によると、男は自らを社会の脅威だとして早期仮釈放を
辞退していたが、収監環境は非人道的だとも主張。
男自身が録画映像で

「過去にどんなことをしたとしても私は人間だ。
だから安楽死させてくれ」

と番組を通じ訴えた。
 ベルギーでは2002年、オランダに次いで世界で2番目に安楽死
が合法化されており、13年には約1800人が選択した。



==================================




〔関連記事〕


『自殺者と自殺願望者の数』
〔2012-02-25 21:39〕




『生きるということ』
〔2013-04-04 18:00〕

[PR]
by bunbun6610 | 2014-09-19 18:30 | 就労後の聴覚障害者問題E