【障害者雇用推進月間特集】応募前に知っておきたいこと

1.求人票の「年齢」について

ハローワークの求人票の場合は、ほとんどが
「不問」と書かれている。
これは、ハローワークでは原則として、年齢制限を
書いてはいけないことになっているからである。
(ただし、法令に基づく年齢制限である場合を除く)

実際には、会社ごとに人事規程があって、
年齢制限も当然に存在する。
なので、常識的にその仕事にふさわしい、と考えられる
年齢制限があると思う。

障害者枠の場合は、特別に年齢制限を超えても
働けるケースもあるが、あくまでも特例的であるよう
である。

「障害者雇用だから」ということは、障害者には特別に、
障害者のために仕事が切り出されている、ということ
でもある。
よって、例え採用してもらえたとしても、期待はしない
ほうがいい。

「自分の身の丈を知れ」という言葉があるが、それを
自分も考えて、応募先を探したほうが採用先を早く
見つけやすい、と思う。



2.現実には「聴覚障害者にできる仕事」と
「聴覚障害者にできない仕事」がある。


これも、社会常識から考え、割り切ったほうが、
求職活動で受ける自分の精神的ダメージが少なくなる
ことも、事実だと思う。

退職後のブランクが大きくなればなるほど、
再就職には不利になり、難しくなっていくので、
自分が仕事を継続できる範囲で割り切って、とりあえずでも
早く再就職してしまったほうがいい。

ハッキリ言って、まずはどこでもいいから現役として
働きながら、会社の有給休暇を活用して、
転職活動をしながら、自分の理想的な職場を探すほうが
賢い、と思った。
そのほうが、腰を据えながら転職先をじっくりと見つけられる
し、一度や二度で失敗しても何回か続ければ、だんだんと
納得できる会社が見つかるものだ。
やたらと転職回数が多いと不利なのは、正社員志望の場合だ。
パートの場合は、事情をうまくつけてごまかせば大丈夫だ。


『聴覚障害者にできない仕事』
〔2012-05-02 11:56〕



3.秋は就職活動に絶好の季節

よく「○○の秋」と言われるように、「就職の秋」でもある。

企業側にとっても、障害者雇用月間の頃は、単なる障害者
イベントに過ぎないわけではなさそうである。

秋と言えば、新年度に練り続けてきた事業計画を実現したり、
いわゆる新事業を始めたりする企業もある。

また、今年最後の年末商戦に向けての本格準備に入る時期
でもある、と思う。

つまり、忙しくなる時期だから、人の補充も当然にやる。

アルバイトよりも長いスパンの障害者雇用だと、
募集はせいぜい11月中旬ぐらいまでだと思ったほうが良い。

また、この時期では特に、障害者雇用でも即戦力に
なりそうな人材を求めている場合が多い。
だから、現役の障害者が有利なのだと思う。

さらに「前の経験を生かして働きたい」というような人を
望んでいるケースが多かった。

9月から10月中旬ぐらいまでには、できるだけ多くの
会社に応募しておき、会社面接へ行けるアテを見つけて
おきたいところだ。

障害者の場合、書類選考を受付けてくれる会社を探すだけ
でも大変だ。

しかし、この時期を外すと痛いので、私は過去に、
一年の半分はこの時期に応募している。
その他は、新規事業に合わせての随時採用しかなく、
そういうのは探すのが大変だし、競争率も高い。

(なかには、できるだけいい人を採りたいからと、
わざと誇大広告をしている、と思われる事例も
見られたので、十分注意することが必要だ。
そういうところは好条件をエサにしているので、
すぐに多数の障害者が集まる。)

やはり、秋から冬までに就職が決まっていることが多かった。
だから、お盆が終わった頃から、応募先を探し、書類の準備を
していた。

写真は大量に必要だが、500円証明写真でよい。
ただ、とにかく見栄えよく撮っておく。

翌年の1~3月は、新卒・新入社員の採用や受け入れ
準備で、人事も忙しいので、障害者採用どころではない。

4月から8月の時期も、求人票はあってもダミー求人票
ばかりなので、有効求人票を見つけることは難しくなる。


4.ハローワークの裏情報を聞き出して、逆利用せよ。

そこには「企業の希望」とか、あるいは逆に企業が
「採用したくない障害者」の情報がある。

なぜ、こういうデータが紹介者(ハローワーク専門援助職員)
だけが持っているのかというと、求職者、求人者双方の
マッチングのために、こういう裏情報があるようだ。

もし聞いてみて

「『聴覚障害者希望』と書いてありますよ」

と言っていたら、聴覚障害者は有利だ。
反対のことを言われるケースもあったが、そういう場合は、
さっさと諦めて、別の会社を探した方が賢い。

こちらもそうした確実な情報を引き出し、利用することで、
就職活動の効率が良くなる。


『ハローワーク求人票の「裏情報」に思うこと』
〔2012-05-03 09:59〕



聴覚障害者を積極雇用しているユニクロでも、
店舗によっては応募しても難しそうな場合もある。
だから、この情報は聞き出しておく価値が高い。


『聴覚障害者にできない仕事』
〔2012-05-02 11:56〕





5.人気薄の求人票から狙え。

企業の有名無名に関係なく、人気薄の求人票から
探して、応募してみることが有効だ。

検索コンピュータの「新着求人」で探すと早い。

ハローワークの専門援助第二部門で相談し、
希望の求人票(なるべく新しい求人)を見せる。
すると、人気度を教えてくれる。

例えば

「35-8-0」

だったとする。
この数字の意味は

「これまでに応募した障害者数」=35人

「結果待ちの障害者数」=8人

「これまでの採用者数」=0人

である。
採用人数とのバランスを見て総合的に判断するが、
3人以下ならば、この企業は人気があるほうだと
見ていいだろう。

でも、そのわりには、なかなか決まっていないと思える。

「35人中27人が、すでに落選している」

ということでもある。
この理由はわからなくても、自分なりに推測することは
可能だ。
多分、よほど厳しいか、採用する気などないかだろう。
私も、そういうところで採用に至ったことはない。

「募集はしているけれども、本当に採用する気がある
のだろうか?」

と思えるような状況である。
ハローワークの指導から逃れるための、ダミー求人票
の可能性も大いにありうる。

実際には求人票の「受付年月日」から日が経って
いなければ、採用が決まらないのは当たり前なので、
そのことも考慮して判断するが。

だからもし、受付年月日から2ヵ月も経っていて、
まだこんな状況だったなら、疑問に思ってみても
いいだろう。
受付年月日も見て、自分で総合的に判断してみて
ほしい。

ハローワークの常連企業になっている企業は、
避けたほうがいい。(※1)



(※1)例として

ワタミフードサービス株式会社


採用する気がない企業とか、ブラック化している
企業の可能性が高い。 (※2)


(※2)

『ワタミフードサービスの障害者求人票(平成25年8月)』
〔2013-08-12 23:57〕


文中の【追記(2013年9月22日)】
〔参考情報〕を参照。




逆に、いいところの場合は、募集するとすぐに
決まってしまうので、求人票が取り下げられる
のも早い。
見逃さないようによくチェックしておくことが大切で、
その最良の時期が今なのではないか、と思う。

私も、採用された会社からは、面接に行くとまだ
初対面、話し始めたばかりだというのに

「いつから働けますか?」

と言われている。
ブラック企業にも、誰でもいいからすぐ採用する、
というところが多いが、紙一重の違いがある。

書類選考でほぼ決まっていたようなものだが、
その理由はやはり、障害者雇用の場合、
仕事内容は誰にでもできるものばかりなので、
能力はそれほど高くなくてもよい、ということ
だからだと思う。
そのなかで、特に即戦力の障害者を求めている
のではないか。

だから、本気で障害者を採用する気がある会社
が現れると、そこはすぐに決めてしまう。
新着求人票に目を光らせておくとよい。
人気がまだ薄い段階で、競争率も高くない。

ちなみに、ハローワーク求人票の紹介期限は
最長でも3カ月間ぐらいのようである。
それを過ぎると、全部新しい求人票に差し替え
られているようだ。

不人気(「人気薄」とは意味が違う)な企業では、
使い回ししている場合も多い。
注意してみればわかる。
私は就職活動中はリストを作って、マンネリ企業
がどこかを見抜いて、応募先企業を選択していた。
そういう会社の関連会社も勿論ダメである。



6.応募書類の生かし方

書類選考を通るために。

〔近年の障害者求人票の特徴〕

近年の障害者枠求人票を見て、以前と変わって
きた点がある。
それは、求人票にわざわざ

「障害の種別・等級を明記して下さい」

という文言を入れている会社が増えたこと
である。
一体、なぜだろうか。
5年ぐらい前は、全く見かけなかった。
なぜなら、書く必要がなかったはずだからだ。

障害者枠は、ハローワークに障害者手帳を
提示し、登録していないと、斡旋してもらえない。
そうして、求人側に自分の存在知ってもらう。

これが第一関門で、ハローワーク職員が、
まず会社に電話で問い合わせをする。
ここで、障害の種別や等級を必ず聞かれる
ことになる。
それによって、応募不可となってしまう場合もある。

どの障害者でも同じだと思うが、聴覚障害者も、
職種によっては拒否されるケースが多い。
しかし、驚いたことに、電話問い合わせの後、
応募書類には障害者手帳のコピーを必ず添付する
義務になっている。
実は、その書類を受付けても

「最初から相手にされていなかったのでは」

と思えた場合もある。
早い場合だと、3日ほどで返送された。
選考結果には「7~14日後」と書いてあるのに、だ。
こういう経験をされた方も、他にもたくさんいるはずだ。

なぜこういうことがあるのかというと、経験者なら
想像したこともあると思うが、その場で会社が拒否
してしまうと

「その障害を持つ障害者は応募できないわけだ」

と障害者に見抜かれてしまうからだろう。
場合によっては

「その会社は特定の障害者を差別している」

という見方もされかねない。
その噂が広まってしまうことを恐れるからではない
だろうか。

もし、本当にそういう場合は、その会社の本心は

「書類選考だけなら、しても構いませんよ」

ということでしかない。

3日で書類を返送してしまう理由も、これでつじつま
が合う。

こういう回りくどいことをするのが日本の慣習だから、
仕事の内容を見て、障害との相性を自分で見極める
力を持ったほうがいい、と思う。

やっぱり、会社には最初から、どんな障害の人で、
等級もどの程度の人までがいいのか、理想形は頭の
中にあるのだろう。
ハローワークの裏情報なんか、まさにそれが理由だと
しか、思えない。

例えば、聴覚障害者でも、4、6級の人ならいいが、
1、2級の人はダメだということもありうる。

理由は、1、2級の人は、ろう者を思い浮かべるから
だろう。
特に1級は言語障害が重い人だから

「日本語の読み書きも無理な人」

と考えるのではないか。
2級でも、それに近いと考えられやすい、と思う。

つまり、障害の等級で能力や適応力を判断される
こともありうる。
実際に、会社への問い合わせ電話の段階で、
聴覚障害の等級について聞かれ、答えた段階に
なってから急に会話が途切れ、結果、応募できなく
なった、ということもあった。

障害者を採用する気がある会社ならば、すぐに
誰でも採用するところもあるが、書類選考に出す
書類では、人事の人に響く、自分の強みをアピール
することも忘れてはならない。
それがないと、単に障害種別・等級だけで判断
されてしまうだろう。



7.ずる賢い就職活動&転職術のすすめ


もう言うまでもないことだと思うが、
障害のことは詳しく話さないほうがいい。
質問範囲内で、最低限のことにとどめるべきだ。

私も以前は、障害について配慮してもらえる会社を
探していた。
それで、自分から障害のことを理解してもらいたくて、
その配慮をきちんとしてもらえることを期待して、
自分の障害のことを面接で詳しく話したことが
あった。
『障害について』という文書までつくって、
応募書類に同封したこともあった。
しかし、会社は、そんなことには全く興味はない
のである。
実際、採用に至ったことはゼロだった。

多くの会社の実態が『職場内障害者授産施設』で
あっても、会社はボランティア施設ではないのだ。
一人できちんと働けるかどうかを見ようとしている。

実際には、見極められていないで採用に至って
しまったケースも、なぜか非常に多いのだが。

「この人は、面倒そうだな」

と思われたら終わり、だと思ったほうがいい。


先に述べた

『6.応募書類の生かし方
「障害の種別・等級を明記して下さい」』

という、最近の傾向で、もうおわかりだと思うが、
それを書くだけでは会社側は

「この障害者を雇用するリスク、デメリットな何だろうか」

と、ネガティブなことばかり考えてしまうだろう。
会社は

「配慮はできるだけ考えたくない」

と思っている。
実際、聴覚障害者への配慮をしている会社などは、
今でもほとんどないのだ。

面接では必ずといっていいほど聞いてくる事柄だが、
それを正直に吐き出させることによって、
裏から障害による欠点を探ろうとしているだけなのだ。
だから、騙されないように気をつけたほうがよい。

むしろ、あなたはその上をいくべきだ。

「私には、こういう障害があります。
でも、私は次のような方法で、障害の克服に努力しています」

という筋で応募書類に書いたり、その論法で面接に臨むと、
あなたへの見方も変わってくる場合もある。
そこでは、自分と敵対し続ける健常者への“歩み寄り”を
示さなくてはならないが、会社が求めているのはまさに
それだから。

私の場合は、次のように書いてみたことがある。
実際、採用に至ったこともあるケースである。



〔例1〕

志望の動機
①電話応対はできませんが、作業系の仕事は何でも、
特にメール室業務の仕事は得意です。
②パソコンを使用してのビジネス文書作成
(Word、Excel)、メール(Outlook Express)もできます。


本人希望
聴覚障害のため電話応対は困難ですので、
ご配慮をお願いいたします。



〔例2〕

志望の動機
①電話対応はできませんが、作業系の仕事は何でもできます。
前職で郵便物仕分・重要文書管理・データ入力の業務経験が
6年半あり、本当は庶務・総務関係の仕事を再びしたいと
思っています。


本人希望
①聴覚障害のため電話応対は困難ですので、ご配慮を
お願いいたします。
②聴覚障害があっても、補聴器やFM補聴システム、
筆談、メール手段(日本語文章力)などで、障害の克服へ
前向きに取り組んでいます。




私の場合は志望動機に

「貴社の●●が良いと思ったため」

などとは一切書いていない。
障害者雇用では、昇進がないとわかっているからでもある。
それよりも、自分に出来ることをアピールする欄として、
活用している。

また、これらは志望する職種によっても、当然に変わってくる。


他に注意すべきなのは、たとえば通院していても、
月1回程度ならば、そのことは正直に「書かない」「言わない」。
そのときになってから、突然仮病を使ってごまかすことにする。
半年後は有給休暇を使って、堂々と休めるようになる。




事例ではパソコンに強いことを書いた。
この方法は、本当に筆談やパソコンメールなどで、
きちんとコミュニケーションができる人に限る。
後で疑われるようなことになれば、それは聴覚障害者
全体の問題になってしまうだろう。
ちょうど、ろう者が面接でよく

「口を見て読み取れます」

と言いながら、実際の職場ではコミュニケーションが
出来ていなかったりするのと同じように。


『2日で職場放棄してしまった、ろう者』
〔2010-01-09 18:00〕



この会社では、二度とろう者を雇用しなくなった。


自己PRは積極的に書くべきだが、ウソだけは書いては
ならない。
面接で「言う」だけなのと、文書に残る「書く」のとは、
大きく違うからだ。
書面は、ずっと残るものである。
だからそれは、採用後も影響することを忘れてはならない。

ろう者はたしかに、ろう学校のなかでは口を見て何とか
なっていたのだろう。
しかし、社会は学校のなかとはまるっきり違う。

「口を見ればわかります」

と言ったら、健聴者は

「聴覚障害者は、どんな説明でも、口を見れば読み
取れる能力を持っている」

と、勘違いしてしまう人もいるようだ。

『声の支配』(※)を読んでもわかるように、
声の世界に引きずられてしまうと、聴覚障害者の
不利はどんどん大きくなる。


(※)
『音声言語世界の中で生きる、ろう者の現実と、手話が持つ可能性』
〔2014-08-25 18:30〕




だから、健聴者とのコミュニケーションで、
確実で最善の方法は筆談しかない。
私の手法


『バカがいつまでも聴覚障害者差別をしている時代に』
〔2013-04-03 18:00〕



を参考にして、やってみてはどうだろうか。


あるいは、ろう者の例もある。


『補聴器と発声訓練が、聴覚障害者にもたらしたものとは――。』
〔2014-06-17 18:30〕

(『もうひとつの手話 ― ろう者の豊かな世界』
(斉藤道雄/著 晶文社/発行者
1999年6月10日/初版発行)より引用した文を参照。)



補聴器は、たとえ使えなくても、あったほうがいい。
補聴器を使ってダメならば、健聴者に書いてくれるか、
それとも相手にされなくなるかのどちらかしかなくなる。

そこでもし、相手にしなくなるようなことがあったら、
一人で悩まずに、すぐに上司や人事に相談するとよい。
その人たちでは役不足だと思ったら、コンプライアンス部や、
役員でも社長でもよい。
そこまでやっても改善しなかったら、さっさと辞める準備
をしなさい。
ただし、次の会社が見つかるまでは、自分から「辞める」
と言わないことだ。
働きながら転職先を探すことだ。
実際にハローワークも、それを推奨しているのだ。(※)



(※)
『ハローワークからの転職アドバイス』
〔2011-03-11 18:00〕



これは大変だが、辞めてしまうと転職活動中にも
面接で必ず

「何で辞めたの?」

としつこく聞かれ、そこが最大のネックになってしまう。
そこでは、相当辛い思いをすることになると思う。
精神的ダメージが大きく、再就職活動にも大きく
響いてしまうこと必至だ。

ここは批判覚悟で言うが、有給休暇でも仮病を
使ってでも、何でもいいから理由をうまくつけて休み、
転職活動をすればよい。
会社にとって迷惑な話だし、自分の良心も傷む行為
になるが、それでも、あなたにとっては、それ以外に
いい方法はない。


応募書類は基本的に

①送付書
②履歴書
③職務経歴書
④障害者手帳の写し
⑤その他、会社が指定した書類
⑥自分の趣向で添える書類
(『障害について』『転職したい理由』『私の長所と短所』など)

以上のものだ。

「『送付状』なんかつけなくたって」

と思うかもしれないが、
きちんとした作成能力があれば、それも自己アピール
にはなる。

「そこは見られている」

と思って、真剣に取り組んだほうがよい。
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by bunbun6610 | 2014-09-12 19:00 | 就労前の聴覚障害者問題A

ある聴覚障害者から見た世界


by bunbun6610