運転における、補聴器装用条件への疑問

『バイクの運転では違反回数1回(警察の調べ)
・・・しかし実際の違反数は1000回以上・・・』

『警察は、補聴器の欠点については、
何もわかっていないで形式的に法令を定めていた』

『補聴器の両耳装用が不可欠であるにもかかわらず、
日本の障害者福祉では原則、片耳しか交付されない』
(欧米では両耳装用が主流だと言われている〔※〕


〔※〕当ブログ

『『「耳の不調」が脳までダメにする』(中川雅文/著)』
〔2014-07-29 18:30〕


参照。






『公開シンポジウム報告
運転に聴力は必要ですか?! ~欠格条項見直しと運転免許~』
〔2006年10月15日〕





『PDF文書「50年の軌跡とアンケート調査から」
- DPI日本会議(Adobe PDF)』





『聴覚障害者と運転免許』



聴覚障害者の樋下氏は、バイクの無免許運転で、
何度も捕まってはまた運転する、をくり返して、
裁判で有罪判決を受けたことは有名だ。
今よりも障害者雇用促進法も進んでいなくて、
職域差別があった当時では、どうしても、
生きていくための仕事にバイクが必要だった
そうだ。

日本の障害者運動のなかには、車椅子障害者が
国鉄の駅構内を集団で突入し、バリアフリーを
訴えた運動も知られている。
その違法がいいとは言えないが、結果的には、
その行為から障害者の権利擁護が前進した。

確かに、裁判という、重い審判で有罪判決を
受けたことは、非常に重く受け止めなければ
ならないことだ。

しかし、この後、警察は軟化姿勢を示して、
法改正により聴覚障害者にも一定の条件を
満たせば、運転免許証が取得できるように
なっていった。
その条件は長い期間を経て、段階的に
緩和されていった。

しかし、それでもなお、完全にバリアが
なくなり、問題が全て解決したというわけ
ではない。

私は、初めのうちは難聴でありながらも、
補聴器装用という条件もつかず、まず原付
自動二輪の運転免許を取得したことは、
以前に述べた。
そして、その後に、普通自動車の運転免許も、
初めは補聴器の条件も無しで取得できた。


『平成20年(2008年)6月1日改正
道路交通法の前と後』
〔2014-09-02 18:30〕



しかし、その後、聴力が低下したわけでも
ないのに「人の話し声が聞き取れない」
という理由で、運転の条件に補聴器装用が
付け加えられた、という話も、その後に述べた。


『運転免許制度への疑問』
〔2014-09-06 18:30〕




〔原付バイク運転での問題点〕

私も、その頃、社会人として一人で生きていく
ために、2つのアルバイトを掛け持ちして
働いていた。

その頃はまだ、私は障害者手帳も知らず、
したがってそれを持っていなかった。
手帳を持った後だって、何しろ、手帳の使い方
もわからず、障害者雇用促進法という恩恵的
制度があることも、知る機会もなかった。

だから案の定、就職にも困っていて、仕方なく
2つのアルバイトを掛け持ちして働いたことも
あった。

そのうちの一つが新聞配達で、バイクの運転免許
証を持っていることが採用・勤務の条件だった。
それで、最初のうちは補聴器をつけて、
ヘルメットを被り、新聞配達をこなしていた。

ハウリングの問題もあり、補聴器は装用しても、
電源は切っていたのだが、実際には正しく使用した
ところで、この時には問題が他にもあったのであった。

配達作業中は短時間にかなりの激しい運動になるので、
多量の汗をかく。
それで補聴器にほんの少しでも汗が落ちると、
マイク部の小さな孔が塞がってしまったりして、
聴こえなくなることもしばしばだった。
あるいは、イヤーモールドの内部に水滴が溜まってしまい、
それで聴こえなくなってしまうこともあった。
補聴器は、汗そのものだけでなく、湿気の多い場所に
弱いので、ヘルメットの中に装用するのは、
もってのほかだったと思う。

そんなふうだったから、補聴器にも汗がついたりして、
壊れてしまったり、補聴器の寿命が縮んでしまっていた。
安月給なのに、自腹で買って、何度も壊れてはまた
買っていたら、働いても何もならないと思った。

自腹で買っていた補聴器は何台も持っていたが、
それらは性能に不満があるだけでなく、非常に高価な
ものであったので、次第に、壊れてももう補聴器を
買う気をなくしていた。
防水機能の高いスポーツ用補聴器もあったが、
それはより高価だった。

「どうせ買い換えても、この仕事で使ったのでは、
またすぐに壊れるだろう」

と思い、新たな補聴器は買わなかった。

いっそのこと、最初から補聴器をしないで運転する
ようになっていった。
新聞配達は住宅街のなかの狭い道路を走るので、
パトロールカーに出くわすこともなかった。
だから、見つかることもなかったのである。


補聴器の不具合は即、聴こえなくなってしまう、
ということだ。
しかもそれは、運転中でも突然に起こるものだ。

ずっと後の運転免許フォーラム(2006年10月15日)
に参加して、そのことを思い出し、矛盾に初めて気が
ついた。
補聴器の実用性にも大いに疑問があったことを、
警察は当時も今も、全く知らないで条件に付していた
ということになる。
このことからも、依然として、形式的な法制度だったと
思わざるをえないだろう。




〔補聴器の片耳装用運転の危険性〕

運転免許試験の聴覚検査は、補聴器は片耳装用
でも十分通る。

しかし、実際の自動車の運転で、片耳装用のままで
運転すると、危ない。

なぜかというと、片耳装用では、左右からの聴こえの
バランスが悪くなってしまうからである。
特に補聴器をした方からしか、音が入らない場合、
そっちの方ばかり気になってしまうので、
本当はどっちから音がしたのか、一瞬わからなくなる。
補聴器の方からだけ聴こえるとなると、
そっちの方にばかり反応してしまい、
逆の方向はおろそかになってしまう、ということだ。

補聴器をしていない方から音がしていても、
その方の耳から聴こえなかったら、わからない、
あるいは、反応が遅れてしまう、ということもある。

したがって、補聴器は必ず両耳装用でバランスを取る
ことが大事である。
特に、車などの運転の時は、そうだろう。

ところが、実際は高額な補聴器を両耳分購入できる人は、
そんなに多くないのではないか。
障害者福祉でも、特に認められた場合にしか、両耳分の
補聴器の補助金をもらうことができない。

私も、初めは片耳だけで我慢していた。
そのようなわけで、片耳装用ではかえって危険なので、
実際の運転時は、補聴器を装用しなかったのである。




以上、これまで数回にわたって述べてきたように、
聴覚障害者に対する運転免許制度は矛盾がまだ
まだ多い。
それにもかかわらず、私がそれを黙秘してきたのは、
法改正が何度も進むと期待していたからで、
現に私自身も運転することには何の壁もなかった
からである。

しかし、聴覚障害者全体の問題として考えた時、
この差別を放置するならば、決して本当の聴覚障害
者理解のある社会はやって来ないだろう。
そう思える。
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by bunbun6610 | 2014-09-08 18:30 | 運転免許制度への疑問


ある聴覚障害者から見た世界


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